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最終更新日:2022/12/15

相続争い解決法VOL18遺産分割によって取得した不動産の移転登記について解説

弁護士 中野和馬

この記事の執筆者 弁護士 中野和馬

東京弁護士会所属。
弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。
お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/nakano/

亡くなった方の葬儀や遺品整理、遺産分割協議が終わった後も、しなければならないことがあります。

遺産分割によって譲り受けた不動産は、所有権の移転登記をしなければ、第三者に所有権を主張することができません。

移転登記とはどんな手続きか、必要な書類や申請の仕方について解説します。

不動産を取得したら移転登記

遺産分割によって不動産を譲り受けた場合は、法務局(登記所)で所有権の移転登記をします。

移転登記とは

不動産は、大切な財産である土地や建物の所在と面積、所有者の住所、氏名などの権利関係を公の記録として保管する登記制度によって管理され、この情報は、一般に公開されます。

この制度があることで、所有者を正しく特定することができ、不動産売買の際の安全と円滑化が担保されています。

不動産の所有者が変わる場合、第三者に対して所有権を主張できるように、登記記録に記載されている所有者を、新たに所有者となる者の名前と住所に変更する登記を行う必要があります。

これを、所有権の移転登記と呼びます。

ただし、所有権の登記は義務ではないため、売買や交換、譲渡などが発生しない限り、亡くなった方の名義のままにしておいた場合でも、罰則など大きな不都合はないと言えます。

このため、亡くなった方の名義のままにしている不動産も多く、課税や公共事業、土地の管理などの面で不都合があり、社会問題となっていることも知られています。

移転登記は早めに

しかしながら、相続人が譲り受けた不動産を処分したい場合には、登記簿上の所有者でない限り、売却や交換、譲渡など、所有者としての手続きを行うことができません。

早めにすると安心です。

また、長い間亡くなった方の名義のままにしておいた不動産を処分する場合は、まず、所有者の名義を相続人に変える必要があります。

この際は、相続時にさかのぼった相続人全員の戸籍謄本や実印、印鑑証明書などが必要になります。

時間が経てば、当時は元気で仲の良かった共同相続人どうしも、仲違いすることや、高齢や病気などによりスムーズな連絡が取れないことも予想されます。

共同相続人が亡くなってしまった場合などは、亡くなった共同相続人の子や孫への代襲相続が発生していることもあり、変更登記手続きが難航することも懸念されます。

遺産分割による登記手続きは2種類

遺産分割による所有権移転登記の手続きは、大きく2種類に分けられます。

法定相続分による相続と遺産分割協議での合意に基づく相続です。

両者は、申請書の記載方法や添付書類が異なります。

法定相続分による移転登記

法定相続分による移転登記は、不動産を相続分に応じて共有する登記です。

この申請は、共有者の保存行為として、相続人それぞれが単独で行うことができます。

法定相続分での登記は、遺産分割協議書がなくても手続きを行うことができます。

共有名義となるため、不動産を処分したい場合には、共有者全員の同意が必要となります。

遺産分割による移転登記

遺産分割協議では、相続人全員が同意すれば、法定相続分とは異なった分割を行うことができます。

たとえば、長男だけが自宅の建物と敷地を譲り受けるようなケースが該当します。

この場合の登記手続きは、相続人全員の実印と印鑑証明書による登記申請もできますが、一般的に「遺産分割協議書」または「相続分が無いことの証明書」を添付書類として、譲り受ける相続人が単独で手続きを行うことができます。

遺産分割協議書に相続人全員の実印が押印されていることに加え、協議書に押した実印がそれぞれ相続人のものであることを証明するため、印鑑証明書が必要です。

通常、印鑑証明書は発行後3ヵ月以内のものが要求されますが、この登記手続きでは、遺産分割協議書を作成した時点の印鑑証明書があれば、新たに取得し直す必要はありません。

登記の際の注意点

遺産分割は、相続開始の時にさかのぼりますが、第三者の権利を害することはできません。

遺産分割によって、それ以前の共有持分の処分や差押えの登記を消滅させることはできません。

また、住宅ローンが残っている場合、金融機関の承諾が必要であることが一般的です。

名義変更をする際には事前に確認することが大切です。

このほか、相続人の誰かが居住している場合など、使用貸借権などが残ることがあります。

事前に話し合いで合意を得ておくことが重要です。

移転登記の申請手続きをする

相続による所有権の移転登記は、相続人本人でも行うことができます。

必要な書類や手続きの仕方を解説します。

相続登記に必要な書類

不動産の所有権移転登記は、いつまでにしなければならないという期限はありません。

しかしながら、長期間放置すれば、登記の申請に必要な書類が煩雑になることや、処分したい場合の手続きに時間がかかることもあるため、早めに行うことがおすすめです。

申請書類としては、相続登記申請書をはじめ、添付書類が必要です。

亡くなった方については、出生から死亡までの戸籍が分かる戸籍謄本や除籍謄本、住民票の除票が必要です。

通常、相続関係説明図、遺産分割協議書と作成した時点で有効な相続人全員の印鑑証明書を、添付書類として提出します。

相続関係説明図とは、亡くなった方と相続人の関係を示す家系図のような書類です。

また、相続不動産を譲り受ける相続人については、戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書、登記にかかる登記免許税(固定資産評価額の1000分の4)が必要です。

なお、相続手続きの際には、通常の名義変更にかかる費用に加え、相続税を支払わなければならない場合があることを念頭に置きましょう。

相続税の支払い期限は、被相続人が死亡した日の翌日から10ヵ月以内です。

なお、亡くなった方や相続人の事情によっては、この他に必要とされる書類がある場合もあります。

相続登記は本人でもできる

名義変更の手続きは、基本的に自分で行うことが可能です。

ただし、準備する書類や手続きが複雑になるケースも多く、申請に際しては、聞きなれない専門用語や登記に関する法律なども理解した上で、間違いなく申請手続きを行わなければなりません。

司法書士に依頼するケースも多いのですが、相続人自ら行うこともできます。

戸籍などについては市町村役場で、また、添付書類や申請書類の書き方などは登記所に相談すれば、教えてもらうことができます。

インターネットを利用すれば、法務局の不動産登記申請手続の説明や見本を確認することができ、申請書類をダウンロードすることもできます。

まとめ

所有権の移転登記の申請には、申請書のほか添付書類が必要です。

移転登記の原因としては、相続のほか、売買、贈与などがありますが、原因別に申請書の記載方法や添付書類が異なります。

また、相続も、遺言によるものや法定相続分による分割、遺産分割協議による分割、数次相続が発生した場合では、やはり記載方法や添付書類が異なります。

相続人本人が申請する場合、法務局の事前相談を利用すると、スムーズに手続きを進めることができます。

事前の予約が必要ですが、自分で申請する場合は利用をおすすめします。

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