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能力不足で解雇はできる?トラブルを避けるコツや注意点を解説

弁護士 石木貴治

この記事の執筆者 弁護士 石木貴治

東京弁護士会所属。千葉県習志野市出身。
企業にとって、従業員とのトラブルは金銭的な損失以上に、組織の士気低下やブランドイメージの毀損を招く大きなリスクです。私は弁護士になる前、2社の上場メーカーの法務部門にて、契約交渉や社内規定の整備、コンプライアンス教育の最前線に携わってきました。
法律事務所の外部アドバイザーとしてだけでなく、「企業内部で法務を担ってきた当事者」としての視点を持ち合わせていることが私の最大の強みです。会社が直面する労務課題に対し、単に「法的に難しい」と断じるのではなく、ビジネスの実情に即して「どうすればリスクを抑えて目的を達成できるか」を経営者様と共に考え抜きます。
ビジネス実務法務検定1級や知的財産管理、個人情報保護といった多方面の専門知見を活かし、隙のない労務体制の構築を支援いたします。「弁護士は良質なサービスを提供する仕事である」という信念のもと、経営者の皆様が安心して事業に邁進できる環境作りを全力でバックアップいたします。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/ishiki/

能力不足を理由とする解雇も可能ですが、雇用を継続することが難しいと客観的に判断できる事情が必要です。解雇でのトラブルを避けるコツを弁護士が解説します。

この記事でわかること

  • 能力不足による解雇が認められる要件がわかる
  • 能力不足による解雇の具体的な手順がわかる
  • 能力不足の解雇でトラブルを避ける5つのポイントがわかる

従業員の働きぶりに不安を感じ、「能力不足」を理由に解雇を検討する企業は少なくありません。しかし、能力不足という評価だけで解雇を進めると、不当解雇として争われるおそれがあります。トラブルを避けるためにも、解雇が認められるかどうかの判断基準や、正しい解雇手順を把握しておきましょう。

本記事では、「能力不足を理由に従業員を解雇できるのか」という基本的な部分から、解雇によるトラブルを避けるためのポイントまでを、実務にくわしい弁護士がわかりやすく解説します。

目次

能力不足を理由に従業員を解雇できる?

能力不足を理由に従業員を解雇できるかどうかは、ケースによって判断が分かれます。日本の労働法では解雇に厳しい基準が設けられており、業務成績が振るわない、期待した成果が出ていないといった事情だけで、直ちに解雇が認められるわけではありません。

解雇の有効性は、担当業務や求められる能力水準が明確であったか、十分な指導や注意を行っていたか、改善のための機会や期間を適切に設けていたかなど、これまでの対応の経過を総合的に踏まえて判断されます。

主観的な評価や「仕事ができない」という印象だけで解雇を進めた場合、不当解雇として争われるおそれがあります。

能力不足による解雇が認められる要件

能力不足を理由とする解雇が問題なく認められるためには、雇用を継続することが難しいと客観的に判断できる事情が必要です。判断の際には、次のような点が重視されます。

  • 業務上求める役割や水準を事前に明確に示していたか
  • 注意や指導、教育を継続的に行っていたか
  • 改善のための期間や機会を十分に確保していたか
  • 配置転換や職務内容の見直しを検討していたか

これらの対応を行ったうえでも改善が見られず、業務に支障が生じている場合には、解雇が検討対象になります。裁判や労働審判では、「会社として取り得る対応を尽くしたか」という視点で判断が行われるため、日頃の対応の積み重ねが重要になります。

参照:労働契約法第16条

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

能力不足による解雇に関する具体例

能力不足による解雇で争いになりやすいのは、評価の根拠が不明確なケースです。一方で、次のような事情がそろっている場合には、解雇が有効と判断される可能性があります。

  • 業務目標を具体的に設定し、複数回の指導を行っても改善が見られない
  • 他の従業員と比較しても、業務成績が著しく低い状態が長期間続いている
  • 配置転換後も業務への適応が難しく、業務全体に影響が出ている

反対に、十分な教育やフォローを行わないまま結果だけを理由に解雇した場合や、短期間で判断した場合には、不当解雇と評価されやすくなります。能力不足による解雇では、結果だけでなく判断に至るまでの経緯が重要なポイントになります。

能力不足を理由にした解雇は会社都合?自己都合?

