この記事でわかること
- 連帯保証人の立場が相続される仕組み
- 連帯保証人の立場を相続する優先順位と負担割合
- 親が連帯保証人かどうかの確認方法
- 連帯保証人相続における相続放棄の手続きと注意点
- 連帯保証人を相続した場合の対処法
連帯保証人としての立場は、相続において重要なポイントです。
もし親や配偶者など被相続人が連帯保証人であった場合、その責任は相続人に引き継がれることになるためです。
本記事では、連帯保証人の立場がどのように相続されるのか、またその負担割合や相続を避ける方法について詳しく説明します。
また、被相続人が連帯保証人だったことを知らない場合はどうするか、あるいは保証債務を相続した場合の対処法についても解説します。
相続を控えている方が、予期せぬ負担を避けるために知っておくべき情報を提供します。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
連帯保証人の立場は相続する
連帯保証人の立場は相続人に引き継がれます。
相続人は故人のプラスの財産だけでなく、マイナスの財産や責任も引き継がなくてはならないためです。
もし主債務者が返済できない場合は、相続人は連帯保証人として借金を返済する義務が生じます。
ここでは、連帯保証人の立場が相続される優先順位や負担割合、時効についても言及していきます。
連帯保証人の相続の優先順位と割合
連帯保証人の債務は、相続が開始すると法定相続人に引き継がれ、その優先順位は以下のようになります。
- 第1順位:配偶者(常に相続人となります)
- 第1順位:子(配偶者と同順位で相続します。子がいない場合は孫が代襲相続します)
- 第2順位:父母(第1順位の相続人がいない場合)
- 第3順位:兄弟姉妹(第1順位と第2順位の相続人がいない場合。兄弟姉妹がいない場合は甥や姪が代襲相続します)
他の相続財産と同様、負担割合は法定相続分によって決まり、債務も分割されます。
たとえば配偶者と子がいる場合、相続割合は1/2ずつとなり、子が複数いる場合の子の割合は、さらに子の人数で割ります。
配偶者と子2人が法定相続人の場合は、配偶者が50%、子がそれぞれ25%の保証債務を含めた相続財産を受け継ぐことになります。
実際の相続では相続人全員で話し合って遺産分割協議で決めるため、たとえば配偶者が全部負担する、という決め方をすることもできます。
また、相続放棄をする場合は、連帯保証人の立場は他の相続人に移行するため、連帯保証債務の存在をあらかじめ他の相続人に伝えることが重要です。
連帯保証人が死亡すると時効はどうなる?
連帯保証人が死亡した場合でも、その債務に対する時効の進行は継続します。
相続人が債務を相続した場合、相続人は被相続人の時効期間を引き継ぐため、同様に時効の進行が続きます。
しかし、債務の承認などがあった場合、時効は更新され、新たな時効期間がスタートします。
つまり、主債務者や連帯保証人が支払いをした場合も債務の承認となり、時効が更新されるため、時効の完成は滅多に起きないと考えたほうがよいでしょう。
改正民法では時効についても変更されており、時効の管理は複雑なため、必要に応じて専門家への相談をおすすめします。
親が連帯保証人か判断する方法
相続において、親が連帯保証人であるかどうかを知ることは非常に重要です。
連帯保証人の立場は相続の対象となり、知らないうちに多額の債務を背負う可能性があるためです。
できれば、親が元気なうちに確認することで将来のリスクを回避し、適切な対策を講じることができるでしょう。
ここでは、親の生前と相続開始後に分けて、連帯保証人かどうかを判断するための具体的な方法を解説します。
親が生前の場合の調査方法
親が連帯保証人であるかどうかを確認するには、以下の方法があります。
- 直接親に確認する:最もシンプルな方法は、親に直接尋ねることです。
親との信頼関係を築き、オープンな会話ができる環境を整えましょう。 - 書類の確認:連帯保証に関する契約書や通知書などの書類、郵便物などを確認します。
- 金融機関への照会:取引のある銀行や信用金庫に問い合わせます。
- 信用情報の調査:信用情報機関(KSC、CIC、JICC)に信用情報開示を請求し、債務や連帯保証人の記録を確認します。
金融機関や信用情報の調査は、本人の名義でないと申請できません。
また、書類を確認する際も親の同意を得て行いましょう。
これらの方法を組み合わせ、親との信頼関係を大切にしながら、必要な情報を共有することが望ましいでしょう。
親の相続開始後の調査方法
親の相続開始後に連帯保証人であったかをどうかを調べるには、まず、故人の自宅で関連書類を確認することから始めましょう。
債権者からの通知や契約書、過去の返済記録などが見つかれば、重要な手がかりとなります。
また、故人宛ての郵便物や電子メールを確認して、債務に関する情報がないかも調べましょう。
親族や友人知人、職場の関係者にも尋ねることで把握できる場合もあります。
相続人として金融機関に照会し、故人の取引履歴から債務の痕跡を探すこともできます。
個人信用情報機関に開示請求を行い、債務や保証の記録があるかも確認しましょう。
連帯保証人の立場を相続しない方法
連帯保証人の立場を相続したくない場合、最も効果的な方法は相続放棄です。
しかし、相続放棄には注意すべき点も多くあります。
ここでは、相続放棄の具体的な手続きや注意点、さらに連帯保証人であることを知らなかった場合の対応について詳しく解説します。
相続放棄の手続きと注意点
相続放棄の手続きは、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出することで行います。
この申述は、相続開始を知った日から3カ月以内に行わなければなりません。
この期間は「熟慮期間」と呼ばれ、被相続人の財産や負債を把握するために設けられています。
