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最終更新日:2025/5/15

【見本あり】名寄帳(なよせちょう)とは?見方や取得方法・費用を解説

弁護士 水流恭平

この記事の執筆者 弁護士 水流恭平

東京弁護士会所属。
民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/tsuru/

この記事でわかること

  • 名寄帳と間違いやすい固定資産課税台帳や登記簿謄本との違い
  • 名寄帳が必要なタイミングと取得できる人
  • 名寄帳の見方と取得するための具体的な方法
  • 名寄帳についての注意点

名寄帳(なよせちょう)は、故人が所有していた不動産を一覧で確認できる重要な書類です。
相続手続きを進める際、「どこに、どれだけ、どのような価値の不動産があるのか」を正確に把握する必要があります。

しかし、不動産登記簿や固定資産評価証明書だけでは、すべての不動産を網羅できないこともあります。
そんな時に役立つのが名寄帳です。

本記事では、名寄帳の概要や取得方法、費用をわかりやすく解説します。
さらに、実際の見本を交えながら、名寄帳の見方や注意点も詳しく紹介します。

初めての相続手続きで不安な方でも、この記事を読むことで名寄帳に関する疑問や不安を解消できるでしょう。

名寄帳(なよせちょう)とは

名寄帳は、相続手続きにおいて重要な役割を果たす公的書類です。
固定資産税の課税対象外の不動産も含まれるため、遺産分割、相続登記、相続税申告時に漏れなく財産を把握できる重要な資料となります。

土地や建物などの不動産情報が詳細に記載されており、相続人が被相続人の財産を正確に確認する際に欠かせません。
ここでは、名寄帳について詳しく解説します。

名寄帳とは?他の書類との違い

名寄帳は、市区町村が管理する固定資産課税台帳を所有者ごとにまとめた一覧表です。
土地や建物の所在地、面積、評価額、課税標準額など多くの情報が記載されています。

間違いやすい書類として、「固定資産課税台帳」や「登記簿謄本」があります。
それぞれの違いを表にまとめると、以下のようになります。

名寄帳 固定資産課税台帳 登記簿謄本
作成・管理 市区町村 市区町村 法務局
記載内容 所有者ごとの不動産の一覧 課税対象不動産の詳細情報 特定不動産の権利関係
非課税不動産 含む場合がある 通常含まない 登記されていれば含む
用途 相続財産調査 資産把握・固定資産税課税 権利関係確認・取引の安全
取得場所 市区町村役場 市区町村役場 法務局
取得できる人 所有者本人と相続人 所有者本人と相続人 誰でも可能

相続で名寄帳が必要なタイミングと取得できる人

相続で名寄帳が必要になるのは、まずは相続財産調査をするタイミングです。
被相続人(亡くなった人)が所有していた不動産を、漏れなく把握するために使われます。

たとえば、被相続人が以下の不動産を所有していた場合などに名寄帳が役立つでしょう。

  • 固定資産税がかからない非課税の不動産
  • 共有名義の不動産
  • 詳細が不明な投資用物件
  • 固定資産税課税明細書を紛失した場合

さらに、相続登記相続税申告を行う際にも、正確な財産情報を確認するために必要です。

名寄帳を取得できるのは、原則として不動産の所有者(納税義務者)本人です。
所有者が亡くなっている場合は、法定相続人が取得できます。

また、委任状があれば、本人や法定相続人の代理人が取得することも可能です。

【見本付き】名寄帳の見方

名寄帳は大きく分けて、「納税義務者」「家屋」「土地」の3つの情報に分かれています。

以下は名寄帳の見本です。
この見本では、1ページ目に「納税義務者」と「家屋」の情報の欄があり、2ページ目に「土地」の情報が書かれています。


引用:「名寄帳の見方」(静岡県森町)

まず冒頭には「納税義務者」の欄があります。
納税義務者とは、その不動産の所有者であり、相続手続きの場合は被相続人です。
そこには、納税義務者が納税している固定資産税と都市計画税が記載されています。

