社労士事務所に正社員として就職・転職する際の流れ・求人の探し方【転職活動を成功させるコツも解説】
2021年5月26日
1章.社労士業界の就職・転職1-1.就職活動ノウハウ3章.社労士の仕事内容3-1.社労士事務所の仕事内容この記事でわかること
- 社労士保険労務士事務所の正社員の業務内容やメリット・デメリットがわかる
- 社労士保険労務士事務所の正社員に転職するまでに行うべきこと、流れがわかる
- 社労士保険労務士事務所の正社員への転職を成功させるコツがわかる
新型コロナウイルス感染症拡大に関連した解雇・雇い止めなどは日に日に増えています。
安定した仕事に就きたい、できる限り長期的な雇用形態で働きたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
長期的な雇用形態を代表するのが「正社員」という働き方です。
本記事では、人事・労働、社会保険や年金などのプロである社会保険労務士事務所で働く正社員がどのような業務を行なっているのか。
また、社会保険労務士事務所の正社員への転職のコツなどをお伝えします。
社労士事務所の正社員の職種と業務内容
社会保険労務士事務所で働くスタッフは、一般的に社会保険労務士有資格者と無資格者に大きく分かれます。
無資格者の方は、事務所によってその名称は様々ですが事務職、アシスタント職、社会保険労務士補助者などと呼ばれます。
社会保険労務士事務所の代表が資格を持っている場合は、無資格者でも実務を行っても問題ありません。
また、正社員の定義は明確に法律で定められていませんが、以下に該当する場合は一般的に正社員とみなされます。
- 労働契約の期間(雇用期間)の定めがない (=正規雇用)
- 所定労働時間(職場で定められている正規の勤務時間帯)をフルに勤務する場合
- 働く企業と直接、雇用契約を結ぶ場合(=直接雇用)
事務職やアシスタント職の方であっても正社員で雇用される方もいます。
有資格者と事務職(無資格者)のそれぞれの業務についてご紹介します。
社会保険労務士有資格者の業務内容
社会保険労務士の業務は大きく分けて以下の4つです。
- 行政機関に提出する書類の作成、事務手続き(提出代行事務・事務代理)
- 帳簿などの書類作成
- 紛争解決手続きの代理業務(特定社会保険労務士のみ)
- 指導、相談業務
上記のうちの1〜3番目の業務は、社会保険労務士の独占業務(1・2号業務)とされています。
一方で、4番目の業務は社会保険労務士以外でも報酬を得て行うことができる業務(3号業務)とされています。
事務職、アシスタント職(無資格者)の業務内容
事務職、アシスタント職などの無資格者の業務内容は主に以下が挙げられます。
- 雇用保険、社会保険、労災保険の手続きに関する書類作成や提出代行業務
- 労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、就業規則などの帳簿書類作成
- 給与計算
- 書類の提出や郵送代行、行政機関への届出
社会保険労務士事務所によって業務内容は異なりますので、事前にホームページや求人などを確認するのが良いでしょう。
社労士事務所に正社員で勤務するメリット・デメリット
社会保険労務士事務所に正社員で働くことのメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
社会保険労務士事務所に正社員で働くことのメリットは、仕事内容、給与、福利厚生が挙げられます。
多くの場合、正社員には会社の将来を担って欲しいという期待、責任が寄せられます。
結果的に正社員は、長い期間と時間を働くことになるため、裁量の大きな仕事を任されることが多くなり、成長にもつながります。
給与面では、毎月の給与だけではなく賞与(ボーナス)や退職金、インセンティブ(報奨金)などの手当が支給されることが多くあります。
その結果、正社員の収入は高くなる傾向にあるのです。
福利厚生においても社会保険などの法定福利厚生はもちろんのこと、会社が独自に定める住宅手当や家族手当などの法定外福利厚生も充実する傾向にあります。
デメリット
