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最終更新日:2024/8/8

成年後見人は弁護士に依頼すべき?メリット・デメリット、選び方も解説

弁護士 中野和馬

この記事の執筆者 弁護士 中野和馬

東京弁護士会所属。
弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。
お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/nakano/

この記事でわかること

  • 成年後見人とはどのような役割を果たす人か知ることができる
  • 成年後見人を弁護士に依頼することのメリットとデメリットがわかる
  • 成年後見人を弁護士に依頼する際の弁護士の選び方がわかる

家族、特に両親が認知症などになると、様々な問題が生じることとなります。
特に財産の管理は、本人ができなくても誰かがしなければならないものであり、放置しておくことはできません。
しかし、家族であれば誰でもできるというわけではなく、はじめから第三者に依頼すべき場合もあります。

ここでは、成年後見人を弁護士に依頼した場合、そのメリット・デメリットや弁護士の選び方について解説していきます。

成年後見人とは

成年後見人は、認知症などになって判断能力が低下した人をサポートする制度です。
まずは、成年後見人にはどのような人がなるのか、そしてどのような役割を果たすのかといった概要をご紹介します。

成年後見人について

成年後見人は、判断能力が低下した人をサポートする制度である成年後見制度の3種類のうちの1つです。

判断能力が低下した人は、自身で財産の管理を行うことができません。
また、重要な契約をしようとしても、契約の相手方から契約を拒否される可能性もあります。
そこで、判断能力が低下した人に代わって財産の管理を行う、あるいは契約する人を定めておくことができます。
判断能力の低下が最も著しい人をサポートするのが、成年後見人です。
この他、成年後見制度では保佐人と補助人が、判断能力の低下した人をサポートすることとなります。

成年後見制度を利用するには、家庭裁判所に申立てを行い、受理されなければなりません。
成年後見人が選ばれるのか、あるいは保佐人や補助人が選ばれるのかは、家庭裁判所の判断にゆだねられます。

成年後見人の選び方

成年後見人を選任するのは家庭裁判所です。
誰が成年後見人になるのかは、家庭裁判所によって決定されます。

ただし、成年後見人の申立書には成年後見人の候補者を記載する欄があります。
そのため、成年後見人候補者をあらかじめ決めておき、その人が成年後見人に選ばれることもあります。
なお、成年後見人になる人に特別な資格は必要なく、家族や親族であっても成年後見人になることはできます。

一方で、成年後見人になれない人については明確な規定があります。
これによれば、以下の人は成年後見人になることができません。

  • 未成年者
  • 成年後見人、保佐人、補助人などを解任された人
  • 破産手続開始決定を受けたものの、免責を受けられていない人
  • 成年被後見人に対して訴訟を起こしているあるいは過去に起こしたことがある人(その配偶者や子も含む)
  • 行方不明者

なお、これらの要件に該当しなければ、必ず成年後見人候補者が成年後見人になれるわけではありません。
財産の額がある程度大きな場合などは、家族以外の人が成年後見人に選ばれやすくなります。
また、親族間にトラブルが起こっている場合や起こる可能性が高い場合も、弁護士などが成年後見人に選ばれる傾向があります。

成年後見人の役割

成年後見人は、判断能力が低下した成年被後見人の身上監護や財産管理を行うものとされています。
身上監護とは、病気の治療や介護に関する契約を本人に代わって締結することです。
入院や介護施設への入所の契約、リハビリに関する契約などを、本人に代わって成年後見人が行います。

財産管理とは、成年被後見人の財産を減らさないようにすることです。
成年後見人は成年被後見人の財産目録を作成し、家庭裁判所に提出しなければなりません。
成年被後見人の財産はすべて家庭裁判所の管理下に置かれ、成年後見人であっても自由に使うことはできません。
また、成年後見人以外の家族でも、財産を勝手に使うことはできなくなります。

財産を減らさないということについては、かなり厳しい条件があります。
たとえば、株式を購入することは預金を減らしてしまうため、確実に値上がりすると思っていても購入は認められません。
逆に保有する株式を売却することも、財産を減らしてしまうため、たとえ売却益が出る場合でも売却はできません。

結果的に、成年後見人であっても、財産の購入や売却は、ほとんどの場合認められないということです。
例外的に認められるのは、介護施設に入るために自宅を売却して入所資金を準備するなど、ごく一部に限られます。

なお、資産運用は財産管理には含まれないため、認められません。
さらに、相続税の節税目的であっても、不動産の購入や売却なども認められません。

成年後見人の権限と義務

成年後見人は、判断能力が低下した本人の代わりに、財産に関するすべての法律行為を行う同意権を有します
また、日常生活に関する行為以外の行為については、後から取り消す権利があります。
さらに、日常生活以外の行為については、本人が同意しても後から取り消すことができます。
このように保佐人や補助人と比較すると、大きな権限が与えられています。

成年後見人には、善良なる管理者としての注意義務(善管注意義務)が課されます
これにより、自分自身の財産を管理する場合より、さらに注意を払うことが求められています。
成年後見人となった人は、善管注意義務を怠ると、最悪の場合は損害賠償責任を負うこともあるので、注意しましょう。

