この記事でわかること
- 親が亡くなる前にしておくこと
- 親が亡くなる前にしておくことの具体的な方法
- 親が亡くなった後にしてはいけないこと
人生の中で避けられない出来事の一つに、親との別れがあります。
その時に備えて何をどう準備したらよいか、戸惑う人も少なくないでしょう。
本記事では、親が亡くなる前にしておいた方がよい11の重要な項目と、その具体的な方法について解説します。
銀行口座や生命保険の確認から、財産目録の作成やエンディングノートの準備まで、幅広い内容を網羅しています。
また、親が亡くなった後にしてはいけない行動についても触れ、円滑な相続手続きと家族間のトラブル防止に役立つ情報をお届けします。
事前の準備は親との大切な対話の機会を持つことができるだけでなく、家族の絆を深めることにもつながります。
スムーズな手続きを進めるためのガイドとして、ぜひお役立てください。
親が亡くなる前にしておくこと11選
親が亡くなる前に準備しておいたほうがよい11の重要事項を紹介します。
あらかじめ準備をすることで、親の意思を尊重することができ、亡くなった後の手続きもスムーズに進むでしょう。
親が亡くなると、悲しみや混乱の中で様々な手続きを進めなければならなくなりますが、事前に準備しておけば、そうした状況でも冷静に対処できます。
以下の項目について親と話し合い、必要な情報を整理しておきましょう。
1.銀行口座を把握する
親の銀行口座情報を事前に把握しておくことは、相続手続きを円滑に進めるために非常に重要です。
まず、親と一緒に通帳やキャッシュカードを確認し、すべての口座情報を整理することから始めましょう。
預金口座だけでなく、定期預金や投資信託などの情報も忘れずに確認することが大切です。
また、可能であれば、親の同意を得て、家族が口座情報にアクセスできるように手続きを進めることも検討してみてください。
親が亡くなると、銀行に連絡があった時点で口座は凍結され、入出金ができなくなります。
ただし、「相続された預貯金債権の仮払制度」を利用すれば、一定の金額まで引き出すことができ、葬儀費用などの急な出費にも対応できます。
このような準備を事前に進めておくことで、相続手続きがよりスムーズになるでしょう。
2.生命保険の契約内容を確認する
生命保険は原則、相続財産には含まれないため、別途確認しておかなければなりません。
親の生命保険の契約内容を事前に把握しておくことで、手続きをスムーズに進められます。
特に、受取人の記載の確認です。
受取人が指定されていない場合、保険金が相続財産となり、遺産分割の対象になります。
また、契約者と被保険者が異なる場合、保険金の受取人や課税関係が変わる可能性があるので、注意しましょう。
生命保険金は相続税の課税対象となる場合がありますが、法定相続人1人あたり500万円まで非課税です。
ただし、契約形態によっては全額が課税対象になることもあるので、専門家に相談するほうが確実です。
保険証券を紛失した場合でも、保険会社に問い合わせれば契約内容を確認できるため、親が元気なうちに情報を整理し、家族と共有しておきましょう。
3.不動産や株式などを把握する
親の財産の中で大きな割合を占める不動産や株式は、事前に確認しておくことが重要です。
不動産については、不動産登記簿謄本や固定資産税評価証明書を確認し、正確な情報を把握しましょう。
賃貸している物件がある場合は、賃貸契約書も確認しておくことが大切です。
また、株式や投資信託に関しては、証券会社のオンラインサービスや取引報告書を活用して、保有状況を確認します。
これらの資産は相続税の対象となるため、評価額や将来の管理方法についても前もって検討しておきましょう。
必要に応じて、税理士や不動産の専門家に相談し、適切な対策を講じることをおすすめします。
さらに、車、貴金属、美術品、骨董品などの動産も相続財産に含まれるため、その所在や概算価値も把握しておくことが重要です。
4.借金や債務を確認する
親が亡くなる前に、借金や債務を確認しておくことは非常に重要です。
まず、親との率直な対話を通じて話し合い、同意を得た上で、金融機関の利用状況や郵便物を確認しましょう。
不動産を所有している場合は、不動産登記簿で抵当権の有無を確認します。
税金や公共料金などの滞納がないかどうかを調べることも大切です。
また、借金の兆候を感じる生活の変化があれば、注意深く観察しましょう。
