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最終更新日:2025/7/15

滅失登記とは?しないとどうなる?自分で申請する流れと費用

弁護士 水流恭平

この記事の執筆者 弁護士 水流恭平

東京弁護士会所属。
民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/tsuru/

この記事でわかること

  • 滅失登記の概要
  • 滅失登記の流れと費用
  • 滅失登記のよくある疑問

滅失登記とは、建物を取り壊した後に必要になる手続きです。
法律上の義務とされていますが、もし手続きを怠った場合、どんな不利益があるのでしょうか。

「手続きを忘れたらどうなる?」「自分でできる?」「費用はどれくらい?」
こんな疑問をお持ちの方も多いでしょう。
今回は滅失登記に関する基本知識から、自分で申請する方法やかかる費用まで詳しく解説します。

滅失登記とは?しないとどうなる?

建物滅失登記とは、建物が解体や災害などで物理的に存在しなくなった際に、その旨を法務局の登記簿に記録する手続きのことです。
登記を行うと、登記簿上でも建物が存在しない状態となり、登記簿が閉鎖されます。

建物滅失登記は不動産登記法第57条に基づく法的義務であり、建物が滅失した日から1カ月以内に申請しなければいけません。
もし手続きを怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。

また、滅失登記をしないことで経済的な不利益が生じる可能性もあります。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。

固定資産税 建物が存在しないにもかかわらず、登記簿上に建物が残っていると、固定資産税が引き続き課税される
土地の売却・立て替え 登記簿上に建物が存在している状態では、土地の売却や新たな建物の建築許可が下りない可能性がある
相続手続きの複雑化 建物の所有者が亡くなっている場合、滅失登記を行わないと相続手続きが複雑になり、相続人にとって負担が増える

相続の問題に発展すると、より手続きが複雑化するため、建物が滅失した際は速やかに登記手続きを行うことが重要です。

滅失登記を自分で申請するときの流れ

滅失登記の手続きは、建物に関する専門的なものなど、様々な書類の準備が必要です。
手続きについて不安がある場合は、法務局や専門家に相談することも検討しましょう。

必要書類の準備

滅失登記の申請に必要な書類等は、以下の通りです。

  • 建物滅失登記申請書
  • 建物滅失証明書または解体業者の工事完了報告書
  • 登記簿謄本および図面
  • 建物があった場所の地図
  • 印鑑
  • 本人確認書類の写し
  • 委任状

申請書には、申請人の情報、建物の所在地、滅失の事由や日付などを正確に記入しましょう。
建物滅失証明書は、解体業者や自治体に発行してもらいます。
解体業者の工事完了報告書は、解体工事が終わった後に解体業者に発行してもらいます。
前もって依頼しておくと、スムーズに受け取ることができるでしょう。

滅失登記をオンライン申請する場合、印鑑は不要です。
法務局の窓口で申請する場合や、委任状が必要な場合は印鑑を用意しましょう。
実印でなくても問題ありません。

管轄法務局への提出

建物の所在地を管轄する法務局に、必要書類を持参または郵送で提出します。
不安な場合は、提出前に法務局の窓口で書類の確認を受けることをおすすめします。

また、マイナンバーカードとカードリーダーがあれば、オンライン申請も可能です。
詳細は法務局のホームページを参考にしてください。

登記完了の確認

申請が受理され手続きが終わったら、法務局から登記完了の通知が届きます。
登記簿が閉鎖されたことを確認しましょう。

滅失登記をするときの必要書類

ここでは、滅失登記の申請に必要な書類の内容と、準備の方法を具体的に解説します。

滅失登記申請書

滅失登記を申請するための基本書類です。
申請人の氏名・住所、滅失した建物の所在地・家屋番号、滅失日、滅失原因(解体・災害等)などを正確に記載します。
法務局窓口またはホームページで様式を入手できます。

建物滅失証明書(または解体証明書)

建物が確かに滅失したことを証明する書類です。
建物を解体した工事業者に発行を依頼するのが一般的です。
記載内容に解体工事の完了日や、対象建物の特定情報(所在地、種類など)があることを確認しましょう。
地震や火事など災害による滅失の場合は、市区町村役場が発行する罹災証明書を準備します。

解体工事の契約書・完了報告書

解体工事が正式に完了していることを証明するものです。
建物滅失証明書がある場合、不要である場合がほとんどです。
解体業者から契約書や工事完了報告書をもらっておくと、申請時に追加提出を求められた場合にも対応できます。

