目次
円滑な議事進行の進め方
遺産分割協議を円滑に進めるために、いくつか意識したいポイントがあります。
円滑な議事進行のポイント(1)無関係者を排除する
まずは「無関係者を排除する」ことです。
ありがちなのが、相続人の配偶者や叔父、叔母など、相続人ではない親族が遺産分割協議に口出しをすることがあります。
こうなると、利害の対立する人がさらに増えるので、遺産分割協議がまとまりにくくなります。
そもそも、相続人以外に相続権はないわけですから、そういった配偶者や親族は遺産分割協議に関わるべきではありません。
遺産分割協議の場には、相続人以外は入れないことを強くおすすめします。
それでも何か理由をつけて遺産分割協議に口出しをする親族がいたら、調停の手続き(「遺産分割協議がまとまらなければ調停、そして審判へ-もめない遺産分割Vol45」)をするのが有効です。
調停を申し立てると、家庭裁判所の調停室で遺産分割の話し合いが行われます。
このとき、相続人以外は調停に参加できないので、相続人だけで話し合いをすることができます。
円滑な議事進行のポイント(2)ある程度妥協をする
次に、遺産争いを起こさないためには、ある程度妥協することです。
遺産分割は、完全に「平等」にしようとすると、難しくなります。
たとえば、相続財産に不動産があるにもかかわらず、「1円たりとも不平等にしたくない」とこだわると、遺産分割は永遠に終わりません。
不動産の価額は変動しますし、リアルタイムでその価額を一義的に定めることは不可能だからです。
遺産分割に若干の偏りがあったとしても、ある程度は許容して互いに譲り合う気持ちをもって落としどころを見つける姿勢が求められます。
平等にこだわるあまり、長い間協議がまとまらないとしましょう。
わずかな金額の差の是正に、かえって多額の弁護士費用を払ったり、相続税の特例制度を使えずに納税額が増えたりといったことになりかねません。
平等も大切ですが、手元に残る金額が少なくなってしまっては、本末転倒ではないでしょうか。
議論のための「たたき台」をつくる
遺産分割協議は、あらかじめ「たたき台」を用意するとスムーズに進む場合があります。
まずは相続財産を明確にして財産目録をつくる
まずは財産目録を整理し、どのような相続財産があるのかを明確にします。
遺産に関する情報を相続人同士で整理できていなければ、実のある協議にならないからです。
ここで注意したいのは、たたき台をなるべく公平につくることです。
法定相続分を基準に「たたき台」は公平につくる
たとえば、複数人が実家の相続を希望しているのを知りながら、たたき台の作成者が「実家は私が片づけてきたから、私が相続する」と言って、その意見をたたき台に反映させると、ほかの相続人の反感を買います。
遺産をどう分けるかについて話し合うときのポイントは、法定相続分を基準としてたたき台を作成することです。
実際の遺産分割は法定相続分に縛られる必要はありませんが、まずは法定相続分を念頭に置くことで、全員が納得できる遺産分割に近づきます。
財産目録と法定相続分をベースに、遺産分割協議書のたたき台をつくったら、相続人全員で調整をしていきましょう。
▼もめない遺産分割の進め方 シリーズ
- もめない遺産分割Vol1-何のために遺産分割するの?必要性とスムーズに進めるポイント
- もめない遺産分割Vol2-遺産分割でもめるケース|問題の長期化を避けるべき理由とは?
- もめない遺産分割Vol3-なぜ遺産分割を急ぐべき?不公平を生まないために
- もめない遺産分割Vol4-遺産分割でもめる理由とトラブルパターンを紹介
- もめない遺産分割Vol5-遺言書の内容は絶対?相続人全員が納得する遺産分割の必要性
- もめない遺産分割Vol6-遺産分割の基礎知識|法定相続人の範囲と順位
- もめない遺産分割Vol7-【誰がどれくらい相続する?】法定相続分の割合と計算方法
- もめない遺産分割Vol8-代襲相続はどこまで続く?相続欠格・相続廃除に該当する相続人を確認
- もめない遺産分割Vol9-養子は実子と同じく相続人になる?「特別養子」「普通養子」の違い
- もめない遺産分割Vol10-遺留分を侵害する遺言はNG!相続トラブル防止のために
- もめない遺産分割Vol11-生前贈与が「特別受益」と判断されるポイントとは
- もめない遺産分割Vol12-生前の貢献が「寄与分」に認められるケース【要件と期限】
- もめない遺産分割Vol13-未成年の相続人がいる場合の遺産相続の進め方
- もめない遺産分割Vol14-認知症の相続人がいる場合は「成年後見制度」を活用!
