メニュー

閉じる
無料相談0120-211-084
メール

最終更新日:2024/11/13

土地不動産の等価交換とは?メリット・デメリットとトラブル回避の注意点

弁護士 中野和馬

この記事の執筆者 弁護士 中野和馬

東京弁護士会所属。
弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。
お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/nakano/

この記事でわかること

  • 土地の等価交換とは
  • 等価交換のメリット・デメリットト
  • 等価交換を行うおおまかな流れ

土地の等価交換とは、土地を活用して収益を得る方法のひとつです。

対象となる土地にデベロッパー(開発会社)が建物を建て、土地と建物の持分を等価で交換し、土地・建物をどちらも共有にして共同運用するのが、不動産の等価交換です。

たとえば、次のような方にとって、土地の等価交換は1つの大きな選択肢となるでしょう。

  • 相続した土地が余っているが、自分に土地活用の知識がない
  • 土地活用したいが、自分で管理するのが難しい
  • 自己資金なくアパートやマンション経営をする方法を探している

この記事では、土地の等価交換について詳しく解説していきます。

自己資金を使いたくない方や、土地活用の知識がない方にとって、なぜ等価交換が有用なのか分かる内容になっていますので、ぜひ参考にしてみてください。

不動産における等価交換とは

土地活用における等価交換とは、土地所有者とデベロッパー(開発会社)が土地建物を共同運用する方法です。

対象となる土地の上にデベロッパーの資金で建物を建て、土地と建物の持分をそれぞれ交換し、土地・建物をどちらも共有にして共同運用するのが、不動産の等価交換です。
代表的な例としては、アパートやマンションを建築し、持分割合によって家賃収入を得るといった運用で利用されます。

交換する持分は、出資割合(土地価格と建物の建築費)等によって定められます。
建築費用はデベロッパーが負担するため、土地所有者は自己資金を出さなくても土地活用が可能になります。

次に、等価交換のメリット・デメリットや、契約の流れをおおまかに解説していきます。

不動産の等価交換をするメリット・デメリット

不動産の等価交換について、メリット、デメリットの順に紹介していきます。

等価交換のメリット

等価交換の主なメリットは以下のとおりです。

  • 自己資金がなくても土地活用ができる
  • 土地活用の知識がなくても利用しやすい
  • 土地の譲渡所得税を繰り延べできる
  • 相続税の節税に利用できる

では、1つずつ解説していきます。

自己資金がなくても土地活用ができる

等価交換においては、デベロッパーの費用負担で建物を建築するため、基本的には土地所有者が自己資金を出す必要がありません

これに対し、すべて自己名義でアパートやマンションを建築・運用する場合は、資金がなければ融資を受ける必要があり、ハイリスク・ハイリターンな方法と言えます。

土地活用の知識がなくても利用しやすい

等価交換では、建物の建設から運用までデベロッパーが関わります。

デベロッパーには事業のノウハウがあるため、等価交換は土地の所有者に土地活用の知識がなくても利用しやすいのも等価交換の特徴です。
自己資金が不要になる点も加えて、土地所有者にとってはローリスクな方法と言えます。

土地の譲渡所得税を繰り延べできる

不動産の売買によって利益が出ると、利益が出た分に対して譲渡所得税がかかります。
等価交換においては一定の要件を満たせば『立体買い換えの特例』が適用され、将来的に土地の持分を売却するまで譲渡所得税を100%繰り延べできます。
『等価での交換』においては、譲渡所得は出ていないと考えられるためです。

ただし、以下の点には注意が必要です。
あくまでも延期の措置であるため、譲渡所得税が免除されるわけではない
一方に現金が含まれる(利益が出る)交換であれば、その利益に対しては通常通り譲渡所得税がかかる点

相続税の節税に利用できる

土地を相続すると、相続税はその土地の評価額がそのまま課税価格として適用されます。

しかし、等価交換によって賃貸マンション等を建てた場合には、賃貸物件の相続についての軽減措置を利用できるため、相続税の節税策として利用できる場合があります。

等価交換のデメリット

等価交換のデメリットは、次のようなものがあります。

  • 好立地でないと対象になりにくい
  • 権利関係が複雑になる
  • 運用益の調整が難しい
  • 自己資金のみで運用するよりもリターンが小さい

では、1つずつ解説していきます。

好立地でないと対象になりにくい

等価交換では、デベロッパーとの共同運営を続けていく方法であるため、長期的にデベロッパーの利益にも大きく関わります
そのため、収益が充分に見込める土地でないとデベロッパーが興味を持たず、契約が成立しにくくなります。