熟慮期間内に手続きを完了しないと自動的に相続を承認したとみなされるため、迅速な対応が求められます。
申述書には、被相続人との関係や相続放棄の理由を記載し、添付書類として被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本なども必要です。
相続放棄はすべての相続財産に対して行われるため、連帯保証人の責任だけを放棄することはできません。
また、一度相続放棄を行うと撤回できないため、慎重に判断する必要があることに注意しましょう。
相続放棄をすると、他の相続人の債務負担が増えます。
そのため、相続放棄を検討する際は、事前に相続人間で十分な話し合いをしておくことが大切です。
連帯保証人の事実を知らなかった場合
被相続人が連帯保証人であったことを知らずに相続放棄の熟慮期間3カ月が経過した場合、どうすればよいでしょうか。
その場合でも、特定の条件下で相続放棄が認められる可能性があります。
判例によれば、相続財産が存在しないと信じる合理的理由があり、調査が困難だった場合、熟慮期間を遅らせることができる可能性があります。
たとえば、海外居住で情報入手や調査が困難だった場合などです。
連帯保証人の事実を知ってから相続放棄する場合は、速やかに家庭裁判所に相続放棄と熟慮期間の起算点変更を申し立てます。
これにより、相続発生を知った日から3カ月の熟慮期間を得られる可能性があります。
ただし、遺産分割協議後や相続財産処分後は相続放棄が困難になるため注意してください。
また、これらの手続きは複雑なため、専門家への相談をおすすめします。
連帯保証人の立場を相続した場合の対処法
連帯保証人の立場を相続した場合の選択肢はいくつかあります。
これらの選択肢はそれぞれメリットとデメリットがあり、個人の状況に応じて最適な方法を選ぶ必要があります。
ここでは、その詳細と注意点について解説します。
すべての債務を支払う
連帯保証人の立場を相続した場合、最も直接的な対処法はすべての債務を支払うことです。
主債務者が返済不能に陥った場合、債権者は連帯保証人の相続人に対して全額の支払いを請求し、相続人は債務を支払う義務があります。
支払い能力がある場合は、すべての債務を支払うことが最も迅速で確実です。
しかし、大きな金額の場合は、自身の生活に支障をきたす可能性があるため、慎重に検討しなければならないでしょう。
支払いに際しては、多くは債権者と分割払いの交渉をすることも可能です。
利息の軽減や、支払い期間の延長などを交渉できる可能性もあります。
また、支払いを行う前に、債務の詳細や残高を確認し、不当な請求がないかチェックすることも重要です。
必要に応じて弁護士や専門家に相談し、適切な支払い計画を立てることをおすすめします。
限定承認する
限定承認は、相続によって得た財産の範囲内でのみ被相続人の債務を弁済する方法です。
連帯保証人の立場を相続した場合でも、限定承認することで、自分の財産を守りつつ債務を処理することができます。
限定承認を行うには、相続人全員の同意が必要で、相続開始を知った日から3カ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。
限定承認のメリットは、相続財産以上の債務を負わずに済むことです。
たとえば、被相続人の相続財産が100万円で連帯保証債務が150万円の場合、50万円分の債務を免れることができます。
デメリットは、相続財産の調査や清算手続きが必要となり、手続きが複雑で時間がかかる点です。
また、一度限定承認を選択すると撤回できないため、慎重に判断する必要があります。
限定承認は複雑な手続きのため、専門家のアドバイスを受けながら進めることをおすすめします。
債務減額を交渉する
債務の全額支払いが困難な場合、債権者と債務減額の交渉を行うことも一つの選択肢です。
債権者に対して自身の経済状況を説明し、支払い可能な金額を提示して合意を目指します。
交渉が成功すれば、債務の一部を免除してもらえる可能性があります。
交渉を行う際は、自身の収入や資産状況を正確に把握し、どの程度の支払いが可能かを明確にしておくことが重要です。
主債務者の状況や、他の連帯保証人の有無なども考慮に入れなくてはなりません。
交渉の際は誠意を持って対応し、具体的な返済計画を提示することで、債権者の理解を得やすくなるでしょう。
ただし、債務減額の交渉は専門的な知識や交渉スキルが必要なため、弁護士などの専門家に依頼するほうがよいでしょう。
専門家のサポートを受けることで、よりよい条件で合意に至る可能性が高まります。
債務整理する
債務整理は、複数の債務をまとめて整理する方法で、任意整理、個人再生、自己破産などがあります。
連帯保証人の立場を相続した場合でも、これらの方法を利用して債務問題を解決することができます。
任意整理は債権者と直接交渉して返済条件の変更や減額を行う方法で、裁判所を介さずに進められます。
一方、個人再生は裁判所の関与のもと、債務の一部免除を受けつつ残りを計画的に返済する方法です。
自己破産は債務の全額免除を受ける方法ですが、手続き完了まで資格制限などのデメリットがあります。
債務整理を選択する際は、自身の経済状況や将来の見通し、債務の規模などを考慮し、最適な方法を選ぶ必要があります。
特に、連帯保証債務の場合は主債務者の状況も影響するため、慎重な判断が求められます。
また、債務整理を行うと信用情報に記録が残るため、将来的な影響も考慮しなければなりません。
いずれの方法も専門的な知識と高度なスキルが必要なため、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
連帯保証人の立場を相続することで、予期せぬ大きな経済的負担を背負い、その後の人生が変わってしまうことがあります。
連帯保証人の相続に関する手続きは、専門的知識とスキルが求められます。
専門家の手を借りながら、ご自身の状況に合った適切な対策を講じることをおすすめします。