能力不足を理由に会社が解雇の判断を行う場合、退職区分は原則として会社都合になります。従業員の意思ではなく、使用者側の判断によって雇用契約を終了するためです。

また、形式上は「退職届の提出」や「合意退職」という形を取っていても、実態として会社が退職を強く求めていた場合には、会社都合と判断されることがあります。ハローワークでは、書面の名称だけでなく、退職に至るまでの経緯や会社側の関与の度合いを踏まえて区分を判断します。

会社都合退職と自己都合退職の違いは、失業保険の給付開始時期や給付日数に影響します。そのため、能力不足を理由に解雇を行う場面では、退職区分について従業員との認識が食い違わないよう、解雇理由や説明内容を整理しておくことが重要です。

また、キャリアアップ助成金や人材開発支援助成金など、雇用関連の助成金を受給している企業では、会社都合退職者が出たことをきっかけに、しばらく助成金の申請ができなくなるケースがあります。解雇の判断が、将来的な助成金の活用に影響する可能性もあるため、制度内容を確認したうえで慎重に対応する必要があります。

能力不足による解雇の具体的な手順

能力不足を理由に解雇を進める場合は、感情的・場当たり的な判断を避け、一定の手順に沿って慎重に対応することが重要です。手順を誤ると、不当解雇として争われる可能性が高まります。

解雇に関する社内方針を整理・共有する
まず、解雇を検討する背景や理由を整理し、経営者や人事担当者など関係者の間で認識を共有します。誰がどのような根拠で判断したのかを明確にし、判断のばらつきや後日の認識違いを防ぎます。
解雇の時期(予告解雇か即時解雇か)を判断する
解雇を行う場合、原則として30日前までに予告を行うか、解雇予告手当を支払う必要があります。能力不足を理由とする解雇では、即時解雇が認められる場面は限られるため、時期の判断には注意が必要です。
解雇理由を具体的かつ客観的にまとめる
「能力が足りない」といった抽象的な表現ではなく、どの業務で、どの点が、どの程度問題となっているのかを整理します。指導内容や評価結果など、客観的な資料をもとに説明できる状態を整えます。
解雇通知書を作成する
解雇の事実や解雇日、理由などを記載した解雇通知書を準備します。口頭での説明だけに頼らず、書面として残すことで、後のトラブルを防ぎやすくなります。
本人に対して解雇の意思を正式に伝える
解雇を伝える際は、理由や経緯を丁寧に説明し、一方的な通告にならないよう配慮します。説明内容と書面の記載に食い違いがないかも確認しておく必要があります。
解雇後に必要となる各種退職手続きを進める
離職票の交付や社会保険の手続きなど、解雇後に必要な事務処理を行います。退職区分や書類の記載内容によって、失業保険や助成金に影響が出る場合もあるため、最後まで慎重に対応します。

能力不足の解雇でトラブルを避ける5つのポイント

能力不足を理由とする解雇は、判断や手続きを少し誤るだけでトラブルにつながりやすい傾向にあります。ここでは、実務上とくに注意したい5つのポイントを整理します。

ミスが本人の責任だと客観的に示せるか

解雇理由として挙げるミスについて、当該従業員本人の行為に基づくものだと説明できるかが重要です。業務指示が曖昧だった場合や、複数人で分担していた業務であれば、責任の所在が不明確になりやすくなります。評価基準や業務分担を整理し、第三者から見ても本人の責任と理解できる状況かを確認する必要があります。

教育・指導不足が原因と評価されないか

能力不足と判断する前に、会社として十分な指導や教育を行っていたかが問われます。業務内容を説明しただけで放置していた場合や、フォロー体制が整っていなかった場合には、会社側の対応不足と評価されるおそれがあります。注意や指導をどのように行い、改善の機会をどれだけ設けていたかを振り返ることが欠かせません。

不当な動機による解雇と受け取られないか

解雇の背景に、処遇改善の要求や労働組合への加入、意見表明などがある場合、能力不足とは別の動機を疑われる可能性があります。解雇の理由が能力不足ではなくこれらにある場合、不当解雇であると判断されやすくなるでしょう。能力不足との関係性を整理し、誤解を招く要素がないか慎重に確認することが重要です。

解雇の判断が性急すぎないか

短期間の評価だけで解雇を決めると、改善の機会が不十分だったと判断されやすくなります。能力不足は一時的な不調や環境の影響で生じる場合もあるため、一定期間の様子を見る姿勢が求められます。評価の経過や指導の履歴を振り返り、判断の時期が適切だったかを検討する必要があります。

