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最終更新日:2022/12/14

遺産相続にかかる弁護士費用を支払うのは誰?費用の相場とあわせて解説

弁護士 水流恭平

この記事の執筆者 弁護士 水流恭平

東京弁護士会所属。
民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/tsuru/

この記事でわかること

  • 遺産相続で弁護士に依頼した場合の費用について理解できる
  • 弁護士費用の概算が自分でできる
  • 誰が弁護士費用を支払うのかわかる

遺産相続でトラブルになりそうだから、もう弁護士に相談したほうがよいのかと思っても、料金が気になってしまって気軽に頼めない人が多いのではないでしょうか。

今回は、遺産相続にかかる弁護士費用を支払うのは誰かについて、相場とあわせて解説します。

弁護士への依頼費用の内訳について

費用は相続の財産金額や依頼内容によって異なるため、相談する人と状況によって変わってきますが、具体的には下記のようなものを支払います。

  • ・相談料:依頼前の相談でかかる時給
  • ・着手金:正式に依頼するときにかかる費用
  • ・報酬金:依頼が成功した場合に報酬として支払う費用
  • ・その他の依頼費用:日当・実費・手数料

この4つを合わせた金額を「弁護士依頼費用」として支払わなければいけません。

相談料

相談料とは、弁護士に相談した場合に発生する費用になります。

弁護士に依頼する前に、自分の状況を説明するために弁護士へ相談します。

その相談した時間によって、相談料が発生します。

相談料は30分で5,000〜10,000円程度が相場になります。

ただし多くの弁護士事務所では、初回の相談を無料で受け付けているため、相談料がそもそもかからないかもしれません。

「相談料が無料だと、てきとうに対応されるのでは?」と不安になるかもしれませんが、有料と無料で相談の対応が変わるケースは少ないでしょう。

弁護士側は依頼をしてもらいたいので、しっかり対応してくれます。

着手金

着手金とは、実際に依頼するときに支払う費用になります。

着手金は、依頼した相続案件が扱う財産によって大きく異なります。

財産金額によって違いますが、相場は20~200万円程度になります。

着手金が支払えないと、弁護士への依頼ができないため、弁護士依頼を検討しているなら支払えるように準備しておきましょう。

また着手金は一度支払うと返金されません。

弁護士に依頼するために支払う費用なので、もし弁護士が失敗した場合も返金対応などしていません。

報酬金

報酬金とは、弁護が成功して経済的な利益が出た場合に発生する支払い金額です。

例えば報酬金が利益の8%だった場合に、弁護で自分の相続財産が100万円増えたとしたら、報酬金は8万円になります。

報酬金はあくまで経済的な利益が出た場合にのみ支払う費用なので、弁護が失敗した場合には発生しません。

また報酬金のパーセンテージは利益の合計金額によって大きく異なるため、事前に弁護士事務所へ確認しておきましょう。

その他の費用について

弁護士依頼には、相談料・着手金・報酬金がかかりますが、その他にも細々とした費用が発生します。

具体的には、下記のようなものです。

  • ・実費
  • ・日当
  • ・手数料

まず実費とは、書面を郵送する際の郵便代・裁判所への印紙代などです。

作業を進めるために必ずかかってしまう費用で、依頼者が負担します。

また弁護士が出張などを行うと、1日数万円の費用が日当としてかかります。

さらに弁護士に書類作成・戸籍習得などの手続きを依頼する場合に、別途費用として手数料も発生します。

なにに対してどれぐらい費用がかかるのかは、手続き内容によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

遺産相続にかかる弁護士費用とは?

