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最終更新日:2024/5/17

相続放棄申述受理証明書とは?必要なケース・申請方法を解説!

相続放棄申述受理証明書とは?必要なケース・申請方法を解説!

この記事でわかること

  • 相続放棄申述書受理証明書とは何か
  • 相続放棄申述書受理証明書と相続放棄申述受理通知書の違い
  • 相続放棄申述書受理証明書が必要になる場面
  • 相続放棄申述書受理証明書を取得する方法

相続放棄をしたい場合、相続をしなければよいだけと思うかもしれません。

実際には、裁判所に相続放棄申述書を提出する必要があります。

相続放棄申述書が裁判所に受理された事実を証明する書類が「相続放棄申述受理証明書」です。

この記事では、相続放棄受理証明書を申請する際の記入方法や、郵送申請・窓口申請の方法を解説します。

また、相続放棄申述受理証明書が必要になるケースや相続人以外で申請できるケースについても説明します。

相続放棄を考えている方には必要な手続きが多いため、知識を備えておきましょう。

相続放棄申述受理証明書とは

相続放棄申述書受理証明書の見本

「相続放棄申述受理証明書」とは、相続放棄申述書が正式に裁判所へ提出され、受理された事実を証明する書類です。

相続放棄申述受理証明書と相続放棄申述受理通知書の違い

相続放棄申述書受理証明書

相続放棄申述受理通知書

名前がとても似ているのが「相続放棄申述受理通知書」と呼ばれるももう一つの書類です。

これは相続放棄の申立が受理された場合に裁判所から発行される通知書です。

この相続放棄申述受理通知書は、申立が受理されると自動的に交付されますが、証明書は自分で申請をしない限り発行されません

通知書があればたいていの場合は問題ありませんが、通知書は1度しか発行されない書類です。

その点、証明書は交付申請をすれば何度でも発行が可能なため、第三者に提出する必要があるときは証明書を提出しましょう。

また、証明書の交付申請書は、裁判所から相続放棄申述受理通知書が届く際に一緒に同封されています。

交付申請書を提出すると、相続放棄を申請した家庭裁判所から相続放棄申述書受理証明書が発行されます。

相続放棄申述受理証明書を申請できる人

相続放棄申述受理証明書の交付申請は、申述人である本人以外でも申請が可能です。

交付申請ができる方は、一定の利害関係がある人と定められています。

一定の利害関係人には、以下の人が当てはまります。

相続放棄申述受理証明書を申請できる人

  • 他の相続人
  • 受遺者
  • 亡くなった被相続人の債権者

受遺者とは、遺言によって財産を受け取る人をいいます。

相続放棄申述受理証明書が必要なケース

相続放棄申述受理証明書が必要なケース

  • 相続放棄をしたという事実を債権者に対抗するとき
  • 他の相続人が相続手続きをするとき

相続放棄申述受理証明書が必要になるシーンを把握していれば、急に書類を求められたときも慌てずに対処できるため、確認しておきましょう。

相続放棄をしたという事実を債権者に対抗するとき

家庭裁判所で相続放棄の手続きを行った人は、たとえ被相続人に債務があったとしても支払いの義務はありません。

相続放棄をしたのにも関わらず債権者から取立があった場合、相続放棄申述受理証明書を債権者に提出しましょう。

被相続人の債務を支払う義務はないと示せます。

債権者から相続放棄を証明する原本の提出を求められた場合は、1度しか発行されない通知書ではなく、相続放棄申述受理証明書を提出しましょう。

他の相続人が相続手続きをするとき

被相続人の預金口座の払い戻しや預金口座の名義変更をする際には、相続放棄申述受理証明書が必要になる場合があります

金融機関によっては証明書を提出しないと受け付けてくれないケースもあるため、早めに必要かどうかを確認しましょう。

また相続登記をする際に相続人の中に相続放棄をした人がいる場合は、登記をするときに相続を放棄した証明書が必要になります

ただし、以前は不動産の相続登記の際に相続放棄申述受理証明書の提出が必須でしたが、現在は通知書でも代用可能になっています。

相続人による相続放棄申述受理証明書の取得方法・申請の手順

では、相続放棄の申述をした本人が相続放棄申述受理証明書を申請し、取得する方法を見ていきましょう。

相続放棄申述受理証明申請書に必要事項を記入

まず、「相続放棄申述受理証明申請書」に氏名や電話番号などの必要事項を記載します。

この申請書の記載事項の特徴として、相続放棄をした際に割り当てられる事件番号と受理年月日を書く必要があるため、正確に書きましょう。

事件番号の下に交付か送達かを選ぶ欄があるため、窓口交付の場合は交付に丸を、郵送の場合は送達に丸をして該当する送達先を選びます。

次に1~10までの交付申請を受ける書類を選ぶ欄があるため、1の「相続放棄申述受理証明書」に丸をして必要な証明書の通数を書き込みます。

あとは郵送の場合に必要な送達場所の記入と日付・申述人本人の名前・電話番号を記入して押印すれば完了です。

押印は認印で問題ないですが、スタンプタイプは不可のため注意しましょう。

手数料分の収入印紙を貼る

申請書の所定の欄に、手数料として収入印紙を貼ります。

1通150円の手数料がかかるため、複数枚申請する場合は必要な枚数分の手数料を計算して印紙を貼ってください。

窓口・郵送で提出する

相続放棄申述受理証明申請書を作成したら、家庭裁判所の窓口に直接提出するか、郵送で提出するかのいずれかにより、申請を行います

いずれの場合も、相続放棄申述受理証明申請書のほか、相続放棄受理通知書、申述人の本人確認書類が必要になります。

