会社設立 STEP9:税務関係手続き
登記所への手続きが終わってほっとしてはいけません。
まだ手続きが続きます。
各役所への届出です。
本当に重要なのはこれ以降の手続きと言っても良いでしょう。
なぜならこれからの書類は提出期限が定まっているものが多く、
もし提出期限までに提出しなければ不利な条件を強いられることになるからです。
役所の方から督促などはないので、忘れていても誰も注意してくれないことも怖いところです。
具体的には、税務署、都道府県税事務所、市役所、社会保険事務所、ハローワーク、労働基準監督署などに
設立関係の書類を提出しなければいけません。
正直、作る書類は多いです。
1枚1枚の書類の内容も専門的で難しい。
さらに選択しなければいけない項目では、選択した結果で有利・不利が生じることがあります。
これらの書類は専門家に任せるか、自分で作るときは十分な下調べをすることをお勧めします。
特に税務署への提出は期限があり、その期限以内に提出をしないと有利な規定が受けられなくなったりします。
十分ご注意ください!
会社設立後に必要な届出
会社設立後に必要な届け出は、大きく分けて、税金関係、労働保険関係、社会保険関係の3つがあります。
以下、説明していきます。
税金関係の届出
1.税務署へ届け出る書類
法人税及び消費税など、国に納める税金関係の書類を届け出ます。
1-1 法人設立届出書
提出書類は以下の通りです。提出期限は会社設立後2カ月以内です。
届け出る税務署は本店所在地を管轄する税務署です。
- 登記簿謄本
- 定款の写し
- 設立時の貸借対照表
- 株主名簿の写し(株式会社の場合)
- 現物出資があるときは出資者の氏名・出資金額等を記載した書類
1-2 青色申告の承認申請書
会社が自主的に所得を計算し、税金を収めることができる青色申告の承認を受けるための書類です。
提出しないと自動的に白色申告者となり、課税上の特典を受けることができなくなります。
提出期限は、会社設立から3カ月以内です。
ただし、この期間に事業年度が終わる場合は事業年度内です。
1-3 給与支払事務所等の開設届出書
給与を費用として扱うために必要な手続きです。
提出期限は、第1回給与支払日までです。
1-4 棚卸資産の評価方法の届出書および減価償却資産の償却方法の届出書(任意)
棚卸資産の評価方法の届出書は、棚卸資産の評価方法を届け出る書類です。
減価償却資産の償却方法の届出書は、減価償却資産の減価償却方法を届け出る書類です。
期限は、第1期の確定申告の提出期限までです。
なお、届け出なかった場合、棚卸資産の評価方法は、自動的に「最終仕入原価法」となります。
また、原価償却資産の償却方法は、自動的に「定率法」となります。
1-5 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 (任意)
通常、毎月納付する源泉所得税を、従業員が常時10人未満の会社は
半年に一度まとめて納税できる制度(源泉所得税の納期の特例)があります。
この制度を利用したい場合に申請します。
提出期限は、特例を受けたいときです。
適用は、提出した日の翌月に支払う給与等からが対象となります。
2.市区町村役場または都道府県税事務所へ届け出る書類
住民税及び事業税など、地方税関係の書類を提出します。
都道府県によって、書式や提出期限が若干異なるため、詳細は該当窓口で確認の必要です。
2-1 法人設立届出書
提出書類は以下の通りです。
- 定款の写し
- 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
届け出るのは、都道府県税事務所、および市区町村役場(東京都を除く)です。
提出期限は、都道府県税事務所は、会社設立後15日から1カ月以内、市区町村役場は、会社設立の日から2カ月以内です。
なお、各都道府県、市区町村によって若干異なります。
労働保険関係
従業員を一人でも雇用した場合、労働基準監督署、ハローワークへ以下の書類を届け出なければなりません。
1.労働保険関係成立届
添付書類は以下の通りです。
提出期限は労働保険関係が成立(従業員を雇用)した日の翌日から10日以内です。労働基準監督署に届け出ます。
- 履歴事項全部証明書(登記謄本)
- 事業所の賃貸借契約書
2.労働保険概算保険料申告書
労働保険料を概算保険料として申告・納付するための書類です。
提出期限は、労働保険関係が成立(従業員を雇用)した日から50日以内です。
2-1 雇用保険費保険者資格取得届
添付書類は以下の通りです。
提出期限は労働保険関係が成立(従業員を雇用)した日の属する月の翌月の10日までです。
ハローワークに届け出ます。
- 労働者名簿
- 賃金台帳
- 出勤簿またはタイムカード
2-2 雇用保険用事業書設置届
添付書類は以下の通りです。
提出期限は労働保険関係が成立(従業員を雇用)した日の翌日から10日以内です。
ハローワークに届け出ます。
- 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
- 事業所の賃貸借契約書
- 労働者名簿
- 賃金台帳
- 出勤簿またはタイムカード
社会保険関係
会社の場合は、その規模にかかわらず、会社設立と同時にすべての会社が社会保険への加入が義務づけられています。
会社設立後、5日以内に新規適用届、新規適用事業所現況書を添付書類および提示書類とともに提出します。
また、従業員の雇用した場合は、採用の日から5日以内に被保険者資格取得届、健康保険被扶養者届を提出します。
1.新規適用届、新規適用事業所現況書の添付書類
- 添付書類は以下の通りです。
- 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
- 事業所(事務所)の賃貸借契約書(賃貸の場合)
- 口座振替依頼書
2.被保険者資格取得届の添付書類
原則として添付書類は不要です。
3.健康保険被扶養者(異動)届の添付書類
添付書類は以下の通りです。
- 国民年金3号被保険者資格取得書
- 被扶養者となる者の収入状況がわかる書類
- 同居用件が必要な場合は住民票など扶養事実を証明できる証明書
まとめ
これで、会社設立後に必要となる最低限の届出は全て完了となります。
今まで、費やしてきた時間や労力を実らせるため、今後は、会社経営に集中し成功を手に入れてください。
参考:
会社設立後の届出書類一覧
http://www.hitodeki.com/touki/after.php