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最終更新日:2024/9/13

教育資金贈与の対象項目とは?対象にならない費用も紹介

弁護士 中野和馬

この記事の執筆者 弁護士 中野和馬

東京弁護士会所属。
弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。
お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。

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この記事でわかること

  • 教育資金贈与が、どういうものかについてわかる
  • 教育資金贈与の対象項目が、どれに該当するのかがわかる
  • 教育資金贈与の対象項目に該当しない費用についても理解できる

教育資金贈与の対象項目について「孫に教育資金を贈与したいと検討しているものの、どれが教育資金に当てはまるのだろうか?」という疑問を持たれている方が多いのではないでしょうか。

「パソコンの購入は該当するのだろうか」「予備校の授業料や参考書はどうなのか」「一人暮らしの家賃にも教育資金贈与を使えるのだろうか?」等々、知りたい情報や疑問が数多くあるでしょう。

ここでは、そうした教育資金贈与の対象項目や該当しない項目について詳しく紹介していきます。

教育資金贈与とは

教育資金贈与とは、30歳未満の子どもや孫に向けて、親や祖父母などが教育資金を非課税で贈与できる制度であり、受贈者1人あたり1500万円までを非課税贈与できます

教育資金贈与の対象項目には、入学金、授業料、寮費、修学旅行代、給食費などの就学費用が含まれています。
また、非課税限度額1500万円のうち500万円までは以下のような習い事にも使用可能です。

  • 進学塾
  • 水泳
  • 英語
  • ピアノ

教育資金贈与の手続きは金融機関の窓口で行われ、贈与者が信託銀行などの教育資金口座に資金を預け入れ、信託銀行などを経由して受贈者に支払われる仕組みです。
なお、この「教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置」は平成25年4月1日から令和8年3月31日までの特例となります。

教育資金贈与の対象項目

ここでいう教育資金には、次の2つがあります。

  • 「学校等に対して直接支払われる金銭」
  • 「学校等以外に対して直接支払われる金銭」

ここでは、それぞれについて解説していきます。

学校等に対して直接支払われる金銭(最大1500万円)

学校等からの領収書などにより、支払われたことが確認できる費用が対象となります。
たとえば、入学金や授業料、入園料、保育料、また教育に付随する学用品や,修学旅行、給食費などです。
ここでいう学校等とは、以下を指します。

1500万円までの非課税枠の対象となる「学校等」
国内の教育施設 ・学校教育法上の幼稚園
・小・中学校・高等学校
・中等教育学校
・特別支援学校
・高等専門学校
・大学
・大学院
・専修学校
・各種学校
外国の教育施設 外国にあるもの その国の学校教育制度に位置づけられている学校
・日本人学校
・私立在外教育施設
国内にあるもの ・インターナショナルスクール(国際的な認証機関に認証されたもの)
・外国人学校(文部科学大臣が高校相当として指定したもの)
・外国大学の日本校
・国際連合大学
保育所等 ・保育所,保育所に類する施設
・認定こども園

学校等以外に対して直接支払われる金銭(最大500万円)

社会通念上相当と認められるものが対象です。
したがって、賭博や遊興、娯楽に類するものは認められません。
ただしe-スポーツなどの場合、指導を受ける対価としての教育資金を支払う場合であれば対象になります。

500万円までの非課税枠(学校等以外への支払い)
支払先 塾や教室などに直接支払われるもの 物品の販売店などに支払われるもの
学習塾や水泳教室などの授業料等 学校等が認めたものであれば該当
教育(学習塾、そろばんなど)に関する授業料や施設使用料 学用品費など学校等が必要と認めたもの
スポーツ(水泳,野球など) 通学定期代
文化芸術に関する活動(ピアノ,絵画など) 留学渡航費
上記指導で使用する物品 入学等による転居の際の交通費

※令和元年度より、23歳以上の受贈者については「学校等に支払われる費用」「学校等に関連する費用」「教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講するための費用」の3つに限定されています。

教育資金贈与の対象となる具体例

ここでは、教育資金贈与に該当する具体例を解説します。

1500万円までの非課税枠の対象となる「学校等」について

具体的には,以下のものが該当します。

1500万円までの非課税枠の対象となる「学校等」
国内の教育施設 ・学校教育法上の幼稚園
・小・中学校
・高等学校
・中等教育学校
・特別支援学校
・高等専門学校
・専修学校、各種学校(認可を受けている自動車学校、予備校)
・大学
・大学院
・水産大学校
・海技教育機構の施設(海技大学校,海上技術短期大学校,海上技術学校)
・航空大学校
・国立国際医療研究センターの施設(国立看護大学校)
外国の教育施設 外国にあるもの ・その国の学校教育制度に位置づけられている学校(日本の幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、大学、大学院、高等専門学校、専修学校に相当する学校)
・日本の小学校、中学校又は高等学校と同等であると文部科学大臣が認定したもの、日本人学校、私立在外教育施設
国内にあるもの ・インターナショナルスクール(国際的な認証機関に認証されたもの)
・外国人学校(文部科学大臣が高校相当として指定したもの)
・外国大学の日本校
・国際連合大学
国・地方公共団体・職業能力開発促進法に規定する職業訓練法
人が設置するもの
・職業能力開発総合大学校
・職業能力開発大学校
・職業能力開発短期大学校
・職業能力開発校
・職業能力開発促進センター
・障害者職業能力開発校
保育所等 ・保育所,保育所に類する施設
・認定こども園

