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遺産分割協議では、財産の種類や金額(評価額)次第では非常に話し合いがまとまらずに難航することがあります。
そこで遺産分割協議でトラブルとなりやすい10件の例についてその内容と対策をご紹介していきます。
口約束の相続が有効か無効かで悩んでいる場合
「私が亡くなったら全財産をあげる」など、生前に言われた口約束による相続が有効かどうかで悩んでいるようなケースはかなりあります。
法的に言えば、口約束とはいえ故人の意思表示は有効と考えられています。
ただし、遺産分割協議の際に参加した相続人や協議に参加すらできない法定相続人以外の人達(内縁の妻や近所の知人など)が一様に口約束をしてもらってあると主張し始めれば、水掛け論となって話は永遠にまとまらないかもしれません。
口約束の相続の場合、遺言書・死因贈与契約書といった故人の口約束を証明するものの提示が必要になります。
別の言い方をすれば、そういった証憑類の提示のない人の主張は無効であり、相続権は一切無いためにそのような主張をしてくる人を退けることができます。
相続人が被相続人から購入してもらったマンションの時価が購入時の半分になっている場合
相続税法上は、特別受益がある場合、その分だけ相続財産額(みなし相続財産額)に加えられ、相続税として贈与時の時価で算定されます(民法では、相続開始時の時価で算定)。
つまり、相続税法上はあくまで購入時の価格で評価されることになります。
また、相続人に被相続人の介護などをしていたなどの理由から寄与分がある場合、相続財産から差し引かれます。
寄与分については相続人間の話し合いで決められることなので、裁判所に提起することはできません。
海外駐在の長かった総合商社勤務の父親に、海外の銀行口座の預金があると思われる場合
海外の銀行口座については、口座開設時の書類や入出金明細書などが残されていないかをまず確認することです。
ちなみに海外の銀行では通帳などがなく、多くは明細書やオンラインバンキング上のデータがあるだけになります。
定期預金についても紙の証書かオンラインバンキング上のデータだけという場合がほとんどです。
この場合、もし明細書などの手がかりが何もない場合、現地の法律事務所や調査会社などに依頼して探すことになります。
言葉の問題やどこに依頼したらいいのかがわからないことがほとんどでしょうから、個人的なコネクションが無い限りは、海外の相続に強い日本の法律事務所に依頼して、探してもらうということになるでしょう。
なお、銀行口座は口座名義人以外の相続人が何の許可もなくアクセスできませんし、もし口座名義人が亡くなったことがわかればすぐに凍結されてしまいます。
口座名義人の死亡によって口座が凍結されていた場合の解除方法と預金の払い出しについては国によってまちまちです。
日本の法律事務所などを通じて現地の業者や法律事務所で調査してもらうことが考えられるでしょう。
ただし、かなりの費用がかかることが予想されますので、問い合わせの際に確認してみてください。
亡くなった父が田舎に不動産を所有する土地があると聞いていた場合
このような場合、親族や身内などできるだけ多くの人にそのような不動産があったのか、またその所在地について情報を集めてみます。
所在地がわかったら、その不動産の所在地にある法務局や市区町村の役場に行きましょう。
法務局では不動産登記に関する情報を管理していますし、市区町村の役場は固定資産税を徴収するために不動産の情報をもっています。
したがって、不動産が複数ある場合は個々の所在地ごとに法務局や市区町村の役場で調べる必要があります。
交通事故で亡くなった被相続人が加害者に対して損害賠償請求権を有する場合
交通事故などによって亡くなった被相続人が加害者に対して有する損害賠償請求権に基づき、賠償金や慰謝料が支払われる場合があります。
請求によって得られるものが、慰謝料や逸失利益の補償金(被相続人が生きていれば、得られていたはずの所得に対する補償金)であれば全額が相続対象となります。
被相続人の慰謝料については親族固有の慰謝料という考え方もできますが、通常は一緒のものとして請求されます。
被相続人が勤務していた会社が本人に対して掛けていた団体保険があった場合
最近の団体保険の場合、主保険部分については遺族のものとして請求できると同時に受け取った保険金は相続財産となります。
なお、会社の損害に関する特約保険部分については会社に取得する権利があるので、相続財産にはなりません。
被相続人が相続人の1人に貸したお金がある場合
親が相続人の1人である子供にお金を貸したまま、亡くなることがあります。
借用証書などが残されていれば、遺産から相殺することができます。
また、相殺しきれずに本人の法定相続分を超える借金が残った場合、お金を借りた相続人から超えた分について別途回収することができます。
詐欺によって架空の売買契約を通じてだまし取れられた被相続人の土地を回収したい場合
詐欺によって被相続人が土地などの財産をだまし取られた場合、損害賠償請求権や(不動産売買契約などの)取消権は相続人に承継されることになります。
詐欺については本当に詐欺によるものかどうかについて事実関係を客観的に調べる必要があります。
被相続人に内縁の妻がいる場合
内縁の妻の場合、相続権はなくたとえ共同で積立て財産などであっても法定相続人のものとなります。
この場合、内縁の妻が遺産分割のトラブルに巻き込まれないよう被相続人は遺言を残しておいたほうがいいでしょう。
ただし、遺言は後で遺留分減殺請求が内縁の妻に対して出されないよう法定相続人の遺留分を侵害しない範囲で財産分与する内容にします。
遺産に借地権が含まれている場合
相続時の借地権の取扱い方ですが、借地権も一般の財産と同様に相続財産となります。
借地権は地主の許可がなくても相続可能で、地主には相続した旨の通知を入れればいいだけです。
ただし、売却する場合には地主の許可が必要となってきます。
まとめ
今回の記事では遺産分割協議や遺産分割の際にトラブルになりそうな事例を10件ご紹介し、さらにどのように解決すればいいかの対処法についても解説しました。
法定相続分の算定や相続財産の評価方法なども含め、できれば専門家の協力を仰いだほうが間違いも少ないでしょう。
コストはかかりますが、安心で確実な遺産分割協議や相続税の納付が可能となります。
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