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最終更新日:2023/5/18

配偶者なし・子なし・親なし・兄弟ありの法定相続分・相続人は?準備も解説

弁護士 水流恭平

この記事の執筆者 弁護士 水流恭平

東京弁護士会所属。
民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

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配偶者なし・子なし・親なし・兄弟ありの法定相続分・相続人は?準備も解説

この記事でわかること

  • 配偶者なし、子どもなし、親なし、兄弟ありの人が亡くなった場合の相続人が誰かわかる
  • 配偶者なし、子どもなし、親なし、兄弟ありの人が相続対策として行うべきことがわかる
  • 配偶者や子ども、親がいない人が特定の人に遺産を遺す方法を知ることができる

配偶者も子どもも親もいないという人は、決して少なくありません。

かつては結婚して子どもを産むというのが社会人としての典型的なモデルでしたが、現在では生涯独身の方も珍しくないからです。

そこで問題となるのは、このような独身の方が亡くなった時、その遺産はどうなるのかということです。

配偶者なし、子どもなし、親なし、兄弟ありの場合、その財産はどうなってしまうのか、一度じっくりと考えてみましょう。

配偶者がなし・子なしの場合の法定相続分・相続人

配偶者も子どももいない人は、最後を看取る人が誰もいないと思われがちです。

また、遺産があっても、誰も相続する人がいないのではないかと考える方も多いでしょう。

しかし、実際は配偶者なし・子どもなしという人であっても、法定相続人となる人はいます

まずは、誰が法定相続人となるのか、確認しておきましょう。

①親などの直系尊属がいる場合

配偶者も子どもも兄弟もいない人について、相続人がいないと勘違いしやすい理由は、配偶者や子どもが相続人となるケースが多いためです。

しかし、配偶者や子ども、兄弟がいない場合にも、法定相続人となる人はいます。

配偶者がいる場合、配偶者は常に法定相続人となります。

また、配偶者以外の法定相続人を決める際は、第一順位から第三順位までの順番に該当する人がいるかどうかを確認する必要があります。

なお、該当者がいた場合、それ以降の順位の人は法定相続人になることができないので注意しましょう。

配偶者なし・子なしの場合の法定相続分・相続人

第一順位の法定相続人は子どもです。

しかし上記の図のように、子どもがいなければ法定相続人になるのは、第二順位の法定相続人である直系尊属の人となります。

直系尊属とは、亡くなった人の両親や祖父母などを指します。

両親のうちいずれかが健在であれば、その人が法定相続人となります。

また、両親ともに健在であれば、その2人がともに法定相続人となり、遺産を均等に相続します。

両親ともに亡くなっていても、祖父母のいずれかまたは祖父母のいずれもが健在という場合もあります。

この場合は、健在である祖父母が法定相続人となるのです。

②兄弟姉妹がいる場合

直系尊属はすでに全員亡くなっているということも多いでしょう。

このような場合は、第三順位の法定相続人である兄弟姉妹が相続権を有することになります。

兄弟姉妹が1人でもいれば、その兄弟姉妹が法定相続人となり、兄弟姉妹が複数人いる場合は、それぞれの人が均等に相続権を持っています。

上記の図のケースでは、兄弟姉妹が2人いることから、それぞれが1/2ずつの相続権があります。

なお、兄弟姉妹が亡くなっていても、その子(被相続人の甥・姪)までは代襲相続人となることができます。

③特別縁故者がいる場合

直系尊属も兄弟姉妹もいないと、法定相続人となる人がいないことになります。

高齢で亡くなる方が多いため、法定相続人に該当する人がいないこともあるでしょう。

このような場合、特別縁故者として相続権が認められる方がいるケースがあります

たとえば内縁の妻は、法律上の婚姻関係にないため、相続権が発生する配偶者ではありません。

しかし、被相続人と生計を同一にした人や、日常生活の面倒をみてきた人は、特別縁故者として相続権が認められる場合があります。

そのため、内縁の妻にも相続権が発生する可能性があるのです。

特別縁故者として相続するためには、家庭裁判所に申立てを行い、認められなければなりません。

相続人が誰もいない状態であることが確認されて初めて、特別縁故者が相続人となる可能性が出てきます。

④相続人に該当する人がいない場合

法定相続人となる人が1人もおらず、また特別縁故者となる方もいない場合、財産は国庫に帰属します。

誰かに相続してもらうことのできない財産は、最終的に国のものになるのです。

配偶者なし・子なし・親なし・兄弟ありの方が相続準備ですべきこと

配偶者も子どもも親もおらず、兄弟がいる人は、自身の相続対策を考えなくてもよいと思っているかもしれません。

しかし、実はこのような人も、相続が発生した時のための準備をしておく必要があります。

配偶者や子どもがいる場合とは異なる準備の内容について、確認しておきましょう。

誰が相続人になるのか知っておく

配偶者や子どもがいない人の場合、誰が相続人になるのか、わかりにくいケースが多くあります。

