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最終更新日:2022/12/15

事業承継の相談相手はどこが最適?相談先を選ぶ3つのポイント

弁護士 水流恭平

この記事の執筆者 弁護士 水流恭平

東京弁護士会所属。
民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/tsuru/

この記事でわかること

  • 事業承継が行われる際の実情について知ることができる
  • 事業承継を相談することのできる機関には何があるかがわかる
  • 事業承継の相談を誰にしたらいいかを決めるポイントがわかる

多くの中小企業は後継者がいない、あるいは後継者にどのように引き継げばいいのかわからないという悩みを抱えています。

そこで、事業承継を行う際には専門家のアドバイスを受けながら進めたいと考えている場合が少なくありません。

しかし、どのような人に相談したらいいかわからないという人もいるのではないでしょうか。

ここでは、事業承継について相談するのはどのような機関や専門家がいいのか、ご紹介していきます。

事業承継の実情

事業承継について様々な検討をしなければならないのは、中小企業です。

これらの事業者がどのように事業承継を行っているのか、調査した結果が「中小企業白書」に公表されています。

2021年度中小企業白書によれば、経営者の平均年齢は62.2歳であり年々高齢化が進んでいます。

また、2020年に休廃業あるいは解散した件数は約5万社となっています。

中小企業を取り巻く経営環境は、決して楽観できる状況にはありません。

特に休廃業・解散した会社の4割近くは赤字を計上しており、苦渋の決断の末に休廃業や解散を選択したものと考えられます。

一方で、事業承継を検討する際に、M&Aが選択肢の1つとなっていることが見て取れます。

会社の売買に対して10年前より抵抗がなくなっている人が大きく増えているのもその現れです。

また、実際にM&Aの相談件数や成約件数は、この10年間右肩上がりで増えているのが現状です。

事業承継が相談できる6つの機関

事業承継を行う際は、専門家にアドバイスをもらいながら進める必要があります。

そこで、どのような機関に相談するといいのか、そのメリットとデメリットは何か、解説していきます。

以下の表に基づいて、それぞれの機関について詳しく見ていきましょう。

機関 メリット デメリット
事業引継ぎ相談窓口・事業引継ぎ支援センター 公的機関であるため相談料がかからない 相談だけにとどまり、専門家の支援を受けるには別に依頼する必要がある
商工会議所 商工会議所に入会していれば多くのサービスを無料で受けられる 専門家に依頼する際は別途費用が発生する他、スピード感はない
金融機関 普段から付き合いのある担当者に気軽に相談できる 金融機関から専門家を紹介してもらう形となり二度手間になる
弁護士・司法書士 法律上の問題が発生するのを未然に防ぐことができる 法律以外の相談には対応できず、別の専門家が必要となる
公認会計士・税理士 顧問契約している人がいれば気軽に相談することができる 必ずしもM&Aに関する専門知識を有しているとは限らない
M&A仲介業者 N&Aの経験や実績が豊富である 発生する報酬が高くなる場合がある

