目次
遺産分割協議開催の連絡の仕方
相続人と遺産を調査が終わったら、いよいよ遺産分割協議です。
直接会わないと「話が食い違いやすい」「時間がかかる」
遺産分割の話し合いは、直接集まっても、電話や手紙のやり取りでも構いません。
オンラインでの話し合いでも大丈夫です。
最終的に遺産分割協議書に相続人全員の署名押印があれば、有効に成立します。
逆に言えば、音信不通の相続人がいたら、勝手にほかの相続人だけで協議をすることはできないということになります。
手紙や電話で連絡したり、直接自宅を訪問したりして、できる限りの方法で連絡を取りましょう。
ただし、直接会わないと「話が食い違いやすい」という欠点があります。
遺産相続で齟齬(そご)が発生すると、大きなトラブルに発展するかもしれません。
また、会えば一度で済む話が、メールなどでは時間がかかる可能性もあるでしょう。
手紙でのやり取りも限界があり、漏れがあれば何度も連絡しなければならない煩わしさがあります。
こうした状態が続けば、相続税の申告期限に間に合わなくなるおそれもあります。
そのため、相続人全員が直接、一度は顔を合わせて話し合いをすることが望ましいです。
遺産分割協議書には相続人全員の署名・押印が必要
とはいえ、相続人のなかに絶縁した兄弟などがいる場合は、「話し合いさえしたくない」と思うかもしれません。
相続が起きたからといって、不仲な親族と一緒に遺産分割協議を進めるのは苦痛でしょう。
しかし、遺産分割協議書には相続人全員の署名・押印が必要です。
絶縁した兄弟に連絡せずに遺産分割を進めるわけにはいかないのです。
事例
たとえば、A・B・Cの3兄弟がいるとして、BとA・Cは不仲により絶縁状態だとします。
A・Cが絶縁しているBを除いた2人だけで遺産分割協議を行っても、その協議には意味がありません。
有効な遺産分割協議のためには、Bの同意が必要なのです。
直接顔を合わせたくない相続人がいるのであれば、時間はかかりますが、別の相続人を経由して連絡をとったり、メールや手紙などを使ったりするといいでしょう。
どうしても自分で対応したくない場合には、遺産相続の手続きを弁護士に依頼する方法もあります。
弁護士に依頼すれば、遺産分割協議それ自体や、遺産分割協議書の作成を弁護士が代理で行い、相続人同士でやり取りする必要はありません。
相続人の連絡先がわからないときの対処法
相続人のなかにどうしても行方のわからない人がいる場合、「不在者財産管理人」の選任を家庭裁判所に申し立てます。
不在者財産管理人とは
不在者財産管理人とは、連絡がとれず行方不明になっている相続人の代わりに、財産を管理する人のことです。
配偶者や相続人など利害関係者からの申立てにより、家庭裁判所が不在者財産管理人を選任します。
そして、選ばれた不在者財産管理人が遺産分割協議に参加することによって、遺産分割を進められるようになります。
また、相続人の誰かが生死不明の場合は、「失踪・行方不明な相続人がいる場合の遺産相続のポイント-もめない遺産分割Vol15」で説明したようにで説明したように、失踪宣告の制度により亡くなったものとみなして、遺産相続人から除外する方法があります。
生死不明から7年経つと「死亡」の扱い
失踪宣告は、生死不明の人物を仮に亡くなったものとして扱う手続きです。
生死不明になってから7年経ったとき(危難失踪の場合は危難が去ったとき)に死亡したものとして扱われます。
失踪宣告により、被相続人より前に亡くなったことになれば、そもそも相続人ではないので、遺産分割協議について、失踪者を除外して進めることができます。
ただし、失踪した相続人に子や孫がいれば、代襲相続となり、新たな相続人が発生する可能性がある点に注意してください。
▼もめない遺産分割の進め方 シリーズ
- もめない遺産分割Vol1-何のために遺産分割するの?必要性とスムーズに進めるポイント
- もめない遺産分割Vol2-遺産分割でもめるケース|問題の長期化を避けるべき理由とは?
- もめない遺産分割Vol3-なぜ遺産分割を急ぐべき?不公平を生まないために
- もめない遺産分割Vol4-遺産分割でもめる理由とトラブルパターンを紹介
- もめない遺産分割Vol5-遺言書の内容は絶対?相続人全員が納得する遺産分割の必要性
- もめない遺産分割Vol6-遺産分割の基礎知識|法定相続人の範囲と順位
- もめない遺産分割Vol7-【誰がどれくらい相続する?】法定相続分の割合と計算方法
- もめない遺産分割Vol8-代襲相続はどこまで続く?相続欠格・相続廃除に該当する相続人を確認
- もめない遺産分割Vol9-養子は実子と同じく相続人になる?「特別養子」「普通養子」の違い
- もめない遺産分割Vol10-遺留分を侵害する遺言はNG!相続トラブル防止のために
- もめない遺産分割Vol11-生前贈与が「特別受益」と判断されるポイントとは
- もめない遺産分割Vol12-生前の貢献が「寄与分」に認められるケース【要件と期限】
- もめない遺産分割Vol13-未成年の相続人がいる場合の遺産相続の進め方
- もめない遺産分割Vol14-認知症の相続人がいる場合は「成年後見制度」を活用!
- もめない遺産分割Vol15-失踪・行方不明な相続人がいる場合の遺産相続のポイント
- もめない遺産分割Vol16-遺産分割の4つの方法|相続財産に不動産がある場合は要注意
- もめない遺産分割Vol17-相続税の申告・納付期限について【控除・特例を活用】
- もめない遺産分割Vol18-遺された配偶者を守る「配偶者居住権」
- もめない遺産分割Vol19-遺産分割準備の第一歩は「家族と相続について話し合うこと」
- もめない遺産分割Vol20-遺産争い防止に効果的!認知症になる前に民事信託の活用を
- もめない遺産分割Vol21-誰が相続人?養子は相続人になれる?家族構成が複雑な家庭
- もめない遺産分割Vol22-事前に「不公平」の解消を!生前贈与・寄与分の把握のススメ
- もめない遺産分割Vol23-遺産分割の最難関は「相続財産の調査」配慮で円滑な遺産分割を
- もめない遺産分割Vol24-相続財産に不動産がある場合の遺産分割ポイント【共有名義を避けるべき】
- もめない遺産分割Vol25-代償分割のポイントは「代償金の決め方」
- もめない遺産分割Vol26-パターン別に解説!配偶者居住権を活用すべきケースとは
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- もめない遺産分割Vol28-財産管理は慎重に。使い込みとならないために証拠を残そう
- もめない遺産分割Vol29-個人事業主・会社経営者は事業承継に備えを
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