この記事でわかること
- 建設業許可を取得するために金融機関の残高証明書が必要になることがわかる
- 建設業許可を取得するために必要な残高証明書の取得方法がわかる
- 建設業許可申請に必要な残高証明書に関する疑問が解決できる
建設業許可を取得する際には、いくつかの要件があり、そのすべてを満たしていなければなりません。
その要件の1つに「金銭的信用」というものがあり、一定の金額を保有していることを証明する必要があります。
そこで、金融機関が発行する残高証明書を準備しなければならない場合があります。
具体的に建設業許可を取得する際に、どのような手続きが必要となるのか確認しておきましょう。
建設業許可申請に必要な残高証明書とは
建設業許可の申請を行う際に、残高証明書が必要になるといわれます。
この残高証明書は、どのような理由で必要となるのでしょうか。
建設業許可の要件と、残高証明書が必要になる理由について確認しておきましょう。
建設業許可の要件
建設業許可を取得するためには、いくつもの要件を満たしている必要があります。
一般建設業許可を取得するためには、以下の5つの要件をすべて満たしていなければなりません。
- (1)経営業務の管理責任者を有する
- (2)営業所ごとに専任技術者を有する
- (3)誠実性を有する
- (4)財産的基礎または金銭的信用を有する
- (5)欠格要件に該当しない
財産的基礎または金銭的信用の要件
このうち(4)財産的基礎または金銭的信用では、十分な財産や資金調達能力を有しているかを判断されます。
そこで、下記のいずれかをクリアしていることを明らかにする必要があります。
財産的基礎
建設業許可の取得を申請する直前の決算において、自己資本が500万円以上あることをいいます。
そこで、直前期末の貸借対照表で、純資産の部の合計額が500万円以上となっていることを明らかにします。
設立直後の法人の場合は、資本金の額を500万円以上にしておけば、この要件をクリアすることができます。
金銭的信用
財産的基礎で要件を満たさない場合、金銭的信用があることを明らかにしなければなりません。
具体的には、預金の残高証明書や所有する不動産の評価証明書などで、500万円以上の財産があることを明らかにします。
あるいは、金融機関から500万円以上の融資証明書を取得しても、金銭的信用の要件をクリアできます。
財産的基礎の要件をクリアできない場合、金銭的信用の要件をクリアしなければなりません。
金銭的信用の要件を満たすためには、不動産の評価証明書などでも問題ありません。
ただ、申請者名義の不動産でなければならず、多くの人がこの要件を満たすわけではありません。
そこで、金融機関の残高証明書が必要になる場合が多くあるのです。
建設業許可申請に必要な残高証明書の取得方法
建設業許可を取得した事業者は、500万円を超える工事についても請け負うことができるようになります。
その一方で、財産的基礎や金銭的信用を有することを証明しなければなりません。
金銭的信用を有することを証明するために残高証明書を取得する場合、どのように取得するといいのでしょうか。
残高証明書とは、預金を預け入れている金融機関から発行される書類です。
そのため、金融機関に依頼して残高証明書を発行してもらいましょう。
残高証明書には、その人が当該金融機関に預け入れている預金の残高が記載されています。
また、残高証明書には、その証明書を発行した日付が記載されています。
建設業許可の申請のために残高証明書を用意する場合、いつの証明書が必要になるか事前に確認しておく必要があります。
残高証明書が申請日より前1か月以内に発行されたものである、といった有効期限が設けられている場合があるからです。
この有効期限は都道府県によって異なります。
中には、有効期限を2週間以内としている場合もあります。
期限が短い場合、申請までの日程がタイトになるため、必ず事前に確認してから残高証明書を取得するようにしましょう。
また、金銭的信用を証明するために、預金通帳のコピーを使うことはできません。
仮に預金残高が500万円以上ある場合でも、預金通帳のコピーで建設業許可を取得することはできません。
必ず残高証明書を取得するようにしましょう。
建設業許可申請の残高証明書に関するよくある質問
預金の残高が500万円以上なければならないという要件は非常にわかりやすいため、間違えることはないでしょう。
ただ、金額の基準がはっきりしている代わりに、いつの残高なのかといった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
ここでは、建設業許可を申請する際に用意する残高証明書に関する質問にお答えします。
複数の金融機関の残高証明書を合算できるか
金融機関の残高証明書を発行してもらう際に、1つの金融機関の残高が500万円に満たない場合があります。
ただ、複数の金融機関の残高証明書の金額を合算すると、500万円を超えることがあります。
この場合、複数の金融機関の残高を合算することができるのでしょうか。
このような場合、2つ以上の金融機関の残高証明書の金額を合算することができます。
ただし、残高証明書の金額を合算するためには注意しなければならない点があります。
それは、すべての金融機関の残高証明書の基準日を同じ日にすることです。
基準日とは、残高証明書に記載された残高の計算を行う日のことです。
基準日が違えば、その間に預金を移動することができるため、合算することはできなくなります。
2つ以上の金融機関の残高を合算して500万円以上となる場合には、必ず残高証明書の基準日を一緒にしましょう。
建設業の更新の時に残高証明書は必要か
建設業許可を取得した後、5年後に建設業許可の更新を行う必要があります。
更新の際に、金融機関の残高証明書が必要となるのかどうか、疑問に思う方もいるでしょう。
この点について、建設業許可の更新を行う際に残高証明書は必要ありません。
更新の際にも財産的基礎に関する要件はありますが、5年間建設業許可を受けて継続営業した実績があることとされています。
つまり、更新の際には、過去5年間建設業者として営業してきたことで財産的基礎があるとみなされるということです。
申請時点で500万円を切ってしまってもいいのか
建設業許可の申請を行う際に求められる預金残高は、残高が日々変動するため、いつの残高が必要なのかわかりにくいことでしょう。
この点については、申請を行う前の一定期間内で申請を行う事業者が基準日を設定し、その基準日における残高証明書を取得します。
有効期限の期間内であれば、事業者が任意の日にちで残高証明書を取得することが可能となっているのです。
そして、残高証明書を取得した後に、預金を使って500万円を切ってしまってもいいのかという疑問もあります。
この点についても、基準日で500万円以上あれば、その翌日に500万円を切っても問題ありません。
できるだけ預金の残高に余裕があるときに、残高証明書を取得しておくといったことも可能です。
まとめ
建設業許可を取得する際に、経営業務の管理責任者や専任技術者となる人がいるかどうかに注目しがちです。
しかし、建設業許可を取得する際には、財産的基礎や金銭的信用に関する要件もよく考慮しておかなければなりません。
預金の残高が500万円を切ることや、500万円を超える場合には、タイミングを見計らって残高証明書を取得しましょう。
また、残高証明書の基準日が、建設業許可の申請に関する有効期限内にあることを、必ず確認するようにしましょう。