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最終更新日:2023/12/13

不動産取得の還付とは?軽減措置の要件・手続方法・必要書類について

弁護士 水流恭平

この記事の執筆者 弁護士 水流恭平

東京弁護士会所属。
民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

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この記事でわかること

  • 不動産取得税とはどのような税金かを知ることができる
  • 不動産取得税の軽減措置が適用される要件を知ることができる
  • 不動産取得税の還付を受ける流れや必要な書類がわかる

不動産取得税は、その名のとおり、不動産を取得した時に発生する税金です。

そのため、毎年発生する固定資産税などとは大きく異なると言うことができます。

さらに特徴的なこととして、取得した不動産の種類によっては軽減措置が適用されるため、後から不動産取得税が還付される場合もあることが挙げられます。

どのような場合に不動産取得税が還付されるのか、その要件や手続きの流れについてご紹介します。

不動産取得税とは

不動産取得税は、不動産を取得した個人や法人に対して課される税金です。

不動産を取得する場合として、購入の他に贈与や相続があります。

不動産取得税は不動産を購入した場合、あるいは贈与を受けた場合に発生することとされています。

一方、不動産を相続した場合には、原則として不動産取得税は発生しません

なお不動産取得税は、その不動産が所在する都道府県に対して納める地方税の一つです。

国に対する税金ではないため、税務署に申告・納税することはありません。

不動産取得税は還付してもらえる

不動産取得税は、土地や家屋を取得した場合に、その取得した人に対して課されます。

原則として、「固定資産税評価額×4%」の算式で不動産取得税は計算されます。

ただし、すべての土地や家屋に同じ計算式で不動産取得税の計算を行うのは、合理的とはいえません。

不動産の中には、収益をあげるための物件もあれば、住むための物件もあるからです。

そこで、要件を満たした不動産については、通常の税額より少なくなる計算が行われます。

不動産を取得した人が、不動産取得税の申告を期限内に行えば、はじめから軽減措置を適用することができます。

また、不動産取得税の申告をしなくても、不動産の登記に基づいて自動的に軽減措置が適用されるものもあります。

一方、不動産を取得した人の申告がなければ、軽減措置が適用できない場合もあります。

この場合、申告がないと当初は不動産取得税の軽減措置が適用されず、申告した後に適用を受けることとなります。

申告内容に問題がなければ、納めすぎとなった不動産取得税は、申告後に還付されることとなります。

不動産取得税の軽減措置の要件

不動産取得税の税額が軽減されるのは、いくつかのケースがあります。

それぞれ要件が定められているので、その内容を確認しておきましょう。

宅地を取得した場合

不動産取得税の税額の計算は、「不動産の固定資産税評価額×税率」の計算式で行われます。

この算式は、原則的な不動産取得税の計算式です。

ただし、宅地や宅地と同じ取り扱いを受ける土地を取得した場合、不動産取得税は軽減されます。

宅地の軽減措置を受けると、先ほどの算式は「不動産の固定資産税評価額×1/2×3%」となります。

その結果、算出される不動産取得税の税額は、原則に基づいて計算した場合の半分になります。

宅地とは、不動産の登記上の地目を指します。

単に住宅用地を指すだけでなく、宅地として登記されている土地であれば、広くこの軽減措置の適用を受けられます。

適用対象は、2024年3月31日までに取得された宅地です。

宅地かどうかの判定は都道府県で行えるので、この軽減措置を適用するために税務署に申告する必要はありません。

新築住宅を取得した場合

新築の住宅を取得した場合、建物と土地についてそれぞれ、不動産取得税の軽減措置が設けられています。

それぞれ要件があり、いずれか一方しか軽減措置が受けられない場合もあるので注意しましょう。

建物に対する軽減措置

新築住宅の建物の軽減措置が適用されると、不動産取得税を求める算式は「(建物の固定資産税評価額-1,200万円)×3%」となります。

建物の固定資産税評価額が1,200万円減額され、非常に大きな負担減となります。

また、税率が3%となることも、税負担の減少につながります。

適用対象となる建物は、床面積が50㎡以上240㎡以下のものとされています。

ただし、一戸建て以外の貸家については、床面積が40㎡以上240㎡以下とされています。

土地に対する軽減措置

新築住宅の土地の軽減措置が適用されると、以下のいずれか大きい方の金額の軽減額が不動産取得税「(土地の固定資産税評価額×1/2×3%)-軽減額」から減額されます。

  1. 45,000円
  2. 1㎡あたりの土地の固定資産税評価額×1/2×住宅の課税床面積の2倍(最大200㎡)×3%

これにより、最低でも45,000円が減額されることとなります。

適用対象となる土地は、以下の全ての条件を満たす必要があります。

  • 「土地取得後3年以内にその土地の上に住宅を新築すること」かつ「住宅が新築されるまで、その土地を継続して所有していること」
  • 新築前に先行して取得した土地を譲渡した場合は、土地取得から3年以内に譲渡相手がその土地の上に住宅を新築していること
  • 住宅を新築後から1年以内に、その住宅を新築した人がその住宅の敷地(土地)を取得していること

