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最終更新日:2025/7/1

相続した株式は買い取りしてもらえる?手続き方法と税金について

弁護士 水流恭平

この記事の執筆者 弁護士 水流恭平

東京弁護士会所属。
民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/tsuru/

この記事でわかること

  • 相続における株式の取り扱い
  • 株式を買い取りしてもらう方法
  • 株式の買い取りでかかる税金

株式を相続したものの、どのように処分すればいいかわからない、と悩んでいませんか。
相続した株式の処分には、手続きの方法や税金についても知っておく必要があります。

相続した株式は通常、売却や譲渡により処分できますが、発行会社から買い取りの打診が来ることもあります。
今回は、相続した株式を買い取りしてもらう方法や、処分したときの税金について解説します。

被相続人が保有していた株式はどうなる?

株主が亡くなった場合、株式も相続財産の一部となり、相続手続きをする必要があります。
相続直後は不動産と同じように、相続人全員で共有した状態です。

そのため株式を処分するには、誰がどの株を相続するのか、その割合も含め協議をする必要があります。
ここでは株式の分配方法と、処分のための名義変更について解説します。

遺産分割協議で分配する

株式の相続において、法定相続割合でわける場合でも、銘柄や単元を決めるために遺産分割協議を行う必要があります。

株式は分割が容易なため、株式の単位でわける方法が一般的です。
他にも株式を売却し、売却代金を相続割合で分割する方法や、一人がすべてを相続し、他の相続人に代償金を支払う方法もあります。

協議がまとまれば遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書は処分の手続きで必要なため、迅速に作成しましょう。

売却には名義変更が必要

相続した株式を処分するには、まず被相続人から相続人へ名義変更しなくてはなりません。
名義変更には、証券会社や株式を発行した会社に必要書類を提出し申請します。

必要書類は、一般的に以下の通りです。

  • 被相続人の死亡届(または戸籍謄本)
  • 相続人の本人確認書類
  • 遺産分割協議書(または法定相続を証明する書類)

手続きが終わると、ようやく株式の処分ができるようになります。

相続した株式を会社に買い取りしてもらう手続き

株の発行元の会社からすると、相続などにより株式が分散し、株主が増えていくことはリスクになります。
連絡が取れない株主の対応や、株主総会の通知など手間が増えるためです。
そのため会社側も、相続によって取得された株式を買い取りたいと考えている場合が少なくありません。

ここでは、会社が相続人から株式を買い取る制度やその手順について解説します。
なお、相続人が自主的に株を処分したい、と考える場合は通常通り株を売却・譲渡しましょう。

株式売渡請求とは

株式売渡請求とは、株式を発行した会社から少数株主に対し、株式を売り渡すことを請求できる制度です。
相続人から株式を買い取る場合に用いられることが多く、正当な対価によって買取りが行われます。
基本的に会社と相続人の話し合いによって行われますが、合意が難しい場合は、強制的に株式を取得できることが特徴です。

株式売渡請求を行うには以下の条件があります。

  • 売り渡す株式が譲渡制限株式である
  • 定款に売渡請求ができる旨の内容が定められている
  • 株主総会の特別決議で承認を得る
  • 被相続人の死亡から1年以内に売渡請求の通知をする
  • 買取り額が余剰金の分配可能額の範囲である

請求を行う流れを、順番に見ていきましょう。

株主総会の特別決議

株式売渡請求を行う場合、株式を発行した会社は定款の定めに従い、株主総会の特別決議によって売渡請求をする株式の数、請求する相手方の情報を確定させます。

売買価格は相続人との決議によるため、ここでは決める必要はありません。
なお、株式を相続した相続人は、特別決議についての議決権を行使することはできません。

売渡請求の通知

特別決議が議決されたら、相続人に対して株式の売渡請求の通知を送付します。
請求を受けた相続人は、売渡請求自体を拒むことはできません

価格については協議によって決める余地があるため、ここで提示された金額に納得がいかない場合は、同意する必要はありません。
遺産分割協議が終わっていない段階では、相続人全員に対して通知が行われる場合もあります。

売買価格の決定

会社との協議により売買価格を決定します。
協議がまとまらない場合は、裁判所で売買価格の決定の申立てを行い、最終的に和解によって売買価格が決まることもあります。

相続した株式の買い取りにかかる税金


株式の相続や買取りを行うと、税金がかかります。
納税に影響が出ないよう、正しく理解しておきましょう。

相続税

株式を相続した時点で相続税がかかります。
相続税は、他の相続財産とまとめて計算し、相続開始から10カ月以内に現金一括納付が基本です。

なお、株の相続税の算出方法は、株式の種類や相続発生時の株価など多くの要素が絡み合い、非常に複雑です。
株を相続したら、税理士に相談することをおすすめします。

所得税

株式を売却したときや会社に買い取ってもらった場合、売却の利益に対して譲渡所得、配当所得として所得税と住民税が合計20%かかります。

株式を買い取ってもらった場合、通常の売買に加えて、会社が積み上げてきたこれまでの利益の配当を得るとみなさるため、買取り金額の一部が配当所得として計算されます。

売却益が20万円を超える場合は確定申告も必要になるため、覚えておきましょう。

まとめ

相続で株式を取得することは、珍しいことではありません。
しかし処分の方法や手続きまで理解している人は、少ないのではないでしょうか。

相続した株式の処分は、手続き方法が複雑で、相続税や所得税など税制面についてしっかり理解しておかなければいけません。
株式を相続して処分に困っている場合は、相続に精通した弁護士に相談しましょう。

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