- もめない遺産分割Vol15-失踪・行方不明な相続人がいる場合の遺産相続のポイント
- もめない遺産分割Vol16-遺産分割の4つの方法|相続財産に不動産がある場合は要注意
- もめない遺産分割Vol17-相続税の申告・納付期限について【控除・特例を活用】
- もめない遺産分割Vol18-遺された配偶者を守る「配偶者居住権」
- もめない遺産分割Vol19-遺産分割準備の第一歩は「家族と相続について話し合うこと」
- もめない遺産分割Vol20-遺産争い防止に効果的!認知症になる前に民事信託の活用を
- もめない遺産分割Vol21-誰が相続人?養子は相続人になれる?家族構成が複雑な家庭
- もめない遺産分割Vol22-事前に「不公平」の解消を!生前贈与・寄与分の把握のススメ
- もめない遺産分割Vol23-遺産分割の最難関は「相続財産の調査」配慮で円滑な遺産分割を
- もめない遺産分割Vol24-相続財産に不動産がある場合の遺産分割ポイント【共有名義を避けるべき】
- もめない遺産分割Vol25-代償分割のポイントは「代償金の決め方」
- もめない遺産分割Vol26-パターン別に解説!配偶者居住権を活用すべきケースとは
- もめない遺産分割Vol27-配偶者居住権は相続税の節税になる?注意点について
- もめない遺産分割Vol28-財産管理は慎重に。使い込みとならないために証拠を残そう
- もめない遺産分割Vol29-個人事業主・会社経営者は事業承継に備えを
- もめない遺産分割Vol30-生命保険は遺産分割の対象?相続対策としての生命保険の活用ポイント
- もめない遺産分割Vol31-相続手続き別の相談先と専門家に依頼するメリット
- もめない遺産分割Vol32-遺産分割のスケジュール|手続きの流れと期限を確認
- もめない遺産分割Vol33-戸籍で相続人の確認を!戸籍謄本の取り方ガイド
- もめない遺産分割Vol34-財産調査は預金口座から!漏れのない財産目録をつくろう
- もめない遺産分割Vol35-相続時の所有不動産はどのように把握する?評価方法も解説
- もめない遺産分割Vol36-相続財産に株や投資信託が含まれている場合の遺産分割方法
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- もめない遺産分割Vol40-不動産を相続した場合の遺産分割【小規模宅地等の特例活用】
- もめない遺産分割Vol41-「二次相続」も考慮して損をしない対策を!一次相続との違いとは
- もめない遺産分割Vol42-相続で忘れがちな「財産」以外の決めごと|支払いやお墓について
- もめない遺産分割Vol43-亡くなった人の財産に借金などの負債・債務がある際の対処法
- もめない遺産分割Vol44-相続放棄はトラブルの種?相続放棄が認められないケースとは
- もめない遺産分割Vol45-遺産分割協議がまとまらなければ調停、そして審判へ
- もめない遺産分割Vol46-遺産分割調停中にやってはいけないこと|誠実さと証拠が重要
- もめない遺産分割Vol47-相続税の申告期限に間に合わない場合の対処法|ペナルティ回避を
- もめない遺産分割Vol48-【ひな形付き】遺産分割協議書の作成方法
- もめない遺産分割Vol49-事前にトラブル防止!遺産分割協議書を公正証書で作成するメリット
- もめない遺産分割Vol50-相続財産の名義変更手続き・必要書類まとめ
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