問い合わせフォーム
0120440244
MENU
close
閉じる
0120-440-244

コラムカテゴリー


無料相談ダイヤル
9:00-20:00(土日祝対応)

無料相談
依頼はたった1分でかんたん!
労働問題に強いVSG弁護士法人(使用者側専門) > コラム > 労働法全般 > 物流2026年問題の荷主義務とは?改正物流効率化法への実務対応を解説

物流2026年問題の荷主義務とは?改正物流効率化法への実務対応を解説

弁護士 福西信文

この記事の執筆者 弁護士 福西信文

大阪弁護士会所属。京都市出身。
労働環境が激変する現代において、企業が直面する労務リスクは経営の根幹を揺るがしかねない重要課題です。私は、大学卒業後のIT企業勤務、経営コンサルタント、企業役員といった10数年のビジネス現場での経験を経て弁護士となりました。
法律はあくまで手段であり、目的は「企業の持続的な成長と安定」であるべきだと考えています。そのため、単に「法的に可能か不可能か」を答えるだけでなく、現場のオペレーションや事業への影響、経営者の想いを汲み取った上での「最適な次の一手」を提示することを最優先しています。
使用者側(企業側)の専門弁護士として、労働紛争の早期解決はもちろん、トラブルを未然に防ぐための強固な労務基盤の構築を支援いたします。経営者の皆様が事業に専念できるよう、法的側面から強力にサポートさせていただきます。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/fukunishi/
書籍:「事業をやり直したい」と思ったときの会社のたたみ方
監修:プロが教える!失敗しない起業・会社設立のすべて
共著:民事信託 ――組成時の留意点と信託契約後の実務

物流2026年問題の荷主義務とは?改正物流効率化法への実務対応を解説

この記事でわかること

  • 物流2026年問題の概要と2024年問題との違い
  • 改正物流効率化法により荷主企業に求められる責任
  • 荷主企業が進めたい実務対応と社内体制整備

物流業界では、ドライバー不足による輸送能力低下への対応として、法改正と規制強化が進められています。
2025年4月からは、すべての荷主や連載化事業者に対し、荷待ち時間の短縮や積載効率の向上等、物流改善に関する努力義務が課せられています。

さらに、2026年4月の改正物流効率化法では、一定の条件に該当する荷主企業に対して、物流統括管理者の選任等、より具体的な対応が義務化されました。
適切な対応を行わない場合は、行政による指導・勧告や企業名公表、罰則の対象となる可能性があるため、注意が必要です。

この記事では、物流2026年問題の概要を整理した上で、荷主に課される責任と、企業が進めたい実務対応について解説します。

物流2026問題とは

物流2026年問題とは、2026年4月に施行された改正物流効率化法により、一定の条件に該当する荷主(特定荷主)に対する法的義務が強化された問題です。

2025年4月時点では、すでにすべての荷主に、積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の削減について努力義務が課せられています。
また、貨物の受渡しについて運送事業者に指示できる「連鎖化事業者」も努力義務を負う企業の対象です。

2026年改正では、一定規模以上の事業者に対し、中長期計画の作成など、物流改善に向けた継続的かつ具体的な対応が法的義務として課せられました。
従来は運送会社側の課題として扱われていた物流改善の問題が、荷主企業の責任として制度化された点が、大きな転換点といえます。

物流2024年問題との違い

物流2024年問題は、働き方改革関連法による時間外労働の上限規制が、トラックドライバーにも適用されたため生じた問題です。

時間外労働の上限規制は2019年4月から始まっていましたが、トラック運送業は業務特性や取引慣行を理由に適用が猶予されていました。
この猶予が終了し、2024年4月からドライバーにも上限規制が適用され、労働時間の短縮と輸送能力の低下が大きな課題となりました。

一方、物流2026年問題は、その影響を踏まえ、物流改善の責任や対応を荷主企業側にも求める制度改正です。
荷待ちや長時間の附帯作業など、荷主側の運用に起因する非効率を改善するため、業界全体で物流体制を見直す姿勢が求められています。

物流2026問題で荷主に課された責任

2026年改正により、物流効率化に関する法的責任が本格化する対象事業者は「特定荷主」とされています。
特定荷主とは、年度の取り扱い貨物重量が9万トン以上となる事業者です。

特定荷主には、次の義務が課されます。

  • 中長期計画の作成
  • 努力義務実施状況の定期報告
  • 物流統括管理者(CLO)の選任

単なる努力目標ではなく、物流改善を継続的に実施・管理する体制構築が求められている点が特徴です。
ここでは、それぞれの義務について詳しく解説します。

中長期計画の作成

特定荷主は、自社の物流効率化に向けた中長期計画を作成しなければなりません。
計画においては、積載効率の向上や、荷待ち・荷役等時間の短縮等について、具体的な改善方針や実施時期等を整理します。
原則として毎年度の提出が求められますが、計画内容に変更がない場合は5年に1度の提出とされています。

