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最終更新日:2024/11/14

【図付き】親族とはどこまで?民法上の範囲・親等の数え方もわかりやすく解説

弁護士 水流恭平

この記事の執筆者 弁護士 水流恭平

東京弁護士会所属。
民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/tsuru/

この記事でわかること

  • 親等の数え方
  • 民法上の親族関係の範囲
  • 親族関係によって生じる法的な効果

親等とは、法律上における血縁関係の遠近を表す言葉です。

日常的に意識する機会はあまりないかもしれませんが、遺産相続権や扶養義務の有無などに関わる重要な基準です
親等という言葉を聞いたことはあっても、その数え方や、親族、血族、姻族といった用語との違いがよくわからないという方も多いかもしれません。

ここでは、親等の数え方や民法上の範囲、数え方などを解説します。

親等図で確認しながら、いざ必要となった場合に数え方を迷わないよう理解しておきましょう。

親族とはどこまで?

親等の数え方には、一定のルールがあります。

まずは具体的にどこまでの範囲が法律上の親族になるのか確認していきましょう。

親族の範囲

法律上の親族の範囲は、次のように定められています。

  • 配偶者
  • 6親等以内の血族
  • 3親等以内の姻族

血族、姻族の詳細は後述しますので、まずは次の親等図で具体的な親族の範囲のイメージをつかみましょう。

6親等以内の血族の具体例

1親等:父母、子ども
2親等:祖父母、孫、兄弟姉妹
3親等:曾祖父母、曾孫、叔父叔母など
4親等:高祖父母、玄孫、祖父母の兄弟姉妹、いとこ、甥姪の子など
5親等:高祖父母の父母、来孫、高祖父母の兄弟姉妹、いとこの子など
6親等:高祖父母の祖父母、昆孫、高祖父母の父母の兄弟姉妹など

3親等以内の姻族の具体例

1親等:配偶者の父母
2親等:配偶者の祖父母、配偶者の兄弟姉妹など
3親等:配偶者の曾祖父母、配偶者の甥姪など

親族のポイント

親族図は、親等以外にも「直系」や「傍系」など日常生活ではなじみのない言葉が使われています。

親族関係をより理解するために、親族にまつわる言葉の意味を確認しておきましょう。

血族と姻族の違い

血縁関係は、大きくわけて血族と姻族という関係があります。

血族はもともと血縁関係のある人や養子縁組などで法律上の血縁関係が生じた人をいいます。
一方、姻族は婚姻によって親族関係が新たに生じた人です。

分類 内容 具体例
血族 自然血族 生物学上の血縁関係のある人 ・実の両親
・実の子ども
法定血族 法律上の血縁関係が生じた人 ・養子縁組をした子ども
・認知した子ども
姻族 婚姻によって親族関係が生じた人 ・配偶者の血族(妻の母など)
・血族の配偶者(兄の妻など)

直系と傍系の違い

直系と傍系は、祖先からまっすぐにつながる関係か、枝分かれした関係かの違いです。

直系は、本人の祖先から子孫までまっすぐにつながる関係です。
両親や祖父母など上にたどる関係を直系尊属、子どもや孫など下にたどる関係を直系卑属といいます。

一方、傍系とは兄弟姉妹のように共同の始祖を持つ関係です。
両親の兄弟姉妹である叔父叔母のように傍系で上にたどる場合は傍系尊属、兄弟姉妹の子どもである甥姪のように下にたどる場合は傍系卑属となります。

親族、親戚、身内、家族という言葉の違い

親族は、前述の通り法律上で明確に定められた一定範囲の血縁関係です。

親族と似た言葉に「親戚」があり、こちらも血縁関係や婚姻関係のつながりがある人を意味するものの、明確な範囲はありません。

身内、家族も同様に明確な範囲のない言葉です。
身内は血縁関係だけでなく、たとえば同じ会社の部署に所属する人を身内と呼ぶケースもあるでしょう。
家族も血縁関係とともに「同じ家に住み、生活を共にする人」という意味合いが強い言葉です。

親等の数え方

ここからは、具体的な親等の数え方を確認していきましょう。
前出の親等図にある番号を見ながら確認すると、より理解が深まります。

血族の親等

親等の数字は、本人を基点として世代をたどるごとに1ずつ増えていきます
基本となる数え方は、自然血族、法定血族で共通です。

自然血族の場合

本人の両親や本人の子どもは、世代を1つたどるので血族の1親等です。
本人の兄弟姉妹は、「本人→両親→兄弟姉妹」世代を2つたどるので血族の2親等になります。

法定血族の場合

養子縁組の場合も、基本の数え方は自然血族と同じです。

たとえば、養親から見て養子は法定血族の1親等、養子に子どもがいれば2親等と数えます。
養子から見た場合、養親の実子とも血族関係が生じるので、「養子→養親→実子」と世代を2つたどるため、血族の2親等となります。

