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【雛形あり】競業避止義務誓約書の効力とは?書類を作成する企業の注意点

弁護士 福西信文

この記事の執筆者 弁護士 福西信文

大阪弁護士会所属。京都市出身。
労働環境が激変する現代において、企業が直面する労務リスクは経営の根幹を揺るがしかねない重要課題です。私は、大学卒業後のIT企業勤務、経営コンサルタント、企業役員といった10数年のビジネス現場での経験を経て弁護士となりました。
法律はあくまで手段であり、目的は「企業の持続的な成長と安定」であるべきだと考えています。そのため、単に「法的に可能か不可能か」を答えるだけでなく、現場のオペレーションや事業への影響、経営者の想いを汲み取った上での「最適な次の一手」を提示することを最優先しています。
使用者側(企業側)の専門弁護士として、労働紛争の早期解決はもちろん、トラブルを未然に防ぐための強固な労務基盤の構築を支援いたします。経営者の皆様が事業に専念できるよう、法的側面から強力にサポートさせていただきます。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/fukunishi/
書籍:「事業をやり直したい」と思ったときの会社のたたみ方
監修:プロが教える!失敗しない起業・会社設立のすべて
共著:民事信託 ――組成時の留意点と信託契約後の実務

この記事でわかること

  • 競業避止義務誓約書が無効となる4つの要素
  • 会社を守る競業避止義務誓約書の雛形
  • 競業避止義務誓約書を作成するときのポイント

多くの企業が、従業員や役員の同業他社への転職や同業種での開業を防ぐ目的で、競業避止義務誓約書を取り交わします。
しかし、実際は誓約書が存在していても、競業行為を必ずしも差し止められるとは限りません。
競業避止義務は、憲法が保障する「職業選択の自由」を制限するため、裁判所はその効力を極めて慎重に判断します。
誓約書が無効と判断されないためには、法的に有効な設計が不可欠です。

この記事では、競業避止義務誓約書が無効と判断される要素を解説し、法的に有効な誓約書の雛形や作成時のポイントを紹介します。

競業避止義務誓約書の効力

競業避止義務誓約書は、締結の事実だけで当然に効力が認められる書類ではありません。
競業避止義務は、従業員の職業選択の自由を制限するため、裁判所は誓約書の有無よりも内容の合理性を重視します。
形式だけ整えた誓約書や、合理的な内容でない場合は、無効と判断される恐れがあります。
特に重視される点が、次の4つの要素です。

  • 制限期間の長さ
  • 制限する地理的範囲
  • 職種や業種の範囲
  • 代償措置の有無

いずれか1つでも不合理と評価されれば、無効とされる可能性が高まります。
ここでは、それぞれの内容について詳しく解説します。

制限期間の長さ

有効な競業避止制限期間に明確な一律基準はなく、裁判所は業種の特性や従業員に生じる不利益の大きさ等を踏まえ、総合的に判断します。
実務上は、1~2年程度であれば有効とされやすい傾向があります。
無期限や過度に長い期間の設定は、職業選択の自由を強く制限するとして、無効リスクが高まります。
長期間を定める場合は、その必要性を具体的に説明できる合理性が求められるため、注意しましょう。

制限する地理的範囲

特定地域でのみ営業している企業が、全国規模の制限を設けた場合、競業との関係性が薄く、合理性が否定されやすくなります。
同業他社への転職を全国的に禁止する条項や、全国展開サービスを理由に広範な制限を設けるケースも同様です。
競業による影響が現実に生じる範囲に絞られているかが、判断の分かれ目となります。

職種や業種の範囲

対象となる職種や業務は、できる限り具体的に特定しなくてはなりません。
単に「同業他社への就職を禁止する」と定めるだけでは、従業員への制限が過度と評価される可能性があります。
たとえば「在職中に担当していた業務に限定する」「特定顧客への営業行為を禁止する」といった内容は、有効性が認められやすい設計です。
会社に実質的な損害を与える恐れのある業務に限られているかが問われます。

【最重要】代償措置の有無

競業避止義務の効力を左右する最大のポイントが、代償措置の有無です。
代償措置とは、競業避止義務を課す代わりに、退職金の加算や特別手当の支給など、従業員に与える見返りを指します。

