社労士事務所への就職・転職には資格が必要?未経験者・無資格者に求められるスキルや人物像を解説
2021年3月6日
1章.社労士業界の就職・転職1-1.就職活動ノウハウこの記事でわかること
- 社会保険労務士事務所への転職の際に、資格が必要かどうかがわかる
- 社会保険労務士事務所への就職・転職の時に求められるスキル・人物像がわかる
- 社会保険労務士事務所での就職の時に気をつけることがわかる
昨今の新型コロナウイルス感染症は、私たちの雇用にも大きな影響を及ぼしています。
解雇や雇い止めで苦しんでいる人を少しでも助けたい、今後を見据えて雇用に関する知識を身につけながら働きたいという方も増えてきています。
そのような中で雇用・労務のプロである社会保険労務士を目指し、資格の勉強を始められた方もいるのではないでしょうか。
しかし、社会保険労務士試験は毎年8月、年に1回の実施のため、いますぐに資格を取得することができません。
では、資格がないうちは一切、雇用・労務に関わる仕事ができないのかと言うと、そうではありません。
社会保険労務士事務所で働くという方法があります。
ここでは、資格がなくても、未経験でも社会保険労務士事務所で勤務することができるのか、転職の際に求められているスキル、気を付けるポイントなどを解説します。
社労士事務所への就職・転職は資格必須ではない
社会保険労務士事務所は人事・労務管理、社会保険や年金などのプロです。
社会保険労務士になるには国家試験である社会保険労務士試験に合格しなければならず、専門性が必要とされている分野と言えます。
しかし、実際に社会保険労務士事務所で働いているスタッフ全てが有資格者ということはありません。
そのため、社会保険労務士事務所には社会保険労務士補助者(社労士アシスタント)や一般事務員も働いています。
また、有資格者であっても未経験からスタートする方も多くいます。
社会保険労務士事務所が扱う業務は一般的に以下です。
- 行政機関に提出する書類の作成、事務手続き(提出代行事務・事務代理)
- 帳簿などの書類作成
- 紛争解決手続きの代理業務(特定社会保険労務士のみ)
- 指導、相談業務
未経験・無資格者であっても、手続き書類の作成や給与計算、行政機関への届出、労務相談のフォローなどは、有資格者や先輩社員のサポートによって行うことができます。
社労士資格を必要資格としている社労士事務所もある
社会保険労務士事務所は、所属する社会保険労務士などのスタッフの人数により、その規模がさまざまです。
また、社会保険労務士事務所によってもクライアントの会社規模は異なり、クライアントの会社規模によっても社会保険労務士事務所に求める業務・ニーズはさまざまです。
どの社会保険労務士事務所でも共通して扱う手続き書類の作成や給与計算、行政機関への届出、労務相談のフォローなどは、未経験であっても有資格者や先輩社員のサポートによって行うことができるということは先ほど述べました。
一方で、今後AIやデジタル化の普及によってメインになってくると予想される指導・相談業務(コンサルティング業務)については、資格や経験が求められることも多々あります。
なぜならば、指導・相談業務というのはクライアントの状況や希望によって解決策がさまざまで、マニュアル化しづらい業務だからです。
そのため、多くの経験を積んでいる社会保険労務士はとても信頼されます。
また、クライアント対応においても資格があると良いケースもあります。
社会保険労務士試験の受験者数は年々減少してはいますが、毎年一定数の合格者が出ています。
その中には、開業せずに会社に勤務する方(勤労社労士)も多くいます。
その結果、クライアントの労務・総務担当者が社労士有資格者ということも珍しくなくなりました。
そうなると、無資格者ではなく有資格者からアドバイスをもらいたいと思うことは当然ですから、有資格者であることを重視している事務所もあります。
資格、経験を重視している事務所かどうかは、事前の調査や企業分析を行うことで知ることができます。
また、資格重視と書いてある場合でも、有資格者が必要なのか、それとも有資格者と同等の知識が求められているのかによって異なります。
無資格でも、これまでの経歴から有資格者以上の知識や経験があると認められる場合もありますから、しっかり調べることをおすすめします。
社労士事務所の就職・転職時に求められるスキル・人物像
未経験であっても社会保険労務士事務所に転職することはできますが、実際にどのようなスキルや人物が求められているのでしょうか。また、就職後の仕事への向き合いなどについてもご紹介します。
正確な仕事ができる人・親身になれる人
社会保険労務士の独占業務(1・2号業務)である、社会保険の書類作成や手続き、労働者名簿などの帳簿の作成などは、正確さが求められます。