必要に応じて、信用情報機関に情報開示を請求することも検討します。
これらの方法で親の財務状況を把握することで、債務整理や返済計画の見直しを支援できる場合があります。
将来の相続手続きがスムーズに進むためにも、借金や債務の確認は重要です。
親が協力的でない場合は、専門家への相談も選択肢の一つとして考えておきましょう。
5.財産目録を作成する
財産目録とは、親が所有しているすべての財産を一覧にまとめた書類で、プラスの財産もマイナスの財産も含めて整理されます。
財産目録には以下を含めるとよいでしょう。
- 預貯金、現金(金融機関名、口座番号、残高)
- 不動産(登記簿謄本の情報、評価額)
- 有価証券(銘柄、数量、評価額)
- 生命保険(保険会社名、契約内容、受取人)
- 高価な動産(車、貴金属、美術品など)
- 借金や債務(ローン残高など)
財産目録があれば、相続税対策や遺言書の作成、そして遺産分割の際にも役立ちます。
家族で共有することで、将来の相続トラブル防止が期待できるでしょう。
また、財産状況は時間とともに変化するため、定期的に財産目録を更新し、最新の情報を把握することが大切です。
6.遺言書やエンディングノートを作成する
遺言書やエンディングノートは親の意思を反映してくれるだけでなく、相続手続きをスムーズにしてくれます。
有効な遺言書があれば、遺産分割協議が不要になり、相続トラブルを防ぐこともできます。
ここでは、遺言書の3つの種類や特徴、エンディングノートの書き方のポイントなどを解説します。
3つの遺言書の特徴
一般的に遺言には、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3つがあります。
それぞれの特徴を表にまとめました。
3つの遺言書と特徴
特徴 | 自筆証書遺言 | 秘密証書遺言 | 公正証書遺言 |
---|---|---|---|
作成方法 | 全文を自筆で作成 | 本人が作成し封印 | 公証人が作成 |
証人 | 不要 | 2人以上必要 | 2人以上必要 |
費用 | 不要(法務局保管3,900円) | 公証手数料が必要 | 公証手数料が必要 |
保管 | 本人または法務局 | 本人 | 公証役場 |
家庭裁判所の検認 | 必要(法務局保管は不要) | 必要 | 不要 |
法的確実性 | 低い(法務局保管は高い) | 中程度 | 高い |
自筆証書遺言:遺言者が全文を自筆で書き、日付・氏名を記載し押印します。
手軽に作成でき、内容を秘密にできます。
法務局保管制度を利用すれば、紛失や改ざんのリスクが低減され、検認は不要となります。
3,900円の保管料が必要です。
秘密証書遺言:遺言者が作成した遺言書を封印し、公証人と証人2人以上の面前で提出します。
内容を秘密にでき、代筆も可能ですが、公証人の関与が必要で費用がかかります。
検認手続きも必要です。
公正証書遺言:公証人が遺言者の口述を筆記し、証人2人以上の立ち会いのもと作成します。
法的確実性が最も高く、検認は不要です。
公証役場で保管されるため、紛失のリスクは低いですが、公証人費用がかかり、内容が関係者に知られます。
いずれも親の意思を尊重し、相続トラブルを防ぐ役割を果たしますが、確実性を求めるなら、法務局保管の自筆証書遺言または公正証書遺言がおすすめです。
エンディングノートの書き方のポイント
エンディングノートには法的拘束力はありませんが、親の人生の記録や将来の希望を詳しく記すことができます。
記載内容は、以下のものが挙げられます。
- 個人情報
- 財産状況
- 葬儀・埋葬の希望
- 介護・医療に関する希望
- 家族へのメッセージなど
エンディングノートを書く際のポイントは、まず基本情報や財産情報など書きやすい項目から始めることです。
そして、徐々に医療・介護の希望や葬儀・お墓の希望といった深い考察が必要な項目に進むことをおすすめします。
相続などの法的効力が必要な事項は、別途遺言書を作成する必要があるため、注意してください。
定期的な内容の見直しと更新を行い、保管場所を家族と共有しましょう。
7.医療や介護に関する意思確認
親の医療や介護に関する意思を事前に確認し、文書として残しておきましょう。
主な確認事項
- 終末期医療に関する意思確認書や事前指示書(リビング・ウィル)の検討
- 延命治療(人工呼吸器の装着、心肺蘇生など)の希望
