社労士事務所でやめたいときに取るべき対応まとめ【やめたい理由や社会保険労務士のキャリアプランも解説】

2021年3月8日

2章.社労士事務所の待遇2-3.社労士事務所のリアルな職場

この記事でわかること

  • 社労士事務所をやめたいと思うよくある理由がわかる
  • 社労士事務所をやめたいときに取るべき対応がわかる
  • 社労士事務所の経験者のキャリアプランがわかる

難関国家資格である社会保険労務士に合格して、社会保険労務士としてのキャリアを歩み始めた方がいる一方、「社会保険労務士をやめたい」と悩んでいる方もいます。やりがいを感じるか感じないかは人によってさまざまですが、やっとの思いで社会保険労務士試験に合格したのに、なぜやめたいのか、不思議に思う方もいるのではないでしょうか。

本記事では、どのようなときに社会保険事務所をやめたいと感じてしまうのかを解説します。

社労士事務所でやめたいときに取るべき対応まとめ【やめたい理由や社会保険労務士のキャリアプランも解説】

社労士事務所をやめたいときによくある理由

射労委事務所での勤務をやめたいと悩んでいる方によくある理由は主に4つあります。

細かい業務が多いこと

社労士事務所で扱う業務のメインは、雇用・社会保険関連手続き、帳簿書類作成、給料計算など、毎回正確さや丁寧さが求められる業務です。特に給与計算などは間違いが許されません。また、これらの業務は月末月初に重なることが多かったり、クライアントからの要望にはすみやかに対応しなければなりません。

事務作業と言っても、専門性が要求されます。実際にやめられた人の理由の中には、ルーティンワークが多く退屈である、一つ一つの作業の責任が重い、クライアントからの急な連絡がよくあるのでリラックスできない、クライアントの要望に素早く応える必要があるので休みが取りづらいなどがあります。

代表(所長)に絶対的に権力があること

社労士事務所によって様々ですが、その事務所の代表(所長)に絶対的な権威がある場合が多いです。一般企業と同様で、社長などのトップの指示には従う必要はありますが、社労士事務所の場合、事務所の規模が大きくないため、より代表の影響が大きいと言えます。

強いこだわりを持つ代表の場合、業務の進め方やルールなど、代表の意向を汲む必要があります。また、クライアントの違法行為や推奨されない行為(グレーゾン)などを黙認させられるだけではなく、どうやったら発覚しないかをアドバイスしなければならないなど、代表の指示に従わなければいけないケースもあります。

必ずしもこのような事務所ばかりではありませんが、大なり小なり代表の意向は無視できないので、相性が合わない代表の場合、退職の理由になります。

給料が安いこと

社労士事務所での仕事は、迅速な対応や責任が求められるわりに給料が安いという傾向があります。そのため、モチベーションが保てない、将来が不安という声もあります。

一方で、一般企業でいう「執行役員」や「取締役」である「パートナー社員」になると、給与は高額になる傾向があります。実務経験をたくさん積んで、パートナー社員として活躍するという道もありますが、約束された道ではありませんので、短期的には給与面は退職の理由の一つになることが多くあります。

想像していた仕事と違っていたこと

労働保険や社会保険、人事に関する仕事をメインに扱うことを想像していても、実際には、給与計算や行政への手続きなど、想像していた仕事と異なる仕事を担当するケースもあります。

事務所が契約しているクライアントによって、またクライアントと接する業務かどうかによっても業務は異なりますが、業務内容が面接の話とは違ったり、ルーティンワークばかりでクリエイティブな業務がないことも理由の一つになります。

社労士事務所をやめたいときに取るべき対応

やめたいと思ったときは、今すぐにでも上司に退職を告げたいという気持ちになりがちです。しかし、感情的に行動すると、後々後悔することになります。ここでは、やめたいと思ったときに取るべき対応を紹介します。

これまでの業務を振り返る

もっとも大切なのは、なぜやめたいのかを明らかにすることです。
やめたいと思った原因がわからないと、今の職場をやめたとしても次の職場で同じ問題に突き当たる可能性があります。
これまでの自分の仕事を振り、やめたいと思った理由を探ると良いでしょう。振り返るポイントは以下の5つです。

  1. いまの職場でどのような業務を行なってきたか。(直近だけではなく数年、数ヶ月前まで振り返ってください)
  2. 1で挙げた業務の中で、楽しい・やりがいがあると思ったのはどのような業務か。
  3. 1で挙げた業務の中で、苦しい・やりたくないと思ったのはどのような業務か。
  4. いまの職場、もしくは行ってきた業務で得たものは何か。それらは自分のキャリアにとって必要と思えるか。
  5. 何がきっかけでやめたいと思ったか。(業務内容、人間関係、マンネリなど)

いかがでしょうか。なぜやめたいのか整理することはできたでしょうか。
業務は楽しいけれど、給与が安いことが理由だとわかれば、やめる前に上司や代表に相談すると良いでしょう。
また、いま担当している業務が苦しい、やりたくないということであれば、仕事内容の変更を相談したり、結果的にやめることになったとしても、次回の職場で生かすことができます。

やめたい理由を整理することで、自分でどうにかできる問題なのか、できない問題なのか。誰かに働きかけることで変えられる可能性はあるのかないのかを明確にしてみて下さい。

転職関連の本・動画を見る

やめたい理由が明確になったとしても、やめどきを見計らうこと、そして、本当にやめるべき状況なのかを考えることは重要です。本や動画などで他人の意見や考えを聞き、感情的に行動するのではなく、客観的な視点をもつことをおすすめします。
やめることのメリット・デメリットを意識しながら見てみると良いでしょう。

