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最終更新日:2022/12/9

遺言書の7つの効力と無効になる10のケースとは?遺言書の種類とあわせて解説

弁護士 山谷千洋

この記事の執筆者 弁護士 山谷千洋

東京弁護士会所属。
「専門性を持って社会で活躍したい」という学生時代の素朴な思いから弁護士を志望し、現在に至ります。
初心を忘れず、研鑽を積みながら、クライアントの皆様の問題に真摯に取り組む所存です。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/yamatani/

この記事でわかること

  • 遺言書を作成するメリット、2020年に開始された自筆証書遺言保管サービスの仕組みがわかる
  • 遺言書にはどのような種類があるのかがわかる
  • 遺言が無効になるケースなど、注意点がわか

近年、年配の方を中心に、終活の一環として遺言書を作られる方が増えてきました。

また、2020年より、自分で作成した遺言を、法務局が保管してくれるという制度もスタートしました。

ただし、制度を活用する上での注意点や、遺言が無効になるケースもありますので、遺言に関わる最新情報に加え、注意点を解説していきます。

遺言書は3種類

現在、遺言書の種類は3種類あります。

「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3つです。

実務上は、秘密証書遺言が使われることは少なく、大半が自筆証書遺言と公正証書遺言ですが、3つの違いをわかりやすくするために、表にしてみましょう。

自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言
作成者 本人が自筆で作成する。財産目録に関してはパソコンでもOK 公証人が遺言作成者の発言を筆記し作成 本人が自筆し、公正証書役場で手続きを行う
保管先 遺言者本人もしくは最寄りの法務局 原本は公証人役場保管、その写しに当たる正本・副本の各1通は本人が保管 遺言者本人
証人 不要 2名必要。相続人など利害関係者は不可。公証人役場の方で有料で手配してもらうことも可能 2名必要(公正証書遺言と同じ)
費用 自宅保管の場合は不要、法務局に保管する場合は1件3,900円 金額・相続人数などによって大きく幅があり、3万~10万程度 11,000円
内容などを秘密にできるか 遺言の存在・内容ともに、親族・第三者に見つからなければ秘密にできる 基本的には秘密にできる。証人には公証人役場の紹介する人か、専門家など守秘義務のある人を選ぶことで秘密にできる 内容は秘密にでき、遺言の存在も、証人や公証人以外には知られない
裁判所の検認 必要・無断開封厳禁(なお、法務局保管時は、裁判所の検認は不要) 不要 必要・無断開封厳禁
遺言の内容に誤りがあり、無効になる可能性 ある 極めて低い ある

このように、同じ遺言制度でも、複数の種類があると言うことがおわかりいただけたかと思います。

お勧めの方法としては、公正証書遺言が一番安全で確実です。

ただし、費用が数万~10万近くと、結構かかります。

次善の策としては、注意に注意を払って自筆証書遺言を作成し、法務局に保管してもらうという方法が良いでしょう。

費用負担もさほどなく、また複数のメリットがあります。

法務局での自筆証書遺言保管制度のメリット・注意点は?

これまで、自筆証書遺言は自宅や自宅内金庫などで保管されるケースが多かったですが、課題もありました。

  • ・遺言書をなくす恐れがある
  • ・遺言作成者の認知症などにより、遺言書の場所がわからなくなる恐れがある
  • ・不仲の家族・親族による遺言書の破棄・隠匿。改ざんが生じる恐れ

このような課題を踏まえ、法務局で遺言を保管するという制度が2020年7月10日より施行されました。

この保管サービスのメリットは、下記の通りです。

  • ・保管場所だけでなく、他の地域からも遺言書を確認できる
  • ・裁判所での検認手続きが不要
  • ・遺言書の元データが法務局に保存されているため、家族・親族・第三者が改ざんできない
  • ・相続開始後に初めて、相続人が遺言書の内容を確認することができ、また、相続人が遺言を閲覧したということは他の相続人にも通知される

など、遺言保管の安全性を高め、日本全国どこからでも必要に応じて預け入れ、差し替えができます。

また、作成者死去に初めて、相続人が遺言の閲覧などができるため、家族らに相続の内容を知られずに済むメリットがあります。

自筆証書遺言保管制度の注意点は

いいことばかりの自筆証書遺言保管制度に見えますが、遺言書の内容に関しては法務局でチェックをしてくれるわけではありません

公正証書遺言の場合は、遺言書を公証人が作成するため、間違いというのはほぼ起きないですが、自筆証書遺言保管制度を利用する場合は、遺言の作成内容に間違いがないよう、細心の注意を払う必要があります。