姻族の親等

姻族の親等は、配偶者を基点とした距離で数えます

たとえば、配偶者の親や子は姻族の1親等、配偶者の兄弟姉妹は姻族の2親等です。
本人の配偶者自身には法律上の親等はありませんが、実質的には0親等と数えられます。

民法で決められている親族の範囲

前述の通り、法律上の親族は「配偶者」「6親等以内の血族」「3親等以内の姻族」です。

ここでは、該当する親族について、それぞれ個別事項を解説します。

配偶者

配偶者は婚姻関係によって生じる地位で、法律上は親族ですが、親等はありません。

離婚をすると姻族関係も終了する

離婚によって夫婦の婚姻関係が終了すると、配偶者は親族でなくなり、法律上は他人という扱いになります。
同時に、配偶者の両親など、配偶者の親族と生じていた姻族関係も消滅します。

内縁関係の場合は相続権が認められない

内縁関係の場合、原則として法律上の夫婦に近い権利義務が適用されます

たとえば、次のような権利義務は法律上の夫婦と同様の扱いを受けます。

  • 同居や相互扶養の義務
  • 婚姻費用を分担して負担する義務
  • 内縁関係を解消した場合の財産分与や慰謝料請求の権利
  • 子どもがいる場合の認知と養育費を請求する権利
  • 遺族年金を受給する権利

ただし、内縁関係の場合は相続のときに親族とみなされず、遺産を相続する権利がありません
内縁関係のパートナーが遺産を相続する場合、遺言や生前贈与など、被相続人が生前に手続きをしておく必要があります。

子ども

子どもは1親等の直系血族であり、出生により自然と両親との親族関係が生じます。

配偶者と離婚しても子どもとの親族関係は終了しない

配偶者と離婚した場合、前述の通り、配偶者および配偶者の親族との姻族関係は終了します。
ただし、配偶者との間に生まれた子どもとの親族関係は終了しません

異母兄弟姉妹、異父兄弟姉妹は2親等となる

たとえば父親が離婚後に再婚し、後妻との間に子どもが生まれた場合、前妻との子どもと後妻との子どもは異母兄弟姉妹となります。
異母兄弟姉妹は共通の父を持つ親族であり、前妻の子どもとの関係では2親等となります。

特別養子縁組の場合は実親との親族関係が終了する

養子縁組は、普通養子縁組と特別養子縁組とがあります。

普通養子縁組の場合、養子と実親との関係は消滅しません

一方で、特別養子縁組は養子と実親の親子関係が消滅するため、親等はなくなり法律上は他人となります。

配偶者の連れ子は認知によって親族関係が生じる

父親が再婚相手の連れ子を認知した場合、父親と連れ子は1親等の関係です。
父親と再婚相手は婚姻によって親族となりますが、連れ子は認知しない限り法律上の親子関係は生じません
認知後、連れ子は父親側の親族とも親等が生じます。

兄弟姉妹

両親が同じ兄弟姉妹は、傍系血族の2親等です。

兄弟姉妹の配偶者は本人からみて2親等の姻族となります。
本人が死亡した場合、兄弟姉妹は第3順位の法定相続人ですが、その配偶者は兄弟姉妹が死亡している場合でも相続人とはなりません。

いとこは親族だが相続人にはならない

両親の兄弟姉妹である叔父叔母から生まれたいとこは、本人から見て傍系血族の4親等です。

親等の数え方は「本人→両親→祖父母→叔父叔母→いとこ」と4世代をたどります。
両親が兄弟姉妹同士で仲のよい場合、いとこと幼い頃から親交がある人もいますが、いとこは本人の親族ではあるものの相続人にはなりません。
もし財産の相続を望む場合、遺言書や贈与の手続きが必要です。

親族間で認められていること


最後に、親族関係が法的な効果として影響する場合について確認していきましょう。

配偶者との間には特別な権利義務が生じる

パートナーと婚姻関係を結んで配偶者になると様々な権利義務が生じるため、親族の中でも特別な関係といえるでしょう。

たとえば、次のような権利義務が生じます。

婚姻によって生じる権利

相続権

夫婦の一方が死亡したとき、他方は法定相続人として遺産を相続する権利を持ちます。
血族相続人のように優先順位によらず、生存している場合は原則として常に相続人となります。

財産分与請求権

夫婦が離婚したとき、婚姻中に共同で築いた財産は平等に分配しなければなりません。
もし一方が財産を保有している場合、他方は自分に分配される分を請求できます
これを財産分与請求権といいます。

