この記事でわかること
- 記入例から遺産分割調停申立書の作成方法がわかる
- 遺産分割調停の申立に必要な書類がわかる
- 自分に遺産分割調停申立書が届いたときの対処法がわかる
目次
【記入例付き】遺産分割調停申立書の作成方法
遺産分割調停申立書を作成するときは、家庭裁判所の窓口へ申請して書式(ひな形)を入手しておきます。
書式の入手はどの家庭裁判所でも構いませんが、申立先は限定されるので注意してください。
また、裁判所のホームページにも申立書の書式が掲載されているので、多忙な方は以下のリンク先からダウンロードしておきましょう。
作成方法は次のようになりますが、申立ての相手方にも送付されるため、内容は事実どおりに記入してください。
裁判所名や申立人の記入
遺産分割調停申立書の上部は「調停」にチェックを入れ、1,200円分の収入印紙を貼付します。
【記入例】
収入印紙は郵便局やコンビニエンスストア、または家庭裁判所の購買所で購入できます。
申立先は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所になるため、わからないときは以下のリンクから検索してください。
裁判所名の下側にある日付は申立書の作成日になるので、最後に記入することをおすすめします。
申立書に添付した書類はすべてチェックし、通数も忘れずに記入しておきましょう。
なお、印鑑については特に指定がないため、実印以外を押印しても構いませんが、今後発生する手続きで押印が必要になるときは、同じ印鑑を使用してください。
参考:各地の裁判所(裁判所)
被相続人情報の記入
次に被相続人(亡くなった方)の住所・氏名、死亡年月日を記入しますが、略字は使わないようにしましょう。
また、最後の住所は死亡したときの住所になるので、住民票(除票となったもの)と同じ内容で記入してください。
【記入例】
申立の趣旨と理由の記入
遺産分割調停を申し立てる趣旨や、申立ての理由については以下のように記入します。
ほとんどチェックだけで終わるため、あまり迷うことはありませんが、申立ての動機が「その他」であれば、簡潔な内容で記入してださい。
詳細内容は事情説明書で主張できるため、簡潔に記入しても不利になることはありません。
なお、特別受益とは、生前贈与によって特別な利益を受けることであり、受益者は受益分(贈与財産額)を相続財産から差し引きます。
特別受益は判断が難しいケースもあるため、対象となる生前贈与かどうか迷うことがあれば、弁護士に相談しておくとよいでしょう。
遺産分割調停申立書の必要枚数
遺産分割調停申立書は相手方にも送付されるため、家庭裁判所用の原本1部と、相手方用の写しが必要(3人いれば3部)になります。
申立書に添付する以下の書類についても、原本と人数分の写しを用意しておきましょう。
- 当事者等目録
- 相続関係図
- 遺産目録
- 特別受益目録
遺産分割調停の申立に必要な書類
遺産分割調停を申し立てるときは、申立書とともに以下の書類も提出します。
- 遺産分割調停申立書に付随する添付書類
- その他の添付書類(相続関係や財産に関するもの)
- 証拠書類
遺産分割調停申立書は単独では機能しないため、付随する書類として当事者目録や遺産目録、相続関係図や事情説明書などを添付します。
他にも数種類の書式あるので、以下の関連ページを参照してください。
その他の添付書類とは、被相続人や相続人の戸籍謄本など、各自の身分関係を証明する書類や、登記事項証明書など財産に関係する書類があります。
証拠書類には被相続人の日記や、遺産分割協議の内容を記録したメモなどがあり、申立人の主張を補完する役割があります。
参考:様式集(裁判所)
【補足】遺産分割調停の申立書が届いたときの対処法
遺産分割調停を申し立てる場合、相手方も早期決着を望んでいるケースがほとんどなので、自分が調停を申し立てられる側になる可能性もあります。
調停はあくまでも話し合いによる解決であり、ドラマや映画に出てくるような裁判ではありませんが、相手が円満な和解を望んでいるとは限りません。
審判へ移行すると遺産分割の決着がさらに長期化し、関係修復が困難になる可能性も高いため、調停で解決できるように対処するべきでしょう。
相手方から遺産分割調停の申立書が届いたときは、次のような対処法があるので参考にしてください。
遺産分割調停申立書が届くまでの流れ
遺産分割調停の申立てについては、まず申立人が必要書類を家庭裁判所に提出し、内容に問題がなければ、相手方(あなた)に以下の書類の写しが送付されます。
- 遺産分割調停申立書
- 当事者等目録
- 相続関係図
- 遺産目録
- 特別受益目録(特別受益があった場合)
- 相続財産の評価や分割方法
一般的に、裁判所から郵便物を受け取ることはほとんどないため、封筒を見ただけで慌ててしまう方もおられますが、まずは冷静な対処を心がけてください。
家庭裁判所は中立的な立場であり、あなたの主張を書面で要求してくるので、事実を正確に伝えられるよう、今までの経緯を整理しておきましょう。
申立書への対応スタンス
申立書等の書類が届いた場合、家庭裁判所も「申立人に対し、あなたはどう主張しますか?」という情報収集の段階です。
調停委員は客観的事実に基づいて解決策を検討するため、事実と相違する主張をすることや、感情論で相手を侮辱する主張は避けましょう。
遺産分割調停を有利に進めるためには、心象をよくしておくこともポイントになります。
家庭裁判所からは1回目の調停期日も通知されますが、都合がつかないときは調整も可能です。
ただし、欠席を続けてしまうと、調停成立の見込みがないものと判断され、審判へ移行する可能性が高くなります。
調停に対応する時間がないときは、弁護士に代理人を依頼しておきましょう。
まとめ
遺産分割調停を申し立てるときは、必要書類の準備に数ヶ月、調停終了までに1年近くかかる例もあるため、長期間の対応を想定しておかなければなりません。
多忙な方には相当な負担がかかりますが、先送りにすると次の相続が発生し、当事者が2倍~3倍に増えてしまうケースも想定されます。
ただし、相手と和解できる可能性が高いので、次世代へ負の遺産を渡したくないときは、妥協案も積極的に検討してみましょう。
なお、裁判所へ出向くことに抵抗感がある方や、力関係の問題で相手に主張しづらい方は、弁護士に代理人を依頼することもできます。
自分1人で対応できるかどうか不安に感じている方は、弁護士に相談して早期解決を目指しましょう。