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最終更新日:2022/12/15

口座名義人が亡くなったらすぐに銀行に連絡すべき理由-もめない遺産分割Vol37

弁護士 福西信文

この記事の執筆者 弁護士 福西信文

東京弁護士会所属。
相続手続等の業務に従事。相続はたくさんの書類の作成が必要になります。
お客様のお話を聞き、それを法律に謀った則った形式の文書におとしこんで、面倒な相続の書類を代行させていただきます。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/fukunishi/

口座名義人が亡くなったらすぐに銀行に連絡すべき理由-もめない遺産分割Vol37

銀行に連絡して被相続人の預金を守る

被相続人名義の銀行口座を把握したら、速やかに銀行に連絡をしましょう。

口座は遺産分割がまとまるまで入出金停止=凍結となり、預金を動かせなくなります。

こうすることで、一部の相続人が勝手に預金を引き出し、使い込んでしまうような事態を防ぐことができます。

役所に死亡届を出したからといって、自動的に凍結されるわけではないので注意してください。

凍結された口座は、遺産分割協議がまとまり、相続手続きが完了するまでは原則として引き出せないほか、公共料金などの口座振替もできなくなります。

そのため、公共料金などの引き落としに利用しているのであれば、早急に口座変更をしてください。

また、アパート所有などで定期的に入金される収入がある場合も、入金口座を変更する必要があります。

凍結された口座からのお金の引き出しは大変

預金口座がひとたび凍結されると、その口座からお金を引き出すには、相続人全員の同意が必要となります。

この取り扱いは「個人名義の財産は相続人全員の共有財産である」という法的な考えを反映したものです。

金融機関の立場からしても、相続人同士のトラブルに巻き込まれることを防ぐため、相続人全員の同意を求めるのは当然です。

とはいえ、相続人全員から同意書をもらうのは簡単ではありません。

とくに、遠方に相続人が住んでいる場合には、同意書を集めるだけでも一苦労でしょう。

そうこうしているうちに、葬儀費用や生活費が不足するおそれもあります。

相続預金の払戻し制度

そこで利用したいのが、2019年7月に始まった「相続預金の払戻し制度(以下、払戻し制度)」です。

これは被相続人の預金口座が凍結された後、遺産分割前であっても、預金を一定額まで払い戻せるという制度です。

同意書を用意する必要はありませんが、引き出せる金額に制限があります。

150万円あるいは相続開始時の預金額の3分の1に、払い戻しを行う相続人の法定相続分を掛けた額のいずれか低いほうの金額までです。

なお、金融機関が複数あれば、金融機関ごとに計算をするため、最大で一金融機関あたり150万円の引き出しが可能です。

口座残高600万円、配偶者と子ども2人の場合

たとえば、個人の銀行口座の残高が600万円、法定相続人が配偶者と子ども2人の場合の上限額を計算してみましょう。

配偶者の法定相続分は2分の1、子どもの法定相続分は4分の1ずつです。

  • 配偶者……600万円×1/3×1/2=100万円
  • 子ども……600万円×1/3×1/4=50万円

仮払いを受けた金銭は、払い戻しを受けた相続人が取得したものとみなされます。

とはいえ、全遺産の分割協議がまとまっていないにもかかわらず、仮払いを受けた金銭を個人的な支出に使えば、トラブルの原因になりかねません。

仮払い制度は当面の生計費や葬儀費用を工面するために設けられたものですので、お金の使い方には気をつけてください。

トラブルを防ぐには、仮払いを受けることについてほかの相続人に伝え、使途も明らかにすることです。

領収書などの書類も忘れずに保管しましょう。

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