次に、納税義務者が所有する「家屋」に関する情報が書かれており、以下の詳細な項目が記載されています。

  • 所在地
  • 家屋番号
  • 種別用途
  • 構造と階層
  • 建築年月日
  • 床面積
  • 課税標準額
  • 持分割合など

最後は、納税義務者が所有する「土地」の情報です。
以下の詳細な項目が記載されています。

  • 所在地
  • 地目
  • 小規模住宅地等の詳細
  • 税の詳細
  • 持分割合など

名寄帳は、固定資産課税台帳には記載されていない非課税不動産の詳細も含まれているため、相続財産の見落とし防止に役立つでしょう。

名寄帳の取得方法・費用

名寄帳の管轄は、不動産の所在地の市区町村です。
基本的にはその不動産がある市区町村役場で取得しますが、例外もあります。

ここでは、名寄帳の取得場所や必要書類、具体的な取得方法や費用を詳しく解説します。

名寄帳の取得に必要な書類

名寄帳は通常、故人の不動産の所在地の市区町村役場で取得しますが、例外もあります。

東京23区の場合、東京都税事務所または都税証明郵送受付センターで取得します。
また、札幌市、大阪市、さいたま市など一部の政令指定都市では、各市税事務所での手続きが必要です。
事前にホームページなどで管轄窓口を確認しておきましょう。

名寄帳を取得するには、主に以下の書類が必要です。

  • 名寄帳交付申請書:市区町村のホームページからダウンロード可能
  • 本人確認書類:マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、健康保険証など
  • 被相続人の死亡を確認できる書類:戸籍謄本(戸籍抄本や住民票の除票も可)
  • 相続人であることを証明する書類:戸籍謄本または法定相続情報一覧図
  • 代理人の場合:委任状と代理人の本人確認書類
  • 手数料:1件300円程度

市区町村によって必要な書類や手数料が異なるため、事前に確認しましょう。

名寄帳の取得方法と費用

名寄帳の取得方法には、窓口での申請と郵送での取り寄せがあります。
窓口での申請の場合、必要書類を持参し、その場で名寄帳を受け取ることができます。
郵送の場合は、往復で約1週間程度をみておくとよいでしょう。

郵送で取り寄せる場合は、以下について注意が必要です。

  • 必要書類と返信用封筒(切手貼付)を同封して送付
  • 本人確認書類はコピー可
  • 戸籍謄本など:原本が必要かは市区町村に問い合わせ
  • 費用:郵便局発行の定額小為替を購入して同封

費用は一般的に1件300円程度ですが、市区町村によって異なります。
特に郵送の場合は、定額小為替を同封しなければならないため、事前に確認することをおすすめします。

名寄帳を取得する注意点


名寄帳を取得する際には、いくつかの注意点があります。
注意点を理解しておくことで、より正確な相続財産を把握でき、スムーズな相続手続きにつながるでしょう。

ここでは、情報の更新タイミング、複数の自治体にまたがる不動産、共有名義の不動産など、見落としがちな点を解説しています。

名寄帳の情報更新のタイミング

名寄帳に記載される情報は、毎年1月1日時点のものです。
被相続人が1月2日以降に売買した不動産がある場合は、翌年まで名寄帳に反映されません。

そのため、正確な情報を得るためには、名寄帳だけでなく、売買契約書や登記簿謄本も併せて確認することが重要です。

また、名寄帳には個人名義の不動産のみが記載され、法人名義の不動産は含まれません。
法人名義の不動産については、不動産所在地の市区町村にて、別途、法人の名寄帳を取り寄せる必要があります。

複数の自治体に不動産がある場合

名寄帳は市区町村ごとに管理されています。
そのため、被相続人が複数の自治体に不動産を所有していた場合、それぞれの自治体で名寄帳を取得する必要があります。

たとえば、自宅がA市にあり別荘がB市にある場合、A市とB市の両方で名寄帳を請求しなければなりません。

被相続人がどこに不動産を所有していたか不明な場合は、自宅を整理し、固定資産税通知書などを探すとよいでしょう。

また、確定申告書、納付書、金融機関の通帳も別荘や投資物件の所在を確認する手がかりになります。
所在地が判明したら、その不動産の所在地の市区町村で名寄帳を取り寄せましょう。

共有名義の不動産がある場合

固定資産税の課税通知書は、共有者の代表者にのみ送付されます。
そのため、他の共有者は不動産の存在や詳細を把握できない場合があり、正確な情報を知るには名寄帳の取得が必要です。

名寄帳には共有名義の不動産情報も含まれており、これによりすべての所有不動産を正確に把握できます。

ただし、市区町村によっては共有名義と単独名義の台帳が別々になっていることがあります。
名寄帳を取得する際、「共有名義の不動産情報も取得したい」旨を伝えましょう。
これにより、遺産分割協議や相続税申告で不動産の見落としを防ぐことができます。

まとめ

名寄帳は、相続手続きの第一歩である財産目録作成に欠かせない書類です。
遺産分割後の相続登記や相続税申告の際にも必要になります。

名寄帳を取得せずに相続手続きを進めると、所有している不動産を見落としてしまい、トラブルの原因になる可能性もあります。

不安な場合は、専門家に相談することで、安心してスムーズに相続手続きを進められるでしょう。

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