もちろん、社会保険や労務・人事、年金などの専門的な知識が必要になりますが、独占業務(1・2号業務)においては、未経験でも国や公的機関のホームページや資料などを確認しながら行えば、対応できる業務でもあります。
そのため、未経験であったとしても、丁寧に正確な仕事ができる方は必要とされると言えるでしょう。
また、クライアントが社会保険労務士事務所に対して求めることは、迅速な対応をして欲しい、会社の立場に立ったアドバイスがほしい、親身になってほしいというものが多いです。
指導・相談業務は、1・2号業務より専門性が求められる領域ではありますが、仕事への向き合い方が問われることが多くあります。
親身になって丁寧に対応できる人は、未経験でも求められる人物像と言えるでしょう。
チームワークを大切にできる人
社会保険労務士事務所での業務はチームワークが重要です。
繁忙期はもちろん、通常の業務においても、スタッフ同士が助け合い、いつでも相談できる環境であれば、スムーズに業務が進められます。
自分が良ければいいという考えではなく、自分の仕事が終わった時に周りを手伝ったり、周りへの配慮ができたりする人はとても重宝されます。
資格が最も偉いと勘違いをしていない人
やっとの思いで社会保険労務士試験に合格、晴れて有資格者となった場合でも、有資格というだけでは採用されないことが多くなってきました。
有資格であることに加え、上記に述べた人物像であればなお歓迎されることでしょう。
有資格者だからと言ってスタッフに対して横柄な態度では、就職後、スタッフの協力を得られないこともあり、自分の首を締めることにも繋がりますから注意が必要です。
また、全ての社会保険労務士事務所の代表がそう考えているとは限りませんが、有資格者を採用する場合、数年勤務されてクライアントを持ち出される、ノウハウを身につけて独立開業されるという不安はあるようです。
この点においては、面接時から自分の将来のキャリアをどう考えているか、採用後の日頃のコミュニケーションなどで解消するのが良いでしょう。
社労士資格がない方が社労士事務所で勤務するときに意識したいこと
最後に、未経験・資格なしの方が社会保険労務士事務所で勤務するために意識してほしいことを解説します。
無事就職できたとしても、長く、やりがいを持って働き続けるためにぜひ意識してもらいたいポイントです。
資格なしでもできる職種を選ぶ
社会保険労務士事務所の求人を探す際に、資格がなくても問題のない職種であるかどうかを確認することが大切です。
社会保険労務士補助者(社労士アシスタント)や一般事務職などは資格がなくても働くことが可能です。
事務所によっても業務内容が異なりますので、事前に確認したり、わからない場合は直接問い合わせしたりしてみると良いでしょう。
志望動機や転職の理由をきちんと考えておく
志望動機や転職の理由は、書類選考や面接において重要なポイントの一つです。
- なぜ社会保険労務士事務所の業界を選んだのか
- なぜ当事務所を志望したのか
- なぜこの職種なのか
- 仕事への向き合い方
- この仕事の経験をどう活かしたいか
上記の内容は事前に考えておくと良いでしょう。
これらをしっかり伝えることで、人となりを理解してもらうことができ、頑張りを評価してもらいやすくなります。
その結果、任せてもらえる業務の幅が広がるということも期待できます。
未経験・無資格をカバーする自分の強みをアピール
未経験・無資格であっても応募可能の事務所もありますが、経験者優遇であることは否定できません。
未経験・無資格をカバーするために、自分の強みをきちんと伝えられると良いでしょう。
求められるスキルとして、正確な仕事ができる、親身になって対応できる、チームワークを大切にできることなどは伝えましょう。
社会保険労務士事務所で扱うような、人事・労務、年金などの仕事とは全く違う業界や職種の方であっても、前職で得た経験から社会保険労務士事務所の業務にどう活かせるのかということはアピールしましょう。
また、社会保険労務士の資格勉強中の方は、すでに基礎知識を持っているため、優遇してもらえる可能性があります。面接でしっかり伝えましょう。
まとめ
社会保険労務士事務所で働くためには、資格は必須ではないことがわかりました。
ただし、資格や経験の有無は事務所によっても様々で、事前に調べて応募することが必要です。
未経験可であったとしても、社会保険労務士事務所は、人事・労務、社会保険労務や年金のプロですので、無事転職できたあとは、少しでも知識をつける努力も必要なのではないかと思います。
応募時点では知識がなくても、今後仕事を通して知識をつける努力をする姿勢や、自分の強みをしっかりアピールすることで、希望する社会保険労務士事務所での転職を成功させてください。