この記事でわかること
- 失踪宣告の死亡日
- 普通失踪・特別失踪の死亡日
- 失踪宣告の手続きの流れ
- 失踪宣告された人が生きていた場合の失踪宣告の効力
行方不明者に対して失踪宣告が行われると、行方不明者(失踪者)は死亡したものとみなされます。
人が死亡すると相続が開始するため、失踪宣告による「死亡日」がいつになるかが、相続手続上重要な意味を持ちます。
また、普通失踪と特別失踪では、死亡とみなされる時期が異なることにも注意が必要です。
今回は、失踪宣告の死亡日の定義や、失踪宣告審判確定日との違いについて、失踪宣告の手続きや失踪宣告されていた人が生きていた場合の失踪宣告の効力などとあわせて解説します。
目次
失踪宣告の死亡日とは
失踪宣告とは、行方不明者を法律上死亡したものとみなすことです(民法第31条)。
ここでは、失踪宣告された場合の「死亡日」、失踪宣告審判確定日との違いや、戸籍に記載される日程を解説します。
死亡日の定義
失踪宣告における死亡日とは、行方不明者が法律上死亡したとみなされる日をいいます。
失踪宣告審判確定日との違い
失踪宣告審判確定日は、失踪宣告の申立てを受けた家庭裁判所が行った審判が確定した日を指します。
申立てから審判確定までは通常6カ月程度かかるため、普通失踪の場合の審判確定日は死亡日より6か月以上後、特別失踪の場合は1年6カ月以上後になります。
戸籍謄本に記載される日程
失踪宣告の届出をすると、戸籍には以下の日程が記載されます。
- 死亡とみなされる日(死亡日)
- 失踪宣告審判確定日
- 届出日
このうち、「死亡日」が相続開始日となります。
普通失踪・特別失踪の死亡日
普通失踪と特別失踪では、以下のように死亡日が異なるため注意しましょう。
普通失踪の死亡日
普通失踪における死亡日は、行方不明者の生存が最後に確認されたとき(失踪時点)を起算点として、7年経過したときです。
失踪時点の日付が明らかでない場合は、「2024年〇月頃」のような死亡日の定め方も可能です。
特別失踪の死亡日
行方不明者が、戦争や航空機事故・海難事故、震災などの「死亡の原因となるべき危難に遭遇」した場合、危難が去った後の1年間生死不明であれば、利害関係人による「特別失踪」の申立てが認められます。
特別失踪の場合、死亡日は「危難が去ったとき」です(民法第31条)。
たとえば、搭乗していた旅客機が墜落した場合、墜落事故があった日が死亡日となります。
特別失踪の場合も、「危難が去ったとき」の日付が不明の場合は、普通失踪の場合と同様の定め方ができます。
失踪宣告の手続き
失踪宣告の手続きは、以下の流れで行います。
失踪宣告の申立て
普通失踪の場合は行方不明者の生死が7年間不明の場合、特別失踪の場合は危難が去った後1年間生死不明の場合、家庭裁判所に失踪宣告の申立てを行うことができます。
失踪宣告の概要については、以下の表の通りです。
申立てができる人 | 利害関係人(配偶者、父母、その他の推定相続人、受遺者、保険金受取人) |
---|---|
申立先の家庭裁判所 | 行方不明者の最終住所地を管轄する家庭裁判所 |
申立費用 |
・収入印紙:800円分 ・連絡用の郵便切手代 ・官報公告料:4,816円 (失踪に関する届出の催告3,053円+失踪宣告1,763円) |
必要書類 | ・申立書 ・行方不明者の戸籍謄本 ・申立人の利害関係を証明する資料(申立人の戸籍謄本など) ・失踪に関する事実を証明する資料 |
参照元:裁判所
家庭裁判所の調査と公示催告
申立てを受けた家庭裁判所は、失踪者の家族や親族に対して調査を行い、所定の期間生死が不明であることを確認します。
調査完了後、裁判所は公示催告を行い、以下の情報を官報に掲載します(公示催告)。
- 失踪宣告の申立ての事実
- 失踪者が生存していれば一定期間内に届け出るよう指示
- 届出がない場合は失踪宣告を行う
- 失踪者の生存を知っている人は一定期間内に届け出ることを指示
- 申立人と失踪者の氏名、住所、生年月日
審判確定
公示催告後、失踪者に関する届出がなかった場合は、家庭裁判所が失踪宣告の審判を行い、申立人に対して審判書謄本を送達します。
審判書謄本が届いてから2週間、申立人が異議申立てを行わなかった場合は、審判が確定します。
失踪届の届出
審判が確定したら、申立人は10日以内に失踪者の本籍地または申立人の住所地の役所で失踪届を提出します。
審判確定日から10日を過ぎると失踪宣告が無効になるため、必ず10日以内に届出を行いましょう。
失踪宣告をしても生きていた場合はどうなる?
失踪宣告後、失踪者が生きていることがわかった場合、失踪宣告の効力はどうなるでしょうか。
失踪宣告の効力は消滅しない
失踪宣告の手続きは家庭裁判所で行われているため、生存が確認できた場合でも、その事実によって失踪宣告の効力には影響がありません。
失踪宣告の効力を消滅させるためには、家庭裁判所に失踪宣告取消を申し立てて、取消の審判を受ける必要があります。
失踪宣告取消の審判が確定すれば戸籍を回復できる
失踪宣告後、利害関係人が役所に届出を行うと、失踪者は戸籍から除籍されます。
失踪者が婚姻していた場合は婚姻が取り消されるため、配偶者は再婚が認められます。
失踪宣告後に失踪者の生存が確認できた場合も、再婚の効力には影響がありません。
失踪宣告が取り消された後も、配偶者と再婚相手が失踪者の生存を知らなければ再婚は有効です。
まとめ
失踪宣告が行われた場合、実際に相続手続きを開始できるのは失踪の届出を行った後になります。
しかし、法律上相続が開始するのは「死亡日」であるため、相続人は死亡日の時点で確定することに注意が必要です。
失踪宣告の申立てを検討されている方は、失踪宣告された場合の死亡日を確認しておきましょう。
失踪宣告手続きや、失踪宣告に伴う相続についてわからないことがあれば、遺産相続を専門とする弁護士にご相談ください。