未経験者が社労士事務所に転職するときのポイント【印象の良い志望動機・履歴書の例も紹介】

2021年3月3日

1章.社労士業界の就職・転職1-1.就職活動ノウハウ

この記事でわかること

  • 未経験者でも社労士事務所への就職・転職が可能なのかがわかる
  • 社労士事務所の求人に応募する際の志望動機のポイントがわかる
  • 採用担当が選考上、着目しているポイントがわかる

社労士は、資格業の中でも比較的人気の資格であり、将来的に資格を取得することも見据えて、社労士事務所での勤務を志望される方も、近年増えています。
同時に、未経験であることを不安に思う志望者の方も多いことから、今回は、社労士業務未経験が、社労士事務所の求人に応募する際のポイントや、志望動機を作成する際の勘所について解説していきましょう。

未経験者が社労士事務所に転職するときのポイント【印象の良い志望動機・履歴書の例も紹介】

社労士事務所への就職・転職は未経験でも可能

社労士事務所を志望される方の中には、未経験や無資格であることが選考上、不利になると考えている方が多数いらっしゃいます。
結論から言うと、経験や資格は、「あれば尚良し」と認識される程度であり、選考上大きな決め手になる場面は少ないです。

そもそも、社労士の分野における実務経験を持っている人は、求人市場の中でも少数です。
社労士事務所が求人を出す際に、経験者や資格者に限定していては、人材を確保することはままなりません。

実際、多くの社労士事務所の求人では、「未経験、無資格でも歓迎」という文言をよく目にします。
特に、事務アシスタント等の補助的な立場の求人であれば、より一層、その傾向は強いです。
もちろん、選考上、経験者や有資格者と競合する場合、不利になる局面はありますが、採用担当は、経験や資格の他にも、別の素養に重点を置いて選考を進めている場合が多いものです。

社労士事務所で求められるスキル・人物像

社労士業務は、給与計算や社会保険、労働問題など、顧客にとってデリケートな領域のサービスを提供する、きめ細かい気配りが重要になる職種です。
些細なミスでも、顧客からの信頼を失墜させる事態に発展することもあるので、強い責任感も求められます。
社労士事務所での、選考上、「きめ細かい気配り」「責任感」この2つの素養の有無を重点的に見ている採用担当は、非常に多いです。

これに加えて、職場内のコミュニケーション能力や、ある程度のパソコンスキルを有している方が、選考上、好まれる人物像であると言えるでしょう。
たとえ、経験者や有資格者であっても、このような素養が欠けている人材は、社労士事務所での選考ではかなりのネックポイントとなってしまうことでしょう。

未経験者が社労士事務所の志望動機に書くべき内容

先述の通り、未経験や無資格であっても、社労士事務所の選考上、不利になることは少ない為、社労士事務所での勤務を志望する方は、臆せず求人に応募すべきでしょう。
この場合、次に不安になることは、「志望動機」でしょう。
志望動機は、強力なアピール材料ですが、ある程度のボリュームや説得力がないと、選考上、不利になりかねません。
どういった志望動機が好ましいのか、その糸口になる項目に分けて解説していきましょう。

なぜその業種を選んだのか?

社労士事務所で働きたいと思ったからには、その業種に対するこだわりが、少なからずあるはずです。
そのこだわりを箇条書きに書き出してみましょう。
些細なことと思えることでも大丈夫です。
その書き出した内容が、なぜ、自分にとってのこだわりなのか?深堀して、その内容に肉付けしていけば、自ずと志望動機の材料となります。

内容が薄いと感じる場合は?

上記の箇条書きで、書き出してはみたものの、

  • なんだかカッコいいと思うから
  • 働き方改革とか、ワークライフバランスというワードを聞いて、興味を持ったから

など、そのままでは、選考過程で表現するには、弱いと感じるワードしか出てこないという方もいらっしゃるかもしれません。

その場合でも、先述の通り、「なぜカッコいいと思ったのか?」根気強く、深堀していきましょう。
その結果、「顧客のデリケートな領域に踏み込んで、信頼を積み重ねていくような仕事に強い興味をひかれた」といった具合に、選考過程で通用するような段階に昇華するかもしれません。
また、この工程を経て、社労士事務所をどれほど本気で志望しているのかという、度合いもある程度、わかってくると思います。

自分の強みがどう活かせるか?

先述の通り、社労士事務所で必要とされる素養の一部には、「きめ細かい気配り」「責任感」「コミュニケーション能力」「パソコンスキル」があると解説しました。
この4つの素養に自信がある方は、自分の強みが、この業種に活かせることを志望動機にプラスされると採用担当の印象にも残ることでしょう。

なぜその事務所なのか?

