この記事でわかること
- 遺産分割協議書を提出する際に印鑑証明書が必要なことがわかる
- いつ発行された印鑑証明書を準備するのかを知ることができる
- 印鑑証明書を提出する際の注意点を知ることができる
目次
遺産分割協議書提出時には印鑑証明書が必要
遺産分割協議書とは、被相続人の遺産をどの相続人がどれだけ引き継ぐのか明らかにした書類です。
財産を保有する人が亡くなった時点では、その財産は誰が相続するか決定していないため、名義変更などをすることはできません。
遺産分割協議書があって初めて、名義変更などの相続手続きが可能となります。
相続に関する手続きには、預貯金の払い戻し、不動産の相続登記、有価証券の名義変更などがあります。
また、借金がある人の場合は、借入金の名義変更や抵当権の変更などの手続きが行われます。
相続税の申告の際に、遺産分割協議書や印鑑証明書が必要になるケースもあります。
この他にも、あらゆる遺産の手続きに遺産分割協議書とあわせて印鑑証明書の提出が求められる場合が多くあります。
印鑑証明書を提出する時には、遺産分割協議書に記載のある相続人全員分が必要となります。
たとえ遺産分割協議により遺産を1円も受け取っていない場合でも、印鑑証明書は準備しておかなければなりません。
遺産分割協議書に添付する印鑑証明書の有効期限
印鑑証明書を前もって準備しておけば、必要となる度に役所に足を運ぶ必要はありません。
ただ、この時に注意しなければならないのは、印鑑証明書に有効期限を設けている場合があることです。
相続登記を行う場合
相続登記は、不動産の所在地を管轄する法務局で行われます。
法務局に遺産分割協議書と印鑑証明書を提出しますが、この印鑑証明書に有効期限は設けられていません。
印鑑証明書の有効期限は、法務局で厳格に定められていると勘違いしそうですが、実際は柔軟に対応してもらえます。
相続税の申告を行う場合
相続税の申告書は、被相続人の住所地を管轄する税務署に提出します。
この時、印鑑証明書の提出が求められるケースがありますが、有効期限は定められていません。
遺産分割協議書に押印された印鑑が実印であることが確認できればいいため、特に期限などは定められていないというわけです。
自動車の移転登録
自動車の名義を変更する手続きは、移転登録と呼ばれます。
普通自動車の移転登録は、陸運局で行います。
一方、軽自動車の移転登録は軽自動車検査協会で行われ、窓口が異なることに注意しましょう。
このうち印鑑証明書が必要になるのは、普通自動車の移転登録です。
発行から3か月以内の印鑑証明書を提出しなければなりません。
一方の軽自動車については、認印で手続きが完了し、印鑑証明書は必要ありません。
金融機関での解約や払い戻し等
金融機関で被相続人の預貯金を解約し、あるいは有価証券の名義変更を行う際にも、印鑑証明書が必要となります。
この場合、金融機関によって印鑑証明書の有効期限が定められていますが、具体的な期限は異なることがあります。
発行から3か月以内としている場合もあれば、発行から6か月まで有効としている場合もあります。
手続きを行う前に、各金融機関で確認しておくようにしましょう。
遺産分割協議書と印鑑証明書を提出するときの注意点
作成した遺産分割協議書を提出する際には、印鑑証明書を一緒に提出するように求められるのが一般的です。
この時、どのような点に注意すると、トラブルを防ぐことができるのでしょうか。
印鑑証明書と遺産分割協議書の内容を照合する
遺産分割協議書を作成すると、すべての相続人は印鑑を押す必要があります。
この時に用いる印鑑は、実印でなければなりません。
もし実印以外の印鑑を使用してしまうと、印鑑証明書と照合しても正しいかどうかを確認することができません。
そのため、押印する前に印鑑証明書を取得しておき、実印に間違いないことを確認してから押印しましょう。
また、印鑑証明書に記載されている相続人の名前と住所も、遺産分割協議書に記載されるものと一致しなければなりません。
印鑑証明書の記載は戸籍謄本の記載と一致しているため、もし違いがあると戸籍謄本とも違うこととなります。
戸籍謄本の記載と氏名や住所が違うと、様々な相続手続きができなくなってしまいます。
そのため、氏名や住所が印鑑証明書の表記と一致しているかを確認しておく必要があります。
印鑑証明書の原本の還付を受けることができる
印鑑証明書は、相続に関する手続きを行う際に、何度となく必要になる書類です。
市区町村役場に行けば簡単に取得することができるため、必要になった都度、取得すればいいと考える方もいるでしょう。
しかし、いつでも役場に出かけられる方ばかりではありません。
また、取得する度に手数料がかかるため必要となった都度、印鑑証明書を取得するのは金銭的な負担も大きくなります。
そこで、取得した印鑑証明書をそのまま提出してしまうのではなく、原本を返還してもらう手続きをしましょう。
印鑑証明書の原本還付を受けるためには、相手に提出するための写しを作成する必要があります。
ただし、印鑑証明書をコピーして提出すればいいというものではありません。
印鑑証明書をコピーしたら、そのコピーに「原本と相違ないことを証明する。」という一文を入れます。
また、余白部分に原本証明を行った日付と氏名を記載し、実印で押印します。
これで、提出書類の原本証明を行うことができ、原本証明のあるコピーを提出すれば、印鑑証明書の原本を提出する必要はなくなります。
まとめ
遺産分割協議書は、遺産分割の内容を記録するためというより、相続手続きを行うために作成する書類といえます。
そのため、金融機関や公的機関など、手続きを行う場所で問題ないものを作成しなければなりません。
また、手続きの際には印鑑証明書が必要になるケースも多くあるため、あらかじめ準備しておく必要があります。
ただ、印鑑証明書には有効期限が設けられているケースもあるため、注意しましょう。