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最終更新日:2024/12/9

【相続の基本】養子縁組すると親権は養親に移る!親権者変更の方法まで

弁護士 中野和馬

この記事の執筆者 弁護士 中野和馬

東京弁護士会所属。
弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。
お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/nakano/

この記事でわかること

  • 養子縁組による親権の移動
  • 養親が亡くなった場合の親権の移動
  • 実親を親権者に戻す方法

養子縁組を相続対策として検討している方にとって、親権の移動は見落とせない重要なポイントです。
特に未成年者が関わる場合、養子縁組によって親権が実親から養親へと移動するため、その後の家庭内での影響、養親の死後の手続きについてしっかり理解しておく必要があります。

本記事では、親権者が養親に移る際の具体的な手続きや、養親が亡くなった後の親権問題について詳しく解説します。

養子縁組によって親権者は養親に移る

もっとも有名な相続税対策として、養子縁組により基礎控除を増やす、という方法があります。
孫と養子縁組をすると、600万円の基礎控除が増える上、手軽で節税効果の高い対策として知られています。

しかし、養子が未成年者の場合、親権者が養親に移るというポイントは見過ごされているかもしれません。
ここでは、親権の移動を含めた養子縁組の影響について解説します。

未成年者が養子縁組すると実親の親権がなくなる

未成年者の親権は実親が持っていますが、未成年者が養子縁組を行うと、実親の親権は養親へと移り、実親の親権はなくなります

養子の氏が養親の氏に変更される

養子縁組すると、養子の氏が養親の氏に変更されます。
養子の氏が変更されると、学校生活などに影響を与える可能性があるため、養子縁組の時期を年度替わりに合わせるなど、養子への気遣いが必要でしょう。

養子縁組は相続税以外にも影響がある

養子縁組を行うと、氏の変更、新たな扶養義務の発生に加えて、養子が未成年であれば親権者が変更されるなど、親族関係で大きな変化が生じます。

養子縁組をするかどうかは、相続税の節税対策だけでなく、養子と親族への影響もよく考えなくてはならないでしょう。

養親が亡くなっても親権は実親に戻らない

養親が亡くなった時点で養子が未成年だった場合、親権は実親に戻らず、養子に親権者がいない状態となります。
この状態を解消するには、未成年後見人を選任する、養親との死後離縁を行って実親の親権を回復させる、という2つの方法があります。

ここでは、養親が亡くなった後の親権がどうなるか、親権者がいない場合に選任される未成年後見人について、詳しく解説します。

未成年者の養親が亡くなった場合の親権

未成年者の養子縁組は、養親が亡くなっても親権は実親に戻りません。
そのため、未成年者の養親が亡くなると、未成年者の親権者が不在という状態になります。

未成年後見人の選任

未成年者の養親が亡くなった後は、家庭裁判所への申立により未成年後見人が選任されます。
未成年後見人の詳細は、次のとおりです。

未成年後見人の義務

未成年後見人は親権者と同様に、未成年者の財産管理だけでなく、教育・しつけなどの身上監護の義務も負います。

未成年後見人の報酬

家庭裁判所の判断により、未成年者の財産から未成年後見人に報酬が支払われる場合があります。

未成年後見人と親権者の違い

未成年後見人と親権者の違いは、財産管理における責任の重さです。

親権者は未成年者の財産管理については自己の財産と同一の注意義務を負いますが、未成年後見人は弁護士などが業務として行うため、善良なる管理者としての注意義務を負い、より重い責任があります。

養親との死後離縁により実親の親権を回復する

一方、家庭裁判所の許可を受けて養親と死後離縁を行うと、実親の親権が回復します。
実親との関係が良好な場合は、未成年後見人を選任するより、実親が親権を行う方がよいかもしれません。

なお、死後離縁を行っても養親の相続権は失われない点も重要です。

養子縁組の手続き


養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組があります。
普通養子縁組は養子縁組後も実親との関係が続きますが、特別養子縁組は実親との関係が終了するという大きな違いがあります。

それぞれの手続きの概要について解説します。

普通養子縁組

普通養子縁組を行うと、養子の氏が養親の氏に変更され、実の親子と同様、お互いに扶養義務を負います。
普通養子縁組は、養子が未成年かどうかで手続きが変わります。

普通養子縁組の要件

普通養子縁組の要件は、以下の通りです。

  • 養親の年齢が20歳以上
  • 養親と養子の合意
    ※養子が15歳未満の場合は養子の法定代理人(実親など親権者)が合意します
  • 養親または養子に配偶者がいる場合は、その配偶者の同意が必要です

未成年者との養子縁組の手続

普通養子縁組の中でも未成年者との普通養子縁組には原則、家庭裁判所の許可が必要であり、許可が下りた後に市区町村役場へ届出を行うと養子縁組が成立します。
例外として、孫や配偶者の子(連れ子)との養子縁組については家庭裁判所の許可が不要なため、合意が得られれば直接、市区町村役場へ養子縁組の届出を行います。

成年者との普通養子縁組の手続

成年者同士の養子縁組には家庭裁判所の許可などが不要なため、合意できれば市区町村役場へ届け出て、養子縁組が完了します。

特別養子縁組

特別養子縁組は、DVなど実の親子関係に問題がある場合、養子と養親との間に実の親子と同等の親子関係を成立させる制度です。

特別養子縁組の要件と手続きは次のとおりです。

要件

養子は原則15歳未満、養親は夫婦共同で養子縁組を行い、どちらか一方は25歳以上(もう一方は20歳以上)でなければなりません。
実親の同意も必要ですが、実親が意思表示できない、虐待していた等の事情があれば、同意が不要になる場合もあります。

手続き

特別養子縁組の申立後、養親が養子をあらかじめ6カ月以上監護し、家庭裁判所はその監護の状況も考慮の上、特別養子縁組を許可するかどうかを決定します。

まとめ

養子縁組は相続対策として有効ですが、親権の移動に伴う影響や責任への理解も大切です。

特に未成年者を養子にする場合、親権の変更やその後の手続きをしっかりと把握しておきましょう。
養親が亡くなった後の親権問題や、実親との親権回復の手続きについても親族で共有し、相続税対策だけでなく、争続対策も行いましょう

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