期限を決めてそこまで頑張る

やめたいと一度思うと、やめるにはどうしたら良いか・・という思考で頭がいっぱいになってしまいます。
そうすると、やめたい→やめる方法を考える→業務に集中できない→うまくいかない→注意される→よりやめたくなるという悪循環に陥ってしまいます。その結果、すぐに上司に退職を告げるということになりがちです。

もしやめたいと思ったときには、やめる方法を考えることをぐっと我慢して、期限を決めてそれまで頑張ってみるのもおすすめです。
人間の気持ちは変わりやすいものです。1ヶ月後には気持ちが変わっていることもあります。ですから、1ヶ月後もやめたい気持ちが変わっていなければ上司に報告するなど、期限をつけてその期限までは頑張ってみるのも良いでしょう。

一方で、今の仕事が精神的に苦しく、体調にも支障をきたしている場合は我慢せずに退職してください。

自分に原因がある場合は改善してみる

やめたいと思った理由の根底に、自分が原因であったというケースもあります。
例えば、信頼されていないことがつらいというケースでも、実は自分のスキルが不十分だからということもありえます。また、よく注意されるのが納得できないというケースでも、自分の仕事が丁寧ではないから、報連相がきちんとできていないからなど、よくよく振り返るとご自身の仕事のやり方に原因がある場合もあります。

これらに関しては、ぜひ改善を試みてください。すぐに改善できないとしても、努力していることがわかれば、上司や仲間からの反応は変わってくるはずです。

事務所側に原因がある場合はやめるのも一案

なぜやめたいかをよくよく考えたときに、自分だけでは解決できない、事務所側の問題である場合は退職を検討するのが良いでしょう。

法律違反の業務をさせられる、残業代など支払われるべき手当を支払ってもらえないなどは、ご自身で改善の働きかけをしてみても、解決できないことが多いです。その場合は、退職を検討するのが最善策かもしれません。

第三者に話してみる

自分の考えを口に出して第三者に話してみると、頭を整理することができます。第三者からの質問に答えているうちに、自分の深層心理に気付けることもあります。
話す相手は、家族、友人、同僚のほか、キャリアカウンセラーなど、ご自身の本音が話せる人が良いでしょう。

社労士事務所経験者のキャリアプラン

社労士事務所で勤務の経験がある人のキャリアプランを4つご紹介します。

勤務社会保険労務士として働く

勤務社会保険労務士は、特定の企業に雇用されながら、その企業の専属の社会保険労務士として活躍する人をいいます。
その企業の専属であるので、第三者のために働いて報酬をもらうことはできません。一方で、収入が安定するというメリットのほか、属する企業の社員のために働いているので、信頼を得られやすく、やりがいを感じられることも魅力です。

別の社労士事務所への転職

もっと専門性を磨きたい、家庭と仕事の両立を推奨する環境で働きたいなど、社労士事務所の業務自体を継続したい方が多く選択されます。
ご自身のキャリアプランや家庭の状況などに合う事務所を探すことをおすすめします。

一般事務への転職

社労士事務所で働く人の多くは、誰かをサポートする仕事が向いているため、営業アシスタントや一般事務などに転職する方が多くいます。
社労士事務所での経験が評価されて、給料が上がる人もいます。また、一般企業は組織の体制や福利厚生が整っていて働きやすくなったという声も多く聞きます。

産業カウンセラー、人事コンサルタントとして独立

人事や労務などに強い関心を持つ方は、産業カウンセラーや人事コンサルタントとして独立する方もいます。

産業カウンセラーは、一般企業などでカウンセリングをおこなう民間の資格です。労働者が抱える問題を心理学的な手法を用いてサポートします。

人事コンサルタントは、企業が抱える課題を分析・明確化した上で、解決策を提案し、その実行の支援などを行います。等級制度や報酬制度などの制度構築、スタッフのモチベーションアップ等の組織改革など、ご自身の専門に合わせて助言・支援をします。

社労士事務所経験者の求人の探し方

求人を探す際の代表的なサイトは、厚生労働省が管轄するハローワークや、民間企業が運営するサイトです。それぞれの求人の探し方のポイントをご紹介します。

ハローワークで探す

ハローワークの求人情報検索から探す場合は、職業分類から、「B 専門的・技術的職業>18 経営・金融・保険の専門的職業>183 社会保険労務士」を選択するのがおすすめです。
社労士事務所の求人が多数表示されます。また、社会保険労務士有資格者の求人に限らず、資格がなくても可能な事務スタッフや社会保険労務士補助者などの求人も調べることが可能です。

転職サイトで探す

民間の転職サイトで探す場合は、「業種」で「専門サービス業」や「コンサルティング」と検索すると良いでしょう。
「経験・スキル」の項目が設けられているサイトであれば、社会保険労務士を選択すると、社労士事務所に限定することができます。そのほか、フリーワードで「社会保険労務士」と検索するのもおすすめです。
また、士業に特化している転職サイトもありますので活用してみてください。

まとめ

社労士事務所をやめたいと思う代表的な理由と、やめたいと思ったときにとるべき行動についてご紹介しました。

仕事をやめるということは、自分自身にとっても家族にとっても大きな決断です。後悔のないよう、本記事を参考に、やめたい理由を冷静に考えて次のステップを判断していただきたいと思います。