遺産相続を弁護士に依頼する場合の費用は、どれくらいなのでしょうか。

費用は相続の財産金額や依頼内容によって異なるため、相談する人と状況によって変わってきますが、具体的には下記のようなものを支払います。

  • ・相談料:依頼前の相談でかかる時給
  • ・着手金:正式に依頼するときにかかる費用
  • ・報酬金:依頼が成功した場合に報酬として支払う費用
  • ・日当:弁護士に稼働に対して支払う費用

この4つを合わせた金額を「弁護士依頼費用」として支払わなければいけません。

2004年3月までは、日本弁護士連合会(日弁連)による報酬基準規定がありました。

現在では報酬規定がなくなったので、事務所ごとに報酬を自由に決めて良いことになりました。

少し調べてみれば気がつく人も多いかもしれませんが、着手金が0円のところもあれば、いくらか着手金がかかるところもあり、相談料もお金がかかったり、かからなかったりします。

したがって、弁護士費用の相場は特にありませんし、地方によっても事務所の運営費との関係で金額に差があると思われます。

ただし、旧報酬規定が撤廃されたのは2004年と、ごく最近のことですので、旧報酬規定通りの報酬で運営している事務所もあります

旧報酬基準規定の弁護士費用相場

参考までに、旧報酬基準規定を見てみましょう。

法律相談で、30分5,000円というのは、今でもよくある料金設定かと思われます。

遺産相続も訴訟になれば、民事事件として処理されますが、訴訟にならない段階だとどのくらいの費用なのでしょうか。

以下の表によると、訴訟になってしまった場合も、訴訟までいかずに調停で終わるか、代わりに交渉をしてもらって済んだ場合も、報酬の金額は事件の経済的な利益の額によって変動します。

ただ、訴訟までいかなかった場合については、3分の2に減額可能、としています。

事件等 報酬の種類 弁護士報酬の額 備考
【法律相談等】
1 法律相談 初回市民法律相談料 30 分ごとに 5000 円から 1 万円の範囲内の一定額 ※1
一般法律相談料 30 分ごとに 5000 円以上 2 万 5000 円以下 ※2
2 書面による鑑定 鑑定料 複雑・特殊でないときは 10 万円から 30 万円の範囲内の額 ※2
【民事事件】
訴訟事件(手形・小切手訴訟事件を除く)・非訟事件・家事審判事 件・行政事件・仲裁事件 着手金 事件の経済的な利益の額が 300万円以下の場合
経済的利益の 8%
300 万円を超え 3000 万円以下の場合
5%+9 万円
3000 万円を超え 3億円以下の場合 3%+69 万円
3 億円を超える場合 2%+369 万円 ※3 ※着手金の最低額は 10 万円
(1)
報酬金 事件の経済的な利益の額が
300 万円以下の場合
経済的利益の 16%
300 万円を超え 3000 万円以下の場合
10%+18 万円
3000 万円を超え 3 億円以下の場合
6%+138 万円
3 億円を超える場合 4%+738 万円
※3
2 調停事件及び示談交渉事件 着手金及び報酬金 1に準ずる。
ただし,それぞれの額を3 分の 2 に減額することができる。
※示談交渉から調停,示談交渉または調停から訴訟その他の事件を受任するときの着手金は,1又は5の額の2 分の1
※着手金の最低額は 10 万円
契約締結交渉 着手金 事件の経済的な利益の額が
300 万円以下の場合 経済的利益の 2%
300 万円を超え 3000 万円以下の場合 1%+3 万円
3000万円を超え 3億円以下の場合 0.5%+18万円
3 億円を超える場合 0.3%+78 万円
※3
※着手金の最低額は 10 万円
報酬金 事件の経済的な利益の額が
300 万円以下の場合
経済的利益の 4%
300 万円を超え 3000 万円以下の場合
2%+6 万円
3000 万円を超え 3億円以下の場
1%+36 万円

(中略)
弁護士報酬額欄の※印
※1 この範囲内で,各弁護士会が「定額」を定めます。お近くの弁護士会でお問い合わせ下さい。

※2 この範囲内で,各弁護士会が「標準となる額」を定めます。お近くの弁護士会でお問い合わせ下さい。

※3 事件の内容により,30%の範囲内で増減額することができる。

※4 この範囲内で,各弁護士会が「最低額」を定めます。お近くの弁護士会でお問い合わせ下さい。

引用:宮崎県弁護士会

この資料だけでは、具体的にどのような事件がどれくらいかかるのかわからないと思われますので、もう少しわかりやすい事例を検討してみましょう。

日弁連の資料による弁護士報酬の目安

日弁連は、「市民のための弁護士報酬の目安」というパンフレットを作っています。

具体的な事例を挙げて、この場合ならいくらの報酬かというアンケートを各事務所にとったもので、非常にわかりやすいです。

例えば、遺産分割調停の事件で、遺産の範囲に争いはないものの遺産分割協議がまとまらず、遺産分割調停の申し立てをし、結果依頼人が5000万円相当の法定相続分にしたがった遺産を取得したという事件では、着手金が50万円前後、報酬金が100万円前後の事務所が多いです。