不動産の権利関係が複雑になる

等価交換を行うと土地建物どちらも共有状態になり、権利関係が複雑になります。

マンションを運用する場合等は、居住者の一定の賛成がなければ建て替えできない等の問題が起こる可能性もあります。

運用益の調整が難しい

等価交換では、運用益の配分調整が問題になります。

配分の定め方としては、出資比率による方法と売価還元の2つの方法があります。

出資比率とは、その名のとおり出資の比率によって配分を決める方法です。
出資比率の方法で配分を定める場合、土地の評価額は、鑑定を依頼する不動産鑑定士によって変わるケースも多く、確定が難しいために揉める原因になります。

一方で、売価還元はデベロッパーが出資した分の回収に必要な売上を計算し、優先的に確保する方法です。
現に資金を負担するのがデベロッパーであるため、デベロッパーが優先的に出資分を回収したい場合にこの方法が用いられます。

土地所有者とデベロッパーとの間で利害が対立して妥協点が見つからないと、話し合いが難航する原因になります。

自己資金のみで運用するよりもリターンが小さい

等価交換は、デベロッパーとの共同運用であるため、運用益も分割され小さくなります

また等価交換する建物は、完成物の価格を基に評価が計算されるため、原価よりは高い状態の建物価格と土地持分を交換することになります。

このような理由から、自己負担ですべて運用するよりもリスクも小さい分、リターンも小さくなります。

不動産の等価交換が適しているケース

以下のようなケースでは等価交換のメリットが充分に発揮できるため、等価交換に適していると言えます。

  • 借金せずに建物を建てて土地活用したい
  • 運用の管理をする時間的余裕がない
  • 広い土地が余っている

では、1つずつ詳しく解説していきます。

借金せずに建物を建てて土地活用したい

借金せずに土地活用したい場合、自己資金が不要な等価交換は非常に適した方法と言えるでしょう。

共同運用により収益も分割されて小さくなりますが、ローンを組むリスクを負いたくない場合には土地活用の方法として有力です

運用の管理をする時間的余裕がない

等価交換を行うと、その後の管理・運営は基本的にデベロッパーが行うため、土地所有者は自ら管理する手間がなくなります

  • 相続したばかりで管理運用の知識が乏しい
  • 管理に時間をかけていられない

このような場合には、等価交換は有効な方法となるでしょう。

広い土地が余っている

目安として、100坪以上の土地であれば等価交換の対象になりやすいです。

広い方がよい理由の1つは、広い土地の方がデベロッパーとしても収益を見込めるためです。

理由の2つ目は、広い土地に合う建物を建てるには費用も多くなりやすく、土地のオーナーが単独で運用するには借金の必要性が高くなるためです。

こうした理由から、一定程度広さのある土地は、土地オーナーとデベロッパーの利害が一致しやすく、等価交換は有力な方法の1つになります。

不動産の等価交換をする流れ・必要書類

不動産の等価交換をする流れは、以下のとおりです。

等価交換の流れ

  • 打ち合わせ~契約
  • 土地の譲渡
  • 建物の建設
  • 建物持分の譲受
  • 運用の開始

等価交換の話が始まるのは、デベロッパーから提案の連絡がある場合と、土地所有者から業者に土地活用の相談を行う場合があります。

契約が定まれば土地の譲渡を行い、建物を建築、完成したら運用開始です。

ただし、建物完成後に建物共有持分を譲り受けるための持分移転の登記手続きが必要になります。

また、次に解説する『部分譲渡方式』と『全部譲渡方式』のどちらをとるかによって、手続きの流れとコストが少し変わります。

一部譲渡方式と全部譲渡方式とは

一部譲渡方式とは、土地の持分の一部をデベロッパーに譲渡する方法です。

土地の持分移転が1回で終わるため、全部譲渡方式と比較して不動産取得税や登録免許税が節約できるメリットがあります。

ただし、慎重に持分を決定してから行う必要があるため、事前の打ち合わせや交渉に時間がかかるのがデメリットです。

これに対し全部移転方式は、土地の所有権を一度すべてデベロッパーに移転し、実際にかかった建築費等をもとに計算した土地持分を、建物完成後に戻してもらう方法です。
全部移転方式は、対象土地がもともと共有だった場合で、かつ建物竣工までにその共有関係に変更(相続や破産等)の可能性があるケースなどに、保全を目的として用いられます。
この方式により、安全に事業計画が進む可能性が高くなります。

