社労士事務所の仕事が辛いと感じる理由【辛いと感じたときの対処法も解説】

2021年5月25日

2章.社労士事務所の待遇2-3.社労士事務所のリアルな職場

この記事でわかること

  • 社労士事務所での仕事が辛いと感じる理由が理解できる
  • 社労士事務所での仕事が辛いと感じたときの対処法がわかる
  • 社労士事務所から転職するときの求人の探し方と社労士事務所以外の転職先がわかる

ここ数年でワーク・ライフ・バランスや働き方の多様性が注目されるようになりました。
社労士は労務のスペシャリストであり、社会全体の労働環境や労働力の生産性をよりよくできる社会的意義のある仕事です。
しかし、社労士事務所で働いている人の中には、仕事が辛くて辞めたいと感じている人も少なからずいます。

この記事では、社労士事務所での仕事が辛いと感じる代表的な理由とその対処法を解説します。
もし転職を検討する場合の求人の探し方と、社労士事務所以外の転職先もまとめました。
今、社労士事務所の仕事が辛いと感じている方にとって、現状を改善するヒントになれば幸いです。

社労士事務所の仕事が辛いと感じる理由【辛いと感じたときの対処法も解説】

社労士事務所での仕事が辛いと感じるよくある理由

社労士事務所での仕事が辛いと感じる理由は人それぞれですが、よくある理由を5つ紹介します。

仕事が単調でつまらない

書類作成や提出代行、給与計算を主に扱っている事務所では、いつも同じ仕事でつまらなく感じてしまうという人もいます。
1つひとつが大切な業務と理解はしていても、毎日パソコンに向かって事務作業してばかりだと辛く感じることもあるでしょう。
顧問契約を結んで毎月淡々と決められた作業をするだけという場合、成長が感じられなくて辛かったり焦りを感じたりするかもしれません。

特に、コンサルティング業務を通して経営者と深く関わりたいという向上心の強い人が陥りやすい理由です。

常に勉強が必要

社労士は労務の専門家として常に勉強が要求される職業です。
少子高齢化や働く環境の変化の影響で、毎年のように法改正が起こります。
当然ながら法改正の情報はいち早く理解しておく必要がありますし、労務関係のニュースを把握することも欠かせません。
顧客から質問されたときに、答えられないようでは専門家としての信用を失うでしょう。

また、経営者と対等に話ができるように、経営論や経済状況にも明るいほうがよいです。
勉強する範囲が広くて終わりが見えず、仕事そのものまでもが辛くなる人もいます。

ミスできないというプレッシャー

社労士業務ではミスが大きな問題に繋がる可能性があるため、正確な作業が求められます。
たとえば、給与計算を間違えたら、企業に対する従業員の信頼が揺らぎかねません。
申請書でミスをして顧客の手を煩わせるようでは、何のために顧問料を払って委託しているのかとクレームの原因にもなります。

ミスできないという状況がストレスになり、仕事が辛いと感じるのでしょう。

書類を提出後に「間違いがあったかも」と不安になるような人が当てはまりやすいです。

給料が低い

社労士事務所の給料が低い場合も仕事が辛い理由になります。

給与額には個人差や地域差があり一概には言えませんが、規模の小さな社労士事務所では一般企業の人事・労務部よりも給与水準が低いケースがあります。
特に、開業しているわけではなく、個人の社労士事務所に雇用されているうちは給与が低いです。
ただ、将来独立するために経験を積んでいる勉強期間だと思えば、給与の安さは苦にならないかもしれません。

人間関係がストレス

社労士事務所での仕事に限らず、人間関係が悪いと仕事そのものが辛くなりますよね。
社労士事務所では少人数で運営していることが多く、お客様を除けば狭い人間関係の中で仕事をすることになります。
少ないメンバーで協力して業務を進める必要があるので、毎回やり取りに気を遣うようでは神経がすり減ってしまいます。
事務所で過ごす時間が長いので、事務所の居心地が悪いと仕事が辛いと感じるでしょう。

社労士事務所の仕事が辛いと感じたときの対処法

社労士事務所の仕事が辛いと感じたときの対処法を紹介します。
仕事が辛いときに、漫然と頑張るのは心身の健康に悪影響です。
自分なりにできる対処法を試して改善を試みましょう。

期間を決めて頑張る

社労士事務所での仕事をまだ始めたばかりの人は、仕事に慣れていなくて辛く感じているだけかもしれません。
仕事に限らず、新しい環境に飛び込んだときは誰でも少なからずストレスを感じるものです。
はじめは教えてもらうことばかりで気を遣いますが、仕事を覚えるにつれて事務所内の人間関係もうまくいく可能性があります。

ただ漠然と頑張るのは精神的に辛いので、働き始めたばかりならまずは3か月などと期間を決めて頑張ってみましょう。
期限を決めると、その期間は全力で頑張れるものですし、その期間をクリアできると「もう少し続けてみようかな」と思えることも少なくありません。

スキルアップを目指す

もし仕事内容がつまらなく感じられて辛いのであれば、スキルアップすることで別の業務も担当できることをアピールします。

社労士事務所に就職すると、まずは事務作業から任されることが多いです。
まず1つの手続きに慣れてから次、というように進むので、はじめは同じような作業ばかりに思えるのは仕方がありません。
マニュアル通りに作業するだけで単調に感じるかもしれませんが、1つずつこなすことで労務管理の基本知識と一連の流れが身に付けられます。

