メニュー

閉じる
無料相談0120-211-084
メール

最終更新日:2022/12/15

失踪・行方不明な相続人がいる場合の遺産相続のポイント-もめない遺産分割Vol15

弁護士 福西信文

この記事の執筆者 弁護士 福西信文

東京弁護士会所属。
相続手続等の業務に従事。相続はたくさんの書類の作成が必要になります。
お客様のお話を聞き、それを法律に謀った則った形式の文書におとしこんで、面倒な相続の書類を代行させていただきます。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/fukunishi/

失踪・行方不明な相続人がいる場合の遺産相続のポイント-もめない遺産分割Vol15

相続人に失踪者がいた場合

遺産分割協議は相続人全員で行うべきものですが、相続人のなかに音信不通になっている人がいるかもしれません。

行方がわからない相続人がいれば「不在者財産管理人の選任」

まずは戸籍などをたどって連絡先を調べますが、どうしても居場所がわからなければ、家庭裁判所に「不在者財産管理人の選任」を申し立てることができます。

この手続きをすると、裁判所が不在者財産管理人を選任し、選任された人は不在者に代わって遺産分割協議を進められるようになります

ただし、この不在者財産管理人は、あくまでも不在者の財産を管理できるというものです。

遺産分割協議を終えた後、不在者が相続することとなった財産を処分するときは、改めて家庭裁判所の許可が必要です。

不在者財産管理人を申し立てるためには、裁判所に納める予納金が必要になります。

これは、不在者財産管理人の報酬に充てられ、通常20万円〜100万円です。

不在者の財産管理が終了した際に予納金が残っていれば、申立人に返還されます。

ただし、予納金は残らないこともあるので、その場合は1円も返還されません。

予納金を納付する場合は、戻ってこないことを覚悟する必要があります。

死亡した者とみなす「失踪宣告」

また、音信不通で行方不明が長期間にわたる場合、「死亡した者とみなす」失踪宣告があります。

これには「普通失踪」と「特別失踪」があり、普通失踪は行方不明になってから7年間、生死が不明の場合にできる宣告です。

一方、特別失踪は沈没した船中にいた場合や、その他生命の危険のある危難にあった場合など、それぞれ1年間生死が不明な場合にできる宣告です。

一般的には特別失踪にあたるケースは少ないと考えられます。

家庭裁判所が普通失踪の宣告をした場合、7年間の失踪期間が満了したときに死亡したものとみなされます

故人が亡くなった時点で、不在者が死亡していたことになれば、相続人には該当しません。

このときは、不在者を省いた形で遺産分割協議を開始することができます。

ただし、この場合においても不在者の家族構成を調べ、代襲相続が発生していないかどうか必ず確認しましょう。

失踪宣告が取り消されるケース

また、失踪宣告をして死亡したとみなされた者の生存が後で判明した場合、宣告は取り消されることも覚えておいてください

宣告が取り消された場合の影響は、相続人がその宣告を受けた者の生存を知っていたのか、知らなかったかによって異なります。

相続人の生存を知らずに失踪宣告をした場合は、その相続人は遺産分割で取得した遺産のうち、残っている財産を返すことで問題なしとされます。

しかし、相続人がその生存を知っていた場合、その相続人に対する遺産分割は無効になり、取得した遺産をすべて返さなければなりません

こうなると遺産分割をやり直す必要があります。

以上のルールがあるため、相続人のなかに生存がわかっているけれど音信不通の人がいる場合、失踪宣告をするのはふさわしくありません。

このような場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることを検討しましょう。

相続人のうちの1人または複数で、家庭裁判所に申立てをすれば、裁判所は相続人全員を集め、遺産分割に向けた調停を行います。

もし、遺産分割調停を申し立てても相続人に出席してもらえなければ、「遺産分割審判」に移行することになり、裁判所が遺産分割方法を指示します。

調停や審判について詳しくは「遺産分割協議がまとまらなければ調停、そして審判へ-もめない遺産分割Vol45」で説明しますが、失踪者や音信不通の相続人が絡む場合、遺産分割協議を進めることはとても難しくなります。

専門家である弁護士に相談して進めるのがいいと思います。

▼もめない遺産分割の進め方 シリーズ

テーマから記事を探す

弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所ならではの専門性

多数の相続案件の実績のノウハウで、あなたにとって一番の頼れる味方となります。
ご自身でお悩みを抱える前に、ぜひ一度お気軽にご連絡ください。親切丁寧な対応を心がけております。

当サイトを監修する専門家

弁護士 川﨑 公司

弁護士 川﨑 公司

相続問題は複雑なケースが多く、状況を慎重にお聞きし、相続人様のご要望の実現、相続人様に合ったよりよい解決法をアドバイスさせていただくようにしています。

弁護士 福西 信文

弁護士 福西 信文

相続手続等の業務に従事。相続はたくさんの書類の作成が必要になります。お客様のお話を聞き、それを法律に謀った則った形式の文書におとしこんで、面倒な相続の書類を代行させていただきます。

弁護士 水流 恭平

弁護士 水流 恭平

民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

弁護士 山谷 千洋

弁護士 山谷 千洋

「専門性を持って社会で活躍したい」という学生時代の素朴な思いから弁護士を志望し、現在に至ります。 初心を忘れず、研鑽を積みながら、クライアントの皆様の問題に真摯に取り組む所存です。

弁護士 石木 貴治

弁護士 石木 貴治

メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。 前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。

弁護士 中野 和馬

弁護士 中野 和馬

弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。 お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。 お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。