配置転換など代替策を検討すべきではなかったか

現在の業務に適応できない場合でも、他の部署や業務内容で能力を発揮できる可能性があります。配置転換や業務の見直しを検討せずに解雇へ進むと、会社として取り得る対応を尽くしていないと評価されかねません。解雇以外の選択肢を検討したかどうかが、判断の妥当性を左右します。

能力不足による解雇が問題になるさまざまなケース

能力不足を理由とする解雇は、雇用形態や雇用期間によって判断の基準が変わります。一般の正社員と同じ感覚で対応すると、思わぬトラブルにつながることもあります。ここでは、実務で特に問題になりやすい代表的なケースを整理します。

「試用期間中の解雇」や「試用期間満了後の本採用拒否」

試用期間中の解雇や、試用期間満了時の本採用拒否(本採用見送り)は、本採用後の解雇より広い範囲で認められやすい傾向があります(最判昭48.12.12、三菱樹脂事件)。

ただし、ハードルが低いというだけで、自由に解雇や本採用拒否ができるわけではありません。実際には、試用期間中の解雇や本採用拒否を不当と判断し、企業に対して金銭の支払いを命じた裁判例も存在します。

とくに注意が必要なのは、新卒者や未経験者を育成前提で採用していたにもかかわらず、短期間で能力不足と判断するケースや、業務の進め方に大きな問題がないのに結果だけで評価するケースです。また、必要な指導やフォローを行わないまま適性がないと結論づけたり、試用期間の満了を待たずに途中で打ち切ったりすると、性急な判断と評価されやすくなります。

なお、入社後14日以内の試用期間中の解雇については解雇予告の例外がありますが、正当性の説明まで不要になるわけではありません。評価基準や指導経過を整理し、合理的な理由を示せる体制が重要です。

契約社員やアルバイト・パート社員の解雇

契約社員の雇用は期間が定められているため、契約期間の途中で雇用を終了するには、特別な事情が必要になります。労働契約法では、期間途中の解雇は「やむを得ない事情」がある場合に限られると定められており、単に業務遂行能力が期待に届かないという理由だけでは、原則として期間途中の解雇は認められにくい傾向にあります(労働契約法第17条1項)。

そのため、能力面に不安がある契約社員については、契約期間の途中で解雇するのではなく、契約満了時に更新を行わないという対応を検討することが一般的です。ただし、この場合でも、過去に更新を繰り返していた事情などがあると雇用継続への期待が認められ、「雇止め」が問題になることがあります(労働契約法第19条)。更新拒否についても、合理的な理由や説明が求められる点に注意が必要です。

パート社員についても、有期雇用か無期雇用かによって扱いが異なります。期間を定めて雇用している有期パート社員には、契約社員と同様の考え方が及びます。一方、期間の定めがない無期パート社員については、正社員と同じ基準で解雇の可否が判断されます。

障害者雇用における従業員の解雇

障害者雇用で採用した従業員についても、業務の遂行が難しく、能力面に課題が見られる場合には、解雇を検討せざるを得ない場面があります。ただし、障害者雇用は、障害による特性や業務上の制約があることを前提に雇用関係が成立している点に注意が必要です。企業には、職務内容や職場環境について、障害特性に応じた配慮を行い、能力を発揮できる条件を整える姿勢が求められます(障害者雇用促進法第36条の3)。

配慮や指導、配置転換などを十分に行わないまま能力不足と判断した場合、解雇の正当性は否定されやすくなります。実際の裁判例でも、改善の機会を与えず、配慮を尽くしていない解雇は無効と判断されています。

一方で、合理的配慮や指導を重ね、代替業務の検討なども行ったうえで、なお就業継続が困難と判断できる場合には、能力不足を理由とする解雇を有効とした裁判例もあります。

能力不足による解雇の場面で弁護士に相談するメリット

能力不足を理由とする解雇が認められるかどうかで迷ったら、労働問題にくわしい弁護士に1度相談してみましょう。弁護士に相談するメリットは、以下のとおりです。

解雇が法的に認められるか事前に判断できる

弁護士に相談すれば、能力不足を理由とする解雇が、客観的・合理的な理由を備えているかを事前に確認できます。評価の根拠や指導の経過、配置転換の検討状況などを踏まえ、裁判になった場合にどのように評価されるかを具体的に見通せます。解雇に踏み切る前に適法性を検討できる点は、大きなメリットといえます。

