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最終更新日:2022/12/13

不動産を相続した場合の遺産分割【小規模宅地等の特例活用】-もめない遺産分割Vol40

弁護士 福西信文

この記事の執筆者 弁護士 福西信文

東京弁護士会所属。
相続手続等の業務に従事。相続はたくさんの書類の作成が必要になります。
お客様のお話を聞き、それを法律に謀った則った形式の文書におとしこんで、面倒な相続の書類を代行させていただきます。

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不動産を相続した場合の遺産分割【小規模宅地等の特例活用】-もめない遺産分割Vol40

遺産分割は不動産から決める

遺産分割のなかでも、とりわけ判断の難しいのが不動産です。

遺産分割協議をスムーズに進めるコツは、まずは不動産の分割を決めて、その結果に応じて預金などの分け方を決めることです。

不動産の分割はなぜ難しいのか

不動産の評価計算は複数ある(「相続時の所有不動産はどのように把握する?評価方法も解説-もめない遺産分割Vol35」)ので、相続人同士で納得できる金額を探ります。

そして、残された物件に引き続き住む相続人の有無や、収益不動産を誰が管理していくのか、といった状況を考慮します。

遺産争いが起きやすいのは、相続財産の多くの割合を不動産が占めるケースです。

できれば不動産の共有は避けたいので、特定の1人が相続するとしましょう。

この場合、不動産を相続した人に財産の大半が引き継がれ、残りの相続人から不満が出るかもしれません。

不動産の相続は相続税のルールへの理解も大切

さらに、不動産を誰が相続するかを決めるときは、相続税のルールも理解することが大切です。

とくに一定の条件を満たす宅地(建物の敷地)に対し、大幅に相続税の課税価格を減額する「小規模宅地等の特例」はぜひとも活用したい制度です(図表4−4)。

相続税の減額につながる「小規模宅地等の特例」とは

小規模宅地等の特例
▲図表4−4

特例の対象となる宅地は、「居住用」「事業用」「貸付用」の3つがあり、居住用と事業用の評価額は80%減、貸付用は50%減となります。

小規模宅地等の特例の適用要件

小規模宅地等の特例は、誰が相続するかによって適用を受けられるかが変わります。

たとえば、被相続人の居住用の宅地は、配偶者が相続すれば無条件で特例の対象です。

しかし、配偶者以外の親族が相続する場合、要件が加わるため、その要件を満たせるかを確認する必要があります(図表4−5)。

小規模宅地等の特例を満たすための要件
▲図表4−5

複数の要素を加味して、不動産を誰が、どれくらい相続するのかを相続人全員で決めましょう。

このとき、相続財産に預金が多ければ、「兄が2000万円の不動産を相続し、弟が2000万円の預金を相続する」といったように相続財産内で柔軟に解決することもできます

しかし、預金が不足するのであれば、換価分割や代償分割といった手法を検討する必要が出てきます。

繰り返しになりますが、共有分割にするのは最終手段です。

どうしても分割協議がまとまらない場合は別として、できるだけ不動産を共有にしない形で遺産分割するのがセオリーです。

▼もめない遺産分割の進め方 シリーズ

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