【社労士事務所に就職・転職したい人必見】避けるべき社労士事務所と未経験や資格なしの求人について解説

2021年5月20日

1章.社労士業界の就職・転職1-1.就職活動ノウハウ2章.社労士事務所の待遇2-3.社労士事務所のリアルな職場

この記事でわかること

  • 求人に応募する際、避けた方がいい社労士事務所の見分け方がわかる
  • 社労士事務所で働く際の、待遇(残業時間や給料の相場)のイメージがわかる
  • 未経験や無資格であっても、社労士事務所の採用を勝ち取るために意識すべきことがわかる

「社労士の資格試験に合格したから独立する前に経験を積みたい」
「今、社労士になるべく勉強中で、実務も経験しておきたい」
そういった理由の他にも、「世の中にもっと貢献したい」という思いから社労士事務所での勤務を希望される方は多いです。
その一方で、
・実務経験がなくても、採用してくれるのだろうか?
・経験も、資格も持ってないと、経験者や資格者と比べて不利なのでは?
そういった不安を持たれている方も多いのも現実です。
今回は、そんな社労士事務所で働きたいけれど、資格や経験の有無で不安になっている方向けに社労士事務所の求人というテーマで解説していきましょう。

【社労士事務所に就職・転職したい人必見】避けるべき社労士事務所と未経験や資格なしの求人について解説

社労士事務所の実態

社労士事務所の求人について解説する前に、社労士事務所は、そもそもどんな職場なのかについて触れていきましょう。

小規模・少数精鋭で運営

社労士事務所は、個人事業主の先生が、スタッフ数名の小さな規模で運営されているものが大半です。
少数ながらも、規模の大きなオフィス然とした事務所も存在しますが、皆さんが求人で目にする社労士事務所は、やはり、大半が小規模の事務所であると思っておいた方がいいでしょう。
社労士業は、ご存知の通り、企業や社会に対する貢献度も高く、それはやりがいにもつながりますが、些細なミスが大きな損害を招く責任の重い仕事でもあります。
そういった業務を少人数でオペレーションしているため、スタッフ個々人にも、それ相応の高いプレッシャーがのしかかることとなります。
しかしながら、事務所運営に関わる幅広いことを間近で学ぶことができるのは、小規模経営の社労士事務所ならではの貴重な経験といえます。

繁忙期・残業は?

社労士の主な業務は、顧問先企業の雇用・社会保険の手続き代行や給与計算等です。
給与計算は毎月発生する業務であり、納期がタイトであり、ミスが許されない繊細な業務であることから、社労士事務所自体、ハッキリとした閑散というものはなく、ベースとしてある程度の業務量が常にあり、これにシーズン的な繁忙業務が上乗せされるイメージとなります。
繁忙期としては、人事異動が多く発生する年度の切替わり、労働保険の年度更新、社会保険の算定基礎がある4~7月(特に6月~7月初旬)と年末年始が、事務所全体として業務負荷が高いものとなります。

気になる待遇は?

先述の通り、社労士事務所の多くは、個人経営のいわゆる零細企業です。
このため、資格者や経験者であっても、高いレベルの収入は期待できないと思ってよいでしょう。
個人経営の小規模の社労士事務所であれば、正社員で年収200~300万円台の待遇が多いです。
しかしながら、人数が少ないということは、事務所内での出世は比較的容易なので、その社労士事務所が拠点拡大路線の方針であれば、支店責任者のポジションも射程内に入るでしょう。

避けるべき社労士事務所のチェックポイント

次に、働く社労士事務所を選ぶ際に、避けた方がいい事務所というのは、どういったものが該当するのか、解説していきましょう。

常に求人が出ているとNGとは限らない

求人サイトやハローワークなどで、社労士事務所の求人情報を検索した際に、いつも求人が出ている社労士事務所があるかもしれません。
一般的には、常に求人が出ている会社は、離職率が高いと認識されることが多いですが、常に求人を出している事実だけをもって、離職率の高い事務所だと判断することは早計です。
社労士業務は、責任が重い業務であり、採用する人材に関しては、事務アシスタントであったとしても採用にかなり慎重なスタンスを採る事務所は多いのです。
つまり、選考の結果、採用に至らないから、いい人材と出会えるまで求人を出し続けている可能性もあります。
一方で、求人募集の情報が、表示されるときもあれば、表示されないときもあるというのが、頻繁に見受けられる事務所に関しては、採用→離職→採用→離職といったような図式が見られるかもしれませんので、そういった離職率の高い事務所は避けた方が賢明でしょう。

男女比に注目

責任を伴う業務が多い社労士事務所においては、きめ細かい気配りができる人材が好まれますので、職場の性別は、女性の方が多い傾向にあります。
このため、事務アシスタントを募集している社労士事務所は、表向きでは男女問わずと募集していても、実際のところは女性スタッフの採用に積極的になる場面があります。
男性の方で、社労士事務所を志望される方は、求人情報の中に、男女比や職員数が載っていないか確認しましょう。
女性ばかりの構成になっている事務所であれば、やはり、居心地の悪さを感じしてしまい、離職に至る可能性もありますので、男性スタッフが少数でも在籍している事務所に絞った方が、賢明でしょう。

