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最終更新日:2022/12/16

遺された配偶者を守る「配偶者居住権」-もめない遺産分割Vol18

弁護士 福西信文

この記事の執筆者 弁護士 福西信文

東京弁護士会所属。
相続手続等の業務に従事。相続はたくさんの書類の作成が必要になります。
お客様のお話を聞き、それを法律に謀った則った形式の文書におとしこんで、面倒な相続の書類を代行させていただきます。

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遺された配偶者を守る「配偶者居住権」-もめない遺産分割Vol18

「配偶者居住権」で遺産分割が柔軟に

相続が発生し、配偶者が残されるときは、高齢となった配偶者の住まいの確保を考えなくてはいけません。

もしも相続の影響で住み慣れた住居を離れて生活することになれば、精神的にも肉体的にも困難を伴いますから、遺産分割の際に配慮する必要があります。

配偶者短期居住権と配偶者居住権

2018年7月に「改正民法」が成立し、40年ぶりに相続法が改正されました。

改正事項のうち、遺産分割に関わる重要なものが「配偶者短期居住権」「配偶者居住権」という新たな権利が創設されたことです。

これらの改正は2020年4月1日に施行されています。

配偶者短期居住権とは、相続開始時に配偶者が被相続人の所有する建物に無償で住んでいた場合、遺産分割が成立するまでの間、最低6カ月間は無償で使える権利です。

そして、配偶者居住権は、被相続人が亡くなった後も配偶者が自宅に住み続けられる権利です。

配偶者居住権を設定すると、原則としてその配偶者が亡くなるまで配偶者居住権は維持されます(図表2−12)。

配偶者居住権
▲図表2−12

遺産分割の内容によっては、被相続人とともに住んでいた家を配偶者が相続できず、立ち退き要求や家賃請求をされるような事態になるかもしれません。

したがって、たとえ配偶者が自宅不動産を相続できたとしても、遺産に占める自宅不動産の割合が高いと、ほかの相続人に代償金を支払うために、あるいは生活費のために、自宅を売却せざるを得ないケースも考えられます。

こうしたとき、配偶者居住権を設定すれば、残された配偶者は自宅の所有権を取得せずとも、無償で同じ家に住み続けることが可能です。

配偶者居住権によって遺産分割が柔軟になるわけ

また、配偶者居住権によって遺産分割に柔軟性を持たせることができます。

配偶者が配偶者居住権を取得し、子が所有権を相続し、残った預貯金などを親子で分ければ、配偶者の老後の生活にゆとりが生まれます。

これからの相続においては、配偶者居住権は確実に検討したほうがいいでしょう。

なお、配偶者居住権の設定には、遺言書か遺産分割協議が必要です。

また、権利を取得したときには不動産の登記簿謄本に登記をしなければ効力を発揮しません

登記をせずにいると、所有者に自宅を売却されてしまう可能性がありますので、注意してください。

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