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最終更新日:2024/8/9

夫・妻の連れ子に相続権はない!財産を相続させる方法・相続分

弁護士 水流恭平

この記事の執筆者 弁護士 水流恭平

東京弁護士会所属。
民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/tsuru/

この記事でわかること

  • 夫や妻の連れ子に相続権はあるのか
  • 夫や妻の連れ子に相続させる方法
  • 夫や妻の連れ子に相続させる際の注意点

自分の夫や妻に連れ子がいる場合、将来的に相続に関する問題が生じることがあります。

本記事では、夫や妻の連れ子における相続権の有無や、財産を希望通り相続させる方法、さらに注意すべきポイントについて詳しく解説します。
ご自身が連れ子である方やご自身に連れ子がいる方、夫や妻に連れ子がいるという方は特にご確認ください。

夫・妻の連れ子に相続権はない

ある人が亡くなった際には、相続が発生します。
相続権(相続人となる権利)が誰にあるかは法律で決まっており、亡くなった人の子には相続権が認められています。

一方、義理の親(親の再婚相手)が亡くなった場合の連れ子に対する相続権については、法律上の規定から除外されています。
そのため何かしら特別な対策をしなければ、ご自身が亡くなった場合、夫や妻の連れ子には相続権がなく、連れ子が財産を引き継ぐことはできません。

夫・妻の連れ子に財産を相続させる方法

それでは、連れ子に財産を相続させたい場合、どのような方法があるのでしょうか。
ここでは、3つの方法をご紹介します。

遺言書を作成する

連れ子に財産を引き継がせる方法のひとつは、遺言書を作成することです。
特定の財産を「○○(連れ子の氏名)に遺贈する」と記載された遺言書を作成することで、連れ子に指定した財産を引き継がせることが可能となります。

遺言書の代表的な形式には、自分で作成する「自筆証書遺言」と、公証役場で公証人が作成する「公正証書遺言」の2種類があります。

自筆証書遺言は自身で簡単に、安価に作成ができる一方、法的な有効性が否定されるリスクがあります。
連れ子に遺贈する遺言書を作成する場合には、間違いなく有効な遺言書となるよう「公正証書遺言」で作成することをおすすめします。

養子縁組をする

連れ子に財産を引き継がせる方法のもうひとつは、義理の親と連れ子が養子縁組をすることです。
養親本人と養子本人の合意し、適切な手続きを経て養子縁組をすることで義理の親と連れ子の間に法律上の親子関係が生じ、養子となった連れ子にも義理の親の相続権が発生します。

生前贈与をする

生きている間に、義理の親から連れ子に財産を贈与する(いわゆる生前贈与を行う)ことで、亡くなった後に一部の財産を相続することと実質的に同じ結果を得ることもできます。
なお、一定以上の金額を贈与する場合などは贈与税の対象となる可能性があるため、生前贈与は一度に高額の財産を引き継ぐのではなく、複数年に分けて実施される方がよいでしょう。

夫・妻の連れ子に財産を相続させるときの相続分

それでは、連れ子に財産を相続させる際には、どのような相続分になるのでしょうか。
それぞれの場合ごとに確認していきましょう。

遺言書を作成した場合の相続分

遺言書を作成する場合、財産の分け方は遺言書を作成する方(財産を渡す方)の好きなように決めることができます。

連れ子の財産を引き継ぐ割合についても、自由に指定することができます。
ただし、連れ子の他に妻や夫、実子など他の相続人がいる場合には、他の相続人の相続分を侵害し過ぎないように注意が必要です。

養子縁組をした場合の相続分

養子縁組をすると法律上の親子関係が生じ、連れ子にも相続権が発生します。
この場合の、養子となった連れ子の相続分は、実子と同様の相続分となります。

生前贈与をした場合の相続分

生前贈与をした場合、被相続人が亡くなるまでにどの程度の期間、どの程度の資産を引き継いだかによって、被相続人が亡くなった時の相続分が変わります。
こちらについても遺言書を作成するときと同じように、連れ子の他に妻や夫、実子など他の相続人がいる場合には、他の相続人の相続分を侵害し過ぎないように注意が必要です。

夫・妻の連れ子に財産を相続させるときの注意点

続いて、連れ子に財産を相続させる場合の注意点について確認しましょう。

遺言書を作成する場合の注意点

遺言書の形式や要件は明確に決まっており、不備がある場合は無効になってしまうリスクや、有効性を疑われて相続人の間で争いごとが発生するリスクがあります。

前述したように、遺言書の代表的な形式には自分で作成する「自筆証書遺言」と、公証役場で公証人が作成する「公正証書遺言」の2種類があります。

連れ子に遺贈する遺言書を作成する場合には、無用なトラブルを避けるためにも「公正証書遺言」で作成することをおすすめします。

また、遺言書を作成する場合には財産の分け方を自由に指定することができますが、連れ子の他に妻や夫、実子など他の相続人がいる場合には、他の相続人の相続分を侵害し過ぎないように注意が必要です。

一定の範囲の相続人には、「遺留分」と呼ばれる最低限保証された財産の取り分があります。
この遺留分を侵害し、「財産の大部分を連れ子に引き継ぐ」という遺言書を作成する場合は、遺留分を侵害された相続人から連れ子に対して金銭を請求されるなど、トラブルに発展するケースもあり得ます。

養子縁組をする場合の注意点

養子縁組は、市区町村の役所に届出を行うことで効力が発生します。
養親となる方もしくは養子となる方が結婚している場合には、原則としてその配偶者の方の同意が必要となります。
また、養子縁組をするには、養親となる方と養子となる方の両方の合意が必要です。
養子となる方が15歳未満の場合には、親権者等の養子の法定代理人が、養子となる方に代わって養子縁組の合意をすることとなります。

また、一度成立した養子縁組を解消するにあたっては、再度の手続きが必要となるため、養子縁組をする場合には慎重な検討が必要となることにご注意ください。

生前贈与をする場合の注意点

一定以上の金額を贈与する場合に、贈与税が発生する可能性があります。

また、どのタイミングで、どれくらいの金額を、誰から誰に渡したのかなどが後からわからなくなってしまうことを防ぐため、契約書等を作成し内容を残しておくことが望ましいです。
生前贈与をする上でわからない、あるいは不安なことがある方は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

その他の注意点

連れ子に財産を引き継ぐ場合、他の相続人や親族が連れ子を「部外者」として見るなど、一部の関係者が反発しトラブルとなる恐れがあります。
このようなトラブルを避けるためには、法的に効力のある遺言書を作成するとよいでしょう。
遺言書によって被相続人の意思であることを明確することが大切です。

また、相続財産が一定金額以上の場合には、相続税の申告や納税が必要となります。
法定相続人の数によって相続税の控除額は変動しますが、養子縁組をすると法定相続人の数が変化するため、相続税の計算についても注意が必要です。

まとめ

特に何も手続きをしない場合には連れ子に相続権が発生しませんが、遺言書や養子縁組を活用することで、連れ子にも財産を引き継げます。

連れ子に相続をしたい、財産を引き継ぎたいというご希望がある方は、遺言書の作成や養子縁組の手続き、または生前贈与の活用などをぜひご検討ください。

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