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最終更新日:2025/5/2

遺産分割協議書を作成できる人は誰?司法書士・弁護士などへの依頼費用も紹介

弁護士 福西信文

この記事の執筆者 弁護士 福西信文

東京弁護士会所属。
相続手続等の業務に従事。相続はたくさんの書類の作成が必要になります。
お客様のお話を聞き、それを法律に謀った則った形式の文書におとしこんで、面倒な相続の書類を代行させていただきます。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/fukunishi/

この記事でわかること

  • 遺産分割協議書を作成できる人
  • 遺産分割協議書を自分で作成する方法
  • 遺産分割協議書の作成を専門家に依頼する場合とその費用

相続が発生した際には、しなければならない手続きが沢山あるという話を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

中でも、議論の的となるのが「遺産分割協議書」の作成に関してです。
遺産分割協議書は、相続人間で被相続人の遺産の分け方を決める重要な書面です。
しかし、実際に作成する場面になると、どのように作成しなくてはならないのか、作成できる人は誰なのかなど、分かりにくい点が多々あります。

この記事では、遺産分割協議書を作成できる人から、自分で作成する場合や専門家に依頼する場合のポイントまで詳しく解説します。
これから遺産分割協議書を作成する予定がある方の参考になれば幸いです。

遺産分割協議書は誰が作成できる?

遺産分割協議書の作成をする際、誰が作成をするかというのは重要な問題です。

ここでは、遺産分割協議書を作成する目的や必要性を整理しつつ、遺産分割協議書を作成できる人は誰なのかについて説明します。

遺産分割協議書を作成する目的と必要性

遺産分割協議書は、相続人間で相続財産の取得方法について協議をし、合意をしたことを証明するために作成する書面です。

作成しておくことで、のちの相続人間のトラブルなどのリスク回避をすることに役立ちます。
また、遺産分割協議書は、預金の解約や相続税の申告、相続登記など、様々な相続手続きの場面で提出を求められます。
添付すれば、手続きがスムーズに進む等のメリットを受けることが可能になるでしょう。

しかし、作成が必須というものではなく、作成が必要かどうかはケースバイケースです。
遺産分割協議書の作成が必要な場合と、不必要な場合を大別すると、以下のようなケースに分かれます。

遺産分割協議書が必要な3つのケース

遺産分割協議書の作成が必要なケースは、一般的には以下のような場合です。

  • 民法に定められた法定相続分と異なる割合で遺産分割する場合
  • 相続税の申告が必要な場合
  • 不動産などの名義変更が必要な財産が含まれている場合(所有権移転登記手続き等)

遺産分割協議書が不要な2つのケース

遺産分割協議書の作成が不要なケースは、一般に以下のような場合です。

  • 相続人が一人だけの場合
  • 被相続人が遺言書を残している場合

遺産分割協議書を作成できる人

遺産分割協議書の作成が必要なケースに該当する場合、誰が作成するのかが次の重大な論点となります。
作成をする際には、相続人が自分で作成する場合と、専門家(士業等)に依頼する場合に大別できます。
特に専門家に依頼する場合には、状況により依頼すべき先が異なるため、注意が必要です。

遺産分割協議書を自分で作成する流れ

遺産分割協議書は、専門家に依頼せず、相続人が自分で作成することも可能です。

遺産分割協議書を自分で作成する場合、大まかな流れは次の通りとなります。

①法定相続人の調査
②相続財産の調査
③遺産分割協議の実施
④遺産分割協議書の作成
⑤相続手続き(各機関への遺産分割協議書の提出)

特に相続税の申告などは期限が定められているため、早めに遺産分割協議ができるように段取りすることが重要です。
では、それぞれの行程について詳しい内容を見ていきましょう。

法定相続人の調査

遺産分割協議は、被相続人の法定相続人全員で行います。
そのため、民法に定められている法定相続人の範囲や優先順位に則り、法定相続人を確定するための調査をしましょう。
具体的には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集する必要があります。
元配偶者との間の子や、認知している子など、その時に初めて関係を知る相続人がいる場合もあり、相続人確定には時間と手間を要します。