正社員で働くことのデメリットは、転勤や異動の辞令に従わないといけないことや、残業や休日出勤、後輩育成などの責任を負うことなどがあります。
転勤や異動、残業の有無については、あらかじめ希望を伝えておくことはできますが、すべて思い通りになるとは限りません。
また、責任のある仕事を任され成長できることはメリットでもある一方、数値目標の達成や後輩の育成など、会社に求められることは遂行しなければならない責任もあります。
社労士事務所の正社員に転職するまでの流れ
社会保険労務士事務所に正社員として転職するには、前職へ退職の意向を伝えたり、業務の引き継ぎを行ったりしなければなりません。
下記に転職するまでの流れをご紹介します。
退職時期の設定と前職への退職意思の申し出
民法627条では、雇用期間に期限の定めのない労働契約(いわゆる正社員)は、2週間の予告期間をおけばいつでも解約できると定められています。
一方で、「1ケ月前までに申し出が必要」など、会社ごとに就業規則で退職の申告時期について定めされていることがありますので、できる限り就業規則を守りましょう。
退職意思を申し出てから退職日までは1ケ月、さらに業務の引き継ぎや有給消化期間などもありますので、退職時期については2ケ月先を考えておくのが良いでしょう。
業務の引き継ぎと社内外への挨拶
業務の引き継ぎを行うにあたり、まずはご自身の業務のリストアップを行うことが大切です。
その上で、上司と相談の機会を設けるのが良いでしょう。
上司との相談を経て、後任が決まった際には、詳細に業務の引き継ぎを行なってください。
引き継ぎに不備があると、転職後に連絡が来ることもありますので、しっかり行なっておくことをおすすめします。
また、お世話になった取引先などを含む社内外への挨拶を行うことは社会人としてのマナーです。
可能であれば後任と一緒に出向いて、後任の紹介も合わせて行うことが望ましいでしょう。
しかし、現在は新型コロナウイルス感染症の影響で、対面での挨拶が難しい場合もあります。
その場合は、ウェブ会議や電話、メールなどでご挨拶すると好印象です。
各種手続き、返却物の確認
転職先に提出を求められる資料には、雇用保険被保険者証や源泉徴収票、年金手帳などがあります。
これらを受け取れるよう、退職日が決まったら人事部などに相談、申請を行っておくことが必要です。
また、退職時には上記に加え離職票なども受け取る必要がありますので、人事部への事前の手続きを忘れずに行なってください。
反対に、会社から貸与されているパソコンやセキュリティカード、名刺や制服、社員証などは返却し忘れることがないよう、最終出勤日までに、自分のデスクの整理整頓をし、準備を進めておくことが重要です。
転職先に関する調査と事前準備
新卒採用と異なり、転職では即戦力が求められます。
有給消化期間などで久々にゆっくりしたいという方も多いかもしれませんが、ぜひ転職に向けた準備をすることをおすすめします。
社会保険労務士事務所では、労働保険や社会保険の手続き、給与計算、就業規則の作成や修正などの業務があります。
たとえばたとえば、実際に給与計算ソフトなどを触ることができるのは入職後になりますが、給与計算の基礎知識や、社員の雇用に関する必要な手続きなどは事前にテキストやネットでも調べることができますので、準備しておくと良いでしょう。
そのほか、ニュースや新聞などで最新の労務に関する話題などをチェックしておくこともおすすめです。時事的な話題は、入職後にスタッフとコミュニケーションを取る際に役立ちます。
社労士事務所の正社員への転職を成功させるコツ
転職のステップには、一般的に書類選考と面接があります。
書類選考と面接それぞれのコツを紹介します。
書類選考のコツ
書類選考で重要なポイントは、自分の考えが伝わるか、会いたいと思ってもらえるかです。
自分の考えが伝わるかという点においては、これまでの経歴などが短すぎる場合、反対に長すぎてまとまりがない場合どちらも自分の考えが伝わりません。
相手にしっかり伝えるためには、まずご自身のキャリアの棚卸しが重要です。
下記のような内容を明確にしておくと良いでしょう。
- これまでの経歴や具体的な業務内容