また郵送による場合は、相続放棄受理通知書と本人確認書類のコピーを郵送するほか、返信用の封筒と切手を同封しておきましょう。

なお、相続放棄申述書を提出した時と住所が異なっている場合は、戸籍謄本と戸籍の附票が別途必要になります。

窓口で申請を行った場合は、書類に不備がなければ、その場で相続放棄受理証明書が交付されます。

一方で郵送による場合は、申請の内容を確認された後、相続放棄受理証明書が郵送されてきます。

郵送までは1週間程度かかるものと考え、早めに書類の準備を行いましょう。

利害関係者による相続放棄申述受理証明書の取得方法・申請の手順

次に申述者本人以外の利害関係者による申請方法を確認していきましょう。

相続放棄申述受理証明申請書に必要事項を記入する

利害関係人用の「相続放棄申述受理証明申請書」に必要事項を記入しましょう。

基本的な記載内容は、申述者本人の場合と同様です。

家庭裁判所によっては申述者本人用と利害関係者用で申請書の区別をしていない場合もあります。

しかし、被相続人との関係を記入する欄や相続放棄申述受理証明書を取得する理由を記載する欄を設けている家庭裁判所もあります。

様式が間違っていないかチェックしましょう。

また、申請書の押印は申請者が個人として申請する場合は認印でかまいませんが、会社の場合は職印が必要になるので注意してください。

利害関係を証明する書類を準備する

申請者が相続人である場合は、

  • 被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍)謄本
  • 申請者の戸籍謄本

が必要になります。

申請者が債権者である場合は、

  • 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本
  • 契約書等の債権者であることを証明できる書類
  • 被相続人の住民票(除票)、戸籍附票
  • 契約時に添付された印鑑証明書

が必要です。

必要書類は基本的にすべてコピーで問題ないため、原本を添付する必要はありません。

ただし、申請者が個人ではなく法人の場合は「資格証明書」の原本、さらに債権を回収する会社の場合は「債権回収に関する委託証明書」の原本の提出が求められます。

また、事例によって必要書類は異なるため、詳細は事前に申請先の家庭裁判所へ問い合わせましょう。

手数料分の収入印紙を貼る

申述者本人が申請するときと同様に、必要通数分の収入印紙を貼っておきましょう。

金額は本人が行う時と同じで1通150円です。

窓口申請・郵送申請する

窓口申請も郵送申請する場合も、必要書類や手続き方法は申述者本人がする場合と同じです。

郵送申請の場合は、返信用封筒に切手を準備して同封するのを忘れないようにしましょう。

本人がする場合と比べて提出する必要書類は多くなるため、不足が無いようにしっかり確認をしてください。

相続放棄申述受理証明書の取得・作成するときの注意点

相続放棄した際に、相続手続きのなかで必要になる相続放棄申述受理証明書ですが、取得時や作成時にいくつか注意すべき点があるためご紹介していきます。

相続放棄申述受理証明書は再発行できるが即日は不可

相続放棄申述受理証明書は再発行できます。
回数に制限はなく、何度も発行できますし、一度に複数枚の発行も可能です。

ただし、発行には裁判官の許可が必要となるため、即日の再発行はできません。
相続放棄申述受理証明書を再発行したい場合は、期限にゆとりを持って行いましょう。
あらかじめ必要な枚数分発行しておくのも手です。

相続放棄申述受理証明書は再発行できますが、通知書の発行は1回のみで再発行できません。
通知書には、相続放棄申述受理証明書の発行に必要な事件番号が記載されています。
無くさないよう、大切に保管しましょう。

裁判所に証明書を請求できるのは30年間

裁判所が相続についての情報を保管しておく期間は30年と決まっています

そのため、30年を経過すると相続放棄申述受理証明書は発行できなくなります。

実際には、30年を経過してから証明書が必要になるケースはほとんどないはずです。

「30年経過後に必要になってしまったらどうしよう」と心配になってしまう方もいるかもしれません。

被相続人に借金がある場合でも、このような債権には時効があるため、援用すれば返済義務を免れます。

事件番号がわからない場合は相続放棄・限定承認の申述有無の照会が必要

事件番号がわからない場合は、家庭裁判所に対して「相続放棄・限定承認の申述有無の照会」をすると、事件番号と受理日の情報を得られます

照会申請できるのは、相続人または被相続人の利害関係人で、手数料は無料です。
申請する際は以下の必要書類を準備しましょう。

  • 照会申請書と被相続人目録の書式を取得して必要事項記入
  • 被相続人の本籍地が表示された住民票除票
  • 照会者と被相続人の戸籍謄本
  • 照会者の住民票(会社の場合は商業登記簿謄本または資格証明書)
  • 利害関係を証する書類のコピー

申請方法は郵送も選択できますが、窓口持参の場合は本人確認書類も必要になります。

まとめ

相続放棄申述受理証明書とは、相続放棄申述書が受理された事実を証明する書類です。

相続放棄の事実を債権者に提示する場合、または被相続人の預金口座や不動産の名義変更をする場合に必要になるケースがあります。

相続放棄申述受理証明書は何度でも発行でき、相続人だけでなく、被相続人の利害関係者も取得できるのが特徴です。

証明書の発行手続きは弁護士にも委任できるため、時間に余裕がない方やスムーズに手続きを進めたい方は専門家である弁護士への依頼をおすすめします。

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