遺言書の持つ7つの効力

遺言書の持つ効力を、7つピックアップします。

1 相続人の指定 遺言書を作成しておくことで、法定相続分に関係なく、財産を相続させる先を指定することができます。ただし、遺留分(配偶者・子ども・子どもがいない場合は親)という、相続人の指定に関係なく、一定の血族が請求できる割合があるので、極力遺留分には配慮した方が良いです)
2遺産分割方法の指定と遺産分割の禁止 遺産分割の方法として、家は長男に、現金の半分は長女になど、遺産分割の方法を指定できると共に、相続開始から5年を超えない期間を定め、遺産分割を禁止することができる
3財産の処分・遺贈についての遺言書での指定 財産に関して、特定の金品を特定の人(仲の良かった人・お世話になった人)などに遺贈したい場合は、遺言に指定することで遺贈ができます.
また、ボランティア団体やNPO法人・社会福祉協議会などに寄付をしたい場合も、遺言で指定することが可能です
4 相続人の廃除 相続人の中で、素行が著しく悪い親不孝者や、虐待・罵倒、また被相続人を殺傷しようとしたり、意に沿わない遺言を書くことを詐欺・強迫で行わせたりするなど、悪質な相続人を排除することができる。ただし、実際はよほどのひどい問題がないと廃城対象にならないケースも
5 内縁の妻や子どもの認知 隠し子を認知し、子どもとして相続人に加えることができます。ただし、他の相続人は間違いなくショックを受けるでしょう
6 遺言執行者の指定 遺言執行を行って欲しい人・専門家・組織などを指定できます。遺言執行者に指定されると、相続に関する手続きを遺言執行者が主体となって行うことができます
7 未成年後見人の指定 子どもが未成年で、遺言作成者が亡くなった際に親権者がいなくなる場合、遺言作成者が信頼できる第三者を未成年後見人とすることで、財産管理・身上監護を委ねることができます

以上のように、遺言書でさまざまな事を指定できます。

遺言書が無効になる10のケースとは

全て内容の確認を受けない、自筆証書遺言・秘密証書遺言に関するケースですが、遺言書が部分的、もしくは全体が無効になるケースがあります

1 遺言作成者の押印がない 管政権になってから「脱ハンコ」が高まっていますが、遺言書に関しては遺言作成者の押印がないと、全体が無効になります
2本文までパソコンで書いた遺言書 財産目録に関してはパソコンでも問題ありませんが、遺言書そのものは全て自筆で作成する必要があります
3 作成日の記載がない 作成日の記載がないと、遺言全体が無効になります。なお、有効な遺言書が2通以上ある場合、新しい遺言書の方が優先されます
4ビデオカメラ・ICレコーダーなど、動画・音声での遺言 直接気持ちを伝えるための手段としてはいいのですが、遺言書としては全体が認められません
5 本人以外が書いた遺言書 第三者による遺言書の偽造は当然問題ですが、たとえば、遺言作成者が相当高齢で、親族が手を添えて書いた場合でも、本人以外が書いた扱いとなる可能性があります
6 フルネームの自著がない遺言書 本人直筆のフルネームがない遺言書や、第三者が名前を書いた遺言書は無効です
7 2人以上が共同で作成した遺言書 仲の良いご夫婦でまれにあるそうですが、遺言は個人個人で作るもので、2人以上が共同で作成した遺言書は無効になります
8 相続財産の記載が具体的ではない遺言書 相続財産を指定する場合は、預金であれば銀行口座の番号、土地家屋であれば所在地・面積・地番など詳細に書く必要があります。長男に自宅を相続させる、のような遺言は認められません
9 その他要件に満たない遺言書 自筆証書遺言は、その他にも細かい要件があり、少しのミスで内容が無効になります。
10 修正液・修正テープを使った遺言書 遺言書を作成する際には、修正液・修正テープを使ってはいけません。二重線で消し捺印、欄外に訂正場所を明示、変更内容・署名を記入し、何字加入・何字加筆など書く必要があります

