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最終更新日:2022/12/13

相続で忘れがちな「財産」以外の決めごと|支払いやお墓について-もめない遺産分割Vol42

弁護士 福西信文

この記事の執筆者 弁護士 福西信文

東京弁護士会所属。
相続手続等の業務に従事。相続はたくさんの書類の作成が必要になります。
お客様のお話を聞き、それを法律に謀った則った形式の文書におとしこんで、面倒な相続の書類を代行させていただきます。

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相続で忘れがちな「財産」以外の決めごと|支払いやお墓について-もめない遺産分割Vol42

そのほかに決めておくべきこと

財産を分ける際に、合わせて決めておきたいのが「負担」に関するものです。

相続後に何か生じる場合、誰がどのように負担するのかを決めておきましょう。

「代償分割」についての詳細

まずは、代償分割を行うケースです。

たとえば、「長男が不動産を相続する代わりに、次男に1000万円の代償金を支払う」という条件だとして、いつまでに、どうやって支払うかを決めておく必要があります。

できれば一括で精算したいですが、それだけのお金を持っていない場合もあるでしょう。

そのときは分割払いにして、たとえば「毎月〇日までに□円を振り込む」といった形で、遺産分割協議書に明記すると安心です。

負担が大きい「不動産」への対応

次に、活用が難しい不動産を相続する場合を考えましょう。

田舎の場合、「土地を売りたくても売れない」「使おうにも使えない」という状況が起きがちです。

この場合、所有者に固定資産税の負担が生じるので、押し付け合いになってしまいます。

とはいえ、相続人全員が相続放棄をするようなことがなければ、誰かが相続するしかありません。

こういったときは、相続してもらう代わりに、固定資産税の金額分、現金を多めに分ける方法が考えられます。

たとえば、固定資産税が毎年1万円かかるのであれば、10年分で10万円を多く渡すといった具合です。

「お墓の管理」は誰がどうするのか

最後はお墓についてです。

お墓をどう管理していくかは、厳密には遺産分割と関係ありませんが、まとめて話し合いをしたほうがいいでしょう。

ただし、「お墓の管理はするから、相続財産を多めにほしい」と言っても、法律上そのような考慮はされません。

ほかの相続人が合意すればいいのですが、「それとこれとは話が別」と言われればどうしようもないのです。

相続についての定めである民法第896条は、人が亡くなった場合、故人が有していた権利・義務はすべて相続人に承継されると定めています。

しかし、「祭祀(さいし)財産」の権利は例外です。

祭祀財産は「系譜、祭具および墳墓」を指します。

  • 系譜……家系図や過去帳などの祖先からの血統や続柄を記載したもの
  • 祭具……位牌・仏壇・神棚などの祖先の祭祀や拝礼の用に供されるもの
  • 墳墓……遺体や遺骨を納める墓地自体の所有権や使用権、墓石・墓碑など

これらの祭祀財産の相続については次のようなルールがあります。

  • ①慣習に従って祖先の祭祀を主催すべき者が承継する
  • ②被相続人が指定した祭祀の主催者があるときはその者が承継する
  • ③慣習が明らかでなく、また被相続人による指定もないときは、家庭裁判所が決定する

つまり、祭祀財産の帰属については、遺産分割協議によって決定されるのではなく、①〜③によって決定されるのです。

ただし、②の被相続人の指定がない場合、相続人や近親者による協議で決定するのが一般的であり、法律も否定するものではありません。

また、被相続人による指定については、遺言などによる必要はなく、なんらかの方法で意思が表明されていれば足りるとされます。

そして、指定された者は、必ずしも法定相続人である必要はありません

被相続人の子どもの配偶者は養子縁組をしていない限り相続人にはなり得ませんが、その者を祭祀財産の承継者として指定しても問題はありません。

祭祀財産については、通常の相続とは異なる形で承継者が決定されます。

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