成年後見人を弁護士にするメリット

成年後見人は、家庭裁判所によって選任されるため、誰が選ばれるか最後まで分かりません。
ただ、候補者を自ら選任することができるので、弁護士を候補者とすることができます。
弁護士を成年後見人にするメリットには、何があるのでしょうか。

あらゆる行為を依頼することができる

弁護士は、すべての法律に関するプロといえる存在です。
成年後見人として様々な行為を行う必要がある場合でも、弁護士であれば安心して依頼することができます
特に法律上のトラブルになりやすい、意図しない契約の取消なども、弁護士であれば迅速に対応してもらえます。

家族が近くに住んでいない場合も対応してもらえる

判断能力が低下してサポートを必要とする人の近くに、家族が住んでいないケースもあります。
このような場合でも、成年後見人を選任する必要がありますが、家族がなるのは現実的ではありません。

そこで、サポートを必要とする人の近くで開業している弁護士に、成年後見人になってもらうことで、問題が解決します。

相続が発生した後も依頼できる

成年被後見人となった人が亡くなると、残された家族には相続が発生します。
相続が発生した場合、相続人となった人は何をしたらいいかわからない状況となってしまうこともあります。

そこで、成年後見人となった弁護士に、相続に関する相談を依頼することができます
遺産分割協議など、行わなければならない手続きが数多くありますが、弁護士に相談できれば安心して進められます。

成年後見人を弁護士にするデメリット

成年後見人を弁護士にした場合には、デメリットもあります。
どのようなデメリットがあるのか、その内容を確認しておきましょう。

費用がかかる

成年後見人に第三者である弁護士が就任する場合、毎月の費用が発生します
最終的な報酬の額は決められた金額があるわけではなく、家庭裁判所の裁判官が決定します。
そのため、どれだけの費用になるか、事前に知ることはできません。

報酬の金額は基本報酬と付加報酬の2つに区分され、それぞれ決定されます。
基本報酬は毎月2~6万円程度とされ、本人の財産の状況に応じて決定されます。
また付加報酬は、成年後見人として特別な事情があった場合に、基本報酬とは別に支払われます。
付加報酬の額は基本報酬の額の50%の範囲内で、基本報酬の額に上乗せされます。

法定後見人が家族や親族となった場合は、必ずしもこのような費用は必要ありません。
しかし、弁護士が法定後見人になった場合には、報酬は必ず発生することとなります。

横領などのトラブルに巻き込まれる可能性がある

特に財産の額が一定以上ある場合、親族ではない人が法定後見人になることが多くなります。
これは、法定後見人になる人が親族の場合、使い込みなどの不正が起こりやすいためです。

しかし、専門知識や成年後見人としての実績がある弁護士であっても、不正が行われる可能性はあります
成年後見人となった弁護士が、預かっていた財産を私的に流用し、横領してしまう事例は少なくありません。
実際に、複数の人の法定後見人となり、それぞれの人の財産を横領してしまう悪質なケースもあります。

成年後見人を弁護士にするときの選び方

成年後見人を必要とする場合、家庭裁判所に申立てを行う必要があります。
基本的に、成年後見人は家庭裁判所が選任しますが、申立てを行う際に候補者を選ぶことはできます。
親族ではなく弁護士を候補者とする場合、どのように弁護士を選ぶといいのでしょうか。

成年後見人にふさわしい弁護士とは

成年後見人となった人は、基本的に亡くなるまでずっとお付き合いが続くこととなります。
亡くなるまでの期間は人それぞれですが、長い人の場合は10年以上もの期間になります
そのため、まずは信頼できる弁護士を選ぶようにしましょう。

信頼できるかどうかを確かめるには、実際に会って判断するのが一番確かな方法です。
単に成年後見人としての実績があればいいというわけではなく、様々なポイントを確認するといいでしょう。
直接会って話をする際に、こちらの話を聞いてくれることは重要なポイントの1つです。
また、身だしなみや事務所の雰囲気も判断材料の1つとなります。

避けた方がいい弁護士とは

成年後見人にふさわしくない弁護士も、中にはいます。
まずは、過去の実績ばかり強調して、これからの業務に対するビジョンがない弁護士です。
どれだけ実績があったとしても、これからの業務を任せられないのであれば、成年後見人にはふさわしくありません。

また、話した時の印象がよくない弁護士も、避けるのが無難です。
どのような理由で印象がよくないのか、その理由がはっきりしない場合もあるかもしれません。
それでも、妥協して成年後見人とするのは避けるべきです。

弁護士から、成年後見制度の利用に関して様々な提案がない場合も、成年後見人とするのにはふさわしくありません。
様々な提案をしてくれる弁護士に成年後見人になってもらうのが望ましく、提案がない人には安心して任せられません。
また、費用面に関する説明が前もってない場合も、成年後見人にはふさわしくないといえます。

まとめ

成年後見人を必要とする状況になった場合、家庭裁判所に申立てを行い、成年後見人を選任する必要があります。
成年後見人には、家族や親族が就任することもできますが、第三者である弁護士が成年後見人に選任されるケースも多くあります
弁護士が成年後見人になることには、メリットもデメリットもあるため、理解しておく必要があります。
ただ、どのような弁護士でも成年後見人にふさわしいわけではないため、事前にどのような人か見極める必要があります。

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メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。 前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。

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