遺産はそのまま分割できるわけではなく、そこから相続税を支払はなくてはなりません。
以前は資産家でなければ相続税が課されることはまれでしたが、数年前の税制改正で基礎控除額が大幅に引き下げられたこともあり、相続税の課税対象となるケースは増えています。
この記事では相続税の計算方法について、わかりやすく解説します。
遺産をリストアップしたら相続税を計算してみよう
相続税の計算と聞いて、どこから手を付ければいいのか戸惑う方は多いでしょう。シンプルに考えれば、課税価格(財産評価額)×税率=相続税額であり、課税価格計算と税率適用のルールに基づいてプロセスを踏んでいけば計算できます。
被相続人 | 母 |
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法定相続人 | 長男、次男 |
課税財産 | 金融資産5000万円、不動産2000万円、生命保険2000万円 葬儀費用500万円 |
遺産分割 | 長男3/5、次男2/5 |
A遺産総額計算 | 金融資産5000万円+不動産2000万円+生命保険金2000万円= 9000万円 |
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B非課税額 | 保険金控除額(500万円×2)+葬式費用500万円=1500万円 |
C基礎控除額 | 3000万円+600万円×2人(法定相続人の数)=4200万円 |
D最終課税遺産総額 | A-B-C=3300万円 |
E法定相続人の法定相続分に応じた 取得金額 |
長男 D×1/2=1650万円 次男 D×1/2=1650万円 |
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F各法定相続人の算出税額 | 長男 1650万円×15%-50万円=1975000円F1 次男 1650万円×15%-50万円=1975000円F2 |
G相続税の総額 | F1+F2=395万円 |
② 各人の納付税額計算
長男: G×分割割合3/5=237万円
次男: G×分割割合2/5=158万円
まとめ:相続税の計算方法
上記は極めてシンプルなモデルケースですが、算定プロセスにおける詳細ポイントを解説します。
遺産は相続財産だけではない
相続開始3年以内の贈与財産・相続時精算課税贈与財産・みなし相続財産も加えます。小規模宅地等の課税価格特例などは遺産総額計算時に加味します。
控除できる費用
債務・葬式費用は、遺産総額から控除できるほか、香典は非課税扱いとなります。
基礎控除額
3000万円に600万円×法定相続人の数を加えた金額を控除できます。
養子は1人まで(実子がいない場合は2人まで)法定相続人の数に参入できます。
相続税の総額計算
相続税は、課税価格が増えるほど税率が上がる超過累進税率が適用され、最高税率は55%(課税価格6億円超の場合)です。
各人の納付税額の計算
相続人が未成年者・障がい者・配偶者の場合は、税額軽減の優遇措置が受けられます。
計算プロセスとポイントをつかんでおけば、相続税の計算は決して難しくありません。億劫がらずにぜひトライしてみましょう。