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最終更新日:2022/12/16

遺留分を侵害する遺言はNG!相続トラブル防止のために-もめない遺産分割Vol10

弁護士 福西信文

この記事の執筆者 弁護士 福西信文

東京弁護士会所属。
相続手続等の業務に従事。相続はたくさんの書類の作成が必要になります。
お客様のお話を聞き、それを法律に謀った則った形式の文書におとしこんで、面倒な相続の書類を代行させていただきます。

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遺留分を侵害する遺言はNG!相続トラブル防止のために-もめない遺産分割Vol10

遺留分を侵害する遺言はNG

遺言を行うとき、「長男がすべての財産を相続する」といったように法定相続分を無視した極端な形にすると、「遺留分」の問題が生じます。

遺留分とは

遺留分とは、法律によって決められている相続財産の「最低限の取り分」です。

対象となる財産には、相続開始時における被相続人の財産のほか、被相続人から遺贈された財産も含みます。

したがって、被相続人が「愛人に全財産を遺贈する」といった遺言を残したとしても、相続人は遺留分を主張できるのです。

また、被相続人が生前に贈与した財産も遺留分の対象になる可能性があります。

相続人に対する生前贈与は、相続開始前の10年間にされたものが遺留分の基礎財産に含める対象となります。

一例として、生前に被相続人から結婚資金として金銭を贈与された場合、相続開始前の10年以内なのかで判断が変わります。

なお、被相続人が相続人以外に生前贈与をしていた場合は、相続開始前の1年間にされた生前贈与に限り、遺留分の基礎財産に含める対象となります。

遺留分の割合

遺留分の割合は民法で定められており(図表2−6)、直系尊属(親や祖父母)のみが相続人の場合は法定相続分の3分の1、そのほかの相続人の場合(配偶者や子など)は法定相続分の2分の1です。

遺留分の割合
▲図表2−6

しかし、被相続人の兄弟姉妹はたとえ相続人であったとしても遺留分は認められません。

では、遺留分を主張するときの具体的なケースを見ていきましょう。

相続人が長男と次男のみで「次男にのみ全財産を渡す」

たとえば、相続人が長男と次男のみで、「次男にのみ全財産を渡す」という遺言があるとしましょう。

この場合、長男は遺産の4分の1(1/2×1/2)に相当する金銭を支払うよう、次男に求めることが可能です(図表2−7)。

遺留分算定の具体例
▲図表2−7

仮に遺留分算定の基礎となる財産の価額が5000万円とすると、次のように遺留分を計算します。

遺留分算定の基礎となる財産の価額5000万円×子の全体的遺留分2分の1×2分の1
法定相続分=1250万円

同じく5000万円の遺産があり、配偶者のみが相続人だった場合で考えます。

この場合、配偶者の法定相続分は100%です。

ほかに被相続人の内縁のパートナーや認知されていない子がいたとしても、配偶者のみが相続人であることは変わりありません。

ですから、もし「財産はすべて愛人に残す」といった遺言があるとして、財産が5000万円なら、遺留分の割合である2分の1を掛けて、2500万円を遺留分として愛人に請求することが可能です。

なお、代襲相続人も遺留分を有します

代襲相続人も遺留分を有する場合

たとえば、被相続人Xの相続開始前にXの長男Aが亡くなっているケースでは、Aに子aがいればaが代襲相続人となります。

もし、Xが「全財産をXの次男Bに相続させる」という遺言を残していると、aは遺留分を侵害されています。

このケースでは、aがBに遺留分侵害額を請求することができます。

ただし、被相続人の兄弟姉妹が相続人となるケースで、甥や姪が代襲相続することになった場合、前述したように、そもそも兄弟姉妹には遺留分がありません

したがって、兄弟姉妹の代襲相続人である甥や姪にも遺留分は認められません。

以上、代表的な例を紹介しましたが、遺留分は法律で認められた権利です。

相続人が遺留分に満たない財産しかもらえない場合、ほかの相続人や第三者に対して、遺留分に相当する金銭の請求をすることを考えましょう。

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