相続の発生が分かったら、できるだけ早めに取り掛かるとよいでしょう。

相続財産の調査

相続人の特定が済んだら、次にするのは相続財産の調査です。
被相続人のすべての財産を把握することが、公平な遺産分割を実現する上ではとても重要です。
公共機関や金融機関などに相続の発生を届け出た上で、取引履歴や残高証明書など必要な書類を取得します。
また、相続においては預金などのプラスの財産のみならず、ローンなどの負債も相続の対象となります。
すべての財産の内容をリストアップできるよう、入念な調査を心がけましょう。

遺産分割協議の実施

相続財産の内容と相続人が確定できたら、必ずすべての相続人間で遺産分割協議を進めます。
「誰が、何を、どのように」相続するのか、それぞれが納得のいく方法で分割することが重要です。

遺産分割協議書の作成

話し合いがまとまった際には、いよいよ遺産分割協議書を作成します。
定められた形式を守り、以下のポイントを盛り込むように記述しましょう。

  • 作成日
  • 相続人・被相続人の明記
  • 財産の内訳
  • 後日判明した財産の取り扱い
  • 相続人全員の署名捺印

遺産分割協議書のひな型が国税庁法務局などのWebサイトで配布されているため参考にし、適宜アレンジして使用することもおすすめです。
また、遺産分割協議書とともに財産目録も作成しておくと、財産が明確化でき、のちの相続人間のトラブル回避に効果的です。

相続手続き(各機関への遺産分割協議書の提出)

遺産分割協議を完了した後は、協議書の通り遺産を分配するため、具体的な相続手続きを進める最終フェーズとなります。
以下のような機関への提出が想定されますので、ご参照ください。

  • 銀行等の金融機関…預金の解約手続き等
  • 証券会社…株式の換価手続き等
  • 法務局…土地・家屋の相続登記手続き等
  • 税務署…相続税の申告等
  • 運輸支局…自動車の名義変更等

遺産分割協議書を自分で作成するメリット・デメリット

遺産分割協議書を自分で作成するか、専門家に依頼をするか判断しかねている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、遺産分割協議書を自分で作成する場合にどのようなメリット・デメリットがあるのかをご紹介します。
これらを把握した上で、ご自身に合ったよりよい手段を選択していただければ幸いです。

遺産分割協議書を自分で作成するメリット

遺産分割協議書を自分で作成する最大のメリットは、費用を抑えられることです。
煩雑な手続が苦でない方や、割ける時間が多くある方は、自分で遺産分割協議書を作成することで費用を抑えることができるでしょう。

最近では、「終活」や「エンディングノート」などという言葉も一般に認知されるようになりました。
亡くなる前に被相続人が財産整理を行っていて、希望や意向が既に明確であるなどの場合は、遺産分割協議書の作成もスムーズに進む可能性があります。

遺産分割協議書を自分で作成するデメリット

相続人自身で作成する場合は、費用が抑えられる一方、デメリットも存在します。
遺産分割協議書を自分で作成するデメリットは、たとえば以下のような点が挙げられます。

  • 書類収集手続の煩雑さ
  • 体裁や形式のミスにより、有効性が問われるリスクがある
  • 財産の正しい評価が難しい
  • 相続人間の事後トラブルに発展する可能性がある

遺産分割協議書は法的な文書であるため、表現の誤りや記載漏れなどの不備があると、その後の手続きに支障をきたす可能性があります。
また、不完全な遺産分割協議書が、後々トラブルを招くことも考えられます。
これらのリスクを防ぐためにも、相続に精通した専門家へ相談することも有効な手段と言えるでしょう。

遺産分割協議書の作成を依頼する専門家の選び方

遺産分割協議書の作成を依頼できる専門家は、行政書士・司法書士・税理士・弁護士などが挙げられます。
それぞれ業務の取り扱い可能範囲に限りがあるため、ご自身の置かれた状況に合わせて適切な専門家を選ぶことが大切です。
ここでは、それぞれの特徴について解説します。
ご自身のニーズを満たす専門家を探す際の参考になれば幸いです。