社労士業務に対する意気込みはあるものの、数ある社労士事務所の中でも「なぜウチの事務所なのか?」という問いに、準備不足で満足に応えられない人も見受けられます。
そもそも、社労士事務所という業態が少数の為、応募できる求人がその事務所だけだったのかもしれませんが、それでも「ここの事務所だけしかなかった」「ここが一番近い事務所だった」では、選考上、他の志望者に差をつけるのは難しいでしょう。
ある程度、その事務所に対する下調べは必須です。

  • 少数精鋭でなんでも任せてくれる少人数の事務所
  • 規模が大きく、事務アシスタントに徹することができる社労士法人
  • 女性が数多く在籍し、活躍している
  • 在籍している社労士の年齢層が若く、規模拡大に貢献できる

こういった切り口で、近隣の社労士事務所にはない特色を見出して、なぜ、その事務所で働きたいのかを明確にして選考に臨むことが重要です。

職種に対するこだわり

社労士事務所が求人を出す際には、業務の中核に携わる職員、事務関係をサポートするアシスタントといった形で、複数の職種で募集を掛けていることが多いです。
求人情報の中で、どの職種が、どういった仕事内容かはざっくり記載されているので、自分がなぜその職種を応募するのか、その理由を問われる場面があります。
特に、大きな規模で運営している社労士法人の場合、職種が細かく分かれている場合があるため、その職種を希望する理由を問われる可能性は高いです。

  • 中核職員として、顧客サポートにガッツリ携わって、貢献度の高い仕事をしたい
  • きめ細かい気配りに自信があるので、中核職員のサポートで、その特性を活かしたい

など、自分の仕事観、人生観も踏まえた上で、どのように仕事を通して、事務所に貢献していきたいのかをはっきりアピールできれば、選考上有利になります。

独立志望をアピールすると裏目に出ることも

社労士事務所を志望する人の中には、将来独立開業するために、経験を積もうと考えている方が多数いらっしゃいます。
また、将来の独立開業した後の、展望についてアピールの一環で表現される方もいますが、事務所によっては歓迎されない場面があります。

独立開業するということは、その社労士事務所にとって、将来、商売敵になるということです。
「賃金を払って、なぜ将来、競合他社になるような専門家を育てなくてはいけないのか?」
こういった考えに行き着く、社労士事務所の経営者は少なからず存在します。
もちろん、独立開業するまでは、事務所の戦力として、大いに活躍してくれるのだから、それでも構わないと寛容な姿勢を取る社労士事務所もあります。
しかしながら、独立志望をアピールして応募してくる志望者には、多少、複雑な思いを抱いている採用担当者もいることを念頭に置くべきでしょう。
これは、独立開業のパターンが多い、社労士をはじめとする士業全般に通じることでもあります。

未経験者の社労士事務所の志望動機具体例

実際のところ、未経験者が社労士事務所の求人に応募する際、志望動機はどうすればよいのか、先述の内容を以てしても、迷うのが実情でしょう。
この項目では、職種別に一つの参考として、志望動機の具体例を挙げていきましょう。

小規模事務所で、中核職員の募集の場合

御所は、少数精鋭で顧問先への対応にあたっているとお聞きしました。
幅広い業務を経験でき、顧問先とのやり取りの多くも任せてもらえることから、自分がイメージする今後のキャリアアップにつなげていける部分が非常に多くあると思いました。

大規模事務所で、事務アシスタントの募集の場合

今まで事務職の経験で、きめ細かい気配りやコミュニケーション能力には、高い評価を頂いたことがあります。
社労士業務は、軽微なミスも許されない、非常に責任の重い仕事です。
御所は、多数の社労士が在籍され、各々が多くの顧問先を担当されていると聞いております。
私の得意分野である、きめ細かい気配りやコミュニケーション能力を活かして、御所の社労士の先生方を足元からきっちりサポートできると思い、志望しました。

採用担当者に良い印象を与える志望動機・履歴書の特徴

社労士事務所は、成果物として書類を扱う場面が多い業種です。
他の業種にはない独特の視点で、採用担当は選考書類を見ていることが多いです。

ここでは、どういった点に留意すれば、採用担当にプラスの印象を与える志望動機や履歴書が作れるのか、解説していきましょう。

書類の見栄えは意外と厳しく見ている

電子データ化が進んできているとはいえ、やはり、手書きで書類を記入する業務も多く残っていることから、書類を丁寧に扱う人材が好まれる傾向にあります。
つまり、志望動機・履歴書の内容もさることながら、採用担当者、選考書類をパッと見て「書類作業をさせても大丈夫な人材なのか」を見極めています。

このため、履歴書は、誤字脱字がないのはもちろんのこと、丁寧に記入されているかは、想像以上に判断基準にしている社労士事務所は少なくありません。
志望動機も、その内容に齟齬がないかの「中身」としての評価の他に、パソコンで入力してプリントアウトしたものであれば、書式が正しいものになっているかなどの「見栄え」としてのチェックは入念にされると考えてください。

こういった、成果物の見栄えのチェックを通して、「この人には、どれほどのパソコンスキルがあるのか」を見極めようとする場面も少なくありません。

仕事に対する意気込み

社労士の専門領域は、法改正が頻繁にあり、業務内容のアップデートに追従していくには、積極的に業務を行い、勉強する手間暇を惜しまない姿勢が不可欠です。

不慣れな業務であっても、ミスを起こさないよう細心の注意を払いつつ、率先して対応した経験などがあれば、非常に大きなアピールポイントになります。
また、そういった姿勢で業務にあたる旨を表明している志望動機は、採用担当からの評価も高くなる傾向にあります。

まとめ

未経験・無資格であっても、歓迎して採用してくれる社労士事務所は、多くありますので、未経験・無資格を理由に、不利に考えるのは勿体ないことです。

先述の通り、社労士事務所は、経験や資格の有無よりも、「その人材は、社労士業務に適した素養があるか」という点を重視して選考を進めることがほとんどです。
その素養をアピールすることに軸足を置いて選考の準備をすれば、よい結果が伴うことでしょう。