ただし、ケースによって報酬はかなり左右されますので、依頼前に十分に確認することをおすすめします。

遺産相続を弁護士に依頼する場合

費用の感じが大体わかったところで、それでは実際にどのような状況になったら遺産相続を弁護士に依頼すればよいのでしょうか。

完全にもめてしまってから依頼すると、解決までに時間がかかるかもしれません。

一方で、何も争いがないのに弁護士に依頼するというのも、憚られるでしょう。

遺産分割の交渉を代わりにして欲しいとき

遺産分割の交渉は、本来本人が行うものですが、兄弟姉妹ですでに仲が悪くて、自分が交渉の場に出て行くことそのものが争いの元になりそうな場合があります。

もちろん本人が行ってもいいですが、弁護士が遺産分割の交渉を代わりに行うことも可能です。

示談交渉や調停の代理人を依頼することになります。

遺言書を代わりに作成、遺言書の執行もしてもらう

遺言書を代わりに作成してもらい、遺言書の執行もしてもらう場合も、弁護士に依頼します。

遺言の執行者については、弁護士以外を指定することもできますが、法律の専門家に依頼する安心感は、そうでない人に依頼する場合と比較にならないくらい高いでしょう。

相続放棄の申し立てを代わりにして欲しい

相続放棄の申し立ては自分ですることも可能ですが、相続が始まってから3ヶ月以内に申し立てをしなければいけないので、相続で忙しいタイミングだとなかなか自分ですることが難しいかもしれません。

相続放棄の申し立てを代わりにして欲しい場合は、弁護士に依頼して手続きをすることになります。

事情があって、期限までに相続放棄をできなかった場合についても、諦めずにまずは弁護士に相談してみましょう。

遺留分侵害請求をしたい

本来自分がもらえる遺産だった(法定相続分の2分の1=遺留分)のに、ほかの人にもらわれてしまった場合に、遺留分侵害請求をすることができます。

包括的な代理人は弁護士しかなれない

まとめると、自分の代わりに交渉して欲しいと思ったら弁護士に依頼をしましょう。

書類の作成においてのみ、代理できる行政書士や司法書士と違って、弁護士は本人の包括的な代理人となることが可能です

スムーズに依頼するためにできること

弁護士に依頼する際には、トラブルの要点などをまとめておくことが重要です。

例えば、遺産分割の際に、自分はいくら欲しいのか、どこまで弁護士に依頼したいのか、ということもはっきりさせておくとよいでしょう。

さらに、現在手元にある証拠を持って行くことも大事です。

例えば、本物かどうか怪しい遺言書が出てきたらそのコピーや写真などがあるとよいですし、家族関係がわかるものを自分で整理して持って行くと話がわかりやすいです。

弁護士費用は相続人全員で分担?それとも代表者が支払う?

基本的には、弁護士費用は依頼した人が支払うものです。

というのも、弁護士は依頼人の味方であり、依頼人の利益が最大になるように業務を遂行するためです。

裁判所は誰の味方もしませんし、中立な機関です。

相続人それぞれが弁護士をつけているのなら、それぞれが弁護士費用を支払えばよいのですが、どう遺産を分ければよいのかわからないので、法律相談をメインに弁護士に依頼するというケースもあり得ます。