※令和元年度より23歳以上の受贈者については「学校等に支払われる費用」「学校等に関連する費用」「教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講するための費用」の3つに限定されています。

500万円までの非課税枠の対象について

具体的には、以下のものが対象になります。

【塾や習い事など、学校等以外の者に直接支払われる費用】

塾やスイミングスクール、ピアノや習字などの指導にかかわる費用
(月謝、謝礼、入会金、参加費、施設使用料など)
種類 具体例
学習 学習塾
家庭教師
そろばん
キャンプなどの体験活動等
スポーツ スイミングスクール
野球チームでの指導など
文化芸術活動 ピアノの個人指導
絵画教室
バレエ教室など
教養の向上のための活動 習字
茶道など

【物品の販売店などに支払われる費用】

物品の販売店などに支払われる費用
種類 具体例
教科書・副教材費・教科教材費 リコーダー・裁縫セット等
学校指定の学用品費 制服,体操着,ジャージ,白衣,上履き,通学かばん等
行事写真代 卒業アルバム・卒業写真代
校外活動費 修学旅行・自然教室・林間学校等
給食費 学食や購買部に支払う費用は対象外
オンライン授業の実施に伴う物品 パソコン・プリンタ等
その他 通学定期券代、留学渡航費
入学等で必要となる転居に伴う交通費

学校等が必要とする費用のうち、業者に直接支払われた場合でも、学生の大部分が負担するべきであると教育機関が認めたものは、500万円まで非課税対象となります。
たとえば、学校がオンライン授業用として認めているパソコンなども、非課税対象となります。

「塾や習い事等」費用の具体例

通信教育(e-ラーニングを含む)も含まれます。

「塾や習い事等」費用の具体例
習い事 学習塾、家庭教師、そろばん教室、英会話教室、パソコン教室、ビジネススクールの指導料
資格検定料 TOEIC・TOEFL等の検定料、算数オリンピックの参加料、資格試験の受験料、模試代
体験活動 ボーイスカウト・ガールスカウトでのキャンプ等の体験活動の参加料
スポーツ関連 スイミングスクール、ゴルフスクール、テニススクール、野球チームの指導料
芸術等 ピアノ等の音楽教室、絵画教室、バレエ教室、ダンス教室、習字教室、茶道教室、華道教室、将棋教室、囲碁教室、料理教室、乗馬教室の指導料

保育料に該当するもの

保育料として、以下のものが対象となります。

保育料に該当するものの具体例
保育料 保育料
施設利用料
送迎料
予約料
年会費
入園料(入会金・登録料)など
保育に付随するもの 給食費、おやつ代、教材費、傷害・賠償保険料の負担金等の実費相当額
その他 認可外の居宅訪問型保育事業を行うに際してのベビーシッター代

教育資金贈与の対象にならない費用

ここでは、該当するかどうか判断に迷う事例について解説します。

教科書など学校等で使用するものを業者から購入した場合

学校等で使用する教科書代や学用品費、修学旅行費、学校給食費などであっても、業者等に支払がなされる場合は非課税の対象にはなりません

ただし、学校等における教育に伴って必要な費用で、学生等の全部又は大部分が支払うべきものと当該学校等が認めたものは、500万円までの非課税の対象になります。

大学生協で購入した学用品等

大学生協は大学とは別組織であり、学校等ではありませんので、対象になりません。

しかし、教育に伴う必要な費用で、学生等が全額または大部分を支払うべきものを学校等が承認し、それを大学生協に支払った場合、500万円までの非課税対象となります。
具体的には、学校等が業者を通じての資料等の購入や支払いを保護者に要請しているものを指します。

下宿代

下宿代は生活費の一部として扱われるため、基本的には対象外です。

しかし、学校等が保有する寮費については、学校等からの領収書等で支払いが確認できる場合、非課税の対象となり、その上限は1500万円までとなります。

まとめ

ここまで教育資金贈与の対象項目について詳しく解説してきました。
期間は令和8年3月31日まで延長されましたが、管理残高への相続税・贈与税課税が強化されるなど以前よりも要件が厳しくなりました。
制度の内容をよく理解した上で、贈与税非課税となる「都度支払われる教育資金」との兼ね合いを考慮しながら慎重に検討していきましょう。

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