規模の大きさについて

先述の通り、社労士事務所は、個人事業主レベルの小規模で運営されている事務所が大半を占めますが、中には、資格者や職員を数十名規模で抱える大きな事務所も存在します。
当然、規模が大きければ、常に職員を募集している可能性もありますし、大きな規模ということは、待遇の方も期待できることでしょう。
ただし、大きな規模であれば、あなたに適しているとは限りません。
あなたが社労士事務所で、どのようなキャリア形成をしていくのかで、最適な社労士事務所の規模感は異なる場合があります。
独立開業志望で、経験を積んだ後、独力で事務所を運営することを望まれているのであれば、事務所運営の大事なイロハを間近で学べる小規模な社労士事務所が適しているかもしれません。
大きな規模の事務所であれば、業務はシステム化されており、限られた範囲の業務しか経験できない可能性もあります。
一方で、長期間、安定した待遇の下、勤務したいということであれば、規模の大きな社労士事務所が適していることでしょう。
規模の大きな社労士法人であれば、年収400~500万円台の待遇も射程に入ります。

社労士事務所に未経験や資格なしで転職する方法

社労士事務所がどんな職場なのか?
応募を避けるべき社労士事務所の特徴がわかったうえで、今回のキーポイント「未経験と資格なしの場合どれだけ採用に影響するのか?」これについて解説していきましょう。

社労士事務所で求められる“素養”とは

確かに採用するのであれば、経験と資格があれば有利となります。
採用する立場からすれば、経歴書などで必ず着目する点となるでしょう。
しかしながら、経験と資格は、あくまでも有れば、有利になるだけであって、採用を決める決定打になることはあまりないでしょう。

「看板を背負うに足る」人物か

乱暴なたとえになるかもしれませんが、自動車の運転免許を持っているからといって、全員運転が上手なわけではありません。
免許取得後まったく運転したことのない、いわゆるペーパードライバーだっています。
今までたまたま減点されていないというだけで、危ない運転をするゴールド免許保持者も珍しくありません。
社労士事務所の採用に置き換えても、同じことがいえます。
経験や資格を有していても、社労士業務に求められる素養があるとは限りません。
「この人に、ウチの事務所の看板を背負わせても恥ずかしくないか?」
「大切な顧問先のために、この人は誠意をもって応えてくれるのか」
こういった、そもそもの素養がないと判断すれば、採用されることはないでしょう。
この素養自体は、その社労士事務所を営む先生によっても異なるかと思いますが、社会人としてのマナー、基本的な業務遂行能力というのはここに該当するでしょう。

理論立てて話すことができる人物か?

社労士業務では、小難しい理屈を噛み砕いてクライアントに説明する等、問題が起こった際、理路整然と関係各位に伝達する能力が必要となります。
コミュニケーション能力としては、かなりレベルの高い分類になりますが、採用面接時での受け答えから、志望者にこの素養があるかどうかも、少なからず問われていると考えた方がよいでしょう。

事務能力やきめ細かさは重要

社労士事務所の業務は、事務作業が多くの割合を占め、書類の作成と整理、そのチェック作業に時間を多く費やすこととなります。
したがって、パソコンでの基本的な入力作業がある程度できるというのは、選考上有利になります。
今では、ペーパレス化が進んできているものの、ひと昔前までは、紙媒体での書類のやりとりが非常に多い社労士業界においては、年配の社労士を中心に、パソコン作業はどうも不得手という方も珍しくはありません。
パソコンやその周辺の知識面で困る先生方も多いので、この辺りに関してある程度の知識を有している方は重宝される傾向にあります。
また、書類チェックの際や、書類そのものの扱いに関して、繊細さが求められる業種のため、チェックの精度や、丁寧さといった「きめ細かい気配り」ができる人というのは、社労士業界に限らず、士業全体にとって、重宝されます。
そういった「きめ細かさ」を選考過程でアピールできれば、かなり有利となります。

未経験や資格なしでも関係ない?

ここまで、社労士事務所において、必要とされる素養のいくつかを挙げましたが、未経験や資格なしといった一見肩書にインパクトがない方でも、こういった素養が垣間見える方であれば、社労時事務所の選考において、経験や資格がある方にも決して引けを取ることはないでしょう。
そもそも、社労士業務の経験や社労士資格を持っている人を、採用する側がどれだけ求めているかといえば「あれば尚良」とされる程度であり、求人を見れば経験や資格が必須となっている案件は多くないはずです。
というのも、社労士業務においては、事務所の代表が資格者であれば、さらに別の資格者が必要になるという場面は、そうそうありません。
事務所として、多くの資格者を擁していることはアピールポイントになりますが、「事務所の強み」につながるかは別の問題です。

まとめ

未経験でも資格なしでも、社労士事務所で働くことは、できるのか?
この問いに関する、結論はYESです。
経験と資格は、選考や業務においては、有利に働くことはありますが、先述のとおり、社労士業務で重要になるのは、別の素養です。
今回の内容が、社労士事務所を志望する方々にとって、有意義な指標になればなりよりです。