事業引継ぎ相談窓口・事業引継ぎ支援センター

事業承継や後継者問題に悩む中小企業を支援するため、中小企業庁が全国47都道府県に事業引継ぎ相談窓口を設置しています。

また、事業引継ぎ支援センターを全国7か所に設置し、より専門的な支援を受けられるように体制を整えています。

これらの機関を利用すれば、相談料無料で事業承継に関する相談をすることができます。

公的機関であるため、しつこい勧誘や特定の業者との結びつきもなく、公平な立場からのアドバイスを受けられます。

一方で、これらの機関はあくまでも相談窓口であるため、専門家の力が必要となる場合は別に専門家に依頼しなければなりません。

専門家に対する費用は別に発生するため、これらの機関を利用すればすべて無料で事業承継が成立するととは言えません。

実際にM&Aが成立する件数も、民間のM&A仲介業者に比べると少ないのが実状です。

商工会議所

商工会議所は、地域ごとに事業者の様々な支援を行うために設置されています。

商工会議所でも事業承継のサポート体制が整えられています。

商工会議所に入会している事業者であれば、多くのサービスを無料で利用できます

年会費は数万円程度のケースが多いため、それだけの負担で様々なサービスを受けられるのは大きな魅力と言えます。

ただし、商工会議所の支援だけで事業承継を完結することはできず、専門家に対する報酬は別に発生することとなります。

また、買い手となる企業に対して積極的にアプローチしているわけではなく、そのスピード感は民間企業には劣ると言わざるを得ません。

初めから専門家に相談した方が早いケースが多いことがデメリットと言えるでしょう。

金融機関

事業者は金融機関と長年の付き合いがある人がほとんどですし、その金融機関にあらゆる相談をしているという人もいるでしょう。

金融機関でも、取引先の先細りを懸念し、新たなビジネスチャンスとなる事業承継を積極的に支援しています。

金融機関に事業承継を相談するメリットは、相談しやすいことの他、融資などにスムーズにつなげられることがあります。

また、事業承継をする場合には事前に金融機関の耳に入れておく必要があり、その情報を早い段階で伝えられることもメリットです。

一方で、金融機関は事業承継の専門知識を持っておらず、結局は専門家への橋渡ししかできないことがデメリットとなります。

金融機関のつながりで専門家を紹介してもらうと、後から断りにくくなることもあり、必ずしも最善の方法とは言えません。

弁護士・司法書士

弁護士や司法書士は法律の専門家であり、また会社として顧問契約を結んでいることも考えられます。

事業承継を行うにあたり、弁護士や司法書士に相談しながら進めることで、法律上の問題が発生しないようにできます

また、事業承継の問題は相続とも密接に関連する問題です。

相続対策と並行して事業承継を進めることができれば、将来にわたって問題が発生しないようにすることができることがメリットです。

ただ、弁護士や司法書士への報酬は、他の専門家より高くなることもあります。

また、法律に関する問題を中心に考えて、事業承継を進める必要はありません。

他の専門家の方が優先順位の高いケースがほとんどであるため、最初に弁護士や司法書士に相談すべきか考えるようにしましょう。

M&A仲介業者

M&Aに関する業務を専門的に行っている事業者が増えています。

M&Aの専門家として、知識や最新の情報を持っており、また経験も豊富です。

様々な実例を見てきて、トラブルや問題となりやすいパターンを把握しています。

そのため、大きなトラブルが発生しないように回避することができると考えられます。

経験豊富な仲介業者であれば、実際に事業承継を依頼してもスムーズに進めてもらうことができます。

ただ、M&A仲介業者に対する報酬は思っているよりも大きな金額となってしまいます。

その金額に見合ったサービスを受けられるという保証はないことがデメリットと言えるでしょう。

公認会計士・税理士

多くの中小企業は、公認会計士や税理士と会計や税務の顧問契約を締結しているでしょう。

そのため、会社で何か困ったことが起きれば、真っ先に相談する相手となっているケースも少なくありません。

実際、事業承継に関する相談相手としても、株価評価や税制に密接に関連する問題であるため最適と言えます。

また、他の中小企業の動向を聞いて参考にすることもできます。

一方で、事業承継に関する知識や最新の情報を持っていないことも考えられるので、注意が必要です。

特に個人の税務事務所の場合は、事業承継に関する業務がまったくの未経験ということも十分に考えられます。

税理士に事業承継について支援してもらうことに関しては、こちらも参考にしてください。

経営者は事業承継をどこに相談している?