この場合、弁護士は誰から業務を受けているのかという問題はありますが、相談に応じてくれる弁護士もあるでしょう。

基本的に依頼人の味方である弁護士ですが、相続人達から依頼されて、法律上のアドバイスをすることもあります。

弁護士以外は、法律上の観点からどのようにするべきかというアドバイス(法律相談)をすることができません。

弁護士は、これまでの判例を参考にして、遺産の分け方についてアドバイスをくれるでしょう。

法律的なアドバイスにかかったお金は、相続人で話し合って費用を分担してください。

相続分に応じて分けてもよいですし、人数で割ってもよいでしょう。

負担額の分配については、特に決まりはありません。

相続人全員で分担してもよいですし代表者が支払ってもよいのです。

逆にいえば、相続人全員で分担しなければならない決まりはありません。

家庭裁判所の遺産分割調停や、遺産分割審判は、話し合いの場です。

弁護士を交えて話し合うということもできますが、調停や審判も用意されていますので、利用を検討してみてもよいでしょう。

調停や審判は裁判ではありませんが、まとまらずに裁判へ移行することもあります

この場合に備えて、最初から弁護士に相談しておくとよいでしょう。

【実例】弁護士費用の計算方法

弁護士費用の計算方法をご紹介します。

ただし、あくまでも目安なので実際に依頼する際には、弁護士費用の見積もりを必ずとってから依頼してください。

その際は、計算の根拠についても、尋ねておくとよいでしょう。

タイムチャージ制と経済的利益基準がある

弁護士費用の計算方法については、タイムチャージ制と、経済的利益基準の2通りがあります。

タイムチャージ制では、1時間あたり1万円から5万円程度の時間給で計算します。

一方、経済的利益基準は、前述の旧報酬規定で使用されていた考え方です。

事務所によってはタイムチャージ制でも、経済的利益基準でもない基準で計算するところもあるかもしれません。

経済的利益基準とは

「経済的利益」とは、相手に請求する金額あるいは相手から請求されている金額のことをいいます。

遺産分割調停で500万円を相手に請求

では、実際に、相手に請求する金額が500万円だった場合を考えてみましょう。

今回は、多くの事務所が利用している経済的利益基準で計算を行います。

旧弁護士報酬規定に基づいて計算する場合は500万円の5%と9万円を足します。

合計金額は34万円です。

着手金は最低でも10万円です。

5,000万円の遺産を相続する交渉を依頼した

5000万円の遺産を相続する交渉を依頼した場合は、示談交渉ということで、5,000万円の3%と69万円が報酬金額になります。

このケースでは、319万円が弁護士費用です。

旧報酬基準規定では計算がしづらい業務

旧報酬規定では計算が難しい業務もあります。

例えば、財産管理契約や、遺言書の保管、遺産整理などがあります。

遺産整理は、相続人全員から遺産を現金に換えて欲しいと依頼された場合の、代行のことをいいます。

遺産を現金に換え、相続分に応じて分配しますが、その前の段階として遺産分割協議書を作成します。

タイムチャージ制では色々頼めるが高額になりがち

タイムチャージ制では、色々依頼できるものの、費用が高額になりがちです。

必ず見積もりを取ろう

弁護士費用は、事務所によってかなりの幅があります。

また、事務所ごとに報酬を自由に決めてよいので、まずはどれくらいかかるのか見積もりをとってもらうことをおすすめします。

初回相談料無料のところもありますし、費用を分割で支払える場合もあります。

法テラスの利用も検討しよう

収入などの条件がつきますが、法テラスの「民事法律扶助制度」を利用できることもあります。

法テラスから紹介してもらった弁護士との面談が無料になったり、弁護士費用が半額になったりと、家計の負担を軽減できる制度ですので、条件が合えば法テラスの利用の検討をしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、遺産相続にかかる弁護士費用についてご紹介しました。

旧報酬基準規定をベースにして、弁護士報酬を計算している事務所も多いので、目安として旧報酬基準規定を使って計算してみるとよいでしょう。

また、遺産相続にかかる費用は、誰が支払わなければいけないという決まりがあるわけではありません。

基本的に依頼人が払いますが、相続分に応じた支払いにするのもよいですし、当人達で話し合って決めてください。

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弁護士 石木 貴治

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メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。 前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。

弁護士 中野 和馬

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