単なる作業と捉えるか、勉強のチャンスと捉えるかで仕事に取組む姿勢は変わります。
単調な仕事でも確実に作業することで、より難易度の高い仕事を回してもらえるように信用を積み上げましょう。
同じ事務所内にあなたがやりたい業務をしている先輩がいれば、その人をロールモデルにしてスキルアップするのもよいでしょう。

転職を検討した方がよい社労士事務所の特徴

自分の意識や行動を変えるだけで仕事が辛くなくなることもありますが、自分ではどうしようもできない状況もあります。
転職を検討したほうがよい社労士事務所の特徴をまとめました。

自分のやりたい方向性と合っていない

社労士事務所の運営方針は代表者によってまったく違います。
労務のアウトソーシング先として事務作業が多い事務所もあれば、労務相談や人事評価制度の刷新などコンサルティング業務に力を入れている事務所など様々です。
企業を主な顧客としている社労士事務所が多いですが、年金の個人相談などが中心の事務所もあります。

たとえば、あなたが人事制度で従業員の生産性を向上させることに特化した社労士を目指しているとします。
それなのに、所属する社労士事務所は障害年金の申請代行が中心だとしたら、キャリアプランの方向性と合っていません。

自分のやりたい分野の仕事がなければ、自分で営業して獲得してくるか、他の社労士事務所への転職を検討したほうがよいでしょう。
転職する際は、自分の身に付けたい専門分野を得意としている事務所を探します。

人間関係が悪い

人間関係が悪い場合、自分が環境に慣れることで解決することもありますが、相手次第でどうしてもうまくいかない場合もあるでしょう。

セクハラやパワハラが横行している事務所は問題ですが、特に目立った問題がなくても人間同士の相性というものはあります。
社労士事務所に限らず、職場でのストレスは人間関係が原因であることが多いです。
社労士事務所は少人数でチームワークを発揮するという働き方なので、自分の努力ではどうしても改善できない人間関係上の問題があるなら、転職を検討するほうがよいかもしれません。

社労士事務所に転職するときの求人の探し方

社労士事務所に転職するときの求人の探し方を紹介します。

転職サイトで探す

転職サイトやハローワークで探す方法が一般的です。
社労士事務所は求人自体が少ないので、時期によっては応募先の候補が見つからない場合もあります。
繁忙期である4月や7月頃は、比較的求人が多くなっています。
もし1年近く働いてみて方向性や雰囲気にどうしても合わせられない、という場合は、その時期の転職を検討してみてもよいでしょう。

転職エージェントを利用する

転職エージェントと提携している社労士事務所は多くありませんが、自分との相性を見極めてから応募したい人は利用を検討してみましょう。
担当者は応募先の詳細な情報を把握しているので、転職後のミスマッチをある程度防げます。
地方での転職を予定している場合は、転職エージェントに登録しても紹介される求人がないかもしれません。
転職サイトでの求人探しも並行して行うほうが、転職活動期間を短縮できます。

社労士事務所のホームページで探す

社労士事務所のホームページに求人が掲載されている場合があります。

働きたい地域が決まっているなら、狙いを定めてホームページを回るのもよいでしょう。
求人のページだけでなく、業務内容や経営理念のページもしっかり読みます
そうして、なるべく応募前に自分に合う事務所かどうか確認しておくことが大事です。

社労士事務所以外で社労士資格が活かせる職場

社労士事務所からの転職を考えたとき、社労士事務所以外の選択肢もあります。
社労士事務所以外で社労士資格が活かせる職場をまとめました。

他の士業事務所

弁護士、行政書士、中小企業診断士など、他の士業事務所で労務の専門家として働くことができます。
他の専門家と対等に仕事をするので、社労士資格があるだけで実務経験が乏しいと意見を出すことも叶わず厳しい状況になるでしょう。
他の士業事務所への転職を目指して、現在の社労士事務所でしばらく実務経験を積むべく頑張るという選択肢もあります。

一般企業の人事・労務部

一般企業の人事・労務部で事務職をする場合でも社労士資格が活かせます。

事務職は転職市場でも人気の職種なので、社労士資格を持っていることは他の応募者と差別化できる強みです。
管理職への転職はマネジメント経験などが重視されますが、一般的な事務職なら事務経験だけでも十分転職できます。

アウトソーシング会社

多くの企業から労務管理を請け負っているアウトソーシング会社でも、社労士の有資格者は歓迎されます。

煩雑な労務管理をアウトソーシングして、自分たちが得意な事業に人員を集中するという大企業も増えてきました。
デスクワーク中心なので、社労士としてキャリアを積んでいくには仕事の幅が狭くなりがちですが、縁の下の力持ちにやりがいを感じる、淡々と作業をこなせるような人には向いています。

まとめ

社労士事務所で仕事が辛いと感じる理由は人によって様々です。
仕事内容が単調すぎて辛い場合もあれば、法改正や最新動向についていくのに必死で辛い場合もあります。
社労士事務所に限った話ではありませんが、給与の低さや人間関係でのストレスは仕事が辛くなる有力な原因です。

まずは期間を決めて頑張ってみましょう。
時間の経過とともに、慣れやスキルアップで問題が解決することもあります。
所属する事務所との方向性の違いや人間関係の相性など、自分ではどうしても改善できない場合は転職も一つの選択肢です。

求人はハローワークや転職サイト、社労士事務所のホームページで探します。
相性を大切にしたい場合は、転職エージェントの利用もおすすめです。
社労士資格があれば、社労士事務所以外にも転職先はあります。
労務の知識を活かせば、他の士業事務所や一般企業への転職も可能です。