この記事でわかること
- 生前贈与の無料相談先
- 生前贈与を誰に相談すればよいか
- 生前贈与に関する専門家を選ぶポイント
生前贈与は、相続税対策や親族間トラブルの回避を目的に、多くの人が検討する重要な手続きです。
しかし、どこに相談すればよいか迷う方も多いでしょう。
本記事では、生前贈与を相談できる無料窓口や専門家の選び方について詳しく解説します。
読後にはご自身の状況に合った最適な相談先を見つけ、生前贈与を実行できるようになるでしょう。
生前贈与を相談できる窓口
生前贈与を相談できる窓口は、税理士事務所以外にも存在します。
ここでは、それぞれの相談の流れ、メリット・デメリットを紹介します。
ご自身の状況や希望に合った窓口があれば、相談してみましょう。
市区町村役場の相談会
市区町村役場では住民サービスの一環として、弁護士や税理士を呼んで相談会を開催しています。
ほとんどが予約制で無料、相談時間は1人30分前後です。
市区町村役場の相談会のメリット
市区町村役場の相談会を利用するメリットは以下のとおりです。
- 相談に行きやすい:役場で開催されるため、気軽に参加できます
- 依頼せずに帰りやすい:「依頼しなければ」というプレッシャーが少ない
- 安心感がある:公共の場のため、安心して相談できます
市区町村役場の相談会のデメリット
市区町村役場の相談会を利用するデメリットは以下のとおりです。
- 専門家を選べない:弁護士や税理士にも得意・不得意があり、生前贈与が不得意な資格者にあたる可能性があります
- 開催頻度が低い:開催頻度は月に1~2回程度で、定員も限られています
- その場で依頼できない:役場では営業活動が禁止されているケースも多く、その場での依頼はできません
税務署の窓口相談
税務署では、税務署職員が税金に関する相談を無料で行っています。
事前に相談内容を伝えて、税金の種類に応じた窓口での相談を予約します。
税務署の無料相談のメリット
税務署の無料相談を利用するメリットは以下のとおりです。
- 無料:税務署での相談は無料です
- 相談しやすい:役所の職員のため、弁護士や税理士よりは相談のハードルが低いかもしれません
- いつでも相談できる:平日日中で空きがあれば、自分の都合のよい日時に予約して相談できます
税務署の無料相談のデメリット
税務署の無料相談を利用するデメリットは以下のとおりです。
- 平日のみ:税務署へ相談できる時間は平日の日中のみのため、平日勤務の方は休みを取る必要があります
- 節税対策はできない:どうすれば贈与税や相続税が減らせるか、といった節税対策に関するアドバイスは受けられません
- 最低限の知識が必要:時間が限られているため、事前にある程度の知識をつけて、質問するポイントを押さえて相談する必要があります
弁護士への相談
弁護士への相談はハードルが高いと感じるかもしれませんが、相談に力を入れている弁護士も多く、丁寧に対応してくれるでしょう。
問題解決のために思い切って相談予約を入れてみてはいかがでしょうか。
弁護士に相談するメリット
弁護士に相談するメリットは以下のとおりです。
- 問題点が明確になる:弁護士が話を聞いて、法律上の問題や感情的な問題、手続き上の問題などを整理してくれるため、解決すべき問題点が明確になります
- 解決への道筋がわかる:問題解決に必要な手続き、重要なポイント、見通しを教えてくれます
- 安心感が得られる:いざという時に依頼できるため、安心することができます
弁護士に相談するデメリット
弁護士に相談するデメリットは以下のとおりです。
- 依頼への義務感が生まれる:「話を聞いてもらったから依頼しなければならない」と感じるかもしれませんが、あくまで相談段階のため、依頼しなくても問題ありません。
- 断られる場合がある:弁護士は相談者と利害が対立する案件を既に受任していると、先の顧客と相談者の利益がぶつかってしまう(利益相反といいます)ため、相談が断られる場合があります
税理士への相談
税理士は税金のプロであり、生前贈与にまつわる贈与税・相続税の相談にもっともふさわしい専門家です。
税理士に相談するメリット
税理士に相談するメリットは以下のとおりです。
- 総合的な税務相談をしてくれる:生前贈与であれば贈与税だけでなく、後々影響を受ける相続税、不動産取得税、固定資産税などについてもアドバイスを受けられます
- 節税対策を提案してくれる:税制の概要や計算方法だけでなく、節税対策も提案してくれます
- トラブルのない生前贈与を考えてくれる:家族構成や資産状況を考えて、安心・安全な生前贈与を考えてくれます
- 必要な別の専門職を紹介してくれることもある:名義変更などで司法書士の力が必要な場合、ほとんどの税理士事務所は連携している司法書士事務所があり、紹介してもらえます
税理士に相談するデメリット
税理士に相談するデメリットは以下のとおりです。
- 税金以外の相談が難しい:税金関連以外の相談(たとえば名義変更など)については別の専門家を探さなくてはなりません