中古住宅を取得した場合

中古の住宅を取得した場合、新築住宅とは異なる要件で、不動産取得税の軽減措置が適用されます。

建物に対する軽減措置

中古住宅の建物の軽減措置が適用されると、「(建物の固定資産税評価額-築年次ごとに定められた控除額)×3%」で不動産取得税が計算されます。

控除額は、建物がいつ建築されたのかによることとされ、最大で1,200万円が控除されます

対象となる建物は50㎡以上240㎡以下で、居住用に個人が取得したものとされます。

その上で、以下の全ての条件を満たす必要があります。

  • 個人が自己の居住用に取得する住宅であること。
  • 取得する住宅の延べ床面積(物置、車庫及びマンションの共用部分などを含む。)が50㎡以上240㎡以下であること。
  • 昭和57年1月1日以後に新築されたもの。または、これに該当しない住宅で、建築士等が行う耐震診断によって新耐震基準に適合していることの証明がされたもの(証明に係る調査が住宅の取得日前2年以内に終了していることが必要。)。

土地に対する軽減措置

中古住宅の土地の軽減措置が適用されると、以下のいずれか大きい方の金額の軽減額が不動産取得税「(土地の固定資産税評価額×1/2×3%)-軽減額」から減額されます。

  1. 45,000円
  2. 1㎡あたりの土地の固定資産税評価額×1/2×住宅の課税床面積の2倍(最大200㎡)×3%

新築住宅の土地の軽減措置と同じく、最大45,000円が減額されます

対象となる土地は、以下の全ての条件を満たしている必要があります。

  • 土地と住宅の取得者が同じであること
  • 取得した住宅が中古住宅の軽減要件を満たしていて、なおかつ土地の取得が住宅取得前後の1年以内であること

不動産取得税申告と同時に軽減措置の適用もできる

不動産取得税の軽減措置のうち、新築住宅や中古住宅に関する軽減措置は、取得者の申告により適用を受けられます。

軽減措置が適用されるための要件を満たすまでに時間がかかる場合、一度納付した不動産取得税を申告後に還付してもらいます。

しかし、不動産取得時にすでに軽減措置が受けられる場合は、このような流れにはなりません。

不動産取得税の申告を行う際に、軽減措置の適用を受けるための申請を一緒に行うことができます

こうすれば、当初に納付することとなる不動産取得税の税額は、軽減後の税額となります。

そのため、最初に多額の不動産取得税を納付する必要はなく、後から還付のための申告を行う必要もありません。

なお、都道府県ごとに不動産取得後の期限が定められています。

10日以内~60日以内と期限には幅があることから、申告先の都道府県税事務所で確認をしておきましょう。

不動産取得税の還付を受ける流れ・必要書類

不動産取得税の還付を受ける場合、どのような流れで還付を受けるまでの手続きを進めることとなるのでしょうか。

必要となる書類などについても確認しておきましょう。

不動産取得税申告書を提出する

不動産を取得した人は、その不動産を取得したことを、不動産の所在する都道府県に届け出ることとされています。

そこで、「不動産取得税申告書」や「不動産取得申告書」を作成し、都道府県税事務所に提出します。

不動産取得税申告書等を提出する期限については、各都道府県により異なるため、注意が必要です。

たとえば東京都の場合、不動産を取得してから30日以内とされています。

一方、大阪府の場合は、不動産を取得してから20日以内とされています。

必ず不動産取得税を取得する前に、都道府県税事務所のホームページで申告書の書式と提出期限を確認しておきましょう。

なお、不動産を取得した場合とは、購入・建築した場合だけでなく贈与された場合なども含むので、申告を忘れないようにしましょう。

不動産取得税を納付する

不動産取得税申告書の内容に基づいて、不動産取得税の納付書が各都道府県から郵送されてきます。

郵送されてきた納付書を使って、必ず期限内に納付しましょう。

なお、不動産取得税の軽減措置を適用するため、税額が減額される見込みの場合もあるでしょう。

このような場合も、一度は送られてきた納付書を使って、不動産取得税を納付しなければなりません。

不動産取得税減額申請書を提出する

不動産取得税の軽減措置が受けられる要件に充足することとなった場合、不動産取得税減額申請書を都道府県税事務所に提出します

提出先は、当初の不動産取得税申告書の提出先と同じです。

この申請書を提出する時は、他に新築住宅・中古住宅に関する書類が必要です。

取得した土地や建物の売買契約書、建築確認済証、土地や建物の登記事項証明書などが必要になります。

必ず提出先のホームページや窓口で、必要な書類を確認しておきましょう。

不動産取得税の還付を受ける

不動産取得税減額申請書を提出し、その内容に問題がなければ、申請書の提出から2か月程度で還付されます

還付金は指定した預金口座に振り込まれます。

不動産取得税が免除されるケース

不動産を取得した場合、ほとんどのケースで不動産取得税が課されます。

しかし、中には不動産取得税が課されない場合もあります。

以下のような場合(一例となります。)、不動産取得税が免除されます。

  • 土地の固定資産税評価額が10万円に満たない
  • 新築あるいは増改築した家屋が23万円に満たない
  • 売買や交換、贈与により取得した家屋が12万円に満たない
  • 相続により不動産を取得した

不動産を取得した場合には不動産取得税がかかりますが、相続による場合、例外的に不動産取得税はかかりません。

まとめ

不動産取得税は、土地や家屋を相続以外の方法で取得した場合に、原則として発生します。

不動産取得税の金額は都道府県によって計算されるため、送られてきた納付書の金額を支払います。

ただ、減額申請を行うことで、不動産取得税の金額が軽減されることがあります

軽減措置の要件を確認し、要件を満たす場合は都道府県に申請を行いましょう。

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