- 水分・栄養補給の方法(経鼻経管栄養、胃ろうなど)
- 入院時の対応(積極的治療か対症療法か)
- 在宅での看取りの希望
これらの意思確認は、親が判断能力を失った時に、家族が親の意思を尊重した決定を下すための重要な指針となります。
指針があることで、医療機関との連携をスムーズにし、不要な治療や家族間での意見の対立が起きにくくなるでしょう。
意思確認は、親と家族が一緒に考えることが大切です。
必要に応じて、医療専門家のアドバイスを受けるのもよいでしょう。
また、親の意思は変わる可能性があるため、定期的に見直しを行うことも大切です。
8.葬儀や埋葬の希望を聞く
親の葬儀や埋葬に関する希望をあらかじめ確認しておくことは、親の意思を尊重できるだけでなく、遺族の負担を軽減できます。
葬儀の形式や規模、宗教的な儀式の有無など、具体的な希望を確認し、参列してほしい人々についても話し合っておくとよいでしょう。
遺影の写真を一緒に選び、遺品の扱い方についても相談しておくことで、後の混乱を避けることができます。
また、葬儀や埋葬の希望をエンディングノートに記録しておくと、親の意思を確実に実現しやすくなるでしょう。
こうした対話を通じて、親の人生観や価値観を深く理解し、家族の絆をさらに強めることが期待できます。
9.スマホやパソコンなどデジタル情報の整理とパスワード管理
親のデジタル情報やパスワードの整理は、日常の管理や将来の相続手続きを円滑に進めるために重要です。
まず、スマートフォンやパソコンの基本情報を把握し、金融関連アプリ、メール、SNSなどの重要なアカウント情報を整理しましょう。
パスワード管理には、信頼できるアプリを使用すると管理が楽になります。
親と一緒にアプリの使い方を学ぶこともおすすめです。
また、デジタル遺品の取り扱いについても事前に話し合い、親の意思を確認しておくことが大切です。
事前に準備することで、親の大切なデジタル情報を適切に引き継ぎ、管理することができるでしょう
10.家族や親族との連絡体制
家族や親族との連絡体制を整えることは、緊急時に備えた重要な準備です。
まず、親族の連絡先リストを作成し、基本情報を記載しておきましょう。
三親等以内の近親者や親しい友人は優先的に連絡する必要があるため、区別しておくとよいでしょう。
また、緊急時の連絡順序や役割分担をあらかじめ決めておくと、混乱を避けられます。
病院や葬儀社との連絡担当、親族への連絡担当などを決めておくことで、家族間で負担を分担し、スムーズな対応が可能です。
SNSなどのグループ機能を活用し、日頃から親の健康状態や介護の状況を共有するのも効果的です。
こうした日常的な情報共有が緊急時の円滑な対応につながるため、ぜひ活用してください。
11.死後事務委任契約を検討する
死後事務委任契約は、親が亡くなった後に必要となる手続きや葬儀、納骨などを第三者に委任する契約です。
主な委任内容としては、医療費の支払い、家賃や管理費の精算、葬儀や埋葬の手配、行政手続きなどが挙げられます。
この契約は、公正証書での作成が推奨され、親の意思が明確なうちに締結するのが望ましいです。
受任者は一般的に、親族や信頼できる知人、または法律の専門家が選ばれます。
契約を締結する際は、委任内容を具体的に定め、必要な費用や報酬を明確にしておくことが重要です。
この契約を通じて、親の意思を尊重した死後の手続きがスムーズにでき、遺族の負担も軽減されるでしょう。
ただし、相続人との関係や契約の法的有効性には注意が必要なため、専門家のアドバイスを受けながら進めるようにしてください。
親が亡くなった後にしてはいけないこと
親が亡くなった直後は、様々な手続きや判断が必要となりますが、慎重に対応しなければならない事項がいくつかあります。
特に、財産に関する行為は他の相続人との関係に影響を与える可能性があるため、注意しましょう。
ここでは、親が亡くなった直後にしてはいけないことを解説していきます。
預金を勝手に引き出してはいけない
親が亡くなった後、その預金を勝手に引き出すことは、たとえ相続人であってもしてはならない行為です。
親が亡くなると、預金は相続人全員の共有財産となります。
そのため、一人で勝手に引き出すと、他の相続人の権利を侵害することになりかねません。
しかし、葬儀費用や緊急の支払いのためどうしても必要な場合は、「相続された預貯金債権の仮払制度」を利用しましょう。