中小企業の経営者が実際に事業承継を行おうとする場合、誰に相談しながら進めているのでしょうか。

「2017年版中小企業白書」では、中小企業が事業承継を行う時の実態が明らかにされています。

この白書では、事業譲渡・売却・統合に関心を持っている企業が、誰に相談したのかについて調査しています。

これによれば、「顧問の公認会計士・税理士」に相談した人が59.1%と最も多くなっています。

次に多いのが「親族・友人・知人」の43.4%、そして「取引金融機関」42.3%となっています。

ただ、これらの人達はいずれも普段から接触が多く話しやすい人ですが、事業承継に関する専門的な知識を持っているとは言えません。

特に友人や知人には、同じような経営者もいて悩みを聞いてもらうことはできるでしょう。

しかし、事業承継の具体的な対処方法や法律、税金などの専門的なアドバイスをもらうことはできない可能性は高いと言えます。

一方で、商工会議所や商工会に相談した人は9.1%、事業引継ぎ支援センターに相談した人は4.5%とわずかです。

事業承継を考える上では、専門的な知識にもとづいたアドバイスは必要不可欠です。

ただしそのようなアドバイスは、事業承継を考える経営者が自ら求めなければなりません。

事業承継の相談先を選ぶ3つのポイント

事業承継を行うためには、専門家のアドバイスを受けながら進める必要があります。

この時に、どのような専門家に相談したらいいのかわからずに悩む方も少なくありません。

そこで、相談先を選ぶ際のポイントをいくつかご紹介します。

事業承継やM&Aの実績が豊富か

事業承継を行うにあたって注意しなければならないポイントは数多くあり、それは事例ごとに異なっています。

そのため、事業承継をスムーズに進めるには数多くの実績を持つ人に相談するのが大事なことです。

会社と顧問契約している税理士は、会社の税金や相続税の計算はできても、事業承継に携わった経験がない人が多くいます。

そのような人に相談して、手探りで事業承継を進めても、スムーズに問題なく事業承継を行うことはできません。

そこで、実際に事業承継についてどのような知識と経験を有しているのかを確認して、相談するようにしましょう。

これまで付き合いのある税理士には業務を引き続き依頼し、事業承継だけは別の専門家に依頼してもかまいません。

専門家のアドバイスを受けられる環境にあるか

公認会計士や税理士から事業承継に詳しい人を探すのが難しい場合、M&A仲介業者などに相談しようと検討することもあります。

M&A仲介業者であれば、専門業者として事業承継の実績は豊富なはずですし、様々な事例を見ています。

そのため、単に事業承継をスムーズに進めるだけでなく、より問題のないように後継者に引き継ぐことができるのです。

ただ、このような仲介業者を利用する場合でも、担当者の知識や経験だけでカバーできない問題が起こることがあります。

この場合、担当者を通じて公認会計士や税理士、弁護士などの専門家にアドバイスを求める必要が出てきます。

そこで重要になるのが、仲介業者と専門家とのつながりです。

もし仲介業者と専門家のつながりが密接で、すぐに相談することができれば問題はありません。

しかし、専門家とのつながりが希薄で、なかなか専門家に相談できないのであれば、不安を感じることとなります。

ほとんどの仲介業者は専門家と連携しているはずですが、その中身には差があるため、見極める必要があります。

事業承継に関連する他の問題の解決が可能か

事業承継を行うことで、会社の後継者問題は解決できる可能性が高まります。

しかし、経営者が抱える問題は事業承継の問題だけではありません。

特に経営者は、遺産分割や相続に関する悩みを抱えている場合が多く、事業承継と同時に対策を進めていきたいと考えています。

そこで、事業承継を進めながら事業承継以外の問題を解決することが求められます。

この場合、相続や遺産分割、税金など、事業承継以外の知識や経験が必要になります。

特に相続に詳しい専門家に相談し、遺産分割や相続についても同時に相談できるのが望ましいと言えるでしょう。

まとめ

事業承継を行う上では、法律上や税務上の問題が生じる可能性は非常に高いと言えます。

そのため、専門家に相談せずに進めることはできません。

また、専門家に相談せず事業承継を勝手に進めてしまうと、後から大きな問題が生じることとなりかねません。

そこで、事業承継を実行する前に必ず専門家に相談し、そのアドバイスを受けなければなりません

誰に相談するのが最適なのかは会社や経営者によっても異なるため、置かれた状況にあわせて選定するようにしましょう。

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