- 携わってきた業務でどのような成果があったか(できる限り数値化すると尚良し)
- 今までの経験で何を学んできたか、スキルとして何を得たか
決して簡単な作業ではありませんが、これまでを振り返り、些細なことでも良いので書き出してみてください。
また、実際にキャリアの棚卸しができたら、「・」などの記号や改行を使ってなるべくわかりやすく書類を書くとより一層相手に伝わるものになります。
面接のコツ
実際に面接に進んだ際に重要なポイントは3つあります。
- 社会保険労務士事務所を志望した理由を語れるようにする
- 志望する社会保険労務士事務所の分析をしておく
- コミュニケーション能力の高さをアピールする
社会保険労務士事務所を志望した理由を語れるようにする
有資格者は資格取得を目指した理由、無資格者であればなぜこの業界を選んだのか、ということは語れるようにしておくと良いでしょう。
また、ご自身の体験談を交えて話すと好印象です。
そのほか、なぜ他の社会保険労務士事務所ではなくその事務所を選んだのか、今の会社を辞めた理由なども事前に話す内容を考えておくと良いでしょう。
志望する社会保険労務士事務所の分析をしておく
上記にも述べたとおり、面接ではなぜその事務所を選んだのかを聞かれることがあります。
理由をしっかり答えられるように志望する事務所の分析しておくと良いでしょう。
分析するポイントとしては、事務所のホームページからどのような分野を強みとしている事務所なのか、また、事務所スタッフの講演や執筆内容などから事務所のポリシーや方針なども調べておくことをおすすめします。
コミュニケーション能力の高さをアピールする
社会保険労務士事務所の業務では、クライアントである企業の社長や人事・労務担当など、様々な役職・職種の方とやりとりします。
そのため、円滑に業務を進めるために高いコミュニケーション能力が求められるのです。
コミュニケーション能力とは、場を盛り上げることではなく、あくまでも仕事を円滑に進めるための調整力や人を巻き込む力、聞く力、伝える力などを指します。
これまでの経歴の中で、コミュニケーション能力を使って仕事を行ってきたことを伝えられると良いでしょう。
もしまだまだコミュニケーション能力に課題を感じている場合であっても、コミュニケーション能力が重要であることを理解していること、また、今後高めたいと思っていることを伝えてみてください。
社労士事務所の正社員の求人の探し方
社会保険労務士事務所の正社員の求人の探し方は、転職サイトを活用する方法と転職エージェントを活用する方法があります。
転職サイトを活用する方法
転職サイトの代表的なものに、ハローワークと民間企業が運営する転職サイトがあります。
ハローワークは掲載に費用がかからないため、多額の採用費をかけられない中小企業も多く利用しています。
特に社会保険労務士事務所では、大きな事務所ばかりではないので、ハローワークで求人を調べるのがおすすめです。
求人情報検索の「職業分類」から、「B 専門的・技術的職業>18 経営・金融・保険の専門的職業>183 社会保険労務士」と選択すると、社会保険労務士事務所の求人が多く表示されます。
民間の転職サイトでは、「業種」で「専門サービス業」や「コンサルティング」から検索したり、フリーワードで「社会保険労務士」と入力したりすると社会保険労務士事務所がヒットしやすくなります。
転職エージェントを活用する方法
転職エージェントは、キャリアの相談や自分にあった転職先を提案してくれます。
また、非公開求人からも提案してくれることがあります。
エージェントが社会保険労務士事務所との相性を客観的に見てくれたり、書類や面接対策も行ってくれたりすることがあります。
まとめ
正社員という雇用形態は、責任が大きく、会社からの残業や転勤などの指示に従う必要があるなど、自由度が低くなりがちです。
その分、仕事の達成感はより大きく、自分の成長にもつながります。
そして給与や福利厚生という面で安定的に働くことができます。
ぜひ働きたいと思う社会保険労務士事務所が見つかった場合には、正社員としての転職にチャレンジしてみてください。