この制度では、払い戻し可能額は150万円を上限とし、「預貯金債権の額の3分の1に相続人の法定相続分を掛けた額」とされています。
この場合も他の相続人と事前に相談し、後々のトラブルを避けるように心がけましょう。
預金の取り扱いについては、相続人全員で話し合い、合意のもとで行動することが大切です。
財産を使用・処分してはいけない
親が亡くなった後、その財産を勝手に使用あるいは処分してはいけません。
遺産は相続人全員の共有財産となるため、他の相続人の権利を侵害することになります。
特に注意が必要なのは、財産の使用や処分が「法定単純承認」とみなされる可能性があることです。
法定単純承認とみなされると、親が残した借金など負の遺産もすべて引き継ぐことになります。
つまり、債務が多額であっても、相続放棄や限定承認の選択肢が失われる可能性がある、ということです。
たとえば、不動産の名義変更や売却、預金口座の解約や名義変更、高額な遺品の処分などが挙げられます。
また、被相続人宛の債務を支払うことも注意しなくてはなりません。
たとえ緊急であっても、必ず他の相続人と相談し、全員の合意を得てから行動しましょう。
遺産分割協議が完了するまで、財産の取り扱いは慎重にしてください。
遺言書を勝手に開封してはいけない
親の遺言書を見つけた際、その内容が気になるのは当然ですが、勝手に開封してはいけません。
自宅などで見つかる遺言書の開封には、法律で定められた正式な手続きが必要です。
この手続きは「検認」と呼ばれ、家庭裁判所で行われます。
検認の目的は、遺言書の偽造や変造を防ぐことにあり、勝手に開封すると5万円以下の過料が科される可能性があります。
また、遺言書の改ざんを疑われ、相続人同士の信頼関係に悪影響を与えることもあるでしょう。
遺言書を見つけた場合は、まず家庭裁判所に提出し、検認の申立てを行うことが重要です。
検認の際には、相続人やその代理人が立ち会い、正式な手続きを経て開封されます。
この手続きを踏むことで、遺言書の内容を適切に確認し、相続手続きをスムーズに進めることができます。
携帯電話やスマホをすぐに解約してはいけない
親が亡くなった直後に、携帯電話やスマートフォンをすぐに解約してはいけません。
携帯電話やスマートフォンには、重要な連絡先や情報が保存されている可能性が高いためです。
たとえば、親が親しくしていた人々や、まだ訃報を伝えていない人の連絡先を確認する必要があるかもしれません。
また、銀行や証券会社、保険会社などの取引先の情報がスマホに残っている可能性もあります。
さらに、スマートフォンには様々なアプリやクラウドサービスのアカウントが紐づいていることが多いです。
これらのアカウントを適切に処理するためにも、すぐに解約せず慎重に対応することが大切です。
デジタル遺品の整理や必要な情報の引き継ぎが完了するまでは、契約を維持しておきましょう。
ただし、長期間放置すると不要な料金が発生するため、必要な処理が済み次第、解約手続きを行うようにしてください。
同居していた家からすぐに引っ越してはいけない
親が亡くなった後、同居していた家からすぐに引っ越すのは避けてください。
家には重要な書類や遺品が残されており、それらの整理には時間がかかります。
相続手続きに必要な書類や、親の生前の意思を示す重要な情報が見つかる可能性もあります。
また、親の借金や未払いの債務が後から判明することもあるため、まずは財産や債務の全体像を把握することが大切です。
同居していた家が相続財産に含まれる場合、相続人全員の共有財産となるため、すぐに引っ越すと管理義務を怠ったとみなされる恐れがあります。
また、財産を隠しているのではないかと疑われることも考えられます。
相続に関する重要な情報を整理し、相続人同士の信頼関係を維持するためにも、慎重に行動しましょう。
まとめ
親が亡くなる前にしておくことは意外と多いものです。
できるだけ親の意思が明確なうちに一緒に行い、家族の絆を深めましょう。
これらの準備は、将来の相続手続きをスムーズにするだけでなく、親の意思を尊重し、家族間のトラブルを防ぐ効果もあります。
しかし、相続に関する法律や税務は複雑で、専門的な知識が必要な場合も多くあります。
必要に応じて、弁護士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
親との大切な時間を有意義に過ごしながら、将来に向けた準備を整えていきましょう。