行政書士

行政書士は、相続人間で話がまとまっている場合の遺産分割協議書の作成が可能です。
合意した内容を正確な形で協議書にしたいという場合に、行政書士に依頼することを検討しましょう。

ただし、行政書士は、紛争性のある相続事件について、紛争解決をするための代理人になることはできず、不動産登記なども依頼する事ができません。
依頼内容には注意が必要です。

司法書士

司法書士は、相続人間で話がまとまっている場合の遺産分割協議書の作成が可能な他、法務局に提出する書類の作成を行うことができます。

一般に、相続が発生した際は不動産が遺産に含まれることも少なくありません。
そのため、遺産分割協議書の作成と不動産の名義移転を一括で依頼できる司法書士に依頼することで、手続の手間を省くことができるでしょう。

なお、司法書士の中でも、認定司法書士については、140万円を超えない範囲の争いがある場合、紛争解決に向けたアドバイスなどが可能です。
ただし、この場合も被相続人の資産が140万を超え、相続人間の交渉などが必要となるケースでは、司法書士は遺産分割協議書の内容に関して相談に乗ることはできないため、注意が必要です。

税理士

税理士は、税務署に提出する書類の作成を行うことができるため、相続税申告を目的とする場合に遺産分割協議書の作成が可能です。
税理士に依頼をすることで、協議書の作成から相続税の申告までをワンストップで行ってもらえるメリットがあります。

反対に、相続税申告が必要のない場合の相続では、税理士が遺産分割協議書を作成することはできないため注意が必要です。
また、税理士も行政書士・司法書士と同様、相続人間での交渉や、遺産分割協議書の内容に関するアドバイスを行うことはできません。

弁護士

弁護士は、行政書士・司法書士・税理士とは異なり、紛争解決も含めた遺産分割協議のアドバイスをすることが法的に認められています。
親族間で争いがあり、話し合いがスムーズにまとまらない恐れがある場合や、遺産の内容が複雑で分割方法に相続人間で調整が必要な場合などは、弁護士に相談することをおすすめします。

遺産分割協議書を作成する費用


遺産分割協議書を作る際、実際にかかる費用がどの程度なのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、遺産分割協議書を作成する場合の費用相場をご紹介します。
どの専門家に依頼をするかは遺産の構成内容により報酬も変わってくるため、下記はあくまでも一般的な目安としてご参考ください。

税理士に依頼した場合

相続税申告と遺産分割協議書の作成を税理士に依頼した場合の費用相場は、相続財産の0.5%~1%程度です。
税に関する知識のない方は、相続税対策なども含め相談に乗ってもらえるため、依頼するのも有効でしょう。

司法書士に依頼した場合

不動産の相続登記+遺産分割協議書の作成を依頼した場合の費用相場は、10万円程度です。
なお、不動産の名義移転の際には、別途固定資産税評価額に応じた登録免許税が課税されるため、ご注意ください。

弁護士に依頼した場合

弁護士に遺産分割協議書の作成を依頼した場合の費用相場は、経済的利益の4%〜16%程度です。
加算される割合は、得られる利益の額によって異なります。
たとえば、300万円の経済利益を得て12%を弁護士報酬とする場合、支払う金額は36万円です。

上記に加え、着手金として30万円〜50万円かかる場合もあります。
なお、不動産の名義移転の際には、別途固定資産税評価額に応じた登録免許税が課税されるため、ご注意ください。

自分自身で遺産分割協議書を作成する場合

自分自身で遺産分割協議書を作成する場合は、専門家への報酬が不要となり実費のみの負担となるため、費用を抑えることができるでしょう。
実費の具体例としては、相続人を特定する際の戸籍取得費用や、遺産を調べる際に取得する残高証明書費用などが挙げられます。

まとめ

相続手続きは、遺産分割協議書の作成をはじめ、相続税の申告や不動産の相続登記など、煩雑で多岐にわたります。
自身で情報を集めながら手探りで進めるには複雑で分かりにくいものもあり、ミスなく正確な手続きを遂行するには、専門家のサポートが必要となる場面もあるかもしれません。

是非、この記事で確認した内容も参考に、ご自身の置かれた状況を整理し、計画的に相続手続きを進めてください。

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