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最終更新日:2022/12/13

揉めない相続VOL39 節税にも使われる死因贈与の問題点とは

弁護士 中野和馬

この記事の執筆者 弁護士 中野和馬

東京弁護士会所属。
弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。
お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/nakano/

死因贈与は生前の契約であり、遺言による遺贈とは異なります。

死因贈与は遺贈の規定が準用されるため、税金面でも、贈与税ではなく相続税が適用されます。

この記事では、死因贈与の概要、遺贈との違いや共通点、特徴、また、死因贈与に関する問題点について解説します。

遺贈と死因贈与はどう違う?

遺贈と死因贈与、どちらも贈る者が亡くなったあとで遺産を与えることができるものです。

この2つの特徴について説明します。

遺贈や死因贈与とは?

遺言によって一方的に、自分の財産を他人に譲り渡すことを遺贈といいます。

一方、贈与は、贈与契約を指し、贈与者側と受遺者側の合意によって成立することになります。

この場合の贈与には2種類あり、一つは、生きているうちに自分の財産を与える生前贈与、もう一つは、贈与者が死亡したときに効力が生じる死因贈与です。

共通点

遺贈と贈与の共通点は、譲り受けた財産を自由に処分できることにありますが、特に、遺贈と死因贈与は、与える者が死亡した場合に効果を生じる点で共通しています。

また、どちらも、条件を付けることができる点でも共通しています。

このような共通点があることから、死因贈与は、基本的に遺贈の規定が準用されることとされています。

違い

遺贈は、一方的に行う単独行為として、形式の定めはあるものの、自分が望む内容を記載することができます。

これに対し、贈与は贈る側と受ける側の双方が同意して行う契約です。

贈与契約は、双方の同意があれば口頭でも成立しますが、死因贈与では通常、契約書を作成します。

なお、この契約書の形式については、遺言のような厳格な定めはありません。

また、遺贈は、相手の同意を必要としない単独行為であり、自分の意思だけで何度でも書き直すことができるのに対して、契約である贈与は、理由もなく一方的に解除することはできません

死因贈与の特徴

死因贈与について、その特徴を確認しましょう。

税金面

死因贈与は、贈与の一種で、相続法ではなく財産法に規定があります。

一方、この扱いについては、遺贈に関する規定に従うとされており、税金面も贈与税ではなく相続税の対象となっています。

契約の方法と効果

契約については、必ずしも書面による必要はありません。

口頭での約束も成立することになりますが、簡単に取り消すことができるため、通常は書面で契約を取り交わします。

死因贈与の契約書があれば、不動産の相続登記について生前に仮登記を行うことができます

死因贈与に関する問題点

通常、書面により契約を結ぶものの、原則として、遺贈と同様の取り消しが可能とされています。

この死因贈与の取り消しについては、遺贈に関する規定に従うとされていることにより、遺言で取り消すことができるとの点が問題視されています。

この点、遺言で取り消すことができるかどうかについては、司法で判断が分かれています

学説についても、取り消すことができるとするものが多い一方で、取り消されないとするものも存在するなど、確実な結論を得ていないことが問題となっています。

また、死因贈与が遺贈に準じる扱いとなる結果、負債を差し引いた後に財産の残りがない場合は、なにも譲り受けることができないことも問題点となっています。

まとめ

死因贈与は贈与という名称が使われているものの、税金面では贈与税ではなく、相続税の対象とされています。

相続税は、贈与税よりも税率が低く設定されていることなどから、死因贈与が節税対策として利用されることもあります。

しかしながら、死因贈与に関しては取り消しの問題があることや、不動産の相続登記での不動産取得税、登録免許税が高く設定されるなど、弱点があります。

また、生前贈与にすれば、各種控除の適用も可能などのことを含めると、一概に節税につながるかどうかについては、比較する余地がありそうです。

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