社労士事務所で活躍できる人の特徴【入社後にすべきことやAI時代を生き抜く方法も解説】

2021年6月2日

3章.社労士の仕事内容3-3.社労士としての仕事・キャリア

この記事でわかること

  • 社労士事務所で活躍できる人の特徴がわかる
  • 社労士事務所で活躍するためにすべきことがわかる
  • AI時代でも社会保険労務士が必要とされる理由が理解できる

社会保険労務士は人事・労働、年金や社会保険などに精通した法律の専門家です。社会保険労務士を名乗るためには、国家試験である社会保険労務士試験に合格する必要がありますが、実務的な知識や経験が伴わなければ活躍することは難しいでしょう。資格を取得した後や社労士事務所に入職後も常に自己研鑽を積む必要があります。

ここでは、社労士事務所で活躍できる人の特徴や、活躍のためにすべきことなどを解説します。

社労士事務所で活躍できる人の特徴【入社後にすべきことやAI時代を生き抜く方法も解説】

社労士事務所で活躍できる人の特徴

社労士事務所に入職できた暁には、大いに活躍するという目標をもっている方も多いのではないでしょうか。社労士事務所で活躍できる人の特徴を3つご紹介します。

年齢が若いこと

未経験の場合、若いほうが有利なケースがあります。長く活躍してくれることと、成長が期待できることからです。また、若い人は過去の経験や考え方に固執することも比較的少なく、柔軟に働くことが期待できることから、積極的に採用する事務所も多いでしょう。

では、若くない人は活躍できないのかと言うと、決してそんなことはありません。
年齢に応じた職業経験、スキルなどをお持ちの場合は不利になることはなく、その経験を活かして活躍することが可能です。

社労士事務所の業務では、クライアントの悩みや課題に寄り添い、適切な解決策を提案していくことが求められますので、他業界であっても、過去の課題解決の経験や、クライアントへの向き合い方などは役に立つと言えるでしょう。

資格があること

社労士事務所では、資格があるとより活躍できる可能性が高まります。
実際の業務では、資格を持っていることがクライアントから信頼を得るために必要な場合もあります。また何よりも、社会保険労務士試験に合格していることは、社会保険労務士として働くための基礎的な学力や知識を有していることになります。

また、資格を有していることは、仕事へ意欲的であることのアピールにもなります。口で努力していると言っても、本気かどうかは簡単に判断がつきません。そのような場合には、その人の行動が判断材料になります。

社会保険労務士試験の合格の事実は、その人が努力を継続したこと、つまり意欲の証明になるため、資格は強力な武器にもなりえます。資格は、社会保険労務士試験だけではなく給与計算実務能力検定試験など、実務に関わりのある試験であれば、評価してもらえることが多いでしょう。

協調性があること

社労士事務所での活躍のためには、「人柄」がとても重要です。
個人の能力がとても高くても、社労士事務所の仕事は自分一人で完結する仕事はほとんどありません。事務所のスタッフと協力することが求められます。そため、人柄が重要視されるのです。

ひとつの例として、協調性があることを挙げましたが、そのほかにも素直であること、親身になれること、丁寧な仕事ができること、明るくてコミュニケーションが取れることなどは、活躍するためには不可欠なことと言えます。

また、クライアントに対しても同様にこの人柄が重要です。社労士事務所では、クライアントから信頼されることが大切です。
既存のクライアントと長いお付き合いをしてもらうためにも必要ですし、評判がよければ新規のクライアントを紹介してもらうことも可能です。
クライアントに対しても丁寧な仕事ができること、素直さを持ち合わせていること、親身に対応できる人は活躍できると言えるでしょう。

社会の動きに敏感であること

社労士事務所が扱う雇用や年金、社会保険などは、社会のニーズや課題に連動します。
例えば、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響で解雇者が増え、雇用調整助成金の特例措置が実施されています。また、政府の女性活躍推進により、男性の育休取得なども推奨されています。
このように、社会のニーズに合わせて法律の改正が行われ、それに伴い企業も就業規則や社内ルールを変更するなど対応が求められます。

これらの情報をいち早く取得し、クライアントに伝え対応のサポートをするのが社労士事務所の役割の一つですので、社会の動きに関心をもち、情報をキャッチできる人が活躍できます。

社労士事務所で活躍したいときにすべきこと

活躍するためには、先ほど述べた特徴の他に、ぜひやってもらいたいポイントがあります。ぜひ前向きに実践して成長しましょう。

社内コミュニケーションを活発に取る

早く活躍したい人は、社内のコミュニケーションを大切にしましょう。少し上の先輩から、事務所の代表まで気兼ねなく話せる関係を築いておくことで、必要なとき・困っているときに的確なアドバイスをもらえることがあります。

