相続税の計算方法は、決まった手順で求めた相続税の総額を各相続人に割り振るといった、若干ややこしいものになっています。
具体的な計算は税理士に頼む人がほとんどでしょうが、大まかな仕組みがどうなっているのかを理解しておくことは大切です。
まずは課税価格を計算!
最初に、それぞれの相続人が取得した「本来の相続財産」と「みなし相続財産(遺産分割の対象にはならないが税法上は相続財産とみなされるもの)」を足し、そこから生命保険金や死亡退職金の一定部分など、非課税とされる金額を差し引きます。
そして、被相続人(亡くなった人)から受け継いだ債務とその人が負担した葬儀の費用を控除し、そこに被相続人からもらった生前贈与の中の一定部分を加えます。
これがその相続人の課税価格ということになります。これをすべての相続人について行い、最後に全員分の課税価格を合計するのです。もし遺産分割協議が済んでいない場合は、各相続人が法定相続分(民法で定められた相続分)で相続したとみなして計算することになります。
基礎控除を差し引く
この金額から「基礎控除」と呼ばれる一定の金額を差し引きます。
現在の法律では基礎控除の金額は「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」となっています。
ここでカウントする法定相続人には養子(実子がいる場合は1人まで、いない場合は2人まで)も含まれます。このようにして基礎控除を差し引いた金額が「課税遺産総額」となります。
各法定相続人の相続税額を計算
次に、課税遺産総額を法定相続人が法定相続分とおりに取得したものとして各相続人に振り分けていきます。
続いて各相続人に振り分けた金額に税率を適用してそれぞれの税額を求めますが、その際は相続税の速算表を利用して計算します。
こちらは国税庁のWebサイトなどで見ることができます。これらを合計したものが相続税の総額ということになります。
各相続人の取得分に割り付ける
最終段階では上記の相続税の総額を、各人が実際に取得した財産の価格に応じ、振り分けていくことになります。
この作業で注意したいのが、相続税の「2割加算(父母、子、配偶者以外が遺産を取得する場合は相続税額の20%を加算する)」や「税額控除(配偶者の控除など)」といった各人の事情に基づく調整を忘れずにしなくてはならないということです。
実際の相続税の計算は、「相続税の対象になる財産の判断」「評価の仕方や計算の正確性」「各種控除などの知識」といった様々な要素が絡むため熟練が要求されますから、相続税申告に慣れた税理士に、期間に余裕を持って依頼することが大切です。