ただし、譲渡の度に不動産取得税や登記の登録免許税がかかるため、コストが高くなるデメリットがあります。

必要書類

等価交換の必要書類は、通常の不動産売買(所有権移転等)に必要な書類と同様です。

主な必要書類は、以下のとおりです。

  • 契約書
  • 対象土地の権利証(登記識別情報通知または登記済証
  • 実印
  • 印鑑証明書

登記手続とは別に、税制の特例を利用する場合は確定申告が必要になる点に注意が必要です。

不動産の等価交換をするときの注意点


不動産を等価交換する際の主な注意点は、以下のものが挙げられます。

  • 土地が単独所有でなくなる
  • 信頼できる会社を選択する必要がある

では、それぞれ詳しく解説していきます。

土地が単独所有でなくなる

等価交換を行うと、土地の所有権はデベロッパーと共有になり、単独での使用・収益・使用権限が失われます

得られる収益は契約内容に縛られるため、きちんと納得した状態で契約を行う必要があります。
資産的な理由のほか、相続した土地で思い入れがある場合等は等価交換に向かないかもしれません。

信頼できる会社を選択する必要がある

等価交換では、土地所有者とデベロッパーによる共同運用になります。

土地の活用方法については、基本的にはデベロッパーの見込みを参考に、アパートやマンション等の種類・階数等を選択することになるでしょう。
運用益はデベロッパーの利益にもなるため、最大限に収益を見込める方法で運用されるケースが多いですが、必ず見込み通りに行くとは限りません。

また、デベロッパーの方が知識と経験が豊富なため、収益の分配を決める際には一方的に不利益を受けないよう注意する必要があります。

事前の打ち合わせの段階で、プランの詳細をしっかりと確認し、納得できる状態で契約を行いましょう。

まとめ

不動産の等価交換は、デベロッパーと土地建物を共同して運用する土地活用の方法です。

自己資金を出す必要がなく、デベロッパーのノウハウも利用できるため、比較的リスクも小さくなりますがリターンも小さくなります。
収益の分け方の定めも重要であり、信頼できるデベロッパーを選択する必要があるでしょう。

等価交換の際の契約内容や、譲渡取得税等にご不明な点がある場合には、ベンチャーサポートグループにご相談ください。

テーマから記事を探す

弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所ならではの専門性

多数の相続案件の実績のノウハウで、あなたにとって一番の頼れる味方となります。
ご自身でお悩みを抱える前に、ぜひ一度お気軽にご連絡ください。親切丁寧な対応を心がけております。

当サイトを監修する専門家

弁護士 川﨑 公司

弁護士 川﨑 公司

相続問題は複雑なケースが多く、状況を慎重にお聞きし、相続人様のご要望の実現、相続人様に合ったよりよい解決法をアドバイスさせていただくようにしています。

弁護士 福西 信文

弁護士 福西 信文

相続手続等の業務に従事。相続はたくさんの書類の作成が必要になります。お客様のお話を聞き、それを法律に謀った則った形式の文書におとしこんで、面倒な相続の書類を代行させていただきます。

弁護士 水流 恭平

弁護士 水流 恭平

民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

弁護士 山谷 千洋

弁護士 山谷 千洋

「専門性を持って社会で活躍したい」という学生時代の素朴な思いから弁護士を志望し、現在に至ります。 初心を忘れず、研鑽を積みながら、クライアントの皆様の問題に真摯に取り組む所存です。

弁護士 石木 貴治

弁護士 石木 貴治

メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。 前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。

弁護士 中野 和馬

弁護士 中野 和馬

弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。 お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。 お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。