不当解雇と評価されるリスクを最小限に抑えられる

能力不足による解雇は、会社側の対応次第で評価が大きく変わります。実務にくわしい弁護士であれば、注意・指導の方法、記録の残し方、解雇通知の内容などについて具体的に助言できます。事前に対応を整えておくことで、不当解雇と判断される可能性を下げ、紛争や訴訟に発展するリスクを抑えられます。

解雇以外の現実的な対応策も含めて検討できる

弁護士への相談は、必ずしも解雇を前提とするものではありません。配置転換や業務内容の見直し、契約満了による雇用終了など、解雇以外の選択肢も含めて検討できます。結果として、会社にとっても従業員にとっても負担の少ない解決策が見つかることもあります。

能力不足で会社を解雇されたときの対処法

能力不足を理由に突然解雇されると、「本当に正当なのか」「争える余地はあるのか」と不安を感じる方も多いでしょう。会社から一方的に解雇を告げられた場合でも、その判断が必ずしも適法とは限りません。

解雇が有効と認められるためには、客観的に合理的な理由があり、社会通念上も相当といえる必要があります。まずは感情的に対応するのではなく、事実関係と手続きの適正さを冷静に確認することが重要です。

具体的には、解雇理由が書面で示されているか、これまでに注意や指導を受けていたか、改善の機会が与えられていたかを整理しましょう。また、解雇予告が適切に行われているか、もしくは解雇予告手当が支払われているかも、確認すべきポイントです。これらに不備がある場合、解雇の有効性が否定される可能性があります。

解雇に納得できない場合は、すぐに同意したり退職届を提出したりせず、専門家に相談することをおすすめします。早い段階で弁護士に相談すれば、解雇が不当と評価される余地があるかを判断でき、今後取るべき対応について具体的な助言を受けられます。

能力不足で従業員を解雇することに関してよくある質問(Q&A)

能力不足を理由に解雇した場合、解雇予告手当は必ず必要?

原則として、能力不足を理由に従業員を解雇する場合でも、30日前の解雇予告または解雇予告手当の支払いが必要です。解雇理由が能力不足であっても、予告義務が免除されるわけではありません。入社後14日以内の試用期間中など、例外的に予告が不要な場合もありますが、要件は限定されています。

能力不足を理由に解雇した従業員から損害賠償を請求されることはある?

能力不足を理由とする解雇であっても、不当解雇と評価されれば、従業員から損害賠償を請求される可能性があります。具体的には、解雇期間中の賃金相当額や慰謝料などを請求されるケースがあります。とくに、指導や改善の機会を与えていない場合や、理由が曖昧なまま解雇した場合にはリスクが高まります。

能力不足を理由に解雇した場合、会社の評判や採用活動に影響は出る?

能力不足による解雇がトラブルに発展すると、会社の評判や採用活動に影響が出ることがあります。従業員との紛争が公になると、企業イメージが損なわれ、応募者が減少する要因になりかねません。また、社内に不安が広がり、既存社員の定着にも影響することがあります。法的に問題のない対応を行い、説明責任を果たすことが重要です。対応に疑問がある場合には、弁護士に相談して適切な対応を行いましょう。

まとめ 解雇トラブルを避けるために最善の対策を

能力不足を理由とする解雇は、企業にとって避けられない判断となる場面もありますが、進め方を誤ると不当解雇として大きなトラブルに発展しかねません。とくに、指導や配置転換、合理的配慮といった対応を十分に行わないまま解雇に踏み切ると、解雇の正当性が否定されるリスクが高まります。

解雇を検討する際には、これまでの対応経過を客観的に整理し、法的に問題がないかを慎重に確認することが重要です。少しでも判断に迷いがある場合は、早い段階で弁護士に相談し、解雇以外の選択肢も含めて検討することが、結果的に企業と従業員双方のリスクを最小限に抑える最善の対策といえるでしょう。

VSG弁護士法人」では、企業側の労働問題に豊富な実績があり、案件によっては初回無料相談も受け付けています。トラブルの予防から解決まで徹底的にサポートさせていただきますので、解雇手続きや労務リスクの判断に迷われた際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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