- 税理士に専門分野がある:生前贈与の相談は贈与税や相続税などの資産税に特化した税理士がよいですが、確定申告専門の税理士も多く、資産税が苦手な税理士だと、有用なアドバイスが少ないかもしれません。生前贈与の相談は、できるだけ資産税に特化した税理士を探しましょう
司法書士への相談
司法書士は不動産登記の専門家で、生前贈与で不動産の名義変更を行う場合、所有権移転登記を行ってくれます。
司法書士に相談するメリット
司法書士に相談するメリットは以下のとおりです。
- 不動産について詳しく聞ける:司法書士は不動産登記の専門家のため、生前贈与の名義変更以外にも抵当権などについても質問できます
- 他の資格者との連携が得意:司法書士は他の士業(税理士、弁護士など)とのつながりが特に多いため、必要に応じて相談者に合った資格者を紹介してもらえます
司法書士に相談するデメリット
司法書士に相談するデメリットは以下のとおりです。
- 税務に関する相談は業務範囲外:税金の相談ができないため、贈与税・相続税は別途税理士に相談が必要です
生前贈与を専門家に相談すべき理由
生前贈与は名義変更するだけでなく、税金、親族トラブル対策など、広範囲の知識と対策が必要です。
ここでは、生前贈与を専門家に相談すべき理由を具体的に解説します。
人によって状況が異なる
生前贈与をする理由は様々で、人によって状況が異なります。
資産が1,000万円の人と1億円の人では、税金対策の規模が変わります。
また、1,000万円を贈与する場合でも、不動産を贈与するか現金を贈与するか、また単純にお金を贈与するだけか新築用の資金として贈与するかでも、特例を使って贈与税が大きく変わります。
100人いれば100通りの生前贈与が考えられるため、専門家に相談してカスタマイズする必要があります。
生前贈与のリスク
生前贈与は、税金だけでも多くのリスクがあります。
税理士に相談すれば、税務上のアドバイスをもらえます。
不動産の贈与税計算は難解
土地を贈与する場合の贈与税計算には、相続税と同じく路線価または倍率方式を使います。
路線価や倍率表を調べると自分でも評価額を計算できそうですが、2方向に接道があれば評価加算、不整形地であれば評価減など、細かい評価方法があり、慣れていないと計算は難しいでしょう。
税理士はこれらの評価方法を把握しており、実務経験により評価額を下げて、贈与税の節税方法を提案してくれます。
贈与税以外の税金がある
不動産の贈与を受けると、不動産取得税が課税されます。
また、翌年以降は固定資産税も課税されます。
税理士には、このような贈与税以外の税金についても調査してもらえます。
相続税対策も必要
相続税が課税される人が生前贈与を行う場合は、相続税対策も必要です。
単純に生前贈与をして財産を減らすだけが相続税対策ではないためです。
生前贈与を使った相続税対策
生前贈与を使って財産を減らすと相続税対策になりますが、相続税の税率が30%になるような資産の方であれば、非課税になる毎年110万円以内の贈与よりも、500万円を子どもに贈与して48万5,000円の贈与税(約10%)を納めると、より節税効果が高い、というケースもあります。
相続時精算課税制度も、使い方によっては相続税対策としてはデメリットになる恐れもあります。
このような失敗をしないためにも、生前贈与による相続税対策は、税金のプロフェッショナルである税理士に相談するとよいでしょう。
相続税対策には遺言書作成も必要
相続税対策は、誰にどの財産を相続させれば節税になるかも考えて行います。
したがって、予定どおりの遺産相続を行うためには、遺言書の作成も必要です。
遺言書の作成は弁護士や司法書士に依頼して、相続税対策を万全に整えましょう。
生前贈与は親族間トラブルの種にもなる
生前贈与を公平に行わないとトラブルになるケースがあれば、事業承継や農地の相続で後継者に生前贈与しておかないとトラブルになるなど、生前贈与は何がきっかけで親族間トラブルが起こるか分かりません。
経験豊富な弁護士であれば、親族間トラブルを防ぐための最適な方法を提案してくれるでしょう。
【ケース別】生前贈与を相談すべき専門家
ここでは、生前贈与を相談すべき専門家をケース別に紹介します。
自分はどの専門家に相談すべきか気になる方は、参考にしてください。
弁護士
弁護士は法律の専門家のため、生前贈与に関する法律トラブルが既に起こっている、法律トラブルがいずれ起こるかもしれないケースを相談しましょう。
生前贈与に関して親族間で揉めているケース
生前贈与の話が出た時に反対する親族がおり、既に揉めている場合です。
弁護士は贈与者の意思を尊重して、生前贈与を実行する手段を模索してもらいます。
生前贈与がよく分からないケース
生前贈与の概要、贈与後・死後にどんなリスクがあるかを教えてもらい、本当に生前贈与が必要か、どんな財産を誰に生前贈与すればよいかのアドバイスをもらいます。
生前贈与を使って子どもに事業承継したいケース
生前贈与を使った事業承継は株式の譲渡方法、贈与税対策、経営承継円滑化法の活用、従業員対策など、法務・税務の両面からのアドバイスが必要です。
弁護士が中心となって、事業承継全体を進めてもらう必要があります。
税理士