裁判では、代償措置といえるものが何もない場合、無効と判断されるケースが多く見られます。
高額な給与を支払っていても、それだけで対価と評価されるとは限りません。
代償措置を設けず、義務だけを課す設計は、致命的なリスクと認識すべきでしょう。

競業避止義務誓約書の記載内容・雛形

企業の正当な利益を守るためには、競業避止義務誓約書に、競業行為の内容や範囲をできるだけ具体的に定める必要があります。
ここでは、企業側が最低限押さえておきたい記載事項を解説し、実務で使いやすい雛形を紹介します。

競業行為の定義

重要なのは、「どの行為を競業とみなすのか」を明確にすることです。
「同業他社への転職」のみを定めると、限定の範囲が広く、実効性が弱くなる可能性があります。
あらかじめ競業行為を具体的に列挙すれば、解釈の幅を狭め、トラブルを防ぎやすくなるでしょう。

また、自社と類似する事業の起業や、顧客への営業行為も忘れずに禁止事項として記載することをおすすめします。

【記載内容の例】

  • 同業他社への就職や役員への就任
  • 自社と同一または類似の業務への従事
  • 類似事業を目的とした起業、または個人事業の開始
  • 自社の取引先や顧客に対する、直接または間接の営業行為

秘密保持義務との連動

競業避止義務は、秘密保持義務とあわせて定める運用が基本です。
競業行為だけでなく、営業秘密の持ち出しや利用を防ぐ趣旨を明確にします。
特に、どの情報が保護対象となるのかを具体的に示す点が重要です。

【記載内容の例】

  • 顧客情報、価格情報、ノウハウなどの範囲を明示
  • 退職後も秘密保持義務が継続する旨の明記

違反時のペナルティ

競業避止義務に違反した場合の対応も、あらかじめ定めておく必要があります。
違反を未然に防ぐための抑止力として重要な要素です。
しかし、過度に高額な違約金を設定すると、無効と判断される恐れがあるため、合理的な範囲にとどめましょう。

【記載内容の例】

  • 違反時に損害賠償請求が可能である旨
  • 退職金の返還、または減額に関する定め

競業避止義務誓約書の雛形

以下では、競業避止義務誓約書に必要な項目を整理した雛形を掲載しています。
実務では、個別の事情に合わせて、記載内容を調整する対応が重要です。
あくまでも叩き台とし、実態に即した内容であるかを必ずご確認ください。

雛形のダウンロードはこちら

競業避止義務誓約書を作成するときのポイント

競業避止義務誓約書は「一度締結すれば安心できる書類」ではありません。
実際の紛争で効力が認められるかは、運用の仕方に大きく左右されます。

ここでは、誓約書を作成・取得する際に押さえておきたいポイントを解説します。

取得タイミング

競業避止義務誓約書は、取得するタイミングが重要です。
入社時や昇進時だけではなく、退職時の締結も欠かせません。
退職時に誓約内容を再確認すれば、退職後に制限される行為の範囲を明確に伝えられます。
「知らなかった」「聞いていない」といった主張を防ぎやすくなるでしょう。

対象者の絞り込み

競業避止義務を、全社員に一律に課す運用は、無効と判断されやすくなるため、対象者を限定する運用が重要です。
具体的には、次の職種が挙げられます。

  • 経営判断や重要情報に関与する幹部職
  • 研究開発や技術情報を扱う職種
  • 顧客情報や価格戦略に深く関わる営業職

対象者を絞って誓約書を締結すると、制限の必要性や相当性を説明しやすくなります

まとめ

競業避止義務誓約書の内容や運用を誤ると、従業員の退職後に「誓約書は無効」と争われる恐れがあります。
無効と判断されれば、会社の利益を守る手段を失う、最悪のシナリオとなるでしょう。
こうしたトラブルを防ぐためには、問題が起きる前に専門家のサポートを受けた対策が欠かせません。

VSG弁護士法人では、弁護士と社労士が連携し、最新判例に基づく誓約書の作成・改定から、退職時のリスク管理まで一貫して対応しています。
万が一、競業違反が生じた場合でも、差し止めや損害賠償請求まで見据えた支援が可能です。
少しでも不安を感じた場合は、早めにVSG弁護士法人へご相談ください。

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