そのため、まず誰が自分の相続人になるのかを確認しなければなりません。

そこで、直系尊属や兄弟姉妹などの状況を確認し、誰が法定相続人になるのかを把握しておきましょう

相続人が誰か把握できれば、どのような対策が必要なのかを考えることができます。

また、法定相続人がいないと確認できれば、特別縁故者となる可能性のある人が申立ての準備をすることができます。

財産や債務がどれくらいあるのかわかるようにする

相続が発生したときに、被相続人の生前の状況を把握している人がいないと財産や債務の把握に苦労します。

そこで、配偶者や子ども、親がいない人は、相続対象となる財産や債務の一覧である財産目録を作成しておくといいでしょう。

財産目録を作成することで、相続人となった人が遺産分割などの相続の手続きにスムーズに入ることができます。

また、債務の内容を記載することで、相続人が相続放棄するかどうかの判断もできるようになります。

相続放棄は、相続発生から3ヶ月以内に裁判所に申請しなければならないため、早期に判断できるように準備しておくことをおすすめします。

葬儀やお墓の希望を記載しておく

亡くなった人がいると、相続の手続き以前に、葬儀の手続きや納骨などの手続きを行わなければなりません。

どのように葬儀を行い、誰を葬儀に呼ぶのか、あるいはどのお墓に埋葬してもらうのか、記載しておくようにしましょう。

普段は交流の少ない相続人に自身の希望を伝えることで、その遺志に沿った形で葬儀などを行ってもらうことができます。

配偶者なし・子なし・親なし・兄弟ありの方が特定の人に財産を遺す方法

配偶者も子どもも親もいない人でも、法定相続人になる兄弟がいる場合があります。

しかし、兄弟と普段一緒に生活をしているわけではなく、交流が少ない場合もあるでしょう。

そのような場合、法定相続人となる兄弟以外の人に財産を譲りたいと考える場合もあるのではないでしょうか

そこで、相続以外で特定の人に財産を残す方法をご紹介します。

いずれも生前に準備しなければならないため、その準備内容についても確認しておきましょう。

生前贈与を行う

生前贈与を行う相手は、親族でなくても構いません。

純粋に財産を渡したいと思う人がいるのであれば、その人に生前贈与を行いましょう。

このとき注意しなければならないのは、贈与税が発生する場合があることです。

贈与税の税額は、相続税の税額より高くなる傾向があるため、負担が増えすぎないようにしましょう。

年間110万円までの贈与であれば贈与税が発生しない基礎控除があるので、うまく利用して贈与を行うことをおすすめします。

死因贈与を行う

死因贈与は、亡くなる前に財産を保有している人が、特定の人に財産を渡す契約をすることです。

死因贈与を行えば、亡くなった時に初めて効力を発生し、相続人でない特定の人に財産を渡すことができます。

ただ、死因贈与を成立させるためには、その契約が確実に相続人に知られていなければなりません。

特定の人と契約を結んでいても、その契約が他の相続人に知られていないのであれば意味がないのです。

そこで、死因贈与の契約を締結したことを相続人に知られるように工夫しなければなりません。

一番確実なのは、遺言書に死因贈与を行うことを記載することです。

こうすることで、遺言書にもとづいた遺産分割を行う際に、死因贈与も確実に実行される流れとなります。

遺言書を作成する

遺言書には、死因贈与を行うことを記載するだけでなく、遺産分割の方法を記載することもできます。

遺言書にしたがって遺産分割を行えば、法定相続人でない人にも、遺言者が指定した方法で財産を残すことができます

一般的に遺言書を作成する際には、自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類があります。

このうち、自筆証書遺言を作成する際には、決められた形式で遺言書を作成しなければなりません。

仮にこの形式を満たさない遺言書を作成しても有効に成立しないため、注意が必要です。

一方、公正証書遺言を作成すれば、形式的な不備により遺言書が成立しないということはありません。

そのため、遺言書を作成する際は、まずは公証役場で公正証書遺言を作成することを考えるようにしましょう。

また、法定相続人となる人がいる場合、その人が遺留分を有している場合があります。

遺留分とは、遺産を最低限相続することができる割合をいい、配偶者や子ども以外には直系尊属が遺留分を有しています。

遺留分を満たさない相続人がいる場合、新たなトラブルとなる可能性が高いので注意しましょう。

まとめ

配偶者なし・子なし・親なし・兄弟ありの方が亡くなった場合、兄弟が遺産を相続することになります。

兄弟が複数人いる場合は、それぞれの人が均等に遺産を相続する権利を持っています。

残された兄弟が財産や債務の把握に苦労する可能性もあるため、生前から相続対策をしておくことが大切です。

相続人の把握、財産目録や遺言書の作成などを行い、相続手続きがスムーズに進むように準備しておきましょう。

もし相続対策でわからないことがある場合は、早めに専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

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