なお、分与の対象は夫婦が婚姻中に共同で築いた財産に限られます
婚姻前から保有していた財産や実の両親の相続財産などは分与の対象となりません。

不貞行為の相手への慰謝料請求権

夫婦の一方が不貞行為をした場合、その相手方に対し精神的な苦痛を受けたとして慰謝料の請求が認められています。
具体的な慰謝料の額はケースにより様々ですが、婚姻期間や不貞行為の期間、婚姻関係への影響度や悪質性など様々な要素を考慮して算定されます。

婚姻によって生じる義務

同居、扶助義務

婚姻した夫婦は、同居してお互いに協力し合わなければならないと定められています。
一方的に同居を放棄し、別居するような行為は許されません。

姻費用分担義務

夫婦が保有する資産や収入などに応じて、婚姻生活で必要となる費用を分担する義務があります。
収入が多い側は、共同生活から発生する費用を多く負担しなければなりません。

日常家事債務の連帯責任

夫婦の一方が日常の家事債務について第三者とした法律行為は、夫婦の他方も連帯して責任を負います。
日常の家事は夫婦が共同して行うのが前提であるためです。

なお、たとえば高級なブランド品や不動産は日常の家事債務といえないため、対象とはなりません

貞操義務

配偶者以外と不貞行為をしてはいけないという義務です。
不貞行為は夫婦の離婚事由としても認められており、守るべき義務とされています。

未成年の子の監護義務

夫婦間で生まれた未成年の子どもを監護する義務です。
具体的には、子どもを育てていくために必要な食費、養育費、学費などを収入などに応じて負担しなければならないとされています。

親子関係では子どもへの権利義務が生じる

親が子どもに対して持つ権利義務として、親権があります。

親権には身上監護権と財産管理権があり、子どもの利益のために教育や生活に関する決定を行い、子どもの財産を管理します。
婚姻中の夫婦は、共同で子どもへの親権を行使しますが、離婚した場合はどちらか一方を親権者と定めなければなりません

この他に、親子間では相互に扶養義務が発生します。

扶養義務とは、経済的に困窮している親族を他の親族が支える義務です。
親は子どもを扶養する義務がありますが、同時に子どもも親に対して扶養する義務を持ちます。
なお、扶養義務は親子間だけでなく、前述の通り配偶者間や兄弟姉妹間にも生じます。

法定相続人は配偶者と最も優先順位の高い血族のみ

相続が開始すると、遺言書や遺産分割協議での指定がない場合、法律で定められた法定相続人が遺産を承継します。

法定相続人となるのは、親族のうち次の①と②の人です。

①配偶者
配偶者が存命の場合、常に相続人となります。

②血族相続人
血族のうち、次の中で最も優先順位の高い人が法定相続人となります。

  • 第1順位:子ども
  • 第2順位:両親
  • 第3順位:兄弟姉妹

相続財産を分配する割合についても、どの親族が法定相続人になるかによって次のように変わります。

相続人 相続割合
配偶者:子ども 1:1
配偶者:両親 2:1
配偶者:兄弟姉妹 3:1

たとえば相続財産が3,000万円であり、相続人が配偶者と子ども2人の場合、配偶者が1,500万円、子ども2人が750万円ずつ相続します。

1親等以外の相続では相続税が2割増しになる

遺産を相続すると、相続した金額によっては税務署に相続税を納付しなければなりません。
相続税を納めるのが被相続人の配偶者や1親等の血族以外の場合、相続税が加算されて本来の納付額の1.2倍になります。

成年後見の申立ては4親等以内の親族ができる

成年後見制度とは、精神上の障害などにより判断能力が不十分な人に援助者がつき、契約の締結などを代理できる制度です。

裁判所に申立てができる人は限定されており、本人や配偶者の他、親族から申し立てる場合は4親等内である必要があります。

冠婚葬祭による休暇は2~3親等以内である場合が多い

企業では、一般的に親族の冠婚葬祭のときは休暇を取得できるよう定められています。
社内規定によりますが、2~3親等以内の親族を対象とする場合が多いようです。

なお、年次有給などは法律上で定められた休暇ですが、冠婚葬祭による休暇は法律上の義務はなく、あくまで日本の慣習に基づく休暇です。

まとめ

親等の数え方や親族関係がわからなくなった場合は、親等図を活用しましょう。

普段の日常生活で親等を意識する機会はあまりないかもしれませんが、婚姻や相続など人生における重要なライフイベントで関係する重要な概念です。
親等や親族関係を誤ると、重要な手続きを進められなくなる場合や、想定と異なる結果を招いてしまう恐れがあります。

もし親等の数え方や親族関係を考える上で不安がある場合は、事前に弁護士へ相談しておきましょう。

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