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認知症になる前に民事信託を活用
高齢化が進む日本において、気をつけたいのが認知症発症のリスクです。
被相続人が認知症になった場合、相続開始まで時間が残されているとしても、有効な相続税対策を行いづらくなり、相続に向けた財産の整理も困難になります。
相続財産を減らすような行為や財産隠しといった心配もあるでしょう。
こうした問題を避けるために、早くから遺言を残したいところですが、遺言には「いつでも書き換えられる」という心配があります。
また、相続人の誰かが認知症になっているおそれのある被相続人を説得して自身に有利な遺言を書かせる可能性もあり、安心できません。
こうした事態に備える方法に、「成年後見人制度」「民事信託」があります。
成年後見人制度が有効なケースと落とし穴
成年後見人制度を利用すると、被相続人が判断能力を失ったときに、後見人が財産を管理することができます。
「認知症の相続人がいる場合は「成年後見制度」を活用!-もめない遺産分割Vol14」で相続人が認知症となった場合に成年後見人制度が活用できることを説明しましたが、被相続人の認知症に際しても有効です。
ただし、被相続人の生前に成年後見人をつけた場合、相続が開始すると後見人の効力が失われます。
この点は成年後見人制度の落とし穴です。
成年後見人制度以外の選択肢「民事信託」
一方、民事信託とは、営利を目的とせずに、家族や親族が被相続人(委託者)に代わって財産を管理できる仕組みです(図表3−3)。
▲図表3−3
民事信託のメリット(1)遺言のように簡単に書き換えられることはない
民事信託は、信託契約時から効力を発生させることができ、相続開始後はもちろん、二次相続以降の財産の管理方法も決められます。
利用するには、信託契約書を作成して、公証役場で公正証書としておくことが望ましいです。
民事信託を利用すると、遺言のように簡単に書き換えられることはありません。
一度手続きをすれば、特約を付すことで原則として当事者の合意がない限り解除できなくなるからです。
民事信託のメリット(2)二次相続以降のことも決められる
さらに、遺言書にはない民事信託のメリットとして、「二次相続以降のことも決められる」という点が挙げられます。
たとえば、「財産を孫の教育資金に使ってほしい」「孫が成人になったら財産を渡してほしい」といった柔軟な指定が、民事信託の利用で可能となります。
二次相続以降まで財産の使い方を計画し、遺産争いを防ぐという意味でも、民事信託は効果的です(図表3−4)。
▲図表3−4
▼もめない遺産分割の進め方 シリーズ
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- もめない遺産分割Vol3-なぜ遺産分割を急ぐべき?不公平を生まないために
- もめない遺産分割Vol4-遺産分割でもめる理由とトラブルパターンを紹介
- もめない遺産分割Vol5-遺言書の内容は絶対?相続人全員が納得する遺産分割の必要性
- もめない遺産分割Vol6-遺産分割の基礎知識|法定相続人の範囲と順位
- もめない遺産分割Vol7-【誰がどれくらい相続する?】法定相続分の割合と計算方法
- もめない遺産分割Vol8-代襲相続はどこまで続く?相続欠格・相続廃除に該当する相続人を確認
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- もめない遺産分割Vol10-遺留分を侵害する遺言はNG!相続トラブル防止のために
- もめない遺産分割Vol11-生前贈与が「特別受益」と判断されるポイントとは
- もめない遺産分割Vol12-生前の貢献が「寄与分」に認められるケース【要件と期限】
- もめない遺産分割Vol13-未成年の相続人がいる場合の遺産相続の進め方
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- もめない遺産分割Vol16-遺産分割の4つの方法|相続財産に不動産がある場合は要注意
- もめない遺産分割Vol17-相続税の申告・納付期限について【控除・特例を活用】
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- もめない遺産分割Vol19-遺産分割準備の第一歩は「家族と相続について話し合うこと」
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