単に「改善に努める」といった抽象的な内容では不十分です。
現状分析や課題整理を踏まえ、実行可能な改善施策を策定する点が重要です。

努力義務実施状況の定期報告

特定荷主には、毎年、物流効率化に関する努力義務の実施状況について定期報告義務が課せられます。
具体的な報告内容は、次のとおりです。

  • 各措置における実施・遵守状況(チェックリスト形式)
  • 関連事業者との連携状況や取り組み内容(自由記述)
  • 荷待ち時間や荷役等時間の状況

荷待ち時間等は、単なる感覚的な管理ではなく、実測データに基づく継続的な把握・管理が前提です。
実際の荷待ち時間と荷役等時間を区別して計測し、それぞれの平均時間を施設ごとに報告する必要があります。
記録が不正確あるいは適切な集計ができていない場合、取り組みが十分でないと判断される可能性があるため、注意が必要です。

物流統括管理者(CLO)の選任

物流統括管理者(CLO)は、物流効率化に向けた取り組みを統括管理する責任者です。
物流改善には、納品条件や発注方法、在庫管理など、複数部門にまたがる調整を伴うため、経営レベルでの意思決定が求められます。
そのため、形式的な責任者や単なる現場担当者ではなく、経営判断を行う役員等の中からCLOを選任しなければなりません。

CLOが実際に権限を持ち、改善施策を主導できる体制になっていない場合、取り組み不足と判断されるリスクがあります。

違反した場合のリスク

物流効率化に向けた取り組みが不十分な場合、行政から指導や助言、勧告が行われる可能性があるため、注意が必要です。
特に、勧告に従わなかった場合は企業名が公表されるケースがあります。
企業名の公表は、取引先や消費者からの信用低下に直結する問題です。

また、正当な理由なく必要な措置を講じなかった場合には命令が行われ、命令違反に対しては100万円以下の罰金が科される可能性もあります。

物流効率化法への対応は、物流部門のみの課題としてではなく、企業全体のコンプライアンス問題として取り組む視点が重要です。
形式的な対応で終わらせず、継続的に改善を実施できる管理体制の整備が求められます。

物流2026年問題に向けて企業が取るべき対応

施行後である現時点において中長期計画の未策定や、CLOの選任ができていない企業は、早急な対応をしなければなりません。
まずは、自社が特定荷主に該当するかを確認した上で、物流データの管理体制や、社内の責任体制を早急に整備しましょう。

ここでは、企業が取る対応について詳しく解説します。

特定荷主に該当するかの確認

まずは、自社が特定荷主に該当するかを確認します。
貨物重量の把握方法の具体例は、次のとおりです。

  • トラックスケールによる実測
  • 商品マスタの個数×重量で算出
  • 輸送トラックの最大積載量(平均積載量)×台数で算出
  • 売上・仕入金額を基にした重量換算

年間9万トンの基準を超えた場合は、国への「指定の届出」が必要です。
その上で、中長期計画の作成や、物流統括管理者(CLO)の選任を進めます。

荷待ち・荷役等時間の集計体制

荷待ち・荷役等時間は、継続的に集計・分析できる運用体制の整備が重要です。
定期報告では、実際の荷待ち時間と荷役等時間を分けて把握し、施設ごとの平均時間を報告する必要があります。
そのため、受付時刻や作業開始・終了時刻を継続的に記録できるしくみづくりが求められます。

紙媒体や人員による目視確認を中心とした管理では、記録漏れや集計負担が生じやすいため、継続運用が困難です。
入退場管理システム等、デジタル技術を活用した管理体制を構築しましょう。

契約内容の書面化・リーガルチェック

物流効率化への取り組みでは、運送事業者との契約内容を明確に書面化する点も重要です。
附帯作業の範囲や荷待ち発生時の取扱い、受付時間等を曖昧なまま運用すると、後にトラブルへ発展する可能性があります。
契約書を整備すれば、トラブル防止だけではなく、自社が物流改善に取り組んでいる姿勢を客観的に示しやすくなります。

あわせて、契約内容が法改正に適合しているか、法的リスクや運用上の問題の有無について弁護士にリーガルチェックを受ける点も重要です。

まとめ

物流2026年問題は、すでに施行段階に入っており、荷主企業にも具体的な法的責任が課される時代となっています。
対応を怠った場合は、行政指導や企業名公表、罰則だけでなく、取引先や社会からの信用低下にもつながりかねません。

特に、物流統括管理者(CLO)の権限設計や、中長期計画の内容、運送事業者との契約整備は、法的観点からの確認が重要です。
施行後の今こそ、労働問題や企業法務に強いVSG弁護士法人のリーガルチェックを受けるようおすすめします。
物流計画や社内体制の法的整合性を再点検し、実効性のあるコンプライアンス体制を構築することが、企業を守る対策となるでしょう。

関連記事

    top