登記簿謄本および図面

滅失した建物の登記簿謄本には、建物の構造や所在地などが記載されており、建物が存在していたことを証明するものになります。

図面は、建物の詳細をより正確に把握するために必要です。
登記簿謄本と一緒に取得が可能です。
法務局の窓口、またはオンラインで申請しましょう。

申請人の本人確認書類の写し

申請人が正当な登記申請権限を持っていることを確認するための書類です。
運転免許証やマイナンバーカードを準備しましょう。
健康保険証の場合は、公共料金領収書などの補助資料と一緒に提出します。

印鑑

実印である必要はなく、認印で問題ありません。
オンライン申請をする場合は不要です。

委任状(代理人が申請する場合)

滅失登記の専門である土地家屋調査士に手続きを依頼する場合は、委任状が必要です。
依頼する先に確認しましょう。

管轄の法務局によって、必要な書類が異なる場合があります。
必ず事前に、担当する法務局のホームページや窓口で必要書類を確認するようにしましょう。

滅失登記にかかる費用


登記は自分で申請することもできますが、専門家に依頼するとよりスムーズに申請できます。
ここでは建物滅失登記を自分で申請する場合と、専門家に依頼した場合の費用について解説します。

滅失登記の必要経費

滅失登記を行う場合、誰が申請する場合でも必要になる経費は以下の通りです。

  • 住民票など各種書類取得費
  • 解体費用

建物滅失証明書の取得費用は、基本的に無料です。
解体業者によっては解体費用に含まれている場合もあるため、発行を依頼する場合はよく確認しましょう。

住民票や本人確認書類のコピー取得、登記簿謄本などの取得には、それぞれ200~300円程度が必要です。

解体費用は建物規模や地域、周辺環境などによって大きく変動します。
一般的な目安は、以下の通りです。

  • 木造住宅:3~5万円/坪
  • 鉄骨造:4~7万円/坪
  • 鉄筋コンクリート造:5~8万円/坪

30坪ほどの建物の場合、100~250万円ほどが必要でしょう。
古い建物でアスベストを含む建材が使われている場合は、さらに解体費用が高くなります。

なお通常、登記には登録手数料がかかりますが、滅失登記に手数料は必要ありません

専門家に依頼する場合の費用

専門家に手続きを依頼する場合、必要経費に加えて報酬が必要です。

登記と言えば司法書士ですが、滅失登記の手続きに関しては土地家屋調査士の専門になり、司法書士には依頼できません。
土地家屋調査士の報酬は4~5万円程度が相場とされます。

滅失登記に関するよくある質問

ここでは、滅失登記に関するよくある質問に回答します。

滅失登記は必ずしないといけない?

建物滅失登記は法律上の義務です。
建物が滅失した場合、不動産登記法により、所有者は1カ月以内に滅失登記を申請する義務があるとされています。
怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性もあるため、必ず手続きをしましょう

取り壊し証明書がない場合はどうしたらいい?

建物滅失証明書(取り壊し証明書)が準備できない場合は、所有者の上申書を添付することで登記申請できる場合があります。
上申書に記載する内容は、以下の通りです。

  • 滅失した建物を特定する情報(所在地、構造、用途など)
  • 建物が存在していない旨の記述
  • 実印を押印し、印鑑証明書を添付

建物滅失証明書がない場合の取り扱いは、法務局によって異なる場合があります。
事前に法務局や土地家屋調査士に相談しましょう。

解体工事をせずに滅失登記できる場合とは?

解体工事をせずに滅失登記をできるのは、火災や地震など自然災害で建物が消失した場合が考えられます。
解体工事をしていないため、業者から建物滅失証明書を発行してもらうことはできません。
この場合、自治体から発行される罹災証明書などを使って滅失を証明します。

まとめ

建物滅失登記は、建物が解体・消失したときに必ず行うべき重要な手続きです。
申請を怠ると、固定資産税を払い続けなくてはならず、土地の売却や再建築に支障が出るリスクもあります。

手続きは必要書類を揃えて法務局に申請する流れのため、ポイントを押さえれば自分でも十分に対応能です。
もし手続きに不安がある場合は、法務局や専門家に依頼するとスムーズに登記申請できますよ。

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