このように、自筆証書遺言は、様々なミスが起きがちです。

公正証書遺言なら無効になりにくい

「遺言を作成するなら効力を持ったものを作りたい」と思うかもしれません。

遺言の作り方は3種類ありますが、もっとも効力があるのは公正証書遺言になります。

公正証書遺言は、公正役場で手続きをして作成する遺言です。

公正役場で公証人にチェックを受けて、受理してもらうため、無効になる可能性が低いです。

直筆など他の方法で遺言を作成すると、ミスによって無効になるかもしれません。

手続きの手間はかかりますが、効力をもった遺言書を作成したいなら、公正証書遺言を作りましょう。

公正証書遺言を作成する手順について

「公正証書遺言を作りたいけど、どうすればいいのかわからない」という人もいるでしょう。

ここからは公正証書遺言を作成する手順を紹介します。

遺言の内容を決める

最初は遺言の具体的な内容を決めます。

「相続する財産を誰にどれだけあげるのか?」を具体的に決めてください。

相続する財産は、現金・不動産・株・生命保険などが該当します。

遺言の内容を決めるときには、遺留分に注意しましょう。

遺留分とは、最低限の相続財産を補償することです。

例えば子供がふたりいて、ひとりの子供に財産をすべて相続させたとします。

その場合に、相続財産をもらってない子供が「自分の遺留分がない!」と主張したら、遺留分の財産を分配しなければいけません。

遺留分では、相続の権利を持った人が自分の取り分を主張できる仕組みになっています。

遺言の詳細を決めるときには、遺留分も考慮して相続財産を分配しましょう。

必要書類を集める

公正証書遺言の作成には、下記のような書類が必要です。

  • ・遺言者の印鑑証明書
  • ・遺言者と相続人の続柄がわかる戸籍謄本・住民票
  • ・不動産の登記事項証明書・固定資産評価証書
  • ・遺言書の具体的な内容 など

遺言・相続の状況によっては、追加で書類提出が必要なケースもあります。

遺言書作成の書類集めは意外と時間・手間がかかるため、専門家である弁護士に任せるのがおすすめです。

2人の証人に依頼する

公正証書遺言の作成には、2人の証人が必要になります。

未成年や財産を相続する人・その肉親などは証人になれません。

遺言に直接利害のない人を、証人として呼びます。

証人が見つからない場合は、公正役場で紹介もしてれます。

ひとり6,000〜7,000円ぐらいかかりますが、証人が見つからない人は活用しましょう。

公証人と打ち合わせして公証役場で遺言書を作成

遺言書・必要書類の準備が終わったら、公証人と事前打ち合わせします。

作成した遺言書に不備がないかチェックしてもらい、問題なければ作成に進みます。

公正証書遺言を作成するときには、公正役場に行って、公証人・ふたりの証人に同席してもらい遺言書を受理してもらいます。

遺言書の作成に困った場合の対処法

多くの人は、まずは自分で遺言書を作ってみよう、と書籍を買ってきて自分で作成しようとします。

また、公正証書遺言を作成する場合でも、財産をどうするかなどの案については、自分で考えておく必要があります。

そのため、なかなか自分だけでやろうとすると、遺言作成というのは難しいものです。

費用はかかるけれども、迷う時間やプロのアドバイスを考えると、専門家に依頼すべし

弁護士など遺言書作成に通じた専門家であれば、必要事項をヒアリングして、内容を作成者から引き出してくれたり、遺言を作成する上での課題や悩みについて、法的見地からアドバイスをしてくれたりします。

そのため、一見敷居が高く見えるかもしれませんが、弁護士などの法律専門家に、遺言作成を相談するというのは有効な手段でしょう。

また、公証人役場で公正証書遺言を作成する際も、自身だけで公証人役場に行くよりも、精度の高く、遺言者の目的をかなえる遺言案の作成をサポートしてくれます。

自分だけで遺言の内容を考えようとすると、多くの場合行き詰まったり、途中で諦めてしまったりしてしまものです。

ぜひ、専門家の力を活用しましょう。

まとめ

2020年よりスタートした遺言保管制度のおかげで、遺言書に関するセキュリティは向上しました。

しかし、肝心の遺言に間違いがあって無効になっては意味がありません

遺言の正確性を高める上でも、弁護士などの法律専門家への相談、できることならミスのほぼ発生せず、自筆の必要がない公正証書遺言を積極的に活用していくと良いと言えます。

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