この記事でわかること
- 底地を相続する際にどのようなトラブルが起きやすいのかがわかる
- 底地の相続で発生するトラブルが発生した場合の対処法がわかる
- 底地を相続する際にトラブルが発生しないようにする方法がわかる
目次
底地の相続で起きやすいトラブル4つ
底地を相続する場合、土地を利用する借地人と土地を所有する底地人がおり、権利関係が複雑になります。
また、底地は所有者が自分で利用することはありませんが、評価額はかなりの高額となります。
そのため、自身で利用する土地を相続する場合より、トラブルになりやすいといえます。
どのようなトラブルが起こりやすいのか、その具体例をご紹介します。
底地を複数の相続人で相続して共有にする
底地は借地人が利用する土地であり、所有者自身で利用できませんが、相続の際には更地の1割~7割が評価額となります。
自身で利用できないにもかかわらず、土地によっては数千万円を超える評価額になることもあります。
底地を1人の相続人が相続すると、相続分のバランスが取れなくなるため、複数人で相続することがあります。
しかし、底地を複数人で相続し共有にすると、その後の意思決定はすべて共有者全員が一致しなければ実行できなくなります。
売却したいと思う人がいても、売却したくないと思う共有者が1人でもいれば、売却はかなり難しくなってしまいます。
遺言書で相続人が指定されている
被相続人が遺言書を作成していた場合、原則としてその遺言書に書かれたとおりに遺産分割が行われます。
しかし、被相続人が作成した遺言書の内容は、必ずしも相続人全員が納得のいくものとなっているとは限りません。
たとえば、1人の相続人が全ての遺産をすべて相続するというような内容になっていることも考えられます。
こういった極端な内容の遺言書は、相続人同士が揉めるきっかけとなる可能性が高いです。
地代を値上げしたいが応じてもらえない
借地人との契約で、底地を保有する地主は地代を受け取っていると考えられます。
しかし、その契約が何年も前に交わされたものである場合、受け取っている地代が現在の経済事情に合わないことがあります。
そのため、借地人と交渉して、地代の値上げをお願いすることがあります。
ただ、借地人との契約期間や、借地人の事情などのために地代の値上げに応じてもらえないことも珍しくありません。
相続しても相続税や固定資産税の負担が大きく、保有するメリットが感じられないことがあり得ます。
底地を相続した後に売却できない
底地を相続した後に、その底地を売却してしまおうと考える方がいます。
底地を保有していてもメリットが感じられないため、お金に換えてしまおうということです。
しかし、自分で自由に使うことのできない底地は、それほど高い金額で売却することができません。
あるいは、そもそも買い手を見つけることができない場合もあります。
売却しようにも売却できないということが、底地の場合は考えられます。
底地の相続トラブルの対処法・解決方法
底地を相続する場合、様々なトラブルが発生しやすいことがわかりました。
このようなトラブルが実際に発生した場合、どのように対処し、解決するといいのでしょうか。
底地を共有しないようにする
底地に限らず、土地を相続した場合には、登記上の所有者を複数人にすることで簡単に共有とすることができます。
1筆の底地を複数の相続人が相続し共有とした場合、各相続人の相続分を平等にし、あるいは相続税の負担を分散できます。
しかし、肝心の底地は共有者が全員納得しなければ、売却することができません。
そればかりか、共有者の中に反対者が1人でもいると、新たな利用法を実行することも不可能となってしまいます。
そのため、底地を相続する際には、できるだけ共有にしないことが重要です。
遺産分割する時は、代償分割などを行い、共有状態とならないようにします。
もし共有となってしまった底地がある時は、問題が発生する前に共有者間で売買し、共有を解消することができます。
遺言書に沿わない遺産分割も検討する
遺言書があると、その遺言書に書かれたとおりに遺産分割を行うのが原則です。
しかし、遺言書を作成した被相続人が、特定の相続人に相続を集中させてしまうことがあります。
このような遺言書をそのまま実行すると、遺産分割後の相続人同士の関係に亀裂が入ってしまう可能性もあります。
遺言書があっても、その遺言書のとおりに遺産分割しなければならないわけではありません。
話し合いにより、すべての相続人で遺産分割の方法を決めることができれば、それに沿って遺産分割することができます。
あるいは、遺言書に従って遺産分割を行いつつも、他の相続人に対する遺留分を計算するようにします。
借地人に売却できないか検討する
借地人がいる底地を買い取りたいという人は、あまり多くありません。
また、かなり安い金額でしか買い取ってもらえないことも多く、売却することにメリットはほとんどないことが多いといえます。
しかし、底地を買えるならどうしても買いたいという人が1人だけいます。
それは、借地人です。
毎月地代を払い続けるより購入した方が、土地を自由に使うことができ、地代を支払う必要もなくなるため、メリットがあります。
底地を売却したい時は、まずは借地人に購入してもらえないか確認するようにしましょう。
地代値上げの根拠を説明する
地代を上げたいという話をしても、それに応じてくれる借地人はまずいません。
大事なのは、どのような理由で地代を上げたいのか、そしてその根拠はどこにあるのかを借地人に理解してもらうことです。
地価が上昇し固定資産税の負担が上昇している、周囲の物件より地代が安すぎるといった理由を説明しましょう。
また、契約上地代の改定が認められており、法的にも問題ないことを理解してもらいます。
一方的に地代の値上げを主張しても理解は得られないため、丁寧な話し合いを行うようにしましょう。
底地の相続トラブルを防ぐ方法
底地を相続する際にトラブルが発生しても、対処法を実行すれば、そのトラブルを解決することができます。
ただ、本当に大事なことは、トラブルが発生しないようにすることです。
底地の相続トラブルを防ぐ方法にはどのようなものがあるのか、確認しておきましょう。
遺産の内容を見直す
底地は2つ以上に分割することが簡単ではなく、また金額的に大きくなることが多い財産です。
共有しないようにすると、底地を相続する人とそれ以外の相続人でバランスをとることが難しくなってしまいます。
底地を保有する人は、あらかじめ遺産の内容を確認しておき、分割しやすい財産を準備しておくことも検討する必要があります。
遺言書はできるだけ平等に
生前に遺言書を書いておけば、特定の人だけに遺産を引き継いでもらうこともできます。
しかし、そのような遺言書は相続人同士のトラブルを招く結果となり、誰にとってもメリットがないものとなります。
遺言書を作成する時は、すべての相続人に納得してもらえるよう、できるだけ平等になるようにしましょう。
また介護や看病してもらった人の相続分を増やしたい場合は、そのことを遺言書に書いておくと、納得してもらいやすいでしょう。
相続発生前に売却する
底地を相続するとトラブルになりやすいのは、底地を分割することは難しい一方で、評価額が高くなるためです。
そこで、この両者を一気に解決できる方法があります。
それが、相続発生前に底地を売却することです。
底地を相続前に発生してしまえば、遺産分割の対象になるのは売却によって得た現金となります。
現金であれば何人かで分割することも簡単にできるため、相続人間での不満が起きにくいでしょう。
底地を売却しようと思っても、すぐには売却できないことが多いので、早めに専門業者に相談するようにしましょう。
まとめ
底地を相続することで、トラブルとなることがかなりあります。
このようなトラブルを避けるためには、相続が発生する前から対処し、トラブルが発生する原因をつぶしておくことが重要です。
相続はいつ発生するかわからないため、事前の準備を早めに実行する必要があります。
まずはできることから始め、相続が発生した時にトラブルとならないようにしておきましょう。