社外とのコミュニケーションや情報収集を行う

社内の情報収集も大切ですが、各都道府県の社会保険労務士会の会合や勉強会に参加して、他事務所の社会保険労務士と情報共有することも重要です。

勉強会では、自分の興味のある分野について学ぶこともできますし、同じ課題を持っている人とも知り合うことができます。
良い関係を築くことで、いざ困ったときや意見を聞きたいときに連絡を取ることもできますので、心強い仲間です。

社内のあらゆる機会を無駄にしない

活躍するには、できるだけ多くの実践を積むことです。先輩や同期とのロールプレイングや、先輩の打合せに同席させてもらうことなどはとても効果的です。

ロールプレイングは、クライアントとの模擬面談を行なうことをおすすめします。実際にやってみると十分な緊張感が味わえますし、自分がうまく説明できないことや苦手なことがわかります。
また、クライアントが気にしそうな点やよく質問を受ける点を先輩が指摘してくれますので、実践的な能力がつきます。

実際に先輩のクライアントとの面談に同席させてもらうも非常に効果的です。ロールプレイングでは味わえなかった、現場の空気、先輩のクライアント対応などを間近に、客観的に見ることができ、一気に成長できます。
同席するときは質問や気になったことをメモしておき、あとから先輩に質問するとさらに良いでしょう。

現場を知ることで、事務所で日々行なっている業務が単なる作業ではなく、クライアントのための大切な作業だとわかり、モチベーションが上がり仕事の質も向上します。

継続する

入社したては、なかなか重要な仕事を任せてもらえずやきもきすることもあるでしょう。でもそれは、能力の問題ではなく信用がまだ十分に貯まっていないと捉えることが重要です。
信用を得るのはやはりある程度の時間がかかります。それをしっかり認識した上で、すでに述べたポイントを継続して、地道に取り組んでほしいと思います。

また、単に継続するだけではなく、1ヶ月や1年単位でできるようになったことなどを振り返ると、モチベーションも維持にも効果的でしょう。

AI時代でも活躍できる社会保険労務士に求められること

AIの進歩に伴い、既存の職業の多くが淘汰されるというニュースを耳にすることも増えました。では社会保険労務士の仕事もAIに取って代わられるのかというと、そうではないと考えています。

AIに取って代わられる業務は「単純作業」。つまり、申請書類の作成や、手続き、給与計算などは一程度決まったルールに則って行われる業務ですので、AIでも対応できることが多くなりそうです。実際に、政府は各企業における雇用・社会保険関連手続きの電子申請化を推奨しています。

AIに取って代わられる不安をお持ちの事務所は、手続きの代行や給与計算など、先ほど挙げた単純作業における顧問契約をメインにしている事務所です。それらは、AIに仕事を奪われるということもありえますが、社会保険労務士が担当している業務はこの単純作業ばかりではなく、人間だからこそできる業務もあるのです。

では、AI時代の社会保険労務士に求められるのはどんなことかを考えていきましょう。

手続きの有無の判断をする

AIの活用によって事務手続きや申請などが可能になったとしても、そもそも手続きが必要という判断をしなければ、AIを活用することができません。
例えば、社員が入社した場合も、事業主がそのまま放置すれば、入社した社員は雇用保険や社会保険に加入できませんので、手続きが必要かどうか、どういうタイミングで手続きが必要ということを察知・判断するのは人間です。

手続きをしないということが実際にあり得るのかと疑問に思う方もいるかもしれませんが、実際に、知識がなかった、忙しくて忘れていたなどの問題は発生しています。このような場合は、事業主と社会保険労務士とのやりとり・コミュニケーションの中で発覚し、必要な手続きが進められますことも多々あります。

AIの活用が主流になった場合でも、AIの使い手となる事業主や担当者のサポートをする仕事はおそらくなくなることはないでしょう。

クライアントの状況に合わせた対応(コンサルティング業)

社会保険労務士の業務がAIに取って代わらない場面には、コンサルティング業が考えられます。

コンサルティングというのは、クライアントの現状や課題、ニーズなど様々な要件を踏まえて適切に判断、提案していくことです。
解決策はワンパターンではなく、これが適切だ!と思える解決策だとしても、それを実施できないクライアント側の状況や、事業主のお気に召さないというようなこともあります。何よりも、事業主や労働者の気持ちに寄り添った対応が求められます。

コンサルティングでは、クライアントと社会保険労務士との対話が重要になってきますので、社会保険労務士業にはまだまだ「人」が対応すべき業務がたくさんあると言えます。

まとめ

社労士事務所で活躍するためのポイントや、AI時代にも社会保険労務士が必要な理由などを解説しました。

社労士事務所に限らず、クライアントのために何ができるかを懸命に考え、そして自らの能力を高める努力をする人は活躍のチャンスを得られるのだと思います。
また、その努力をきっと誰かが見てくれるはずですから、モチベーションを切らさず前向きに頑張ってください。