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最終更新日:2023/8/21

相続放棄したのに請求が来たら支払う必要なし!借金の取り立てへの対処法

弁護士 石木貴治

この記事の執筆者 弁護士 石木貴治

東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/ishiki/

相続放棄したのに請求が来たら支払う必要なし!借金の取り立てへの対処法

この記事でわかること

  • 相続放棄をしたのに請求が来るときの対処法がわかる
  • 相続放棄が無効になるケースと注意点がわかる

被相続人が多額の債務を抱えたまま亡くなった場合、その債務は相続人が引き継ぐ必要があります。

しかし、そのような債務を引き継ぐと、相続人が債務の返済をしなければならず、大変な負担になります。

そこで、相続人は相続放棄をして債務を引き継がないという選択が認められています。

しかし、中には相続放棄しているにも関わらず、債務の返済を求めてくる債権者もいます。

そこで、相続放棄したのに借金の取り立てがくる場合の対処法について解説します。

また、相続放棄とはどのような制度なのか、有効に成立するために必要な手続きや要件についても確認していきましょう。

相続放棄したのに請求が!支払う必要はない

相続放棄をすれば、財産を相続できない代わりに、被相続人が残した借金や債務を引き継ぐこともありません

相続放棄をすると、その人ははじめから存在しなかったのと同じような取扱いとされるため、特定の債務だけは支払う必要があるといったことはありません。

たとえ、税金のような債務があったとしても、相続放棄した人が代わりに支払う必要はありません。

相続放棄したことを、債権者に対してきちんと伝えれば、通常は請求はストップします。

しかし、債権の回収が進まずに困った債権者の中には、相続放棄したことを知っていても請求してくるケースもあります。

この場合、何度も相続人に対して請求してくることも考えられます。

しかし、債権者の請求に応じる必要はありません。

相続放棄すると、相続権は別の相続人に移ることとなります

そして、債権者は、その人に対して請求をしなければなりません。

相続放棄後も借金の取り立てが続く場合の対処法

相続放棄後も借金の取り立てが続く場合、どのような方法で対応すべきでしょうか。

相続放棄の証明書を提出する

相続放棄申述受理通知書のコピーや相続放棄申述受理証明書を提出すれば、それ以後の取り立てはすべてストップします。

相続放棄した人は、裁判所での手続きで相続人でないことが確認されているため、それ以後に取り立てを行うことはできないのです。

専門家に相談する

ただし、債権者側も債権回収が順調に進んでいない場合には、相続放棄した人からでも回収したいと考えます。

相続放棄したことがわかっていても債務の返済を求めてくるケースもありますが、このような場合も返済の必要はありません。

債務者でない人に対する取り立ては違法行為であることから、毅然とした態度で臨むことが重要です。

また、何度も取り立てが続くようであれば、警察に相談することをおすすめします。

ただ、警察に相談してもすぐに動いてくれるとは限らないため、その時は相続放棄の手続きを依頼した弁護士に相談しましょう。

自分で相続放棄を行った人は、弁護士を探す必要がありますが、相続や債務問題に詳しい弁護士であればすぐに対応してもらえます。

相続放棄が無効となるケースと注意点

相続放棄が無効となるのは、どのようなケースなのでしょうか。

相続放棄の期限が過ぎているケース

1つ目は、相続放棄ができる期限を超えてしまっている場合です。

被相続人が亡くなったことを知ってから3か月以内に相続放棄の手続きをしなければならないとされています。

亡くなった日から3か月以内であれば、確実に相続放棄の期限内であるとわかりますが、そのようなケースばかりではありません。

たとえば、亡くなったことを知ったのが、亡くなってから半年後だったということが考えられます。

また、他の相続人が相続放棄したために自分が法定相続人となったことを知ったのが3か月経過後だったということもあります。

このような場合には、3か月の熟慮期間を経過してしまったのかどうかについて、債権者と争いになる可能性があるのです。

単純承認が成立したケース

2つ目は単純承認が成立したために相続放棄ができないという場合です。

単純承認とは、被相続人の権利義務のすべてを相続人が承継することをいいます。

単純承認が成立すると、その相続人はその時点で承継していることとなるため、単純承認後に相続放棄することはできません

単純承認が成立するケースは、預貯金や不動産などの財産を意図して承継し、あるいは売却した場合だけではありません。

債務の返済をした場合、形見分けをして遺品を持ち帰った場合など、単純承認が成立する可能性のある行為は数多くあります。

そのような行為を行ったうえで相続放棄をした場合には、債権者と争いとなることがあります。

相続放棄に関するよくある質問

相続放棄に関してよくある質問を紹介します。

債権者から借金の請求があってからでも相続放棄できる?

相続人として、遺産の確認や債務の整理をしている中で、債権者から借金の請求を受けることがあります。

中には、債権者からの請求を受けてはじめて、そのような借金があったことを知るケースもあるでしょう。

このような場合でも、相続が発生してから3ヶ月月以内であれば、相続放棄をすることができます

注意しなければならないのは「債務があることを知ってから3ヵ月以内」ではないことです。

あくまでも、相続が発生してから3ヶ月以内であるため、請求を受けたタイミングによっては相続放棄が間に合わないこともあります。

また、他の債務の返済をしていたり、遺産をすでに相続した場合には、単純承認が成立しています。

この場合、相続放棄ができないため、債務の有無については慎重に調査しなければなりません。

相続放棄後に支払った借金は返してもらえる?

相続放棄の手続きが完了した後に、債権者から請求書が届いて支払ってしまうことがあるかもしれません。

このような場合、本来支払う必要のない借金の返済を取り戻すことは、原則としてできません

債権者の立場からすれば、相手が返済義務があるかどうかを確認することはできず、仮に返済義務のない人からの返済も有効となるためです。

もし相続放棄した後に返済してしまった借金がある場合は、返済義務がある他の相続人に請求し、その返済額を受け取ることができます。

まとめ

家庭裁判所で相続放棄しなければ、たとえ何も相続しなかったとしても、その後の債務の支払いから完全に免れることはできません。

財産も債務も相続する必要がないのであれば、家庭裁判所で相続放棄を行うようにしましょう。

また、相続放棄を行ったからといってその後の債権者からの請求が自動的に止まるわけではありません

相続放棄申述受理通知書のコピーや相続放棄申述受理証明書を債権者に提出するなど、自分でその後の手続きを行う必要があります。

もし債権者からの取り立てが止まらない場合には毅然とした態度で対応し、警察や弁護士にすぐに相談するようにしましょう。

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