税理士は税金のプロであり、生前贈与で頼りになる存在です。
税金について知識がないケース
税金の種類やどんな時に税金がかかるか、基礎的な内容についてもアドバイスをもらえます。
通常、実際に税金の金額を調べてもらうには費用がかかります。
生前贈与にかかる税金を知りたいケース
生前贈与を行うと贈与税がいくらになるか、他にどんな税金が必要か、贈与税を節税する方法などについて具体的に相談できます。
生前贈与を使った相続税対策が知りたいケース
相続税対策の手段として生前贈与を使う場合は、贈与者の資産状況を調べた上で相続税の試算、相続税対策の提案、という流れになります。
相続税対策だけでなく、ご自身の資産状況の整理や相続税額の把握にも役立ちます。
司法書士
司法書士は不動産・法人の登記に関する専門家です。
また、昔から町の法律家として知られており、弁護士よりも気軽に相談できる方もいるでしょう。
不動産の生前贈与を依頼したいケース
不動産の生前贈与は、自分で行うか、依頼する場合には司法書士に依頼します。
誰に何を贈与するかが決まっている場合は、直接司法書士に依頼すると、費用が一番安く済むでしょう。
抵当権の抹消登記なども相談したいケース
住宅ローンを完済しているが抵当権をまだ抹消していないなど、贈与以外の登記に関する内容も相談できます。
生前贈与を相談する専門家を選ぶポイント
生前贈与を相談する専門家を選ぶポイントは、以下の3点です。
- 費用が明確か
- 実績が豊富か
- コミュニケーションが取りやすいか
費用が明確か
無料相談があっても、最終的に生前贈与を依頼すると報酬が必要です。
依頼後に弁護士や税理士とトラブルにならないよう、必ず事前に確認しておきましょう。
料金表の有無
HPや事務所内に料金表があれば、確認します。
料金表が見つからない場合は、料金表の有無を聞いておきましょう。
料金表がないと、相手を見て料金を決めている可能性があるため、注意が必要です。
見積書の提示
後々のトラブルを防ぐために、見積書は必ず依頼前に提示してもらいましょう。
見積書の提示をしてくれない場合も、注意が必要です。
生前贈与に関する実績が豊富かどうか
弁護士や税理士も分野によって得手不得手があるため、生前贈与に関数する実績が豊富な専門家を選びましょう。
実績が豊富かどうかを知る方法は次のとおりです。
HPを見る
得意な分野や実績はHPなどで分かる場合があります。
HPで生前贈与に関する無料相談会を案内している、ブログやSNSで生前贈与の内容を沢山書いているようであれば、生前贈与の実績が豊富だと考えられます。
生前贈与の相談に慣れている
生前贈与の実績が豊富であれば、生前贈与の相談も多く受けています。
相談の際に弁護士や税理士が受け身でなく、リードして相談・提案してくれるようであれば、自信の表れであり、多くの相談を受けている可能性が高いでしょう。
コミュニケーションが取りやすいかどうか
生前贈与は、もしかしたらトラブルや裁判に発展するかもしれません。
そのような事態になった場合、ご自身と専門家のコミュニケーションが取れていないと、更なるトラブルを引き起こしてしまいます。
専門用語の説明や言い換えをしてくれる
法律・税金の話は専門用語が多く、日常用語と意味が違う場合もあります。
そういった専門用語が出た時、こちらが理解していない場合には説明や言い換えをしてくれる専門家は、相談者に寄り添うよい専門家でしょう。
こちらの話をじっくり聞いてくれる
相談者は法律や税金の話に慣れていないため、同じ内容を繰り返してしまい、要領を得ないかもしれません。
しかし、そういった話も急かさず、じっくり聞いてくれるのであれば、依頼後も安心して手続きを進められるでしょう。
生前贈与を相談する費用
弁護士や税理士に生前贈与を相談する費用と注意点について解説します。
初回相談無料の事務所も多い
生前贈与に限らず、近年は営業活動の一環として、初回相談無料の事務所も多いです。
HPなどで無料相談会を案内などがあれば、参加しやすいのではないでしょうか。
また、相談料が発生する場合は30分5,000円前後の事務所が多いでしょう。
相談料について書いてない場合は、電話やメールで確認しておきましょう。
相続税の試算などは有料
生前贈与が相続税に影響を与える場合、具体的に相続税がいくらになるか、といった税金の試算が必要になります。
そういった場合、相続税の試算はほぼ間違いなく有料になります。
生前贈与と相続税は必ずセットで考えて節税対策が成立するため、依頼したいと思える税理士であれば、まずは相続税の試算から依頼してみましょう。
どこからが有料かを確認する
無料相談の際は30分を超えたら有料になるか、具体的な相談になれば有料になるか、正式に依頼するまでは無料か、必ず確認しておきましょう。
まとめ
生前贈与は、相続税対策や親族間トラブルを回避するための重要な手続きです。
この記事で紹介した無料相談窓口や専門家の選び方を参考にして、まずは自分の状況に合った弁護士や税理士を選びましょう。
専門家と早めにコンタクトを取り、安心して生前贈与を進めるための第一歩を踏み出しましょう。